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2010年11月

2010年11月29日 (月)

初めてのA.O.O合成

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・Atik-383L+ -20゜C,Ha:600S×9枚,OⅢ:600S×6枚,ダーク,フラット補正なし
・タカハシTOA-150+TOAレデューサー,バーダーHa(7nm),OⅢ(8.5nm)フィルター
・MXⅡ赤道儀,Atik-16ICでオフアキシスガイド
(OⅢ写野上部にかぶりがあったのでトリミングしています)


月も小さくなってきたので,A.O.O合成の練習を行うため
HaとOⅢフィターを使ってM42を撮影しました。
OⅢもHaと同じだけ撮影する予定でしたが途中で月が昇ってきたので6枚になりました。
月明かりの影響を強く受けるOⅢを先に撮るべきでした。
また,M42は中心部と周囲の輝度差が大きすぎて処理が難しく
練習で狙う対象ではなかったようです。

今回撮影に使った鏡筒の色収差はあまり大きくないのですが
それでもHaとOⅢではピント位置が100μm以上も異なります。
ピントは遠隔で再調整できるので特に問題ではありませんが
どういう訳か,OⅢの方のが僅かに小さく(写野が狭く)写っていて
両端では微妙に星像がずれてしまいます。
同じ厚みのフィルターを使っているので
焦点位置の違い=焦点距離の違いになるのでしょうが
星像のズレはそのレベルよりずっと大きいようです。

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2010年11月27日 (土)

MS-5自動導入改造再開します

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PENTAXのMS-5は写真のようにウォーム軸内にモーターの軸が貫通する構造なので
高速で自動導入するために換装するモーターは大きな制約を受けていました。
一般的な構造なら軸径が違っても使用する伝達ギヤの軸径で対応できますが
この構造では同じ軸径のモーターでないとそのままでは換装できません。

この軸径は6mmなのですが,今までオリエンタルモーターの2相モーターには
6mmが無かったのです。
そのため従来はウォーム軸に6mmのシャフトを通した上で
異径のカップリングでモーター軸と接続する複雑な方法を採用していました。
この方法は構造や調整が複雑で高価になるうえ
軸方向に長くなってしまう欠点がありましたが
現在特注しているTH型モーターの軸径は6mmなのでそのままで使えます。
MS-5換装用として救世主と言えるほどのモーターです。

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早速試作しましたが,構造や調整が簡単で
その上ハウジングからの出っ張りも殆どなくなりました。
TH型はMS-55i等に使わているSH型の約2倍の許容トルクがありますので
トルク面でも心配ありません。写真奥の従来方法に比べシンプルな構造です。

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組み込んだ状態です。
ハウジングカバーの切り欠きは必要ですがモーターが出っ張る事はないので
平らな蓋で対応できます。

このモーターを使うことで,従来に比べ格段に簡単な改造になりましたので
休止しておりましたMS-5の自動導入改造を再開します。

このMS-5用AGS-1B(Z)BLDはパーツ一式でも販売いたします。
カバーの切り欠きが必要ですがさほど難しい作業ではありませんので
腕に覚えのある方はチャレンジされてみては如何ですか?
金具や切り欠き後のカバーも含めたフルセットです。

価格は,
・16分割マイクロステップのAGS-1Bとの組み合わせで,158,000円
・超マイクロステップのAGS-1Zとの組み合わせで,183,000円

組み込み(ハウジング切り込み作業含む)は別途20,000円でお請けします。
また同時にオーバーホールを行う場合は64,000円加算となります。

2011,2月から正式に受注開始いたします。

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2010年11月25日 (木)

月夜のオリオン大星雲 その2

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・Atik-383L+ -20度C,10分露出の6枚コンポジット,ダーク,フラット補正なし
・タカハシTOA-150+TOAレデューサー,バーダーHαフィルター(7nm)
・MXⅡ赤道儀,Atik-16ICでオフアキシスガイド

昨夜はふたごの足元に大きな月がありましたが,まずまずの天気だったので
先日行った赤道儀移動に伴う極軸設定の追い込みを行いました。

極軸望遠鏡で調整したあとにドリフト法で追い込むのですが
オートガイドのキャリブレーション終了後にガイドケーブルを抜けば
グラフ上でのガイド星のずれる方向と傾きで短時間で調整できます。

極軸の調整は早い時間にすんだので
やっと準備の整ったA,O,OやS,A,O撮影のテストも行いました。
強烈な月明かりと薄い雲ごしでしたが,それでもHaとSⅡは何とか写ります。
さすがにOⅢはムリだったのでA,O,OやS,A,O合成はおあずけです。

