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2010年3月

2010年3月30日 (火)

フォーカサーと鏡筒バンド類のトータル設計

B10_03_30
以前も少しふれましたが,開発中のフランジ型フォーカサーは
FSQ-106ED用の鏡筒バンドと光軸を合わせていますので
写真のようにフォーカサーをアリガタに直接固定できます。

専用のアリガタにはドローチューブでのピントの粗調整に伴う
フォーカサーの前後移動に対応するよう
長穴加工を行った製品を準備する予定です。
(鏡筒バンドを少し緩めて鏡筒側を前後してもよいでしょう)

FSQ-106EDは非常にシャープな光学系ですが
シャープさ故,問題になるドローチューブや回転装置のわずかなガタに
対処する有効手段だと思います。

なお,お問い合わせをいただいておりますオフアキシスガイド機能と
FSQ-106EDのレデュサーとの併用については現時点では未定です。
(撮影カメラがDSLRか,冷却CCDか,フィルターホイールも併用かと
オートガイダーの種類により光路が大きく変化しますので
実機で確認できる限られた機種の組み合わせのみとなる予定です)

また発売価格はオフアキシスユニット内蔵の本体は79,000円程度
コントローラーは13,000円を予定しています。
すでに写真と同タイプのコントローラーをお持ちの方はファーム
ウエアのアップデートとコネクターの改造でご使用いただけます。

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2010年3月29日 (月)

MAMIYA Z250mmF4.5の試写

100329


撮影データ
MAMIYA Z250mmF4.5,SXV-M25C(ワンショットカラー冷却CCDカメラ)
露出5分の1カット
ダーク・フラット補正なし,レベル補正とカラーバランスのみ調整
センサー赤道儀+4cmファインダー+Atik16ICで自動ガイド
クリックすると拡大表示します。


月が大きかったのですが,先週の金曜日にカメラレンズの試写を行いました。

今回紹介するのはマミヤRZ67用のAPOレンズ中,焦点距離が2番目に短い
250mmF4.5の試写結果です。
月が大きい上,低空ですので見栄えのしない写真ですが
レンズの性能はおわかりいただけると思います。
本来は条件の良い天頂付近を撮るべきでしょうが
250mmの対象となる天体がなかったのでオメガ星団を撮りました。


このレンズは超低分散ガラスを2枚,異常分散ガラスを1枚使ったAPOレンズで
色収差は殆ど感じません。
星像も充分シャープで,APS-Cサイズ程度では周辺光量の減少や星像の劣化は
殆ど感じません。

350mmや500mmでも言える事ですが,前玉の直径は65mmほどあり
焦点距離と開放F値から計算した55mmより少し大きめです。
光量をフラットにするためと思われる円形の絞りが入っているからでしょう。

250mmでF4.5なのでスペック的にはFS-60C+レデューサーとほぼ同じになります。
カメラレンズは星像をシャープにするため少し絞るのが一般的ですが
絞ると輝星がコンペイトウ状になってしまいます。
このレンズにも絞りはありますが開放で使える(F値が4.5と暗いので絞れない?)
星像なのでFS-60C同様,まん丸な気持ちの良い星像となります。

このレンズの新品価格は30万円弱もする高級レンズですが
綺麗な中古品を1/8程度で入手しました。
中判レンズの中古市場は値崩れ状態で
中判のデジタルカメラも出始めていますがその影響は無いようです。


マミヤのAPOシリーズ中,EDレンズを2枚,UDレンズを4枚使った
500mmF6は既に紹介していますが,210mmF4.5と350mmF5.6も
近々レポート予定です。

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2010年3月24日 (水)

カメラマウント仕様のフォーカサー

B10_03_241
先日紹介しましたオフアキシスガイド対応のフォーカッサーは
タカハシ製のTOA-150等で採用されている,M92-M72両端雌ねじ仕様で
メーカー型番の”2種アダプター”と入れ替えての使用を想定しています。
他にも両端M57仕様もラインナップ予定で
M57はボーグ製のバリエーションに富んだリング類で色々と変換可能です。


今回紹介するのはカメラレンズマウント仕様で
ニーズはごくわずかと思いますが特注での製作を予定しています。

使えるレンズはフランジバックの関係上,中判以上になりますが
手持ちの範囲で各種レンズをテストした結果
デジタルで使えるレンズが豊富なマミヤRB/RZ用のみになります。

銀塩時代の天体写真では定番だった,ペンタックス67のレンズは
35,55,105,165,200mmをテストしましたが,残念ながらあまり良くありません。
色収差はそれなりですが星像が悪く
光軸がずれたような恒星像で焦点位置でも星は全く丸くなりません。
Hαのナローバンドでもいびつな星像になるでしょう。

