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2007年11月

2007年11月29日 (木)

高級コネクター

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20年ほど前(UDS-88時代)からモータードライブ用のコネクターとして
ずっと使い続けているのが多治見無線電機製のワンタッチコネクターです。

産業用で高価ですが,小型で信頼性が高い上,脱着も容易です。
何よりも嬉しいのがケーブル締め付け部がモータードライブに使うケーブルサイズ
にマッチしており確実に固定できる事です。
コネクターがケーブルサイズに対して大き過ぎ,ここにビニルテープを巻いた
ものもありますが,長く使ううちにケーブルの被覆が抜けて心線がむき出しに
なったものも見かけます。

で,今回このコネクターをビクセンMTシリーズ換装モーター用に採用しましたが
問題は,モーターからのリード線はモーターハウジングを貫通してコネクターに
ハンダ付けしなくてはならない事です。

そこで,お客様での交換を容易にするため発明?したのが切り欠き付き変換金具で
配線済みのコネクターをモーターハウジングの穴に通したあと
ケーブルを金具の切り欠きに通せば簡単に交換できます。

AGS-1S用の,MT-1及びMT-2,3,4の換装モーターにはこのコネクターが附属します。
この金具はフライス加工品で,DINコネクターが7個も買える値段ですが
DINコネクターの使い辛さから解放されるなら安い!と思うのは私だけでしょうか?


手前中央が今回採用した高級コネクターで,左がDINコネクターです。


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2007年11月20日 (火)

駆動周波数と振動

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ステッピングモーターの回転は,時計の針のように1ステップことに
カクカクと回転するので赤道儀駆動に於いてはそのステップ振動が影響して
高倍率で星を見るとピクピクと振動する事があります。

一方,ステッピングモーターが主流になるまで良く使われていた
シンクロナスモーターは,交流電源で回転しますが
この交流電源はタービン発電機等の等速円運動で作られた完璧な正弦波交流です。

元々回転運動で作られた正弦波交流ですのでそれと同期して回転するモーターは
周波数を下げても回転数が下がるだけで振動が増えたりしません。

その正弦波交流を静止機器で作るのが疑似正弦波で
マイクロステップ駆動はその技術を使っています。

1/100の減速機付きのギヤードモーターを2相励磁で駆動する場合と
減速機なしのモーターを100分割の正弦波マイクロステップ駆動する場合は
同じステップ角ですが,後者が圧倒的に低振動です。

これは前者は減速してもモーター自体は振動しているのに対し
後者はモーター自体が正弦波で円運動しているためです。
同じ周波数(PPS)で駆動していますのでステップ角は同じですが
赤道儀から鏡筒に伝わるモーター振動は大きく異なります。
高倍率観測に影響するのはステップ振動だけでなく
モーターそのものの振動が鏡筒に伝わる分も見逃せません。

写真左が一般的に使われるギヤードモーター
右がAGS-10で100分割マイクロステップ駆動するモーターです。

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2007年11月19日 (月)

特注水晶とプログラマブル分周器

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赤道儀駆動用の高精度で安定したパルスを作るには
水晶発振子を用いるのが簡単ですが
恒星時は太陽時よりもほんの少し早いため,中途半端な周波数となり
既製品の水晶はそのままではモータードライブに使えません。

中途半端な周波数でも特注で作ってはもらえますが
特注品は数がまとまらないと極端に単価が高くなるため
多種類の赤道儀用モータードライブを作るには不向きでした。

そのため従来はプログラマブル分周用ICを使い
既製の周波数を任意に割って恒星時を作っていましたが
このICも廃盤になってしまいました。

無くなる前に300個程買いだめしておきましたが
在庫も少なくなり,ついにAGS-1Sでは特注水晶を採用する事になりました。

今後特注水晶を使う機種が増えますが,対応赤道儀によっては
価格差が出てしまう事も考えられます。

因みに特注水晶の単価は
1個では約10,000円ですが,50個作ると800円程です。


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2007年11月18日 (日)

プリント基板

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東京出張から戻りました。
東京に行ったら必ず立ち寄るのが秋葉原で
その中でも定番はなんと言っても秋月電子です。
若い頃は,行くたびに「○○キット」を買って帰り
帰宅後,附属のプリント基板に部品を一つずつ取り付けていくのは
本当に楽しくワクワクしたものです。

今回も帰宅するなりプリント基板に部品の実装作業を行っておりますが,今は仕事。
さすがに若い頃のようにワクワクはしませんが
この基板を組み込んだ製品を買って頂いた方に
ワクワクしていただけるよう心がけて作っております。

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2007年11月14日 (水)

AGS三兄弟!

