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2013年2月

2013年2月25日 (月)

カメラレンズの保持について

B13_02_25

カメラレンズを使って長時間ガイド撮影する場合
レンズの保持が心配になることがありますが
今回は樹脂のリングで保持するアイデアをご紹介いたします。

写真はEOS 5DMark2に人気のEF100mmF2.8Lマクロを付けた状態ですが
レンズの大きさに丁度あうよう内径を77φに加工した樹脂製(ポリアセタール)
リングで固定しました。外形は100φ,厚みは10mmです。

樹脂リングは1,500円ほどで任意のサイズに加工してくれるところに外注しています。
カメラボディとレンズの高さが合うよう,外周の一カ所を削り落とし
そこにM6やW1/4のタップを立てればスマートに固定できます。

これとカメラボディを先日ご紹介したビクセン規格のアリガタ(QP45-200)に取り付け
それを逆親子ガメガイドシステムに搭載します。
 


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2013年2月20日 (水)

VELOCE RH200について-4

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今夜は雲が多いながらも晴れ間がでていたので光軸の確認を行いました。

確認しておきたかったのは光軸ズレの有無より調整の感触です。
この手の光学系はユーザーが調整して使える状態にする事を前提としていますが
そのためには調整の容易さが重要だからです。

当然ですが,イタリアから空輸されたので光軸は僅かにずれていましたが
高倍率アイピース(TMBのSW4mm)を使い恒星をぼかした像で調整した結果
ごく短時間でマニュアルのとおり調整できました。
眼視用の反射望遠鏡の光軸調整要領で行いましたがたぶん十分でしょう。
最初はいびつだった焦点像も綺麗になりました。


一連の紹介の最初に触れた3カ所の光軸調整ネジは
スプリングで引かれているので押しネジを回すだけで調整できます。
実際に触った感触は,調整に対して結果(見ている像の変化)が
敏感に反応するため調整は容易でした。
調整ネジは適度のトルク感があり精密感があります。

まだ実写していませんが,調整後の星像を見た感じでは
眼視用の反射望遠鏡と同じ要領で簡単に調整できると実感しました。
最終的には実写で追い込む必要があるかと思いますが
高倍率アイピースを用い拡大した星像で調整しているのでほぼ合っていると思います。

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小型ガイドシステム 逆親子ガメ

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お客様からのご依頼で写真のようなガイドシステムを作りました。
以前このブログで紹介したシステムを見られてのご依頼です。
300mm程度までのカメラレンズのでガイド撮影にご使用との事で
上下ともビクセン規格のアリガタとアリミゾになっています。

このスタイルは製品化していませんがほかでも何台か特注で製作しています。
最近のデジタル用に設計されたカメラレンズはどれも高性能で
これからはカメラレンズ(望遠系)での天体写真撮影が増えるでしょう。

カメラレンズでスマートにガイドする場合このスタイルが一番合理的と思うので
標準でこの構成ができるアリガタ/アリミゾを検討中です。
 

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2013年2月18日 (月)

VELOCE RH200について-3

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今日はVELOCE RH200の光学系についてご説明いたします。
本来なら最初に触れるべきですが三回目になってしまいました。

この光学系はイタリアのMassimo Riccardi博士が設計したもので
補正板(正確には収束系の凸レンズ),裏面反射の主鏡,副鏡(補正板中央にメッキ)
補正レンズからなります。
補正板が収束系なので主鏡は有効口径の20cmより小さくなっています。


Vrh200coupe01


鏡筒はそれらのエレメントを確実に保持するためアルミ合金を削り出し加工しており
副鏡(補正板)の保持機構に温度補償機能を持たせているとの事です。
これに容易な光軸調整機構とそのまま撮影に使えるフォーカサーを有しています。
1枚目の写真で補正板の奥に見えるのは鏡筒と一体構造の絞りです。
(上記のイラストとは若干仕様が変更されています)


