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2013年5月

2013年5月28日 (火)

VELOCE RH200の入荷状況

B13_05_28


OFFICINA STELLARE社の20cmF3アストログラフVELOCE RH200は
当初予定から遅れておりましたが2月末締め発注分が入荷しました。
3月以降にご注文いただいた分については受注数量が多いため
現在メーカーと出荷時期を調整しております。

現在,専用のアリガタやフォーカサーなどほぼ製作が完了しています。
またデジタルカメラでご使用の場合のアダプター類も製作中なので
オプションが揃いましたら改めてご紹介いたします。

さらにお客様のCCDカメラに合った接続スリーブや
ガイド鏡,ファインダーの取付台座なども特注で製作します。

写真は入荷後の検品状況です。
恒星を使って内外像などの検査を行いますが
空輸に伴う若干の光軸ズレは再調整後に出荷します。


ところでパンスターズ彗星は日本では良く見えませんでしたが
北欧などでは綺麗な写真が撮られたようです。
これはRH200とSTL11000で撮影された近日点通過後のパンスターズの写真です。

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2013年5月27日 (月)

MS-5の自動導入改造

B13_05_27

ペンタックス製MS-5の自動導入改造を行いました。
MS-5の改造やオーバーホールはその大きさや
分解/組み立てや調整が大変なことなどから受注を休止していたので久しぶりです。
MS-5は軸周りの公差が小さいため容易に分解できません。


MS-5はウォーム軸内にモーターシャフトが通る設計ですが
ギヤヘッド付きのステッピングモーターのシャフト直径と長さの関係で
換装するステッピングモーターが限定されます。
今回採用したモーターはモーター軸径など上記を満足する特注品なので
オリジナルと同じモーターレイアウトで改造できました。

そのためハウジングの改造も最小限ですみステンレスのプレートで蓋をする程度です。

この改造ではコントローラーはFS-2を採用するのでASCOM対応となります。
今後,改造とオーバーホールはセットで行いますが
他の業務の都合で年間2~3台ほどの受注が目処となります。

費用は,FS-2による自動導入改造とオーバーホールも含んで
概ね28万円ほどですが詳細はHPからご質問いただけると幸いです。


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2013年5月24日 (金)

H-40用バランスウエイト(選択指定対応)

B13_05_241

H-40関連のアイテムは大変ご好評をいただいておりますが
今回はステンレス製のバランスウエイトを2機種ご紹介いたします。
いずれも,やや細めのシャフトとカウンターウエイトのセットです。

紹介している写真は,赤緯軸を改造したH-40赤道儀に
PROMINAR500mm+5DM2を搭載した状態ですがこれでバランスが取れています。
200mmのシャフトの場合1kgのウエイトでも運用可能です。

仕様は以下のとおりです。

【ウエイト2個タイプ】
・ウエイトシャフト:直径15φ,長さ200mm,赤道儀側M12P1.25,抜止側M6P1.0
・カウンターウエイト小:530g,外径60mm,高さ25mm
・カウンターウエイト大:1,060g,外径60mm,高さ50mm
以上セット価格:11,000円

追加ウエイト
・カウンターウエイト小:3,000円
・カウンターウエイト大:4,500円

シャフト直径16mmも指定可(自動的にウエイトも16mm対応となります)
長さも指定可能,200mm以下は追加無し,300mmまでは+600円加算

 


B13_05_242

次の仕様は海外遠征に便利なタイプです。

カウンターウエイトは上下の2個にのみ固定ネジがつきます。
その間は必要な数量だけ挟み込むんで重量を必要最低限に抑えます。
また,上下2個のみとして,中間分は現地で調達した
缶詰などを粘着テープで固定する事もできます。
両端がシャフトに固定されるのでバランスの調整もできますが
重みでズレ落ちることもありません。
追加分は安価なので帰りは現地で処分しても良いでしょう。

