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2008年12月

2008年12月21日 (日)

MARK-X・・・優れた構造の赤道儀ですね

B08_12_21
久しぶりにMARK-X赤道儀のオーバーホールを行いました。
MARK-Xは小型赤道儀の名機と言われていますが,その構造にも特徴があります。

写真は上から,極軸ハウジング,ウォームホイール及び極軸で
組んだ状態での軸方向の位置関係が解るように並べています。

極軸はハウジングの筒状の出っ張り(銀色の部分)の中をとおり
その外周にウォームホイールが配置されます。
(ウォームホイールはハウジング側の出っ張りの外周と接しており
極軸とは北端のクランプ締め付け部で接しているだけです)
そのため,極軸にかかる荷重はハウジングで受けウォームホイール
には殆どかかりません。
軸周りの隙間の影響を受けにくい優れた構造です。


これに対し,一般の赤道儀にはハウジング側の出っ張りは無く
極軸北端のプレートとハウジングの間にホイールが挟まった構造です。
通常2/100~3/100mmほどの極軸とハウジングのすきまがあるので
荷重がかかる事で軸は偏芯し,その分がもろにウォームホイールと
スクリューの噛み合いに影響します。

極軸側は荷重の方向が常に一定方向(ホイールとスクリューの
位置関係は同じ)のためまだ良いのですが
赤緯軸はテレスコープウエストとイーストで荷重の方向が逆になるので
バックラッシュの原因になります。


MARK-Xの人気にはちゃんとした構造的な裏付けがありますね。
この優れた構造はZEISSの小型赤道儀で採用していたそうです。
また光耀のMG506もこの構造です。
MG506と言えば,注文したのに入手できなかった私にとって幻の赤道儀です。

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2008年12月17日 (水)

EM-100もバックラッシュフリーになります

B08_12_17
ハーモニックドライブを採用したバックラッシュフリーのモータードライブは
Jシリーズ~中型赤道儀用として限定販売を行っておりますが
現在90SやEM-100用としても開発中です。

本来,ハーモニックドライブのステッピングモーターは5相仕様のみですが
今回,モーター部を2相モーターに換装することに成功しました。

5相モーターはマイクロステップ駆動時の振動や高速特性で勝っていますが
駆動回路が複雑となりシステムとしては高価になります。

対して,2相モーターではAGS-1Sで直接駆動できるのでシステムとしては
5相仕様に対して60%程の価格となります。

2相ですが,16分割マイクロステップ駆動+恒星時駆動パルス数267PPS
の効果で振動は非常に小さくなっています。

ハーモニックドライブはギヤ比が大きいため(=トルクが大きい)高速
特性は劣りますが,EM-100の場合,12Vで150倍速程度で自動導入
が可能です。

入手可能なモーターの数量から90S,EM-100各5台分の限定販売となりますが
興味がおありの方はお問い合わせください。

EM-100はお預かりして改造を行います。
価格は129,000円(EM-100),109,000(90S非自動導入)でお引き渡しは
1月中旬を予定しています。

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2008年12月10日 (水)

‘究極のポタ赤’構想 進展しました

081210
以前,工業用回転ステージや傾斜ステージを流用したポータブル
赤道儀を紹介しましたが,いよいよ試作品の完成か?
・・残念ながらそうではありません。

写真はユーハン工業様で試作されたユニットシステムの
極軸体と赤緯体です。(基本構造はどちらも同じ)
分割が容易で,薄型且つ出っ張りのない構造です。
海外遠征をターゲットとした開発のようですね。

軽量で薄型ですが基本に忠実な造りで大きな耐荷重を有します。
U-150と同じウォームホイールを採用しておりますので高精度。
勿論ベアリングを多用していますが,軽量且つ薄型にするための
アイデアも採用されています。

今後,ユーハン工業様では諸テストを行い商品化されるとのことですので
興味のある方はお問い合わせください。

で,私のところでは主要部品を供給いただき
究極のポータブル赤道儀に仕立てたいと思っております。

極軸側は写真の試作機に,高度・方位微動装置を取り付けたイメージ。
粗動のみですが,勿論赤緯軸もつきます。構図取りには必須ですから。

これにレボルビング装置を付けてれば究極ですよね。

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2008年12月 9日 (火)

ドイツ製汎用モータードライブ

081209

ASCOMに対応したドイツ製汎用モータードライブのMTS-3
Star Light Laboratoryさんで紹介されていましたが,
先日,西はりまで開催された星空研究会で実物を拝見しました。

LX-200コマンドを採用しておりますのでメジャーなプラネタリウムソフトと
リンクできます。

無振動の1/64マイクロステップ駆動やバックラッシュ補正機能などが
驚くほどコンパクトなボディに凝縮されています。
これほどの優れ物を放っておくわけには行きませんね。早速入手しました。


英語(ドイツ製だが取説は英語)が苦手なためすべての機能をテストできた
訳ではありませんが,やはり期待どおりの製品です。

国産赤道儀で実際にフィールドで使うにはそれなりの機能の付加が必要ですが
(たとえばオートガードケーブルの接続方法やEM-200の極望照明機能など)
古い赤道儀をASCOM対応にするには最適なモータードライブでしょう。

早速手持ちの各種モーターで電流や高速特性の確認を行いました。
モーターの電流の調整はPWMのデューティ比を調整する方式を採用し
定電中チョッパーではないようで,モーターの選定には少し注意が必要です。


モーターの選定や各種赤道儀への取付金具,モーターケーブルの製作
には専門的な技術が必要となります。

そこで既にAGSシリーズ用として販売しております国産赤道儀用のモーター
ユニットをMTS-3用としても販売することにしました。

当面はSP/GPシリーズ,EM-200,Jシリーズ用を準備します。


MTS-3本体の取り扱いやサポートは行いませんが,こちらのサイトで詳しく
紹介されております。また取説の日本語化も検討中との事です。


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