光学的特徴は何と言ってもF3の明るさと広写野です。
フルサイズの周辺までほぼ完璧な星像で多くの作例が発表されています。
中でも,網状星雲M31の写真には驚かされます。
好みの問題ですが,スパイダーの光状が出ないのですっきりした写真になり
気のせいかも知れませんが星々の色が良く出ているようです。


B13_02_182

20cm反射で70万円強なら非常に高価といえますが
高性能屈折望遠鏡と比較すれば決して高いものではありません。

RH200は中央遮蔽が55%もあるので
計算上の有効径は167mmで実効Fは3.6になります。
控えめにみて15cmF4とした場合
それに見合う高性能屈折望遠鏡や望遠レンズと比べればむしろ安価です。

写真の15cm屈折望遠鏡は非常に高性能ですが
レデューサーで明るくしてもF5,6程度なのでRH200の2倍以上の露出が必要です。
平日の夜に自宅の庭先でHαで撮影する場合や
一晩で作品を撮り終えたいときなどこの差は大きいと思えます。


輸入商品の場合,このところの円安への移行期に発売するのは
タイミングが悪いのですが,メーカーの協力で価格を抑えており
特にRH300の220万円は円高時に購入された場合と変わりないほどです。

 
 


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2013年2月17日 (日)

VELOCE RH200について-2

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VELOCE RH200についての2回目は鏡筒の保持とガイドについてです。

RH200は標準でビクセン規格のアリガタ(海外ではダブテールと呼んでいます)
仕様ですが,自宅の観測所では既設のアリミゾに合わせるため
RH200付属のアリガタをロスマンディ規格のアリガタ(DP75-250)に縫い合わせて
固定しました。
鏡筒全体の保持強度はビクセン規格のアリガタを鏡筒に固定している方法
(一方の端のみで固定)に依存しますが純正のままで特に問題なさそうです。

ガイド鏡もアリガタを固定した頑丈な後部プレートに固定するので
仮にアリガタのたわみがあったとしても撮影結果には影響しないでしょう。
心配ならオフアキガイドを行えば完璧です。
RH200は海外で多く使われていますが,ほとんどの方は純正のアリガタです。

ただ,下の写真のような立派な鏡筒バンドも販売していますので
固定観測の場合はこちらがお勧めです。
フードのスライドができなくなりますがさらに格好が良くなりますから。
このバンドはオプション(約40,000円)扱いですが
最初からバンド仕様で出荷できないか確認をとっています。


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2013年2月15日 (金)

VELOCE RH200について-1

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本日イタリアからVELOCE RH200が届きました。
最初に持った感じは,筒が極端に短いため(筒の部分は30cm弱)取り回しが容易です。
これなら移動観測でもあまり苦にならないでしょう。

この光学系は簡単に言えば,カメラ用のレフタイプの望遠レンズみたいなものです。
図の左半分はフードですから極端に短い鏡筒がご理解いただけると思います。

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これから数回に分けて紹介させていただきますが
まずはみなさんの一番の関心点かと思う光軸の調整機構です。

マニュアルにはこの光学系の調整は以下の2点と書かれています。

・主鏡の光軸調整
   実際の星を導入しピントを外した状態で副鏡の陰を主鏡に対して中心に持ってくる
・それと別に設けられた焦点面の傾き(スケアリング)の調整
   実写して四隅の星像を均一化する

下の写真の奥まった方が主鏡調整です。
通常の押し引きネジと違い,スプリングで押されているので調整は引きネジだけです。
120度ごとに3カ所設置されています。ちなみに主鏡は裏面反射鏡です。

その左上の一対の押し引きネジが焦点面の傾き調整です。
4カ所に設置され写真の四隅に合わせて調整できます。
赤の鏡筒に対して,黒いアルマイト部分の傾きを調整します。

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これは上位機種(RiLA600mmF3.8)ですがこれも主鏡調整はスプリングで押しています。

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2013年2月13日 (水)

PROMINAR500mm用ファインダープレート

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以前ご案内しました
PROMINAR500mmF5.6FLバンドにファインダーをつけるプレートをご紹介します。