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新たに仲間入りしたコンパクトなAGS-1S

AGS-1nの次期バージョンとしてUSB化したAGS-1B
外観を一新したAGS-10
これからの自動導入モータードライブ主力三兄弟です。

実はAGS-100という歳の離れた兄貴もいますがこれは次の機会にご挨拶します。

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2007年11月13日 (火)

ヘラクレス赤道儀自動導入

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今日はヘラクレス赤道儀の自動導入化を行いました。
この赤道儀は元々スカイセンサー仕様の自動導入機でしたので
正確には自動導入装置の入れ替えですね。

この赤道儀はMS-5と同クラスで40kg程度まで載る強度と立派な構造ですが
モーターが小さすぎるようです。
トルク不足を補うためウォーム周りの当たり調整がゆるく
クランプを締めて両軸を軽く振るとカタカタと音がします。
立派な赤道儀なのにもったいないな~と言うのが実感です。

今回は一番グレードの高いAGS-10(5P)仕様で
モーターはバックラッシュの小さなTHギヤ付5相ハイブリッドモーターです。
無振動でほぼバックラッシュレス駆動を実現します。

左側の極軸側はモーター交換前,右側の赤緯軸は交換後です。

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2007年11月10日 (土)

天文台建設

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11月8,9,10日と天文台の建設に出かけておりました。
殆ど鉄筋コンクリート造りですが,大胆にも全て手作りスタートしたのが2年前。
妻と二人で少しずつ作り上げ,1週間前に延べ9回に渡る最後の生コン打ちを終えました。
今回はその型枠の解体を行いました。

奥に見えるのがスライディングルーフで天文台としての機能は果たしていますが
屋根はまだ仮のシート張りです。
生コン打ちが終わったばかりの手前の建家はこれから屋根の工事や内装です。

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夜景もどうぞ。(ホームズ彗星観測のためスライディングルーフは半分開けています)

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2007年11月 7日 (水)

コンパクト!AGS-1S

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先般開発状況をご紹介しておりました新型自動導入モータードライブの
AGS-1Sが完成いたしました。
パソコンとの接続はUSB化を図りながらも,AGSシリーズ中堅の
AGS-1nの機能をコンパクトなケースに凝縮しました。

AGS-1nと同じクラスのをドライバー採用しておりますので
最大3Aまでの相電流に対応します。
PK269クラスの大型モーターでも駆動できます。マイクロステップは16分割です。

駆動方式は高速特性の優れたユニポーラー方式で,12Vでのご使用でも
十分な高速特性を発揮します。
(電源電圧12Vに於いて,PK-243クラスで50kPPS程度まで応答。
恒星時駆動周波数を100PPSとした場合最高500倍速程度まで追従)

また今回は,日本パルスモーター社のご協力で高速タイプの
PM型モーターも採用しました。
ビクセン社製GP-D赤道儀用は,リーズナブルなPM型を採用しお手頃な価格で
ご提供します。

このモーターはPM型でありながら,マイクロステップの中間精度は非常に高く
驚く程の低振動駆動です。
また高速駆動特性も素晴らしくHB型より高速の60kPPS以上まで追従いします。
(16分割マイクロステップ時)

当然ですが,常時駆動しない赤緯側は電流をカットするなど
省電力設計ですので恒星時駆動時の消費電流は350mA程度です。
(PM型HB型いずれのステッピングモーター使用時でも,電源電圧12V時)

さらにオートガイダーとの接続も含め,集合ケーブルを採用しました。
このコネクターとUSBケーブルを接続すればセットアップ完了します。

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2007年11月 6日 (火)

究極?のポーターブル赤道儀その1

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大型の傾斜ステージ(ゴニオステージ)を利用してポータブル赤道儀を
作ってみました。

特徴はなんといっても高精度です。
モジュール1,歯数400枚のウォームホイールを30度分切り取ったような
扇形?(12分の1に切ったメロンの皮のよう?)ギヤですので,
直径400mmのウォームホイールと同じ精度と考えて良いようです。
因みに同じ加工精度であれば,追尾精度はほぼホイールの直径に比例します。
小型赤道儀の場合ホイールの直径は70~80mm程度ですので
5倍ほどの追尾精度になりますね。

