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2012年11月

2012年11月24日 (土)

日食関連のしめくくり

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今回の日食はポートダグラスから1時間半ほど走ったマウントカービンというところで
観測しましたが,写真のような広大なエリアを確保していました。
一年前に下調べしていた200~300m四方ほどの広大なロディオ場(の駐車場?)です。

私たちだけの貸し切りではなかったので多くの人でごった返すかと思っていましたが
結果的に,私たちのグループが50名で
他は,日本の天文雑誌関連とアメリカとドイツの観測隊をあわせて100名ほどでした。

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これは私の機材です。
バランスウエイト側は皆既中の黒い太陽との風景も合わせて撮るためのカメラを
付けています。(この写真は露出を失敗しましたが)

先日からご紹介した広角系レンズでの写真もこれで撮りました。
ポリ袋は使わないパソコンやレンズを入れて軽量な三脚を安定させています。

また,今回は緯度が低かったのでウエイト側のカメラが
三脚と干渉しないように赤道儀に対して三脚を少し西に振っています。
 
今回の遠征システムは大マゼラン雲の撮影も大きな目的とご紹介しておりましたが
小マゼラン雲も含め一応撮影できました。
苦手な画像処理は今後の課題として,さし当たりJPG1枚の写真をアップいたします。
何れもPROMINAR(350mmF4)+改造P-2赤道儀(ノーガイド)での撮影です。

先日ご紹介したηカリーナ星雲は同じ条件で赤く写っていますが
タランチュラ星雲などはなぜか青緑色です。次回はIR改造カメラで撮ってみたいです。

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2012年11月22日 (木)

プレアデス~南のプレアデス

2012/11/22

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Zuiko15mmF3.5→F5.6,Eos5DM2,露出180S,ISO3200
改造P-2赤道儀(ノーガイド),JPG 1枚画像をカラーバランスのみ調整
 


今日ご紹介する写真は,下側1/3ほどは日本からは見えない領域で
大マゼラン雲の左上の明るい星がカノープスです。

タイトルのプレアデスは右上ギリギリに写っていますが
南のプレアデスと呼ばれる散開星団(IC2602)も
大マゼラン星雲の左下のηカリーナ星雲の近く(右側)に写っています。
写真ではわかりにくいのですが
双眼鏡で見るとどことなくプレアデスに似て見えます。

 
この写真は無改造のデジタルカメラで撮影しているので
赤い散光星雲は写っていませんが
IR改造カメラだと写野中心あたりに大きなガム星雲が写ります。
ただ実際の星空では赤い散光星雲は見えないので
この写真の方が見たイメージに近いでしょう。

昨日の写真もですが,ノイズが多くて綺麗な写真ではありません。
ただ実際に見たイメージに近く,記録として残すには良いかと思います。


自身の記録として今回の写真も南の極を示しました。
はちぶんぎ座の台形の近くで結んだ三角形は双眼鏡で良くみえます。
私は台形を探すのにこれを目印にすることが多いです。
 

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2012年11月21日 (水)

大小マゼラン雲と南の極

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SAMYANG35mmF1.4→F4,Eos5DM2,露出180S,ISO3200
改造P-2赤道儀(ノーガイド),JPG 1枚画像をカラーバランスのみ調整
 

日食前夜(正確には当日)に撮影した大小マゼラン雲です。
小マゼラン雲の直ぐ下に明るく写っているのは球状星団のNGC104ですが
広角レンズ(35mm)でもそれらしく写るほどの迫力です。


大小マゼラン雲と二等辺三角形を作る位置に
黄色い線で結んだ星の並びがはちぶんぎ座の台形です。
それから延長した丸で囲んだ中心付近が南半球の極です。
(正確には円と直線の交点付近)

星図やプラネタリウムソフトでは比較的わかりやすいのですが
撮影するとどれがはちぶんぎ座の台形か解らなくなります。
それを探すための特徴的な星の並びもありません。 


以前は毎年のようにオーストラリアに行っていましたが
今回は2004年のリニア・ニート彗星以来8年ぶりでした。
この台形を探すのに少し手間取りましたが補助極望が役に立ち導入できました。


ところで写真は極方向を縦て構図で撮影しています。
一般的な構図ですが,極軸のみのポータブル赤道儀+自由雲台では難しい構図です。

(車や地上の景色は日食観測エリアの保安用照明で照らされています)

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2012年11月20日 (火)

PROMINAR 500mm F5.6 FL

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PROMINAR500mmF5.6FL→350mmF4で使用,Eos5DM2,露出180S,ISO3200
改造P-2赤道儀(ノーガイド),JPG 1枚画像をカラーバランスのみ調整