それから空が明るいとCCD保護ガラスのゴミが目立ちますね~
月が小さくなるのが待ち遠しいです。
写真はアンシャープマスクをかけすぎたため荒れてしまいました。

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それから極軸追い込み中,暇だったのでドームから北西方向の写真を撮ってみました。
ちょうど福岡空港の方角で離着陸する飛行機の光跡が写っています。
自宅は少し高台なので,その先のベイサイドプレイス博多の塔も見えるので
ファインダーの調整や冷却CCD等の無限遠調整に便利です。
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2010年11月24日 (水)

互換仕様の赤道儀駆動モーターユニット

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EM-200用で先行発売中のバックラッシュレスドライブシステム※は
今後タカハシのJシリーズやビクセンGP用などを順次発売予定です。

※バックラッシュがほとんどない減速ギヤ付きハイブリッド型ステッピングモーター を使った赤道儀駆動用モーターユニット:BLDと略

これらは同一モーターを使用した上で,赤道儀毎の総合ギヤ比を統一しているため
自動導入コントローラーやパソコンからみればみな同じ赤道儀として扱えます。

たとえばEM-200とNJPに互換仕様のBLDを装着していれば
互換対応のコントローラーならばいずれの赤道儀でも駆動できます。
もちろん回転方向や自動導入に使うパソコンの設定も一切変更する必要ありません。
さらにオートガイドの修正速度も全て同じなので赤道儀が変わっても
それらの設定はそのまま使えます。

互換仕様のBLDは以下の機種用を順次発売予定です。
・EM-200用         発売中
・タカハシJシリーズ用   12月発売開始予定
・ビクセンGP/SP用     2011年1月発売開始予定
・ビクセンSX,SXD用     2011年2月発売開始予定

これらのBLDはAGS-1S,AGS-1B,AGS-1Zいずれのコントローラーでも駆動できます。
観測目的に合わせてコントローラーをお選びいただけます。
また,旧機種からのアップグレードも準備中です。近日中に別途ご案内いたします。


価格の一例として
・EM-200用としてAGS-1SとBLDの組み合わせは148,000円
・Jシリーズ用として超マイクロステップのAGS-1Zの組み合わせで198,000円です。
(申し訳ありませんがBLD単体での販売は行っておりません)


なおビクセンのNEWアトラクスは赤緯側はバックラッシュレスのモーターを
使用しますが,極軸側はスペースの関係で従来のSH型ギヤモーターになります。
ギヤ比の関係でBLD互換対応ではありません。

さらに受注を休止しておりますMS-5用もバックラッシュレス駆動で来年早々に
再開予定です。(BLD互換ではありません)

写真右はEM-200用,左奥がJシリーズ用,左手前がGP用(試作品)の
各BLDユニットです。
EM-200用は極軸望遠鏡の視野確保のために赤緯モーターを嵩上げした上で
赤道儀を加工せずに組み込めるようモーターを微妙にチルトしています。

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お詫びですが,EM-200用BLDのご注文及び,Jシリーズ用のご予約が集中しており
いずれも現時点でのご注文の場合,納期は2011年2月となっております。

また既にご注文いただいている分につきましては,受注集中で製作が遅れ気味
ですがご注文順に納品いたしておりますので今暫くお時間いただけると幸いです。
また上記商品発売に伴うHPの更新が遅れておりますが近日中にアップ予定です。

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2010年11月22日 (月)

3タイプの60mm鏡筒バンド

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ボーグ45ED,50(ED),60(ED用)の60mm鏡筒バンドは人気商品ですが
このたびC型バンドを発売開始します。写真左の商品です。

これらの鏡筒はガイド鏡としてご使用されるケースも多く
その場合はトッププレートは必ずしも必要ないので
よりスマートな?C型バンドを開発しました。
価格は通常タイプと同じ13,000円(2個セット,1個でも販売可)です。
上下分割タイプでないのでバンドを鏡筒に差し込んで使います。


また限定になりますが通常のTB-60より板厚が2mm薄いバンドも販売中です。
通常商品は板厚が12mmですので各種プレートにつけた場合,面が合いますが
このバンドは1mmだけ合いません。
写真中央の商品で,板厚が右の通常品に比べ薄いのがわかると思います。

他は全く同じ形状です。価格は上下セット×2個で9,000円になります。
この商品も1個でもお求めいただけますが在庫は僅かですので完売時は
ご了承ください。

微々たるものですが,薄い分軽いので軽量化を極める?には良いかも知れませんね。

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2010年11月21日 (日)