【ウエイト5個タイプ】
・ウエイトシャフト:直径15φ,長さ200mm,赤道儀側M12P1.25,抜止側M6P1.0
・カウンターウエイト:210g×5個(内2個にのみ固定ネジ付き,外径60mm,高さ10mm)
以上セット価格:8,000円

追加ウエイト:500円/1個当たり(固定ネジ加工なし)

こちらもシャフト直径16mmを指定可(自動的にウエイトも16mm対応となります)
長さも指定可能,200mm以下は追加無し300mmまでは+600円加算


いずれのウエイトも工業用の加工品を流用するので輸送中の打痕があります。
シャフトはステンレスに硬質クロムメッキ仕様です。
ねじ込み部はM12-P1.25なので,P-2赤道儀などでもご使用いただけます。
(P-2などではネジ部の長さの関係から固定リングはご使用なれません)

赤道儀側をM6P1.0,M8-P1.25,M10-P1.5,M12P1.75に変更することも可能です。
全て雄ねじで,その場合のネジ部の長さと逃げの長さは一任いただきます。

標準仕様品は今後も商品として継続販売する予定ですが
各種指定対応は今回のみで,5月31日をもって終了させていただきます。

シャフト径18φなど,記載していないサイズはご指定いただけません。

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カメラレンズ用フォーカサー -3:FLI用

Lsf_lm1

カメラレンズ用フォーカサーの最後はFLI製カメラ用です。
(写真はFLIのカメラが手元にないのでQSIのカメラで撮影しています)

FLIのカメラは外径が大きいので
今までご紹介したカメラのようにステージ上に載せることが難しくなり
他の機種とは逆にカメラレンズがステージ上で前後します。

Lsf_lm2

そのため,使用できるカメラレンズは写真のEF100F2.8MACROなど
鏡胴の直径が80φ以下のレンズに限られます。
またピント合わせでカメラマウント部とレンズサポート部の相対位置が変わるので
サポートは軽く支える程度になるなど制限の多いフォーカサーです。
前方にステージ駆動用のモーターが配置されるので広角系のレンズも使えません。
 
 


Lsf_fli_2

ただEFレンズには,200mmF2や300mmF2.8など天文用として魅力的なレンズが
揃っています。
これらのレンズは電源の関係で単体ではピント合わせができないので
冷却CCDと組み合わせる場合は外付けフォーカサーが必要です。

そこでこれらのレンズと大型の冷却CCDカメラ(PL-16000など)
を組み合わせて使用するための専用のフォーカサーも設計しています。

固定部と可動部が複雑な構造となるので,他のフォーカサの部品を使って
仮組しながらイメージを確認しているところです。

最終的にはレンズと冷却CCDを両側からサポートする形状になりますが
写真の左側は可動部と固定部が干渉しないよう構造を確認しているところです。
なお,カメラのマウント部には異物混入防止のため
保護ガラスを張り付けて作業しています。

レンズは前玉部とマウント部の2点をプレートに固定
可動するカメラ部は撓み防止構造で最大10kgまで耐えます。
もちろんスケアリング調整機構と抜き差しのフィルターが使えます。


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2013年5月23日 (木)

カメラレンズ用フォーカサー -2:QSI他用

Lsf_cm4


今回ご紹介するのは,QSI製の冷却CCDカメラ用として作ったものですが
基本的な構造は,先にご紹介したStarLightXpress用と同じで
ステージ上に乗ったカメラが移動します。

QSIのカメラとの接続部はM42P0.75のいわゆるTネジなので
同規格のカメラなら接続できます。
ただこの部分に付加したスケアリング調整機能はQSI以外では
使えません。

Tネジ接続部の中心からステージ上面までが40mmなので
それに適合するカメラなら取付できます。

この仕様の場合,StarLightXpress製と共用することも可能です。

StarLightXpress製同様,80mmまでのカメラレンズを保持できる
レンズサポート付きです。
マウント交換式で,カメラレンズ(EFのみ)以外も接続できます。

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カメラレンズ用フォーカサー -1:StarLightXpress用