先日ご紹介したとおり,今回の日食遠征にはKOWAのPROMINAR500mmF5.6FL
を用いました。日食だけでなく大マゼラン雲なども撮りたかったからです。

日食撮影においては,第2接触や第3接触(ダイヤモンドリング)時の
ゴーストが心配されましたが,このレンズは一般的な望遠レンズに比べ
後玉が比較的前方に配置されているためか明瞭なゴーストは出ないようです。

星の方では上の写真のように周辺まで均一な星像で周辺光量が豊富
それに色収差が感じられないなど素晴らしい性能です。

紹介するηカリーナ星雲のほか,本命の大マゼラン雲
小マゼラン雲とNGC104など撮ってきましたが
今回はレンズの性能を実感していただくためカラーバランスを整えただけの
写真を紹介します。


このレンズは同じクラスの望遠鏡に比べるとかなり軽いうえ
ラック・ピニオンの合焦ハンドルが無いため携行性に優れています。
海外遠征では特に重宝しそうです。

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2012年11月18日 (日)

真珠色に輝くコロナ

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撮影機材:PROMINAR 500mm F5.6 FL,OLYMPUS OM-D E-M5,改造P-2赤道儀
撮影場所:Mt.Carbine

*画像クリックで拡大します


今回の日食の印象はダイヤモンドリング(第3接触)が綺麗だったことと
黒い太陽が大きく感じられたことです。
月縁の関係で,一点が鋭く輝くダイヤモンドリングとなり
それは素晴らしい光景で,今まで見たなか(4回)では最も印象的でした。


それと太陽の大きさですが,低空で起きた日食のためか
黒い太陽を取り巻く真珠色のコロナが大きく感じられました。
夕日が大きく感じるのと同じでしょうね。

2002年のセデューナで見た日食も低空でしたが
大きく感じられなかったのは洋上のため地上の風景がなかったからでしょうか。

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2012年11月17日 (土)

雲に投影されたシャドーバンド?

2012/11/17

B12_11_17

(写真は下が北,クリックで拡大します)

今回の日食は全体を通してわずかな高層雲が残っていましたが
第3接触直前には低層雲も通過しました。
上の写真はそのときのものですが雲に筋状の模様が観察されます。

同じところで観測した方の写真にも写っていることや
第3接触前後のカットのみに現れていることから
おそらく雲に投影されたシャドーバンドと思われます。

雲に投影されたシャドーバンドは2010年の日食の際
イースター島やハオ島で観測されています。
その時の写真に比べると今回は筋の間隔が非常に狭いのですが
投影された雲までの距離の違いなどによるものと思います。

日食観測にとって雲は厄介ですが
シャドーバンドが写るのならそれはそれで学術的に意味があるのかも知れません。
また容易に動画撮影ができる現在では雲が流れる映像は
鑑賞用としては臨場感がありその時の感動が蘇ります。

この動画は今回一緒に観測した方が撮影されたものです。
この動画(圧縮前の生データ)でも第3接触の直後に
雲に写る縞模様が明瞭に確認されます。 


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2012年11月14日 (水)

きれいなプロミネンスが見えました

日食遠征の現地から記事を投稿します。

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皆既直前まで雲に阻まれてドキドキしましたが
ギリギリに切れた雲間からプロミネンスに囲まれたすばらしい日食を観測できました。
雲が多かったので撮影しない人は皆既10分前にバスで移動するなど
全てがスリリングでした。
数分前の判断でしたが,移動した人たちはまったく雲のない状態で見られたと
感激されていました。
前夜から徹夜で待機しましたがすばらしい夜空も堪能できました。

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2012年11月10日 (土)

明日から日食遠征します

明日11日から17日まで,オーストラリアへ皆既日食の観測に出かけます。
期間中ご迷惑おかけいたしますがよろしくお願いいたします。
 
通常皆既日食の撮影はタカハシのFC60で行っていますが
今回は望遠レンズ(PROMINAR 500mm F5.6 FL)を持って行くことにしました。
ダイヤモンドリングの撮影時にゴーストが発生すると思いますが
どうしても大マゼラン雲も撮りたかったので敢えて望遠レンズを選択しました。

B12_11_10

機材はできるだけ軽量化するためにP-2赤道儀を改造しています。
このシステムですと赤道儀と三脚で5kg弱です。
500mmの望遠レンズの他,4本の交換レンズやカメラ2台などと
スーツケースやパソコンを含んだ身の回りの用品を加えた総重量は
約25kgに収まりました。
機内持ち込みが8kgほどなので,預ける機材は17kgです。


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2012年11月 6日 (火)

