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2010年1月

2010年1月31日 (日)

フランジタイプ フォーカサー試作完了

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フォーカサーについては
先日,MEADEのマイクロフォーカサー仕様を紹介しましたが
平行して開発しているフランジタイプの試作が完了しましたのでご紹介します。

今回ご紹介するのは,3カ所に配置したマイクロメーターと同規格の
高精度スクリューをタイミングベルトで一括駆動する方式で
高精度な位置制御ができるうえバックラッシュがありません。
スクリューの両端はベアリングで固定しているため強いスラスト力にも耐えます。

まだテスト段階ですが,フォーカサーとしての適合性は十分に
満足できるものです。

今回採用した高精度スクリューのピッチは0.25mm(250μm)で
それを25:20のタイミングプーリーで減速することで
ステッピングモーターの1ステップ=1μmの送りを実現しています。
上記は理論的な分解能で実機の繰り返し再現性はその数倍になりますが
10μm以下はクリアーできそうです。
(一方向の駆動の場合は理論値に近い送りとなります)
ストロークは8mm(±4mm)で厚手のフィルターにも余裕で対応します。
必要光路長は約20mmです。

また副産物的な機能ですが,3カ所のスクリューを単独に調整すれば
スケアリングの調整もできます。(プーリーの固定ネジを緩めて行います)
高精度スクリューなので通常の押し引きネジで調整する方法よりずっと高精度です。

フォーカサーについては以前から色々テストを繰り返してきましたが
眼視用ドローチューブを単にモーターで駆動する方式に限界を感じました。
本来のピント合わせとは別に微調整用を加える方式で商品化を目指します。

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なお,今回のフランジタイプの駆動部は他からご供給を受ける予定です。

写真は試作のためカバーを付けていませんが
カメラ側ピボット軸部の保持を兼ねた削り出しのカバーがつきます。
また,試作品は小型ですが,FSQ106ED+ML8300クラスに対応する
大型仕様も計画しています。手動でも1回転200μmの精密ピント合わせが可能です。
さらにフォーカサーの外形は,TB125等の鏡筒バンドとの連携を考慮した設計とし
両者をアリガタ(DP65及びDP80)に固定できるようする予定です。


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2010年1月30日 (土)

カメラレンズと冷却CCDの接続リング

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手持ちのカメラ用レンズに冷却CCDを接続するリングを製作しました。
と言ってもカメラレンズ用のマウント部は接写リングの流用で
製作したのは写真のつや消しアルマイト処理したリング部のみです。

一つはMAMIYA 645レンズ用で2インチスリーブ仕様です。
APO200mmF2.8の評価用に作ったものを以前紹介していますが
今回はレボルビングが容易なように2インチスリーブ仕様としました。

もう一つはMAMIYA RZのレンズ用です。
RZのレンズはフランジバックが100mm以上もあるので
写真のようなフォーカサーやフィルターホイールも付けられます。
MEADEのフォーカッサーとはテーパーリングでの接続で
フォーカサーと冷却CCDとの接続は2インチスリーブです。


ところで2インチスリーブはガタが多くて撮影には使いにくいですね。
オス側のバレル部とメス側のスリーブ部が同一メーカーのセットであれば
公差は少ないようですが単品の場合,バレル部は余裕をみて
小さく作られているようです。
そこでオス側のネジ固定部の形状をテーパーリングにしたアダプターを
製作いたします。

外径及び固定ネジの位置はタカハシ製作所の2インチスリーブと同一とし
片端はM43P0.75雌ネジ仕様のみです。
(申し訳ありませんが特注はお請けできません)

肉厚の関係上,50.8mm用のフィルターは付けられませんし
固定ネジの位置によっては,他社製のスリーブでは使えない可能性もあります。
また,メス側に固定ネジ用のタップ加工をご自身で行う必要もありますので
あまりご需要はないかも知れませんが,完成しましたらブログで頒布の
ご案内を行います。10個程しかつくらないため終了時はご了承ください。

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2010年1月21日 (木)

ファインダーガイド鏡

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H-40用のガイド鏡とPictor201XTの組み合わせは主に海外遠征用として
重宝していますが今回,高感度のオートガイダーと組み合わせてみました。
Pictor201XTは感度が低いのでガイドマウントは必須でしたが
今回のシステムでは不要です。

一つは,接眼部キャップ部に付けるタカハシ純正のNCAと言うカメラアダプター
経由でオートガイダーを直付けしています。
ネジ込み部はM42P0.75ですのでそのままつきます。
ピントは確認しながら,NCAを旋盤で切りつめて調整しました。
接合部は全てねじ込みなのでガタの心配はありません。

最近5cmのファインダーを流用した同様のシステムがよく紹介されています。
焦点距離200mm程度ですがその2倍ほどまでなら問題なくガイドできます。


これで充分ですが,写真のようにカメラ用望遠レンズで撮影する場合
対象の導入や自動導入のアライメントのためのファインダーが欲しくなります。

そこでもう一つはファインダー機能付き。
本来ファインダーなのでおかしな表現ですけどね。
H-40のガイド鏡は鏡筒長を短くして途中にビクセンのGA-2で光路を分割しています。

GA-2は直角側の光量が2/3ですのでこちらにオートガイダーを付けています。
直視側には古いカートンの極軸望遠鏡の視野照明装置付きアイピースをつけ
約10倍のファインダーとなります。
対象の導入やアライメントとオートガイドを1本の鏡筒で行え非常に便利です。

なお,使っているのはH-40のガイド鏡ですがタイトルをファインダーガイド鏡としたのは
H-40のガイド鏡は本来は9×40mmのファインダー用のレンズを流用したものだからです。
40mmF6の分離型アクロマート(後期は貼合わせになりましたが)でとてもシャープ
なレンズです。

