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2011年1月

2011年1月30日 (日)

PROMINARその後

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PROMINAR500mmF5.6Lが手元に届いてから3ヶ月になりますが
12月中旬以降は悪天候でなかなか撮影ができず
撮影できるように晴れたのは2~3夜しかなかったようです。

そのような中,満足できる空ではなかったのですが何とか星が見えていたので
先日ご紹介しましたペンシルボーグを使った超小型ガイドのテストを行いました。

今回の組み合わせでは,ガイド鏡の焦点距離は撮影側のちょうど半分なので
焦点距離より,2.5cmの口径でどの程度実用になるかがテストの目的でした。

テスト結果は予想どおり,なんの問題もありませんでした。
ガイド星は選ぶのに悩む程いっぱい写ります。
F7と暗いのですが焦点距離が短い分広視野になっているからですね。

結果は以下の写真です。
雲越しの撮影ですがガイドの結果よりPROMINARの高性能ぶりが目立つようです。

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クリックで2010×3026ピクセルに拡大表示
・Starlight XpressSXV-M25C,5分露出1枚,ステライメージ6でベイヤーRGB変換のみ
 でフラット補正など他の処理は行っていません
・PROMINAR500mmF5.6L,F4マウントアダプター使用
・五藤光学MXⅡ赤道儀,Starlight Xpress Lodestarでガイド,自宅撮影

シャープで色収差が少なくAPS-Cサイズですが周辺部まで十分な光量です。


このPROMINAR,最初の写真で並べたFSQ-85EDと光学的スペックは殆ど同じです。
PROMINARはカメラレンズとしては第一級の性能で
厳しく星像を比較しない限り,天体望遠鏡のFSQ-85EDと遜色ないようです。
(PROMINARは明るい星がごく僅かにいびつになりますが
色収差に関してはPROMINARが少ないかも知れません)

サイズもかなり小さいのですが,重さはFSQ-85EDの半分ほどなので
海外遠征時などでは大きなメリットになるでしょう。写真の状態で
(ガイド鏡,オートガイダー,鏡筒バンド,アリガタ全て含んで)約2.6kg。

既に2kgの軽量三脚は準備したので,あとは3kg程度の自動導入赤道儀が
欲しいところです。そうすればカメラ込みで10kgのシステムを組めそうです。
ガイドテストの記事が,PROMINAR性能に,さらには海外遠征機材にまで
飛躍してしまいました。


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2011年1月28日 (金)

FSQ-85ED用フォーカサー頒布開始

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ご要望の多かったFSQ-85ED用フォーカサーの頒布を開始します。
基本仕様はFSQ-106ED用と全く同じです。(FSQ-106EDとの共用もできます)

FSQ-106EDや85EDは特に精度の高いドローチューブが採用されていますが
それをバックラッシュの小さいステッピングモーター+タイミングベルトで
駆動することで高い精度と操作性を実現しています。

既に頒布中のFSQ-106ED用をご使用のお客様から
バックラッシュが極めて小さいことや,カメラの重みでのドローチューブ
移動が皆無なことなど,高い評価をいただいております。
また,光路長に影響を与えないためアクセサリの使用に制限が少ないことも
要因の1つです。

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FSQ-85EDではモーター位置を鏡筒の真下にすると
モーターがアリガタと干渉することや床に置いた時の安定が悪くなるので
写真のように鏡筒を回転させて固定されることをご推奨いたします。
モーターの重さでファインダー分を程良くキャンセルするので
赤緯側のバランスもよくなります。
(ファインダーは左目で見るようになりますが撮影においては
アライメント時にしか使わないので特に支障にはならないと思います)


頒布は2月から開始します。
頒布価格は以下のとおりで,FSQ-106ED用と併せて8台ほど即納できます。
(次期ロットは3月を予定)

・フォーカスコントローラーとモーターユニットのセット:53,000円
・モーターユニットのみ:38,000円

パソコンから操作するフォーカスソフトは付属しますが
ASCOM対応版のβ-SGRでも制御可能です。


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2011年1月27日 (木)

カメラレンズ用の超小型ガイド鏡

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私はカメラレンズでの撮影が好きですが,一般的にはカメラレンズは
鏡筒バンドで固定できないので,屈折望遠鏡のように鏡筒バンドの上面を使った
親子ガメ式でのガイド撮影ができません。
(写真は特例?でカメラレンズをバンドで固定し親子ガメ状態ですが)

