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2013年12月

2013年12月31日 (火)

2013年はポータブル赤道儀の年でした

B13_12_31

2013年も今日で終わりですが
今年は2012年から始まったポータブル赤道儀ブームが
そのまま続いた1年でした。

2012年の夏に海外遠征用として企画したポータブル赤道儀のGF50や
他社製ポータブル赤道儀の極軸設定用として開発した
XY50やXY50Dが予想を上回る好評をいただきました。

GF50は50台(計画の限定数量)で生産を終了しましたが
XY50(XY50D)は1年半足らずで累計出荷台数は400台ほどに達しています。

また,旧型の赤道儀の改造や専用のモータードライブ(AMD-1)も好調でした。
タカハシのH-40用は専用のXY50-35Hも含め50台ほど出荷しています。
 

来年以降もこのブームは続くと思われます。
来年も引き続き改造を主体としますが,従来は構造上の理由で改造を
お断りしていたタカハシ製P型赤道儀(写真手前の左端)や
スカイメモP(写真奥の右端)なども改造をお請けする予定です。

 
 


実は個人的にはガイドしないポータブル赤道儀では
50mm程度までが完全な追尾の限界でそれ以上はガイドが必須と思っていました。
流れた写真を量産するより,完全に追尾した写真を撮りたかったからです。

ところが先日のモンゴル遠征では350mmでもほぼ満足な写真を得られ
考え方を見直しています。これなら100mmは完全な追尾ができそうです。
露出時間が以前の銀塩と比べると1桁違うので当然かも知れませんね。

星が流れないのはPモーションだけではありませんが
±10秒角程度の精度を誇る赤道儀なら300mmほどでも使えそうです。

先日から350mmで3分間,ノーガイドで撮影した写真を紹介していますが
撮影天体の緯度が比較的高い対象でした。
薄雲で作品にはなりませんがオリオン中心部を撮った写真を紹介します。
ほぼ天の赤道儀付近ですが,4カットとも満足行く追尾です。

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改造の場合,スケジュールなどでご迷惑をおかけする事もありますが
来年も本年同様よろしくお願いいたします。

(以前ご案内しておりました,Mark-X用AMD-1はモーターレイアウトの都合で
アイドラーギヤを使用しますがその精度の問題等で開発が遅れております)

写真奥左側のスカイメモP型赤道儀は委託販売品です。
AMD-1駆動なので南天でも使えます。
自作品ですが専用の丈夫なアルミ三脚など付属しています。
ご希望の方はメールでご連絡ください。フルセットで68,000円です。


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2013年12月30日 (月)

PROMINAR500mmF5.6FL用2点保持バンド

B13_12_30


PROMINAR500mmF5.6については何度となくこのブログで紹介してきましたが
最近はその性能が広く認知されたようです。
知人のブログ「星の牧場」にアップされた素晴らしい写真とコメントからも
その性能をご理解いただけるでしょう。
 

このPROMINAR500mmF5.6は,マウントアダプターを併用することで
350mmF4など天体用として魅力的なスペックになりますが
本体とマウントアダプターの接続部はニコンFマウントを採用しているため
この部分でガタつきが発生するとの情報が寄せられています。

そこで,このガタつきの排除と通常の望遠鏡のように
2点固定できるバンドを製作しました。
前後のバンドは中心軸が合っているのでマウントアダプター部に余計な応力を
与えず固定できます。

このバンドは2個セット販売となりますが,リア側のみの単体販売も行います。
発売開始は2014.1月末で,価格はセットが19,500円,リアだけの場合6,500円です。


また以前ご紹介してした,マイクロフォーカスアジャスター
PROMINAR専用として近日中に発売予定です。


今年も残すところあと1日になりましたが,今月初めにお休みをいただいたので
年末・年始も休まずに営業いたします。
在庫分に限りますがネット銀行などでご入金が確認できれば
2~3日で出荷しますのでよろしくお願いいたします。


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2013年12月24日 (火)

H-40(スカイキャンサー)ガイド鏡アイテム

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H-40やスカイキャンサーのガイド鏡を再利用するアイテムについては
以前のブログで紹介していましたが
ご注文いただいたお客様へは本日までに全て出荷しています。

ごく僅かですが余剰がでたので再度ご案内いたします。

写真の白い方がH-40用ガイド鏡(一部改造)で2個のバンドで固定するので
バランスが良くなります。
また黄色いスカイキャンサー用は台座が付いているのでバンドは1個で固定します。
基本は2個セット販売ですが,キャンサー用として1個でも販売いたします。
(バンド1個の場合は,台座とバンドの高さ調整するプレート付きで4,000円)

これらの24.5mmスリーブにQHY5LⅡなどを付けるためのCマウントアダプターも
極少量在庫があります。
バンドもCマウントアダプターも在庫限りで再製作の予定はありません。

