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2010年10月

2010年10月30日 (土)

PROMINAR500mmF5.6FLは天体望遠鏡?

101030
スポッティングスコープで有名なコーワから正に天体撮影用に開発した?
とも思えるスペックの望遠レンズPROMINAR500mmF5.6FLが発売されました。
フローライト1枚+特殊低分散レンズを2枚(F4では3枚)使った高性能レンズです。
フローライトは2枚目に配置されていますが前玉とほぼ同じ大口径レンズです。

望遠鏡で言えば88mmFl500mmなので,Sky90やFSQ85EDと同じようなスペックです。
リアコンバーターでF4やF9.6でも使えるところも良く似ています。


私は一応天体望遠鏡も所有していますが
撮影用としてはカメラレンズが好きなので早速入手してみました。
光学性能の高さは発表されているMTF曲線から推測できたのですが
一番惹かれたのはマスターレンズ単体で使った場合のバックフォーカスで
マウントアダプター接続面(実はNikonFマント)から120mmほどもあります。
上の写真の位置でピントがあいます。

通常のカメラレンズで天体撮影する場合,そのバックフォーカスから撮影機材が
制限されますがこの距離なら全く支障ありません。

101030_1
写真はワンショットカラーの冷却CCDなので光路長調整のためボーグの回転装置を
つけていますがモノクロの場合,ここにフィルターホイールを入れられます。
オフアキを付けても30mm程度の接続マージンが取れるほどの余裕です。
F5.6での使用に限定されますがこのバックフォーカスは本当に嬉しいですね。

肝心の光学性能ですが入荷したばかりなので実際の星では確認していませんが
写真のコリメーターで見た感じは中心部のシャープさはFC50や60と同じ程度で
色収差はFC60よりもかなり少なく全く感じないレベルです。
(ほぼ同口径で比較すれば良いのですが,持ち合わせがないので
FC50,FC60,FS60で行いました。
なおFC60は実際の星で見比べると口径が小さい分,TOA-150よりシャープです)

高級な望遠鏡と同程度の光学性能のようでさすがにコーワの自信作です。
本来眼視用の光学機器メーカ製なので当然かも知れませんが
高倍率の眼視でも使えるほどの高性能レンズのようです。
私の所有するどのカメラレンズより眼視性能が高いのは確かです。


さらに,重さが同口径の望遠鏡の半分ほどしかないことや
絶妙なデュアルフォーカスなどメリットの多いレンズです。
写真のオフアキ仕様でしたらカメラやオートがダーも含めた一式で2.7kgです。

今回は急遽,手持ちのNikonFマントを流用してM43ネジ仕様に仕立てましたが
M57などの望遠鏡仕様のマウントアダプターも発売されれば
本当の意味で天体望遠鏡になりますね。
さらに欲を言えばF4仕様もM57などで接続できれば最高ですが。

なお,専用バンドや電動フォカサーは私のところで商品化を検討しています。

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2010年10月24日 (日)

大型赤道儀用ピラーパネル

B10_10_24
多くの据え付け用大型赤道儀は,電気回路をピラー内に納め
スイッチやコネクターはピラー面に付けたパネルに集約されています。

そのような赤道儀の自動導入改造にあたっては電気回路と同時に
パネルも新作しますが,今回紹介するパネルは写真とおり大型です。
大きい方はA3サイズほどもあります。
パネルが大きい分板厚も厚くしますが,そのままでは板が厚すぎて
スイッチ類が付けられないので中央部は薄く削り込んでいます。

これからシルク印刷後,スイッチ類を組み込み配線作業です。
このパネルは公共用なので以前ご紹介しました自動原点位置決め対応です。


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紹介しているパネルほど大型機用ではありませんが
近日中にミカゲ製260赤道儀換装用キットとして
(パネルが165mm角,開口が120m角,アイドラーギヤ比11(22,44):45専用)
AGS-1Zを内蔵したパネルと
バックラッシュの少ないTH型ギヤ仕様2相モーターをセットにした
AGS-1Z 260セットを発売予定です。
コントローラーは超マイクロステップ仕様のAGS-1Z(同等品)を
パネル裏面(ピラー内部)に内蔵します。

