南半球での極軸合わせ
日食遠征までわずかとなりましたが,やっと機材の準備に取りかかりました。
通常,日食遠征では星の写真は撮らない(撮れない)のですが
今回は遠征先がオーストラリアということもあり事前に撮影場所を確保しています。
AC電源もあるので結露防止用ヒーターなども使えそうです。
この時期の南天の狙いどころは大小マゼラン雲とNGC104ですが
これらの対象を望遠レンズで撮るために今回はP-2赤道儀を持って行くことにしました。
P-2は強度,精度ともに優れていますが,極軸望遠鏡は覗きにくいうえに
視度調整ができません。
これらは視度調整つきのアングルファインダーで解決できますが
最大の難点である倍率が高いことはどうにもできません。
倍率が9倍もあるので,はちぶんぎ座の台形を視野に導入するのが大変で
2度目の南天遠征時,どうしても導入できず焦った記憶が蘇ります。
そこで今回は望遠レンズ取付用のクイックリリースクランプに補助的に
ケンコー製極望を付けることとしました。はちぶんぎ座の台形導入専用です。
以下の解説はGF50の取説の一部ですが(クリックで拡大します)
5~6倍の極望の場合,はちぶんぎ座の台形は図のように視野に入ります。
P-2の極望は9倍あるのでこの図の約1/2の視野となりσ星とχ星だけしか
入りません。
一旦視野内に台形を導入し,その後極軸を振って合わせることもできますが
なれないと難しいでしょう。
(この時期の22時頃は下の図を時計方向に90度回した位置関係となります。
南十字が地平線下)
今度は実際のイメージに近い星図での説明ですが
図の円(上下左右が切れていますが)は10度で4~5倍の極望の視野です。
P-2の場合,この半分しか入らないので如何に難しいかご理解いただけますよね。
台形は星図の右上で立った状態ですがこのイメージを掴んでいないと
なかなか探せません。
(実際の極望の視野は倒立像なので上の解説図を90度回転した位置になります)
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