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2011年9月

2011年9月29日 (木)

MC500赤道儀のご紹介

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今月は先月のMC300赤道儀に続き,MC500を輸入しています。
先にこのブログや胎内星祭りでご紹介したMC500は1つ前のロットでしたが
今回からはMC300と同じカラーリングになります。
ウォームホイールの材質やピラーの形状もMC300と同じものに変えています。

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MC300と並べて撮るとその大きさが際だちます。
MC300のピラーの太さは160φですがMC500は200φです。(赤道儀搭載面は260φ)
これもピラー一式がメインシャフト内に収納できるので
重たいのですがハンドルがついているので短時間なら片手で持てます。

MC500を移動で使われる方は少ないと思うので安価な据付け用ピラーも準備します。
逆に国産大型機種の移動用ピラーとして単体発売も検討しております。

MC500の鏡筒取付部は直径が212φありますが
そこにつけるプレートはオプションとなり,お客様の仕様に合った穴加工を行います。

据付でのご使用を想定しているので極軸望遠鏡はオプションです。
(極軸望遠鏡をつける場合はキャップの形状が変わります)
またウエイトは約7kgが2個付属しますが必要に応じて追加できます。

価格は赤道儀本体が920,000円,写真のピラーが175,000円です。
(2012.1月から価格改定予定)

据付用ピラーは高さ等オーダーメイドになりますが上記より安価です。
重さは赤経体31kg,赤緯体23kg,ピラー22kg,ウエイト7kg(1個当たり)


MC300,500のウォームホイールはアルミニウム青銅製ですが
「アルミ」と名がつくと柔らかいイメージかと思います。
ホイール材として国産で一般的な砲金は,鋳物で作るのに適した材料ですが
丸棒から削り出す場合はアルミニウム青銅の方が適した材質です。
砲金や真鍮と同じ様に銅合金ですが,固くて粘りがなく切削加工性が良い材料です。

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上の写真で真鍮のように見えるのが,MC300,500用のアルミニウム青銅製ホイールで
左手前はJシリーズ用亜鉛合金製ホイールです。いずれも赤緯軸用です。

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2011年9月28日 (水)

オートガイドテスト

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お客様からオートガイドシステムのご相談を受けることがありますが
最近は,ファインダー程度の鏡筒+高感度カメラをお勧めしています。
スタンドアローンのガイダーと違いパソコンが必要になりますが
ガイド星の導入操作から解放されるので撮影効率が飛躍的に上がります。
また,ガイド鏡が小さいのでたわみによるガイドミスも軽減できます。

一昨日は晴れてはいましたが雲が多く作品?の撮影はできそうもなかったので
ガイド鏡の焦点距離により追尾に差が出るかテストしてみました。

比較したガイド鏡は,写真左のペンシルボーグと
右のボーグ5cmED(Fl500mm)で,カメラはstarlight-xpressのLodestarです。
撮影鏡筒はFCT-76+レデューサーなので焦点距離は約340mmです。

結果は予想通り,比較しても全く解らないほどでしたので
ペンシルボーグの方のみを紹介します。
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ペンシルボーグの焦点距離は170mmなので撮影側の丁度半分です。
全く問題なくガイドしていますのでペンシルボーグを使ったガイドでも
500mm程度までなら大丈夫でしょう。
この程度ですとシーイングが悪くてもガイドグラフはほぼ一直線になります。

写真はFCT-76のL画像で,300S×5枚コンポジットしています。
ガイド状況が解るよう写野中央部をピクセル等倍でアップしました。
何コマかは雲が通過しましたがあまり影響はないようです。

FCT-76は20年ほど前のものですが非常にシャープなので気に入っています。
古い眼視用の鏡筒ですが最新鋭の写真用鏡筒に匹敵する性能のようです。
 

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2011年9月23日 (金)

視野照明装置のスイッチロック

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ファインダーや極軸望遠鏡の視野照明装置は
スイッチと明るさ調整のボリュームが一体なので使いやすいのですが
ツマミにちょっと触れただけでスイッチが入ってしまうことがあります。
いざ使う時には電池が切れていてガッカリしますよね。

そこでボリュームの回転をロックするネジを取り付けました。
ツマミにつけたローレットネジの先端が本体の穴*に入る構造なので
加工はツマミにタップをたてるだけですがその位置が微妙です。

*ボリューム本体の回転防止するために最初から開けてある穴  ↓これ
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一般的なドリルではキリが逃げるので難しい加工になりますが
本体の穴位置に合わせなくともネジで面を抑えればロックできるので
無理をしてまで上の写真のような位置にタップ加工する必要はないようです。