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2010年1月12日 (火)

銀塩のアストロカメラを作りました

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いまさらと思われるかも知れませんが銀塩のアストロカメラを作りました。
動機は友人から見せてもらった45判の全天写真があまりにも素晴らしかったからです。

私も全天写真には力を入れていて,国内外で撮影した銀河の写真では
雑誌の賞をいただいたこともありました。
が,今回見せてもらった写真は私が以前撮ったものとは段違いのクオリティ。

使われた45インチカメラは私の製品で,撮影地は私の観測所のすぐ近くです。
私も環境は整っているのだから,がんばらなくてはと思った次第です。

現在,アストロカメラは,35mm判,67(69)判,45インチ判を所有していますが
そのうち,67(69)カメラはPENTAXの67マウントです。
PENTAX67のレンズは全般的に高性能ですが
超広角レンズは星景写真には向かないので
今回,超広角で撮影したいのでMAMIYA RZマウントのカメラを作ってみました。

銀塩写真は,星雲のアップではデジタルには全く及ばなくなりましたが
個人的には星景写真ではまだまだ銀塩の方が美しいと感じています。
銀塩のしっとりとした質感を大事にした写真を撮りたいと思っています。

写真は超低分散や異常分散ガラスを採用した50mmのレンズをつけた状態です。
MAMIYA RZはフランジバックが104mmと長いので焦点距離は50mmですが
望遠レンズみたいですね。

注:RZのレンズにはピントを合わせるヘリコイドはありませんので
  製作段階で無限位置になるように調整しています。
  ピント合わせはできませんがヘリコイドがない分,固定には便利です。


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2010年1月 8日 (金)

カメラ用APOレンズの色収差

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銀塩では高性能だった高級なカメラ用APO望遠レンズでも
諸収差の影響でデジタルでは使えないことは多いようです。

典型的な例をあげれば,Zuikoの100mmF2です。
銀塩では素晴らしい星像で有名でしたが
デジタルでは星が紫色に写り,がっかりしました。
(このレンズはAPOではありませんが,EDガラスを使っていたようです)

一方ZEISSのTele-Apotessar400mmF4はほとんど着色はなく
デジタルでも充分使えます。

では,デジタルでも使えるレンズとそうでないないレンズを
どうやって見分けるかですが
一つの方法としては赤外補正マークの位置が参考になるようです。

本来色収差(着色)の程度は実写して評価すべきですが
私は写真のようにアイピースをつけ,遠くの碍子に反射する太陽光で検査します。
こうすると色の出方の他,レンズの圧迫なども検査できます。

こうして各レンズの着色具合を検査した結果と,各レンズの赤外補正マーク位置は
ほぼ関連していました。

赤外補正が多く必要=色収差による焦点位置が異なる度合いが大きいのだから
当然ですね。

下の写真は今回テストしたレンズのピント指標付近です。
左から,
・SMC PENTAX67 400mmF4ED(IF)
・SMC PENTAX-FA 645 300mmF4ED(IF)
・Zuiko250mmF2
・Tele-Apotessar400mmF4
・MAMIYA645 Apo 200mmF2.8
・MAMIYA645 Apo 300mmF2.8
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PENTAX645の300mmは銀塩では高性能で有名でしたが
デジタルではやや色が出て明るい星の廻りが紫になります。
色の出方は67の400mmの方が少ないです。

Zuikoの250mmは圧倒的な明るさで気に入っていますがやはり星は紫になります。
ただL41フィルターを併用すれば色はかなり軽減されます。

以上3本の赤外補正マークはかなり離れていてアイピース検査と一致します。

Tele-Apotessarの400mmは前記のとおりデジタルでも殆ど色は出ません。
裏付けるように赤外補正量は僅かです。
(色が判りにくいのですがピント指標の直ぐ右の線です)
色収差はほとんどありません。
(取説にTele-Apotessar中,最高を極めたレンズとあります)

MAMIYA645の200mmは赤外補正マークはかなり離れていますが
PENTAX645より色はずっと少ないようです。

最後にMAMIYA645の300mm。赤外補正マークがありません。
同社のRZ用は全てのAPOレンズで赤外補正が不要です。
いずれも完璧な色消しを行っているのでしょう。
アイピース検査ではTele-Apotessarより優れています。

以上は色収差のみの考察で,あくまでも参考用としていただければ幸いです。
殆どが中判用レンズですが,中判はフランジバックが長いため
CCD周辺でも入射光が垂直に近くなると考えるからです。
またCANONのレンズが1本もありませんが,過去に所有したFDの
218,328,545,428いずれもが芳しくなかったので全て手放しました。
(EFレンズは高性能です。たまたま私が所有したFDレンズが良くなかっただけでしょう)


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2010年1月 3日 (日)

新年あけましておめでとうございます

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HPでも紹介していますが,熊本県の高原に滞在型の観測所を建設しています。
ちょうど九州の真ん中あたりに位置し,東~南はかなり暗い空です。
2005年夏の着工から今年の夏で5年になりますが
年を重ねるごとに本業の方が忙しくなり,建設のペースは落ちるばかりです。

現在は主に内装工事中です。
全て妻と2人だけでの全自作だから仕方ないのですが
今年こそは完成にこぎつけたいものです。

実は,急に自宅屋上にドームを設置することになったので
新年早々,観測所のスライディングルーフから一部の機材を持ち帰りました。
持ち帰った機材は自宅に設置し開発機材のテストを行う予定です。

今年からは自宅のテスト環境も整うため
よりスピーディな製品開発ができると思います。
これからもさまざまなアイテムの商品化を目指しますので
今後ともよろしくお願いします。

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