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2010年2月

2010年2月24日 (水)

調整用スペーサー

B10_02_243
カメラレンズの色収差やレンズの圧迫を確認するため
アイピースを使った眼視テストを行っていることは以前ご紹介しました。
昼間の碍子に反射する太陽光や,恒星でテストすると
50mm(67用)ほどの広角レンズでも性能が良くわかります。

そのためには焦点像や焦点内・外像のチェックのため
微妙なピント調整が必要となるので
クレイフォード式の接眼部を改造してカメラレンズに付けています。

ところが私が入手した接眼部は良くみるとドローチューブが傾いています。
2インチのスリーブ面を測定すると100ミクロン以上も傾いていました。

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クレイフォード式はドローチューブを上部2カ所のベアリングに押しつけていますが
原因はそのベアリング保持金具の精度にあったので
以前アストロカメラを作っていた時の調整用スペーサーをはさんで
傾きを10ミクロン程に追い込みました。

B10_02_241
このスペーサーはネジに通して調整するように特注したもので
(レーザー加工品のためカエリがありません)
内径2.6φの穴がありますが今回のような目的でも使えます。

まだかなり在庫があるのでご希望の方にはおわけします。
HP上からメールください。
恐れ入りますが管理の都合上,以下の条件とさせてください。

・厚み0.03,0.05,0.07,0.1,0.2mmの5種を各20枚±2枚(誤差)セット
・価格は送料込みで2,000円
・限定10セットのみ

重ねることで,
0.03,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09
0.10,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19.......と
0.05以降は10ミクロン単位で調整ができるので
カメラのフランジバックは実質的に10ミクロンレベルの調整が可能です。


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2010年2月12日 (金)

Atik383L+イニシャルセール実施中

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今話題の素子,KAF-8300を搭載したAtik製冷却CCDカメラが発売されました。
田中光化学工業様で,このAtik383L+のイニシャルセールが実施されています。
セール期間の2月末日までは通常価格498,000円を399,000円でのご提供です。
K-ASTECでも同条件にて取り扱いを開始しました。

KAF-8300はダークノイズが低いことや,画素サイズが小さいので(5.4ミクロン)
シャープな光学系であれば短焦点でも迫力ある写真が得られます。

AtikはそのKAF-8300の性能を小型・軽量ボディに凝縮しています。
重量500g,消費電流12V0.8Aは移動観測者にとって大きな魅力。
ダウンロード時間が短いことも大きなメリットです。

また,冷却ファンの性能はあまり表面化しませんが
実際に使うと騒音や振動が気になるものです。
Atik383L+は,特に冷却効率を上げるため独自に設計したファンを採用し
低振動でありながら充分な風量でヒートシンクを効率よく冷却します。
ファンは出っ張りはなく完全に内蔵です。

さらに,オフアキシスガイダーが純正のオプションとしてラインナップされているので
ガイド用のCCDとの光路長などに気を使う必要がありません。

このオフアキシスガイダーは光路長が短い(22mm)フィルターホイールと直結できる上
Atik383L+とガイド用カメラのAtik16IC全てセットした場合でも
総重量は1.4kgと軽量です。
カメラが軽量なことで,接眼部のたわみや全体のバランス崩れが軽減されます。
これは写真撮影の成功率に大きく貢献します。


(以下の写真のカメラはAtik1100です)
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 ■Atik383L+の主な仕様
  ・撮像素子:KAF-8300搭載 モノクロ830万画素
  ・冷却能力:約-40℃
  ・ダウンロード:約6秒間(1x1ビニング時)
  ・重量:500g
  ・メカニカルシャッター搭載
  ・読み出しノイズ:7電子
  ・電源:DV12V,0.8A 

Atik383L+はフィルターホイールを含めてもデジタルカメラ並みの重さです。
軽量で高性能な冷却CCDをご検討の方,この機会にいかがでしょうか?

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2010年2月11日 (木)

フランジタイプフォーカサーの耐荷重テスト

フランジタイプフォーカサーの耐荷重テストを行いました。
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一般的な冷却CCDカメラを焦点付近に付けた場合の
フォーカサー単体でのたわみを模擬するため
可動プレートから140mmの位置に1.4kgの荷重を付け外しして
3カ所のダイヤルゲージでたわみ量を計測しました。
ダイヤルゲージの位置は,時計の1時,5時,9時の位置です。

上部写真が荷重をかけない状態でゲージは全て「0」に調整しています。
下部写真が1.4kgの荷重をかけた状態です。

荷重で1時の位置が5ミクロンほどゲージの針で時計方向に
5時,9時の位置が2ミクロンほど反時計方向に移動しています。
多く見積もってもトータルで10ミクロン程度です。