オリオンシフト

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今までに何度かご紹介していますが自宅のドームは
ドームの半分が開口するタイプで構造上のメリットとデメリットがあります。
主に撮影用に使っている私にとって最大のメリットは
一定の方角ならドームを回転せずに長時間の連続撮影撮影ができる点です。

「一定の方角なら」と条件がつきますが
これは運用を少し工夫すればかなり解決することができ
夏に赤道儀の設置位置を北に移動した事は以前ご紹介しました。

思いっきり北に設置していたので,天頂のやや南から
極付近までの対象なら長時間露出ができましたが
オリオン付近を長焦点で狙う場合,カメラがドームの北側の壁に干渉します。

そこで今度は赤道儀を東側に寄せました。
これでオリオン付近も長時間の撮影ができるようになりました。
西の空は撮れませんが,西は市内の方向で明いため最初からあきらめています。

南よりに据えればオリオンにはさらに条件が良くなりますが
まだぎょしゃ座付近も撮りたいので今回は東に据えました。

この作業は少し手間がかかりますが
ドーム回転がなくても長時間撮影ができることは大きなメリットです。
だったらスライディングルーフが良いのでは?と言われそうですが
スライディングルーフは夜露や風の影響をもろに受けます。
特にこの時期の夜露はひどく,先日のしし群の時も
スライディングルーフの観測所内部はびしょびしょでしたが
このドームは大きく開くわりにはほとんど夜露の影響を受けません。

赤道儀が移動する範囲?の床板は取り外しができるようにしています。
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2010年11月19日 (金)

月夜のオリオン大星雲

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・Starlight XpressSXV-M25C,10分露出の6枚コンポジット,ダーク,フラット補正なし
・MAMIYA L500mmF6開放
・MS-5赤道儀,FC-50+Meade DSI Proでガイド(昨日アップした写真の構成です)
 
一昨日のしし座流星群は明け方,月が沈んでからの勝負?でしたので
それまでの待ち時間に色々な機材のテスト撮影を行いました。

オリオン座からそう離れていない空で月齢11過ぎの大きな月が輝いていましたが
透明度が良かったので結構良く写ってくれました。
他にバラ星雲なども撮影しましたがカラーの画像処理は良くわかりません。
このM42も以前撮った20分1枚ものよりノイズが多く色も濁ってしまいました。
大きな月の影響ですよね,きっと(笑)
また,カメラ回転の調整を怠り,写野が赤経と赤緯に対し傾いていました。

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2010年11月18日 (木)

今年のしし座流星群

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昨日は(正確には今日の早朝ですが)しし座流星群の極大日だったので
久しぶりに観測所に出かけました。
写真のように昼間から澄んだ秋空が広がり絶好の天気でした。

今年のしし群は月の巡りが悪く,3時前まで半月過ぎの大きな月がありましたが
それでも透明度が良かったためか冬の銀河が明るく見えていて
月が沈んだ4時頃は星明かりを実感できるほどの素晴らしい星空になりました。


しばらく前のことになりますが,あの大出現で世間をあっと言わせた2001年のしし群。
あのときは九州で一番空が暗くて視野が広い,晴れそうな観測地を探しました。
結果は素晴らしく暗い空のもと,あの感動的な流星雨を朝まで堪能できたのですが
実は今の観測所のすぐ近くだったのです。

あのとき世紀の流星ショーを体験した記念すべき場所の近くに
将来,私設の観測所を持つことになるとは夢にも思っていませんでした。


で肝心の今年のしし群。 残念ながら全くダメでした。
予報の段階でわかっていたつもりでしたが一度見た光景は脳裏に焼き付いていて
空の好条件もあり,つい期待してしまいました。
あのような光景は二度と見られないかもしれませんが
心のどこかでは期待してしまうものですね。
それでもまあ,流星は流れなかったけど
2001年の時と同じような素晴らしい星空が見られたので満足しました。


写真は観測所から東の方向です。
流星雨から10年,観測所建設着工から5年。
建設にあたって整地の際伐採されたクヌギが
もう5mほどの背丈になり視野の邪魔になるほどまで伸びてきました。

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2010年11月14日 (日)

ナローバンド撮影とフィルター枚数

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初めてモノクロの冷却CCDカメラを買ったとき,フィルターはL,R,G,Bの4枚に
Hαをプラスした5枚で十分と思っていました。
ところが,自宅で撮れるHα撮影がメインになるとOⅢやSⅡフィルターを使った
AOOやSAO合成の疑似カラーも撮りたくなります。