なお今回の加工はタカハシ製の照明装置です。
他社製で同様の改造ができるかは不明です。

また,加工はお請けできませんが,今回使ったローレットネジがご入用な方は
メールでご連絡いただければお分けします。
管理の都合上,9月28日までとさせていただきますのでよろしくお願いします。

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2011年9月17日 (土)

GP赤道儀用MTS-3自動導入システム

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既にHPで紹介しておりますが,ドイツ製自動導入コントローラー(MTS-3)を使った
小型赤道儀の自動導入改造を準備しています。

MTS-3は過去に何回かご紹介していますが
LX-200コマンドなのでTheSkyやステラナビゲーターが使えることや
コンパクトで消費電流が小さいことが大きな特徴です。
また赤緯のバックラッシュ補正など便利な機能も有しています。

今回紹介するのはビクセンGP/GP-D用ですが,モータースペースの制約が少ないので
MTS-3のメリットを最大に生かせるHB型ステッピングモータが採用できます。

高いトルクを発揮するので,600倍速で自動導入ができますが
恒星時駆動時の消費電流は0.25A程度です。(いずれもDC12V駆動時)
また,恒星時駆動周波数は約107PPSで非常に滑らかな駆動です。


オリジナルのMTS-3はガイドケーブルやパソコンとの接続部が特殊ですが
今回採用するMTS-3は,それらをモーターケーブルなどと
一本のコネクターで接続できるよう改造した特殊仕様品です。

アルミ削りだしのモーター取付金具や工業用コネクターの採用など
品質にもこだわりました。(赤緯のギヤカバーは樹脂製です)

GP赤道儀用MTS-3自動導入システム一式の価格は108,000円ですが
9月30日までにご予約分は98,000円の特別価格でご提供いたします。
輸入手続きの関係上,納期は10月末を予定しています。

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ご予約集中につきMTS-3の10月輸入分の残数が少なくなっております。
9月末までは特別価格でのご予約を継続しておりますが
締め切り間近のご予約分につきましては,11月の納期となることも
ございますのでご了承ください。  9月20日追記
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セット商品の内訳は以下のとおりで赤道儀本体は含みません。
・MTS-3SDI+(特別仕様品)
・両軸ハイブリッドステッピングモーター,ギヤ,赤緯ギヤカバー
・一括ケーブル(以下のケーブルをまとめたものです)
  両軸モーター接続
  電源接続
  パソコン接続(RS-232C)
  オートガイダー接続(ST-4互換仕様Rj-11タイプAGA-1用は別途3,000円必要) 

その他の機種用は逐次ブログで紹介しますが概要はここをご参照ください。

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2011年9月13日 (火)

MC300のピリオディックモーション

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MC300赤道儀の受け入れ検査は
高倍率の眼視で行っていることは既にご紹介しておりますが
ピリオディックモーションの発生状況やその量も目視で判断しています。
と言うのはピリオディックモーションの出方は極軸廻りのバランスで
微妙に変化するためで追尾中に少しバランスを変えてみたりします。

ただ,一般的には赤道儀の追尾性能は
ピリオディックモーションの値で語られているため
その値を定量的に測定する意味で撮影しました。


撮影はTSC-225(Fl=2700mm)を使い,比較星はアルビレオです。
(クリックで等倍表示,ワンショットカラー冷却CCDで撮影)

露出時間は20分なので約3周期分のモーションが写っています。
振幅の一番大きいところでアルビレオの離隔(約35秒)の1/7程度なので
この個体のピリオディックモーションはP-Pで約5秒角です。
モーションの出方はやや滑らかさを欠きますが
絶対値が小さいのでガイド撮影に影響がでることはありません。


移動して使う赤道儀の場合,据付直後に発生する各部の撓みや
三脚の沈み込みなどの影響が大きいので
仮にピリオディックモーションが「0」の赤道儀でもガイドは必須と思います。

ピリオディックモーションの量は小さいにこしたことはないのですが
オートガイドを行うのが前提なのでそのレスポンスが最重要です。

今回紹介した個体は,P-Pで約5秒角なので
±表記では,2.5秒角のピリオディックモーションとなりますが
今まで行った眼視テストの結果を踏まえ±5秒を越えない程度と発表しています。

±5秒の値を保証するものではありませんが
高いレスポンスのモーターを採用していますので
赤緯の修正と併せて安定したガイド撮影をお約束いたします。


なお,下位機種のMC100とMC200(いずれも開発中)も同じ精度で加工した
ウォームギヤ(モジュールや直径もMC300と同じ)を採用します。
ポータブル赤道儀のMC100のウォームホイールは
直径が90mmなので,±8秒程度のモーションは楽にクリアーできそうです。
ポータブル赤道儀の場合はガイドを行わないケースもあるので
MC300より重要なのかも知れません。

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2011年9月11日 (日)