Lsf_1

過去にカメラレンズ用フォーカサーを頒布していましたが
その後も再頒布のご要望をいただいているので,10台ほど製作しています。
今回製作するのは以前のタイプから構造を大幅に変更しました。

中核となる駆動部に中古の光学用リニアステージを採用した事から
基本的にご予約いただいた数量分のみの製作となりますが
対応機種によっては,入手が比較的容易なステージを使うので
若干の作り増しは可能です。(FLI用に限っては追加は対応できません)


使用する冷却CCDカメラの外形から大きく分けて2タイプ作りました。
・カメラがステージ上で移動する,LSF-MCタイプ→主にStarLightXpress用
・レンズがステージ上で移動する,LSF-MLタイプ→主にFLI用

最初にご紹介するのはStarLightXpress用のLSF-MCタイプで
フィルターホイルとレンズサポートリング(外形80φまでサポート)付きです。

これはStarLightXpressのSXVR-H18やH694専用です。
手回し式ですが31.7mm枠付き5枚,または36mm枠無し4枚を準備します。
(フィルターホイールの蓋も付きます)

Lsf_cmf1

カメラがSXVR-H18,EFマウント,フィルター厚み3mmの場合
固定部と可動部の間隔は約5mmでピントが合いますが
この隙間の遮光は専用のスポンジを準備します。厚みはご指定可。

Lsf_cmf2

SXVR-H18,H694はカメラに付いたスケアリング調整プレートを取り外し
フィルターホイールに直接固定。ここでスケアリングの調整ができます。

Lsf_cmf3

 


次のタイプはLSF-MCタイプですが,レンズサポートとフィルターホールは付きません。
SXVR-H18などは純正のM42P0.75で接続するのでそれでスケアリング調整できます。

マウント部はEFマウントの他,M42P0.75やM72P1などが選べるので
直焦点撮影にも使えます。マウント部の撓み防止の観点から
カメラ後部に付けた保持リングとトッププレートを併用するシステムです。

Lsf_cm1

Lsf_cm2
 
 

多くの構成部品は共通仕様なので,ベースプレートを短いタイプに変えれば
フィルターホイールタイプをレンズサポート無しにもできますが
その場合は構造上撓み防止のプレート類は使えません。
 


今回紹介したStarLightXpress用はごく僅かですが余剰があります。
また比較的入手し易いステージを使うのでご要望が多ければ作り増もできます。

興味のある方はHPからお訪ねいただけると幸いです。簡単な資料をお送りいたします。
価格は仕様によりますが65,000円~95,000円(フォーカスコントローラーは別途)です。


使用するリニアステージは全て光学測定機などから取り外された中古品で
2相のステッピングモーターに交換するなどの改造を行っています。
以下は代表的なステージの仕様です。

・耐荷重 :10kg
・分解能(Full/Half) :5μm/2.5μm
・繰返位置決め精度 :±0.5μm以内
・バックラッシュ :±0.5μm以内
・運動の真直度:1μm以内
・運動の平行度 :5μm以内
・ピッチング/ヨーイング:20''/15''以内
・モーメント剛性 :ピッチ0.08/ヨー0.07/ロール0.03[″/N・cm]

上記の内,特記すべきは運動の真直度,平行度で
数μm以下はピント合わせ時の視野の移動がほとんどないことを意味しています。


このフォーカサーはピント合わせのメカニズム上
バックフォーカスが厳密な光学系では,メインのピント調整装置でピントを合わせた後に
極僅かな(0.1mmほど)追い込み用として使用する事をご推奨します。

カメラレンズでは本来のボディを使い,レンズを∞位置に固定した状態で使用します。
ただ,カメラレンズのバックフォーカス(EFの場合44mm)は光路に厚い光学フィルターが
入るとその影響を受けるため,調整した方が良い場合もある模様です。
このフォーカサーはバックフォーカスを大きく変化できるので
最良のポイントを選ぶ事も可能です。


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2013年5月13日 (月)