南半球での極軸合わせ

日食遠征までわずかとなりましたが,やっと機材の準備に取りかかりました。

通常,日食遠征では星の写真は撮らない(撮れない)のですが
今回は遠征先がオーストラリアということもあり事前に撮影場所を確保しています。
AC電源もあるので結露防止用ヒーターなども使えそうです。
 

この時期の南天の狙いどころは大小マゼラン雲とNGC104ですが
これらの対象を望遠レンズで撮るために今回はP-2赤道儀を持って行くことにしました。

B12_11_06

P-2は強度,精度ともに優れていますが,極軸望遠鏡は覗きにくいうえに
視度調整ができません。
これらは視度調整つきのアングルファインダーで解決できますが
最大の難点である倍率が高いことはどうにもできません。
倍率が9倍もあるので,はちぶんぎ座の台形を視野に導入するのが大変で
2度目の南天遠征時,どうしても導入できず焦った記憶が蘇ります。
 
そこで今回は望遠レンズ取付用のクイックリリースクランプに補助的に
ケンコー製極望を付けることとしました。はちぶんぎ座の台形導入専用です。


以下の解説はGF50の取説の一部ですが(クリックで拡大します)
5~6倍の極望の場合,はちぶんぎ座の台形は図のように視野に入ります。
P-2の極望は9倍あるのでこの図の約1/2の視野となりσ星とχ星だけしか
入りません。
一旦視野内に台形を導入し,その後極軸を振って合わせることもできますが
なれないと難しいでしょう。
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(この時期の22時頃は下の図を時計方向に90度回した位置関係となります。
南十字が地平線下)

今度は実際のイメージに近い星図での説明ですが
図の円(上下左右が切れていますが)は10度で4~5倍の極望の視野です。
P-2の場合,この半分しか入らないので如何に難しいかご理解いただけますよね。

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台形は星図の右上で立った状態ですがこのイメージを掴んでいないと
なかなか探せません。
(実際の極望の視野は倒立像なので上の解説図を90度回転した位置になります)

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2012年11月 4日 (日)

GF50赤道儀とPTP-Flat,XY50など

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7月に発売したGF50赤道儀は先月末までの4ヶ月間で25台ほど出荷いたしました。
このうち何台かは今度の日食遠征に使われると伺っております。
 

標準でジンバル雲台や,正確に調整した極軸望遠鏡が付属することや
長時間の駆動を約束する電池までも内蔵した点に高い評価をいただいたようです。
バランスが良いので歩留まりの良い写真が撮れるとのご報告もいただいております。

 
赤道儀だけでなく,三脚や極軸高度・方位調整装置
それに自由な構図を取るためのレボルビング装置も含めトータルで設計しているので
まとまりの良いシステムをご提案できたと自負しています。
GF50を核とした撮影システムを,天文ガイドの12月号でとり上げていただきました。
 

GF50の初期ロットは残り数量が少なくなりましたが次期ロットを準備中です。
近々GF50とXY50をワンタッチで脱着できる専用のクイックリリースシステムを
追加するなど引き続き関連商品をラインナップしますのでご期待ください。


今回紹介した写真は9月中旬に観測所で撮影しました。
この写真はまだ夏の雰囲気が残っていますが
先日ご紹介したH-40はすっかり秋の気配です。
わずか1ヶ月の違いですがずいぶんと変わるものですね。

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2012年11月 3日 (土)

アルカスイスプレート対応鏡筒バンド

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以前ご案内しておりましたアルカスイス規格のクイックリリースプレートに
直接固定できる鏡筒バンドを発売いたします。

対応鏡筒はボーグの5cmクラスからタカハシのFC76DC,DSクラスまでの4タイプです。
特に今回は日食遠征用として人気の高いFC50やFC60の68φ用も製作しました。

プレート固定面中央1カ所がW1/4のカメラネジなので
BENRO等のアルカスイス規格のプレートにそのまま固定できます。
写真の様に150~200mmのプレートを使うと鏡筒をオフセットできるので
前後のバランス調整も容易です。
口径が小さい鏡筒ほどオフセットが必要なのでシステムを軽量化される場合は
便利かと思います。(両側2カ所は従来どおりM6タップです)

今回発売するカメラネジ対応の鏡筒バンド(機種名の末尾にWが付きます)は
以下の4機種で何れも10本限定です。


・TB-60W:13,000円
・TB-68W:13,000円 → 在庫僅少
・TB-80W:16,000円
・TB-95W:16,000円
 

まことに申し訳ありませんが,日食遠征のため
11月8日(木)~18日(日)まで休業させていただきます。
日食前の商品の出荷は11月7日までとなりますのでよろしくお願いいたします。

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