タカハシ規格(M5-28mm間隔)のファインダーを
小型ガイドシステムと同じ方法で固定します。

写真のように光学ファインダーのカメラなら何とか対象を導入できますが
ミラーレスカメラの場合は,今回紹介するようなファインダーが必要です。

先日,150mmF2のレンズをミラーレスボディにつけてオリオン座に向けましたが
F2の明るさでも三つ星がやっと見える程度で
F4~5.6のPROMINARではファインダーが無いと実用にならないでしょう。

このPROMINAR500mmバンド用ファインダープレートは2,000円で販売しております。


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2013年2月12日 (火)

レボルビング装置の納期について

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レボルビング装置は,昨年末から長期間欠品状態でご迷惑おかけしております。
パンスター彗星の撮影用として多くのお問い合わせをいただいておりますが
現時点では2月末出荷に向けて努力しております。

ただ,2月末入荷分は既に多くのご予約をいただいているため残りは僅かです。
2月末出荷を確約できる状況ではありませんが
できるだけ早期に出荷いたしますのでよろしくお願いいたします。
なお,次のロットは3月末出荷を予定しております。

今回のパンスター彗星は地平高度が低いので
地上の風景と一緒に写す事となりそうです。
また予想ほど明るくならないようで,それなりの焦点距離が必要です。
自由雲台に比べ構図の決定が楽なレボルビング装置の出番ですね。

この写真は2004年に西オーストラリアで撮ったリニア彗星ですが
こんな感じになれば良いですね。
(Canon EOS Kiss D, Zuiko250mmF2)

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2013年2月11日 (月)

機材の入替えの準備

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ブログ引っ越し後,最初の記事になりますが
もうすぐ先日ご案内しましたイタリアOFFICINA STELLARE社製の鏡筒が入荷するので
メインの15cm屈折を下ろし,IRカット改造カメラのテストを行うことにしました。

このカメラは昨年11月のオーストラリア遠征後にIR改造していましたが
その後はテストすら行っていなかったからです。
新しい機材が入るとなかなかできないのでこの機会に思い立ちました。

前回はタランチュラ星雲が緑色に写りましたが
次に遠征する時はこのカメラで赤いタランチュラを写したいものです。

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2013年2月 9日 (土)

StarlightXpress Lodestarの価格改定について

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保有在庫は完売いたしました。
次期ロットの入荷は2月末の予定ですが
2月20日までは従来価格でお受けいたしております。  2013.2.12追記
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StarlightXpress Lodestarはこのところの急激な円安のため
2月20日から価格改定することとなりました。
単体価格は59,800円から66,200円となりますのでよろしくお願いいたします。


K-ASTEC仕様のLodestarはすべて写真のように
ケーブル固定処理を行っての出荷となります。
ケーブル長は以下のいずれかからお選びいただけます。

・USBケーブル         0.9m,1.8m,3.0mのいずれか
・ガイドケーブル(RJ11仕様)  0.9m,1.8m,3.0mのいずれか

ケーブル長はUSB(U**m)とガイドケーブル(G**m)をそれぞれご指定いただけます。
例としては,U1.8G0.9などとご指定ください。
各ケーブルは工業用で信頼性の高いUSBケーブルと
寒い時でも取り回しが楽な柔らかいガイドケーブルになります。
なお,お客様でのケーブルの交換も容易なので,ケーブル単体の販売も行います。
価格は2本セットで2,000円です。

StarlightXpress Lodestarは僅かですが在庫もございますので即納できます。
次期ロットの入荷は2月末の予定です。

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2013年2月 7日 (木)

QC45 カメラレンズでのガイド撮影用として

お客様からカメラレンズでのガイド撮影に便利システムはないかとの
お尋ねをいただいておりますので一例をご紹介します。

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今回ご紹介するクイックリリースクランプ(QC45)は本来はXY65用アイテムとして
開発したものですが,立てても使えるよう側面に固定用タップを加工しています。

DP65などのアリガタプレートに,一つは通常どおりに,もう一つは縦に取り付ければ
カメラ側とガイド鏡側を入れ替えることで簡単に縦横構図の変更ができて便利です。
通常100mm程度からは構図の縦横を,天の赤経,赤緯に合わせて構図を取りますが
この縦横変換は意外と大変なものです。