実際にピリオディックモーションを測定してもほぼ検出できないレベルで
写真から測定すると±2秒角程度の様です。

それから構造上,このステージ上に載せたカメラの重心は,
仮想のウォーム軸中心位置あたりにきます。

そのため写真の様に自由雲台で構図を取ってもアンバランスの影響は
無いようです。
ホイールが400mm相当もあるのでアンバランスになっても問題無いのでしょうが。

一番の問題は,部分微動ですので巻き戻しが必要な事です。
有効に使えるのは25度程度ですので,最長90分強の追尾しか出来ませんが
これだけあれば十分でしょう。

元々ついていたセンサーを使い,終点間際でアラーム,終点で自動停止後
始点まで高速自動巻き戻し機能を作る予定です。


写真左は終点位置,右は中間位置です。

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2007年11月 5日 (月)

EM-100赤道儀自動導入改造

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今日はEM-100赤道儀の自動導入改造を行いました。

EM-100は,P-2,90S,JPの流れを汲み大変丁寧な造りです。
自動導入化するには両軸全周微動が条件になりますので
残念ながらP-2や90Sは改造できません。

そうなると,EM-100は小型で造りや精度が良く,自動導入化できる赤道儀として
かなり魅力的な存在かと思います。

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2007年11月 4日 (日)

SKY MAX自動導入改造

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SKY MAX赤道儀の自動導入改造を行いました。
SKY MAXは赤道儀の大きさの割に大型のモーター(60mm角)を採用しておりますので
改造に当たってはモーターの選択肢が広くなります。

今回は依頼主のご要望で,2相16分割マイクロステップのAGS-1n仕様のため
モーターはギヤードタイプのPK-264を採用しておりますが
僅かな振動とバックラッシュが残りますので,さらに低振動,且つバックラッシュレスを
ご希望の場合は,AGS-10(2P)+ギヤヘッドの無いPK-266クラス仕様にも改造できます。

さらに超低振動/バックラッシュレスをお望みの場合は
AGS-10(5P)+5相のPK-566も選択可能です。

因みに改造費用は,今回のケースと同じ,16分割のAGS-1n仕様の場合
AGS-1n,モーター,改造費用全て含め一式で140,000円です。


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2007年11月 2日 (金)

HD-4とMSM5562RS

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HD-4はタカハシのP-2,90S赤道儀用のモータードライブですが
電源電圧がそのままロジックに供給されるため
過電圧や逆極性に対し無防備です。

推奨の乾電池でご使用であれば問題ないのですが
別電源で7V以上かけたり,逆接続すると
瞬時に壊れるため,結構修理依頼があります。

使っているチップは沖電気のMSM-5562RSと4013,TD6004で
この内,沖のMSM-5562RSは10年以上前に廃盤となっており
手持ちの在庫も1個のみとなりました。

大抵の故障はチップが完全に破壊されて全く動作しないのですが
今回は珍しい故障で,MSM-5562RSの内部分周がおかしくなり
恒星時駆動が1.5倍遅くなっておりました。
本来は1/2,1/4,1/8,1/16と2の二乗で分周されますが
何処か1段の分周が1/3になってる模様です。
こんな経験は初めてでした。

このMSM5562RSは足が違うので,現行の74HC4060等で代用出来ません。
修理依頼が多ければ丸い基板ごと作るのですが。


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2007年11月 1日 (木)

ホームズ彗星

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10月29日~11月1日まで天文台建設に出かけていました。
生コン打ちは今回で最後。ハードなスケジュールでしたが何とか失敗せず作業完了。
結果は来週の型枠外しまで解りませんが大丈夫でしょう。

30,31日は少しモヤがかかってはいましたがホームズ彗星を観測できました。
30日に初めて見ましたが既に拡散しており,その大きさにビックリしました。
翌31日はさらに大きくなっていました。
このまま大きくなると11月中旬には満月ほどの視直径になるそうですね。
月明かりも無いので今後が楽しみです。

写真は31日に撮影したものです。
22:52分~30秒露出の4コマを加算平均,15cmF9屈折直焦点,EOS40D,ISO1600。(左が北)

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