セット内容
・260赤道儀用パネル(AGS-1Zを裏面に内蔵,シルク印刷付)
 AGS-1Z:最大1/250分割駆動,USB仕様,パーク機能対応
・60mm角2相THギヤヘッド付きステッピングモーター×2個
・24V ACアダプター,USBケーブル,RJ11オートガイドケーブル付

価格:168,000円 
上記価格は自動導入改造の部品代金のみです。
ケーブルはハーネスで供給しますが,モーターの換装等はご自身で行って
いただく必要があります。モーター軸径は8φです。

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2010年10月19日 (火)

カリフォルニア星雲 再処理

101019_1
・Atik-383L+ -25度C,10分露出の6枚コンポジット,フラット補正(ダーク補正なし)
・Zuiko250mmF2開放,バーダーHαフィルター(7nm)
・MXⅡ赤道儀,FC-50+Atik-16ICでガイド

先日アップしたZuiko250mmF2で撮影したカリフォルニア星雲ですが
念願の?フラットを撮影できたので再処理しました。
やはり周辺減光が目立たず良いですね。
(フラットがあってないのか周辺が少し明るくなっていますが)

このレンズは銀塩時代の古いレンズなので明るい星が丸く写らないなど
少しの不満は残りますが,用途をナローバンドに絞れば
その明るさを武器にして淡い散光星雲の撮影に威力を発揮しそうです。
またOⅢやSⅡフィルターを使い疑似カラーもトライしてみたいと思っています。

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2010年10月18日 (月)

250mmF2星像追い込み

101018
・Atik-383L+ -25度C,10分露出の10枚コンポジット,フラット補正(ダーク補正なし)
・Zuiko250mmF2開放,バーダーHαフィルター(7nm)
・MXⅡ赤道儀,FC-50+Atik-16ICでガイド
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昨夜は透明度は良くありませんでしたが晴れていたので
先日から行っているZuiko250mmの星像を追い込みました。

記事の内容とは直接関係ないのですが今回からフラット補正を行っています。
フラット補正の必要性は良くわかっていたのですが,いつも暗くなるころは
バタバタしていてスカイフラットを採るタイミングを逸していました。


本題に戻りますが,結論から言えば
星像への影響はスケアリングよりバックフォーカスのほうが大きかったです。
調整後の写真は8月の撮影と比較ができるようハート星雲を撮りました。

以前と比べ,周辺部のみならず中心部も格段にシャープです。
Ha限定ですが,とてもF2のカメラレンズとは思えない星像になりました。
(中央から右側はほぼ完璧ですが左側(特に左下)はもう少し調整の余地があります)

B10_10_181
このカメラレンズのピント合わせは上記写真のフォーカサーを使っています。
3カ所のスクリューをタイミングベルトで同時に回しバックフォーカスを調整
していますが,レンズ側のヘリコイドを粗調整,このフォーカサーを微調整
として使っています。

B10_10_182
フィルターの併用なのでバックフォーカスが変わりますが
以前はその分をヘリコイド側の調整で対処していました。
レンズ側は∞マークの半分ほどズレた状態で
後はフォーカサー側で調整していましたがこれが間違だったようです。

インナーフォーカスなのでレンズの∞位置は守る必要があることはわかっていましたが
これほど厳密でないと星像に大きく影響するとは思っていませんでした。


レンズの∞位置でピントが合うようにバックフォーカスを調整することで
ほとんど満足できる星像になりましたが念のためにスケアリングも確認しました。
スケアリングの調整はフォーカサーのベルトが掛かったプーリーと
スクリューの固定ネジを緩めると1つのスクリューを単独で回せます。
調整はフォーカスモードで4隅の星像を見ながら行うのですが
通常の押し引きネジ式とは違い1本のスクリューを回すだけなのでいたって簡単です。
写真は六角レンチで1つのスクリューを調整している様子で1回転で200μm動きます。

下の写真は中央から右下部の1/4(座標の第4象限)のピクセル等倍です。
10分露出1枚でコンポジットやダーク補正は行っていません。
左上が写野中央になります。
101018_1_2