QC45を2個使う必要がありますが,従来のアリミゾに比べ価格を1/2に抑えて
いますので総合的にはあまり変わりありません。

・クイックリリースクランプ(QC45)は6,500円

・クイックリリースプレート
 QP45-65 (写真でガイド鏡を固定している長さが65mmのもの):2,500円
 QP45-200 (写真でカメラを固定している長さが200mmのもの):4,500円

写真のシステムの場合
DS65N:13,000円,DP65-150:7,500円
QC45:6,500円×2個,QP45-65:2,500円,QP45-200:4,500円
以上システム合計で40,500円になります。

詳細はXY65のオプションとして紹介いたします。
 


このQC45は45mm幅のQP45を固定します。
エッジ角は75度なのでビクセン規格と同じ構造ですが
QP45を落とし込んで使用できるよう設計している関係上
幅が45mmより小さいアリガタは固定できません。

天体望遠鏡用として販売しているアリガタ・アリミゾは,DS**/DP**の商品名ですが
今回紹介するタイプは,主にカメラ用としての使用を想定しているので
クイックリリースクランプ/プレート(QC**/QP**)と呼ぶようにしました。

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2013年2月 3日 (日)

SX260赤道儀の自動導入改造

この週末はオーストラリア遠征仲間の観測所に出かけました。
去年のケアンズ日食の際に自動導入改造の話が持ち上がったからです。

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ここには,ASKOのSX260赤道儀が4台も設置されていますが
この赤道儀は仕様により赤緯側のモーター駆動方法が異なります。
FS2で駆動するためには,モーターを交換する必要がありますが
それに伴う機械加工が不要であれば用品をお送りすればよく
その分安価に自動導入改造ができるのでその確認を行いました。


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これは赤緯側でウォーム軸に対してモーターが平行に配置された仕様です。
軸径や軸位置は同じなので,基本的に新しいモーターとそのまま交換できますが
従来はモーターとギヤヘッドが別売りされていたため
長いボルトでモーター側からギヤヘッドを貫通してプレートに固定しています。
(従来品のギヤヘッドはM4用の通し穴)

それに対して現行品はモーターとギヤは固定されており
プレート側からボルトで固定するのでちょっとした工夫が必要です。
(現行品はギヤヘッド側がM4タップ)

写真を見ておわかりかと思いますが
L型のプレートを赤道儀ハウジングに固定したボルトと干渉するため
下側の2本はL型プレート側から固定する事ができないのです。

でもメンバーの方と色々お話しているうちに
ギヤヘッドを従来と同じように通し穴に加工すれば簡単に解決することがわかりました。
まさに3人よれば文殊の知恵(アイデア?)ですね。


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こちらは同じ赤緯軸側ですが,ウォーム軸にモーターが直結された仕様です。
基本的に上記と同じようにモーター側を加工すれば
現地加工は不要でそのまま交換できます。


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最後は赤経側ですが赤経側は仕様による差はありません。
赤緯と同じようにギヤヘッドを加工すればそのまま交換できますが
こちらはL型プレート側をタップ穴から通し穴にする事でも対応できます。
なお,赤緯側もそうですが,モーターインロー部の直径が変わるので
その対策として専用スペーサーを挟みます。


長くなりましたが結論は,現地での機械加工は不要で
当方からお送りする用品と交換するだけでも自動導入改造ができる事がわかりました。

なおSX260のホイール枚数は過去の経験上,赤経が351,赤緯が300枚と思います。
SX260は赤道儀に目盛環があるので
違っていたとしてもFS2の表示値と比較すればごく簡単に見出せます。
 

今回ご紹介した据付け用赤道儀改造用として
FS2(30V仕様,オートガイド対応)と写真の両軸モーターをセットして販売しております。
先月まではセットで142,000円でのご提供でしたが
為替レート変動のため,2月1日から154,300円に改訂しております。
今後,円安が進めばさらに改訂させていただきますのでよろしくお願いいたします。

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