中之島のご紹介

先週はトカラ列島の中之島に出張していました。
滞在中はずっと好天でじつに助かりました。
なにしろ,星が見えないと赤道儀改造後の追尾や
自動導入のテストができないから,晴れるまで帰れなかったのです。

また,ドーム内の作業は,雨天だとスリットが開けられず
薄暗い中での作業となり効率が落ちるのですが
今回は清々しい秋風の中,スリット全開で仕事ができてはかどりました。

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中之島関連は最後になるので,ここからは島を簡単にご紹介します。

中之島への交通手段はフェリーのみです。
往路は順調でしたが,復路は台風13号が急速に接近したため
欠航が危ぶまれましたが,何とか帰ることができました。
台風接近中の港の光景にはみえませんが
途中,接岸できなかった港には立ち寄らずにきたそうです。
一旦欠航すると数日間足止めを食らうことになるのですから
フェリーは大揺れでしたが,戻れてほっとしました。
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島の中央は小高い丘になっていて,そこに中之島天文台があります。
廻りは草原なので視界が開けています。
特に南側は海が見えており,諏訪之瀬島も見えます。
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今までに何度か紹介しましたが,島でお世話になった回遊倶楽部です。
後にそびえる標高979mの御岳は9合目まで車で登れるそうです。
少し噴煙を上げていました。
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抜けるような青空でした。島バナナが美味しかったです。
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夜は宿の庭でトミタのスタッフと機材を持ち出して夜空をたのしみました。
透明度も良かったので月が沈んだ後は驚くほどの星空でした。
気にならない程度の照明がついていますが宿に頼めば照明は消してくれるそうです。
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最後は一番ハマった島の温泉です。
西地区と東地区に2カ所ありますが,微妙に泉質が違うようで
交互に入って比べていました。写真は港のすぐ近くにある西地区の温泉です。
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中之島は鹿児島港からフェリーで8時間。北緯は30度を切る亜熱帯の島です。
これといった観光名所はありませんが,自然あふれる島です。
真っ暗な空と素晴らしい見え味のミタカの60cmの望遠鏡。
いつでも入れる最高の温泉もありますので一度は訪れてみませんか?

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8月末は新潟の胎内星祭りへ,先週は中之島へ出張しておりましたので
メールのご連絡や作業が滞りご迷惑おかけしておりますが
今週は遅れを取り戻すよう努力しますので,よろしくお願いします。

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2011年9月 4日 (日)

トカラ列島~中之島天文台

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写真は,前回(7月初め)出張したときに撮影した中之島天文台のミタカ製60cmです。
ミタカのフォーク型望遠鏡は綺麗なスタイルで憧れます。
もちろんスタイルだけでなく操作性も素晴らしくて,とても60cmとは思えません。

前回は下見でしたが,明日からはメンテナンス作業のため再度出張します。
今回は作業量も多いので1週間ほどの予定ですが
夜はこの望遠鏡を覗くことができるでしょう。
月齢も良いので晴れれば素晴らしい星空見られそうです。


出張期間中の宿泊は前の記事で民宿と紹介したところにお世話になりますが
実は海遊倶楽部と言うリゾート?でした。
天文台まで歩いて行けるので便利ですし,光ネットワークも完備されています。

出張期間中は携帯電話が通じないためメールのみのご連絡となりますが
よろしくお願いします。(ドコモのみ通じますがその他の私は圏外です)

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2011年9月 1日 (木)

全品検査

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MC300赤道儀はメーカーで十分な調整が行なわれてから輸出されていますが
輸送中のトラブルを懸念して全品受け入れチェックを行っています。
また,モーターや極軸望遠鏡の取り付け,調整は国内で行っているので
それらの健全性を確認する目的もあります。

昨日の内容と重複しますが,主なチェック内容は以下のとおりで
追尾状況は,TSC-225に300倍の倍率をかけて確認します。

・追尾状況(追尾の滑らかさや,風圧を模擬した負荷に対する挙動)
・ピリオディックモーションの量
・微速修正時のレスポンス(主に赤緯軸)
・赤緯軸修正時の赤経方向への影響
・ウォームホイール全周でのバックラッシュ(負荷をかけた状態で)
・自動導入精度

写真は追尾テスト状況です。
一晩で全台検査はできませんが先月輸入分を並べたところです。

なお,発売記念セールは8月末をもちまして終了いたしました。
期間中多くのお客様にお買い求めいただきありがとうございました。

アフターサービスは全て国内(K-ASTECまたは天文ハウストミタ)で行います。

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現在MC300より一回り小型のMC200*と
海外遠征などに特化したMC100赤道儀を開発中です。
MC200は本年12月発売予定です。

*MC200は当初MC170(耐荷重17kg)として開発していましたが
ホイール径を90φから108φに変更し,商品名をMC200としております。


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