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2010年10月16日 (土)

250mmF2とカメラのスケアリング

101016
・Atik-383L+ -25度C,10分露出の6枚コンポジット,ダーク,フラット補正なし
・Zuiko250mmF2開放,バーダーHαフィルター(7nm)
・MXⅡ赤道儀,FC-50+Atik-16ICでガイド
クリックで拡大表示

ロックナットの締め具合でスケアリングがズレることは先日のブログで紹介しましたが
そのことに気づかずフォカサー側でスケアリングを触っていたので
一端原点にかえり「調整0」で撮影してみました。勿論ロックナットは使っていません。

結果は全面でほぼ満足できる星像になったので
このシステムでは積極的にスケアリングをいじる必要はなさそうです。


F2のカメラレンズですのでHaでも星像は歪み,特に周辺部は顕著ですが
これはスケアリングの影響ではないようです。
ピントをずらしながら試写しましたがほとんどかわりませんでした。
またカメラを回転しても星像に変化はないので少なくともカメラのCCD面が傾いて
いるようなことはないようです。
(F2の深度とこのレンズの最小星像,及びピント合わせ時の移動量から推測して
50μm程度は許容できる(わからない)と思います)

厳しく言えば4隅の星像が均一でないので少しの調整余地はありそうです。
たぶんレンズ側に問題があるのでしょうがスケアリング調整で直るかは微妙ですね。
なにせF2の開放ですから。

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写真は昨夜撮影したのですが,24時頃のドーム内の気温は13度ほどでした。
寒かったのですがカメラは余裕で-25度まで冷えていました。
他にSH2-216と言うぎょしゃ座にある,丸く広がった淡い散光星雲を取りましたが
2時間でも全く歯が立ちませんでした。

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2010年10月11日 (月)

NEWアトラクスもバックラッシュレス駆動

B10_10_112
バックラッシュの少ないモーターについては以前ご紹介しましたが
NEWアトラクス赤道儀への適用も開始しました。

モーター組み込みスペースの制約でバックラッシュレスモーターの採用は
赤緯側のみですが,モーターのバックラッシュが影響するのは
常に逆転する赤緯側のみですので期待の効果が得られます。
赤経側はSHギヤ仕様のハイブリッドモーターを採用しています。

先日ご紹介しましたAGS用のASCOM対応ドライバーを使用すれば
TheSkyやステラナビゲーターを使っての自動導入も行えます。

B10_10_111
上記の写真は赤緯側でモーターも綺麗に収まっています。
赤緯側のコードレスは純正のままで,外観も全く変わりません。
(写真はオーバーホール後のモーター組み込み状態で
ウォーム周りのグリースを塗布する前です)

NEWアトラクスのバックラッシュレス化改造費用は以下のとおりです。
モーター交換とAGSシリーズコントローラー一式を含んだ価格です。
取り外したスカイセンサー2000及び
両軸のモーターはそのままの状態でご返却いたします。

AGS-1S仕様:128,000円(一体型コントローラー仕様)
AGS-1B仕様:143,000円(ハンドコントローラー分離型仕様)
・オーバーホール(必須ではありません)は別途23,000円となります。

なおEM-200やJシリーズ用は機械加工部品の製作の都合で発売が遅れていますが
今月中には正式に発売開始します。

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オリオン座中心部

101011
・Atik-383L+ -20度C,10分露出の4枚コンポジット,ダーク,フラット補正なし
・Zuiko250mm F2開放,バーダーHαフィルター(7nm)
・MXⅡ赤道儀,FC-50+Atik-16ICでガイド


昨夜は出張から帰宅したのが24時近かったのですが,良く晴れていたので
Zuiko250mmでオリオン座を撮影しました。
先日のスケアリング不良対策も済ませてなかったので片ボケになっています。

片ボケ,構図が窮屈,低高度での撮影,露出不足など
まだまだですが,Haでは初のオリオンなのでアップしておきます。

それにしてもM42の明るいところと淡いガスの輝度差にはお手上げです。
マスク処理?とかを駆使しないとムリなのでしょうね。

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2010年10月10日 (日)