そうなるとカメラレンズは,プレートを使ってガイド鏡と並列に並べる
しかありませんが,そうすると子午線越え時にプレートが
赤道儀などに干渉するケースが増えてしまいます。

そこで思いついたのがアリガタプレート先端の裏面(カメラレンズの下側)
に超小型のガイド鏡をつけることです。

ガイドテストなので取付位置は違いますが
ペンシルボーグ(2.5cm:Fl175mm)と小型のオートガイダーを組んでみました。
結果が良ければさらに小型の2.5cmFl125mmのファインダーでも試してみます。


カメラレンズの場合,焦点距離は長くとも500mm程度です。
一般的にガイド鏡の焦点距離は,撮影側の半分程度で十分と言われているようですが
私の経験ではもっと短くても問題ないと思っています。

と言うのは先日ブログで紹介しましたが,観測所の40cmF12のファーストライト時に
4,800mmの焦点距離を400mmでガイドしてみましたが目立ったガイドミスは
なかったからです。
(光軸調整中であったこと,ピントの追い込み不足やシーイングの影響などで
星像は肥大しているため上記が完璧なガイド状態かどうかの判断はつきませんが)

10分の1は極端な例ですが,500mmのカメラレンズなら4分の1の125mmでも
全く問題なくガイドできそうな気がします。

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2011年1月24日 (月)

小口径用フォーカサー頒布開始

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リモートフォーカサーは既にFSQ-106ED用を5万円強で頒布していますが
ご使用いただいたお客様から
「ピントの精度が格段に上がった」や「リモート操作で撮影が楽になった」
などお褒めの言葉をいただいております。
これは,安価で優秀なコントローラーを供給してくださる
野村幸弘様のお力によるものですが
このたび,同氏のご協力で今後多くの機種に展開できる目処が立ちました。


そこで第2段は小口径用の(タカハシ製限定)廉価版フォーカサーを頒布します。

FSQ-106EDのように一式で50万円ほどの鏡筒場合
その1/10程度のフォーカサーでも割高感は少ないと思いますが
6cmクラス用としてはフォーカサーのウエイトが重すぎるようです。

FSQ用が高価なのはフォーカサーとして完璧な性能を追求し
バックラッシュのほとんどない高価なモーターを採用した結果ですが
このモーターを安価なPM型にすればセットでも半額ほどで頒布できます。

PM型の場合,FSQ用に比べバックラッシュの量は20倍ほども大きくなりますが
パソコン上で操作する場合はその量を補正できるので慣れれば特に問題ありません。
もちろんFocusMax等を使えばV字カーブからオートフォーカスも行えます。
さらにダイイチ株式会社様のASCOM対応版β-SGRでも制御できそうです。


実機でテストした機種は,FC-50,60,65やFS-60等です。
確認は取れていませんが,Sky90や同等の接眼部を採用している鏡筒であれば
問題なく装着できると思われます。

基本仕様ですが,10ステップで約20μm駆動します。
F4程度でしたら10ステップ毎の駆動で充分なピントの追い込みができます。
バックラッシュは約100μmですので1操作当たり10ステップで駆動する場合
5操作でバックラッシュ相当です。
コントローラーでの操作ステップは,1,5,10,50,100を選択できます。
(パソコンからの操作時は任意に設定可)

価格は以下のとおりです。
・コントローラーとモーターユニットのセット:28,000円
・モーターユニットのみ:14,000円

頒布開始は2月上旬からでモーターユニット部は20セット限定です。

なおコントローラーは他機種と共用なので,セット頒布の場合は
モーターユニット頒布完了前でも一時的に納期が長くなる場合があります。


廉価ですがコントローラーとモーターユニットは共通のコネクター仕様なので
1台のコントローラーで複数のモーターユニットを駆動できます。

なお,一連のフォーカサーはあくまでも頒布品ですので
自作用キットとお考えください。
鏡筒への加工はありませんが,取付には若干の要領が必要となります。
通常ご使用になられるのに必要な情報はメールでご提供しますが
完全なサポートはできませんので,あらかじめご了承ください。


今後の予定ですが,第3段としてFC-100,TSA-102,TOA-130F等に
使われている接眼部用フォーカサーを準備中です。
FSQ-106ED用と同じモーターを使用したモデルを来月にはご案内いたします。

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2011年1月23日 (日)