105mmや200mmなどは銀塩では非常にシャープでしたが
プリント時の拡大率の関係だったことを再認識させられました。
(300mmと400mmのEDはデジタルでも充分使える高性能レンズです)


200mmより短い焦点距離での撮影ではどうしてもカメラレンズを使う
事になるのですが,リモート撮影にこだわらなければ
35mm判の高性能レンズやデジタル対応レンズを使った方が賢明です。
ただ,暖かい部屋からの遠隔撮影やLRGB撮影にはどうしても
フォーカッサーが必要になるので高性能の中判レンズが頼りになります。


写真のフォーカッサーは試作品でテストのための加工があります。

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2010年3月22日 (月)

フォーカサーとOAGの統合

B10_03_221
フランジ型フォーカサーの開発状況は何度かご紹介していますが
その後,開口サイズの拡大/コンパクト化と相反する機能の実現と
新たに浮かんだアイデアの取り込みなどで製品化が遅れていました。

写真はその新アイデアのオフアキシスガイド(OAG)機能を
統合した製品版の試作機です。
上記を実現するため,以前ご紹介した円形から四角形に変更しました。

フォーカサーやOAGはドローチューブに串団子状につながれますが
光路長が限られているため,それぞれの必要光路長は
可能な限り短いことが要求されます。
ただ構造上,必要光路長の短縮にも限界があることや
接続に伴う固定リングの厚みなども無視できなくなります。
また,何段もつなぐと強度や精度の問題も出てきそうです。

フォーカサーの開発と平行して個人用のOAGを作っていたのですが
よく考えてみると同じような筐体の内部のごく一部に
その機能を組み込んでいることに気がつきました。
OAGは光路に小さなプリズムがあるだけでほとんどは空洞です。
その空洞にフォーカサーをレイアウトできれば統合できます。

上記写真はM92-M72仕様をTOA-150に取り付けた状態で
まだテスト段階ですが充分実用になることを確認しています。

***

さらに発展型ですがAtik製のフィルターホイールも統合した
三種統合?も試作しています。
フォーカサー,OAG,フィルターホイール
この3つの機能を統合して必要光路長を50mm程度にできれば
中判カメラレンズでLRGBのリモート撮影が可能になりますね。
(↓写真は35mm用レンズですので三種統合は無理ですが)

B10_03_222
フォーカッサー関連の製品は,開発~実機テストの関係上
手持ちの機材で確認がとれた機種のみの対応となることを
予めご了承ください。
特にOAG機能は光路長の関係上,組み合わせる撮影用と
ガイド用冷却CCDは一部の機種に限られます。

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2010年3月14日 (日)

カメラレンズのコリメーターテスト

B10_03_14
先日,中古品のオートコリメーターを入手しました。

オートコリメーターは,光路中にビームスプリッターが入っており
本来は被検物の平行度や角度測定
カメラレンズの距離目盛の調整やフランジバックの測定
などに用いられるものですが,チャートをピンホールに替えれば
無限遠からの平行光束を作れます。光学機器調整用の人工の星ですね。

口径が40mmと小さいので
口径の大きな被検物の場合は中心部のみのテストになりますが
カメラレンズの検査には十分使えるようです。
また,オフアキシスガイダーの光路長の確認などにも使えます。

早速手持ちのカメラレンズのうち,好結果が予測されるマミヤRB/RZ用の
レンズをテストしてみました。Or4mmのアイピースを使った眼視テストです。
広角のULD50mm,M65mmとAPO望遠の210,250,350,500mmの6種7本です。

全てのレンズは事前に碍子に反射する太陽光や実際の恒星でテストしていましたが
今回のコリメーターでも同じように観察できました。
(色収差は太陽光が圧倒的に分かりやすいです)


多くのカメラレンズの場合,色収差もさることながら
レンズの光軸(平行度や芯)ズレが原因と思われる症状を呈します。
内外像はほぼ同心円でも,焦点位置からわずかにピントをずらすと
中心の明るい点の極近くに別の光る点が見えます。
ちょうど雪ダルマみたいなイメージです。
星を写す場合,銀塩ではあまり問題にならなかった収差も
デジタルなら見えてしまう(写ってしまう)場合が多いようです。

ひどい場合は,内外像が同心円にならないことや
レンズの圧迫が原因と思われる星像が三角や不定形に延びるものもあります。


テスト結果は他の手持ちレンズも含め,順次リポート予定ですが
今回のテストレンズは期待どおり素晴らしいものでした。
ただしM65mmのみは色収差は無いのですが,星像がいびつになり
デジタルでは全く使えない性能でした。


このオートコリメーターの光源を15cm屈折につければ大きな口径のレンズや
反射系の光軸調整や性能のテストができそうですね。
試してみようと思っています。

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