ロックナットにご用心

B10_10_101

B10_10_102

フィルターホイールや冷却CCDなどを接眼部に接続する場合
ねじ込みに伴う回転角度のズレを調整するため
ロックナット方式を使うことがありますが,明るい光学系では用心が必要です。

写真は分かりづらいのですが,ダイヤルゲージの接した接続スリーブと
カメラ間の大きいリングがロックナットです。

撮影システムを一端分解すると元通りに組んでも周辺星像が大きく崩れ
スケアリングの再現性が無かったのですがこのロックナットが原因でした。

この方法は確実で平面精度も高いと思っていましたが,私の例では
締め付け時のロックナットの状態で最大150μmほど傾いてしまいます。
F値の大きいRC等では問題とならないかもしれませんが
明るいカメラレンズでは全く許容できない値です。

B10_10_103

写真左と右はロックナットを故意に左右に寄せて締めた状態です。
よく見るとロックナットのラジアル方向の位置や
スリーブとダイヤルゲージの接触点が僅かに違うのがわかると思います。
(左の写真が左側に寄っています)

原因は,ロックナットや接続スリーブのネジの噛み合いが浅いためで
ラジアル方向のガタが大きいほど(雄ネジ,雌ネジのねじ切り精度が低いほど)
またロックナットが薄いほどこの現象が顕著に出ます。
それぞれが「ゆるゆる」の場合は要注意です。

この方式で接続されていて,スケアリングのズレに悩まされている方は
一度点検されることをお勧めします。
ロックナットを少し緩めてラジアル方向に振ると傾くのが目でも確認できます。
ナットをロックしても傾いた状態のままで固定されてしまいます。

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2010年10月 9日 (土)

ハートレー彗星と二重星団

101009
・EOS40D,ISO400,1分露出の10枚コンポジット(JPEG画像)
・ZUIKO 250mmF2開放
・MXⅡ赤道儀自動追尾

先ほど自宅で撮影したハートレー彗星です。
今日は夕方まで雨が降っていましたが暗くなるころから急速に快復して
22時頃には雲間から何とか撮影出きる状態になりました。
透明度が高かったので自宅での撮影にしては良く写ってくれました。

RAWデータも同時記録する設定にしていたのに
なぜかJPEGだけしか記録されません。
途中で何度か設定し直しましたがダメでした。どうしたのでしょう?

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2010年10月 8日 (金)

TheSkyでAGSをコントロール

B10_10_08


AGS(E-ZEUS)はASCOM対応でないのでコントロールに使えるプラネタリウムソフトは
SuperStarⅣとYocに限定されていましたが
四国の天文愛好家,星見庵様ご自身での開発ソフト
「ASCOM Telescole Driver for E-ZEUS Ver. 1.01」を使用することで
ステラナビゲーター9等ASCOM対応ソフトからコントロールができるようになりました。
AGS(E-ZEUS)がステラナビゲーター等で制御できることは画期的です。


AGSシリーズで動作を確認したプラネタリウムソフトは以下の3つです。
(ステラナビゲーター9及びCielは同じ四国のコーチ様で確認されています)
● ステラナビゲーター9
● TheSky6
● Cartes du Ciel(フリーウエア,黒ひげ様が日本語化されています)


インストールするソフトウエアは以下のとおりです。(全てフリーウエア)
● ASCOM Telescole Driver for E-ZEUS Ver. 1.01
● NET Framework3.5 SP1
● ASCOM PlatForm 2008(5.0)
● TheSky ASCOM Telescope (TeleAPI) Plug-In....TheSkyを使う時のみ


インストールの方法等は星見翁様のHP「星見庵日記」で詳しく紹介されていますので
ご参照ください。
今回ASCOM対応ドライバーを開発いただいた星見翁様には深く感謝いたします。

なお,星見翁様はAGS-1Bでドライバーを開発されています。
動作環境はWindowsXPのみで,速度設定機能等が開発環境と同じ
AGS-1,1L,1S,10(2P),10(5P)は全ての機能が正常なことを確認しました。
AGS-1Xは速度設定機能が開発環境と異なるため一部制約あります。
詳細は現在確認作業中です。

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