小型赤道儀のオートガイド対応

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タカハシのP-2赤道儀は眼視観測やオートガイド撮影を行うための2軸電動駆動化を
既にご案内していますが(申し訳ありませんが諸般の事情で開発が遅れています)
先日ご紹介した,三脚の高度調整でオートガイドする記事をご覧になったお客様から
「紹介のアイデアのように,2軸オートガイド撮影さえできればいいので
安価なシステムは作れないか」とのご要望を多くいただきました。

2軸化改造に当たっての一番のネックは
小型赤道儀の赤緯側はモーターを簡単につけられる構造でないこと
スプリングを使った部分微動方式なので微動軸がスラスト方向へ移動することなどで
それらに対応するモーター固定用の専用ステーや
幅広い軸の移動に対応する機構は複雑になるため高価です。

そこで今回はガイド撮影専用で,できるだけ価格を抑えた設計とするため
・アリミゾを使ってモーターを固定し専用のステーは使わない
・ガイド撮影に限定すれば赤緯の微動範囲は極わずかでよいため
 伸縮するベローズタイプのカップリングを採用し2~3mmの移動に対応させる
 予定です。

専用のアリミゾが必要になりますが,アリミゾはスケールメリットがあるので
モーター取付ステーより安価になります。
アリミゾは本来目的+モーター取付ステーを兼ねることになります。

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現在,写真のPENTAX65用赤道儀で実証試験中ですが
300~400mmの直焦撮影でも全く問題ありません。
自動導入はできないので最初の写真のようにカメラレンズ+スタンドアローンの
オートガイダーの組み合わせがベストでしょう。

2軸の駆動回路はAMD-1のように極軸側モーターハウジングに内蔵します。
価格を抑えたオートガイド専用なので,手動での増減速には対応していませんが
一式で36,000円程度(専用アリミゾDS65Mは別途13,000円)での商品化を
予定しております。タカハシP-2用とPENTAX65用の2タイプを計画しています。

なお写真のレボルビング装置は製品としての最終評価モデルを製作中で
4月の発売予定です。


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2011年1月14日 (金)

今年も楽しいアイデアを

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ご挨拶が遅くなりましたが
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さっそくですが
新年最初の記事は,ちょっとした機材テストの話です。


写真のFS60Cを使った直焦点撮影システムは,オフアキガイド,フィルターホール
簡易フォカサーを付け,あるテストを行うために組んだものです。
以下がこれで撮影した写真ですが,30分露出×3枚画像です。
見ていただきたいのは中心星像です。クリックで拡大表示します。
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テスト撮影の目的は過去にこのブログで紹介した,極軸高度調整による
2軸ガイドの実証です。敢えて小型のタカハシのH-40型赤道儀でテストしました。
赤緯の微動はありませんし,極軸は北極星を中心入れる程度に合わせただけです。
(写野の狭いCCDをオフアキで撮影しているので極軸のズレはあまり影響しません)

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直焦点のため周辺部は星像が伸びているのでほぼ1/2にトリミングしています。
1カットの露出時間を長くしたのはこのシステムがアイデアだけでなく
立派に役に立つ事を証明したかったからです。
以下はガイド中のグラフです。通常の2軸駆動赤道儀と遜色なくガイドしています。
(アームが極端に長いタンジェントスクリューと同じ構造なので
赤緯側のガイド修正周波数が高くなり
モーターギヤのバックラッシュは見かけ上非常に小さくなります)

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赤道儀,三脚,バランスウエイト(1.4kg)を含めて約6kgのシステムでも
立派に400mm近い直焦撮影ができました。
それも原理的に不利な南中の3時間ほど前の天体を撮影したのです。

今回は極端な例ですが,ポータブル赤道儀にスタンドアローンのガイダーをつけて
カメラレンズでの長時間ガイド撮影に使うのがベストでしょう。

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ところで
お正月のテレビでフランスのテオヤンセンと言う芸術家が作った
黄色いパイプで作った巨大な怪獣?が風の力で歩くのを見て感銘を受けました。
誰も思いつきもしないようなアイデア,それも必要性に疑問を感じるものを
大まじめに形にするところにすっかり惹かれました。

その時から,前述の実証結果を今年最初のブログ記事にと決めていたのですが
ずっと天気が悪くてなかなかテストできず,ご挨拶が遅れてしまいました。

今年もまた,頭をやわらかくしてアイディアを生み出し
さまざまな機材の開発にトライしていきます。
なかには実用性に乏しいものもあるかもしれませんが,それはそれで
楽しむことに意義があるってものですよね。


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