この数値は固定プレートと可動プレートの相対的な位置関係なので
実際に問題となるCCD面の「傾き」ではありませんが,
ダイヤルゲージを中心からR=55mmの円周上に付けている事や
F4~6程度の屈折望遠鏡の最小星像や深度からみて
全く問題ないレベルだと思います。

なお,荷重をかけた状態でもほぼ1ステップ1ミクロンで駆動します。
またバックラッシュは2~3ミクロン程度です。

先日もご紹介しましたが
現在,TOA-150等で実機評価するための大型機を製作中です。
評価用試作機の性能が予想以上に良かったのではずみがつきました。

対応機種のお問い合わせをいただいておりますが
基本的には先日ご紹介した仕様のみ開発を予定しています。

モーターが片側に張り出す構造のため,各部の干渉等を実機で
把握する必要があり,手持ち機材の範囲にとどめる予定です。

上記写真は小さくて分かりにくいので,ゲージ部の拡大写真を
添付します。左が荷重なし,右が荷重ありです。

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先週末のひとコマ

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撮影データ
MAMIYA L500mmF6L,SXV-M25C,露出20分の1カット,ダーク・フラット補正なし
センサー赤道儀+4cmファインダー+Atik16ICで自動ガイド
サイズが大きいのですが,クリックすると拡大で表示します。


先週末観測所に行ったことは昨日のブログに書きましたがその成果?です。
良く晴れていたので前回設置した赤道儀のガイド状況やピントを確認するため
のテスト撮影をしましたが,その時の写真が唯一の成果になりました。
自動で数カット撮影しましたが,どんどん薄雲が広がったようで
コマを追うごとに星々は滲んでしまいました。

紹介するのは薄雲の影響が一番小さい最初の1コマです。
コンポジットなしなので(ワンショットカラーのワンショット?)像も荒れてますね。
ガイドもかなり怪しい!

実はこのテスト撮影中は,赤道儀の真下ある浴室で入浴中でした。(笑)

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2010年2月10日 (水)

先週末は観測所に行きました

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先週末は久しぶりに観測所に行きました。
主な目的は滞り気味の建設作業ですが,殆どの作業は内装ですので
遊びにみえた近所の星仲間と機材談議などかわしながらゆったりしたペースです。

昼間は抜けるような青空が広がっていたので,期待して最近入手したレンズや
フォーカッサー,ガイドシステムなどのテストに取りかかったのですが
2晩とも夜半は薄雲が広がりました。

写真はスライディングルーフの東の端に設置したビクセン製センサー赤道儀と
テスト中の機材です。
東の壁ギリギリに設置しているのはスライディングルーフが狭いからでなく
ルーフを少し開け閉めすればいいからという単純な動機です。

このセンサー赤道儀は500mm程度のガイド撮影には十分な強度ですし
ウォームが南側にあるので子午線越えでの撮影が容易なところが魅力です。

(赤道儀は壁にウエイトがぶつからないギリギリのところに設置しているので
鏡筒の東西入れ替えはできません。
撮影天体の赤緯値にもよりますが天頂より南の対象なら子午線通過後
3~4時間ほどは余裕で撮影できます)

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2010年2月 8日 (月)

フランジタイプ フォーカサーの構造

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フォーカッサーの構造について何件かお問い合わせがありましたので
簡単にご紹介いたします。

構造は両側の固定プレートと中央の可動プレートの3枚構成で
両側のプレートで3カ所に配置した高精度スクリューを挟む構造です。
スクリューの両側はベアリングで保持し適当な与圧をかけているので
前後及び回転方向のガタは皆無です。

その3個のスクリューをステッピングモーターで一括して回転させるので
スクリューにねじ込まれた可動ピースが移動し
それに接続された可動プレートが抜き差しされる仕掛けです。(可動範囲±4mm)
スクリューと可動ピースのねじ込み部は高精度に加工されており
遊びは無視できるレベルです。
左側の固定プレートは接眼部に,可動プレートはカメラに接続されます。


現在,写真の評価用の試作機で荷重試験等を行っていますが
平行して製品版も製作中です。製品には削り出しのカバーがつきます。

第一段としては,TOA150やFSQ106などの回転装置に直接取り付ける
M92-M72仕様で,タカハシの2種アダプタ[KP31003]部につきます。
(モーターは写真の評価版とは反対側につきます)

M92-M72仕様の販売価格は以下を予定しています。
・本体:56,000円
・コントローラー:12,000円(ASCOM対応)

また,小型のM43-M42仕様も発売を予定しており(こちらは4万円台を予定)
いずれも接続リング等は不要です。

さらに下の写真のようにフォーカッサー固定対応のアリガタも開発しています。
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