そうなるとL,R,G,BにHα,OⅢ,SⅡを加えた7枚が必要になり
最初に購入した5枚装填できるフィルターホイールでは足りません。

L,R,G,Bはあまり使わないから入れ替えれば良いのですが
私が使っているIDASのゴーストレスフィルターは枠なしタイプです。
枠がないのでそのままでは持つこともできず手袋やピンセットも必要ですし
G,とBは2枚構成で2枚のフィルター間には間隙があるので
装填中に間にゴミが入ってしまえばまた分解しないととれません。
一度装填するととても外す気になれないほど大変な作業です。

と言うことで,L,R,G,Bカラーだけでなく,AOOやSAO撮影もと欲張るなら
最初から7枚装填タイプのフィルターホイールを選択した方が賢明のようです。

私は少し贅沢になりましたが,自宅のナローバンド専用フィルターホイールと
観測所のL,R,G,B撮影専用のフィルターホイールを固定して使う事にしました。

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先日,頒布のご案内しておりました,EFレンズ用マウントアダプターは
2mm厚のナローバンドフィルターも使えるよう試作からさらに1mm薄くしています。
カメラレンズの場合,L,R,G,Bカラーよりナローの方が楽しめそうですから。
実際にピントが合うかは入荷後の確認となりますが
光路長0の接続リングも準備していますのでたぶん大丈夫と思います。
例によって?遅れていますが今月中には完成予定です。

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2010年11月12日 (金)

黄砂

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昨夜は強い風と雷の荒れた天気でしたが,そのあとにはひどい黄砂がやってきました。

霧がかかっているかのようで太陽を直視してもまぶしくないほどです。
とても撮影はでききそうにありませんが,一面均一な乳白色なので
フラット撮影には最適な空かも?(笑)

写真はドームから見た南西の空で福岡タワーの方角です。

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2010年11月 6日 (土)

IC-405(一部拡大)

このところ良いお天気が続いていますが仕事が忙しくてなかなか撮影できません。
昨夜も朝まで晴れそうな良い天気でしたが出張帰りで疲れていたので
21時頃から3時間ほどリモートで撮影しました。

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・Atik-383L+ -20度C,20分露出の6枚コンポジット,ダーク,フラット未補正
・TAKAHASHI TOA-150+レデューサー(F5.6),バーダーHαフィルター(7nm)
・MXⅡ赤道儀,Atik-16ICでオフアキシスガイド
 クリックで拡大表示

短時間露出で構図は確認していましたが,できた写真は大きく外していたので
トリミングしています。IC-405付近は構図決めが難しい領域みたいです。

またこの鏡筒は気温によるピント位置の移動が大きいのですが
昨夜は外気温に馴染んでいなかったうえ
気温の変化が大きい時間帯の撮影だったのでピントが甘くなってしまいました。

IC-405は勾玉星雲と呼ばれますが一部の拡大なので名前から想像できない
写真になっています。
以下は先日,Zuiko250mmF2で撮影した勾玉星雲(IC-405)とIC-410です。

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この写真も構図が悪かったのでトリミングしています。
これだと勾玉に見えますね。

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2010年11月 3日 (水)

PROMINAR500mmF5.6L実視テスト

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昨夜は雲が多かったのですがPROMINAR500mmF5.6Lで実際の恒星を見てみました。

先日ご紹介した光学性能は簡易的なコリメーターテストの結果ですが
このコリメーターは高性能な光学系を評価できる能力はないので
実際の恒星でテストしました。使用したアイピースはOr5mmなので倍率は100倍です。
比較用にはFC50+Or4mm(こちらも100倍)を使っています。

結果は焦点位置をわずかに外すと中央の明るい点が中心からずれる傾向があります。
程度は私が過去にテストした望遠レンズよりずっと少ないのですが
比較したFC50と比べるとかなり劣ります。
もっともFC50は光軸調整ができるので恒星で完全に追い込んでおり
最近のユーザーでは光軸調整のできない機種より良好な状態です。

この症状はピントが合った位置ではほとんどわからないので
写真への影響は極小さいと思いますが明るい星はわずかに変形して写るようです。

色収差に関してはFC-50より少ないようで全く感じません。

雲が多くて短時間の撮影しかできませんでしたが一応写真をアップします。
Atik383Lで300秒露出のL画像(ホットピクセル除去のみ)です。
撮影中も薄雲が通過したようです。

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雲が多くてピント合わせに苦慮したうえ(結局合っていませんが)
内径の小さい自作マウントアダプターでカメラと接続している影響か
周辺減光も目立ちますが星像の傾向はわかると思います。
明るい星はわずかに変形していますが,カメラレンズとしては
素晴らしい星像のようです。
色収差がほとんどないのでLRGB撮影の際のピント移動は小さいようです。

未発売のF4用マウントアダプターが入荷したらまたじっくりとテストしてみます。

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