赤道儀の追尾テスト

B13_05_131

先日もご紹介しましたが,最近は晴れれば赤道儀の追尾テストを行っています。
従来は眼視で行っていましたが測定データを定量的に把握できるよう
ガイド鏡などを固定した上で,PHD-Guidingの追尾グラフを残すことにしました。

赤道儀の追尾精度は赤道儀そのものの精度によるところが大きいのですが
後付モーターの場合,その伝達ギヤの精度(主に軸の偏芯)も影響します。
写真のH-40用などとして販売しているAMD-1は
高精度のギヤを採用していますがその評価も行えるのでデータを残すと便利です。

先週までに5~6台の計測を行ったので幾つか紹介いたします。

先日シンチレーションの記事で紹介したのは自宅観測所の五藤光学MXⅡです。
このクラスの標準的な±5秒角程度のモーションがありますが
なめらかなサインカーブを描くのでガイドは安定します。


下のグラフは同じく五藤光学のMark-Xです。
これは±10秒角程度ですがこれも標準的な値でしょう。

Mx1_1

 

これはPENTAXのMS-4のグラフです。メーカー公称値の±7秒角ほどですが
以前所有していた固体はこの半分ほどでしたので特に優秀だったのでしょう。
これもなめらかなサインカーブです。

Ms4_ka_ss_240mm


最後は写真の高橋製作所製H40赤道儀ですが±5秒角ほどで
MXⅡより優秀かも知れません。
あまりに精度がいいので荷重をかけたりして何度も計測しましたが
間違いありませんでした。ギヤの精度も全く問題ないようです。

H40_13


ところで最後の例のようにPモーション±5秒角の高精度赤道儀でも
ガイド鏡と同じ240mmのカメラレンズでは3ピクセル星がずれます。
(ガイドカメラと撮影カメラのピクセルサイズがほぼ同じとみた場合)

通常のポータブル赤道儀で±5秒角の精度など到底期待できませんが
3ピクセルもずれると微光星は延びて写ります。
200mmの望遠レンズでピクセル等倍でも星を丸く写したいなら
ガイドは必須であることを改めて実感しました。

周期の大きなカーブに小さい振幅が重なっているのは
安価なPM型モーターを採用した機種で発生しているようです。
MXⅡやMS-4のハイブリッドタイプに対して
安価なPMモーターを採用したMark-XとH-40は小さな振幅が重なっています。
同じ赤道儀で両者を比較してみるのもおもしろそうですね。

測定条件は前回と全く同じです。


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2013年5月 8日 (水)

シンチレーションとガイド精度

Mx2_4


グラフはPHD Guidingを使ってピリオディックモーションの測定を行っている状況です。
グラフの左側は両軸ともガイドを行っていない状況ですが
昨夜はシンチレーションが悪く,僅か240mmのガイド鏡でもこんなに揺れています。
Y軸の1目盛りは約4秒角なので,両軸ともP-Pで3秒角ほどの振れです。
(上記はPHD Guidingが1秒露出時のデーターを元にグラフに表示した値で
眼視で見た星像はこれより遙かに大きな揺れです)

試しに途中からガイドしてみましたが
赤緯側(赤色の線)はガイドしない方が安定しています。
シンチレーションを必死にガイドしようとして,かえって悪くなっていますが
赤道儀のレスポンス(特に赤緯)ではシンチレーションは到底追えないからです。

ガイド中のグラフを眺めていると,時折ハンチングを起こしています。
これは制御ゲインを下げたりサンプリング周期を長くするなどの調整を行えば
ある程度改善できますが,制御(ガイド)しないときより良くなる事はないので
このような環境下での撮影時は赤緯のガイドは切った方が賢明でしょう。

測定条件
ガイド鏡の焦点距離:240mm
ガイドカメラピクセルサイズ:4.65μm
Y軸の目盛り間隔はCCDの1ピクセルなので
0.00465/240mm=0.000019166,tan-1 0.000019166*3600=約4秒角となります。
測定対象赤道儀のPモーションは±5秒角程度です。

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