H-40ガイド鏡用バンドは完売しました。ありがとうございました。2014.1.13追記
Cマウントアダプターは完売しました。ありがとうございました。2014.1.19追記

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ペンシルボーグを使った小型ガイドシステムと並べてみました。
ペンシルボーグ関連は通常商品なので当面販売を継続いたします。
鏡筒を固定するバンド,Cマウント部のバンド,Cマウントスリーブの3点セットで
10,000円となります。
ガイドカメラがQHY5LⅡやSX LodeStarなどCマウント接続のカメラで使用できます。

 

ところでH-40やスカイキャンサーのガイド鏡,それにペンシルボーグは
光学性能が高いので微細チップのガイドカメラでも星像が小さくなります。

下の写真のように,タカハシ製4cmファインダー(F4)でも試してみましたが
色収差などで星像はポッテリしておりその差は歴然でした。
やはりタカハシ製と言えどもF4のファインダー用レンズでは無理がありそうです。
(ファインダー用はピントが出るよう鏡筒を切り詰めています)

現行のタカハシ製GT-40はH-40用などと同じく高い光学性能です。

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2013年12月15日 (日)

モンゴル遠征-6  ラブジョイ彗星と流星

以下の写真は,今回のツアーを企画してくれた韓国の知人の撮影ですが
夜空を見上げて楽しむ雰囲気がよくでていますので,ごらんください。


Lovejoy4yu

今日はふたご座流星群の極大日ですが
遠征した12月5日頃もふたご座流星群が流れていました。
空が暗かったこともあり散在流星も含めたくさん見られました。

Lovejoy22

ふたご座流星群と思いますが短い露出時間に飛び込んでいます。
ラブジョイ彗星とのスナップ撮影を撮るつもりだったと思いますが
流星が飛び込み花を添えてくれたようです。


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2013年12月13日 (金)

モンゴル遠征-5  ラブジョイ彗星

B13_12_131_2


撮影データ
EOS 5DM2(IRカット改造)PROMINAR500F5.6→350mmF4,ISO1600 180秒
JPEG画像5枚コンポジット,50%縮小後トリミング
H-40赤道儀(改造)+AMD-1で自動追尾 クリックで拡大します。


モンゴル遠征は彗星撮影が目的だったのに
その結果の紹介が遅くなりましたね。

遠征後最初の記事でも触れましたが
12月5日のラブジョイ彗星は尾が激しく変化していました。
できればこの変化を学術的な記録として残せないかと考えましたが
画像処理が苦手なもので,知人にお願いしています。

それができるまでのつなぎ?として12月6日のラブジョイ彗星をご紹介します。
フラット処理もせず,連続したJPEG画像を5枚コンポジットしただけですが
空が暗いので何とか紹介できる程度の写真になりました。
彗星のディテールを表現するには不利ですが,敢えて恒星で位置合わせを
しています。個人的には恒星が流れてない方が好きです。


写真はフルサイズ+350mmを少しトリミンググしていますが
この時の尾はこの画角からはみ出すほど長く伸びていました。


下の写真は350mmのノートリミングです。(25%縮小)


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2013年12月10日 (火)

モンゴル遠征-4 ちょっと一息 月齢1.1の月

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OLYMPUS OM-D+ZUIKO DIGITAL150mmF2,固定撮影,トリミング
クリックで拡大します。
 

12月4日夕方,西の空に沈む月齢1.1の月です。(月齢は12時の値)
日本では月齢1の月はなかなか見られませんがモンゴルでは
極低空まで澄み渡った空なので綺麗な月と地球照が見えていました。

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写真は今回の遠征で滞在した施設のリビングです。
床暖房が効いているので快適で,いつもはここで和んでいました。
撮影した写真や画像処理について語りあっているところです。

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ずっと寒そうな写真ばかりでしたので今日は少し暖かみのある内容にしました。
 


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2013年12月 9日 (月)

モンゴル遠征-3 機材

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引き続きモンゴル遠征についてですが今回は機材について紹介します。

もともと今回の遠征はアイソン彗星狙いだったことと
厳寒のモンゴルだったのでガイドや自動導入は行わないと決めていました。
確実に成果を出す意味でもシンプルな機材を選んでいます。


またアイソン彗星が無事に近日点を通過しても3~4等級と予想していたので
鏡筒も軽量で拡大撮影ができるプロミナーに決めていました。

赤道儀は約2kgのプロミナーなら余裕で搭載できて
短時間なら350mmでも追尾できるH-40にしました。何と言っても軽量です。

上の写真は,赤道儀が2.8kg,カーボン三脚が1.2kg,プロミナーが2kgなので
トータルで6kgです。
それでもそれらと防寒着などを詰めたスーツケースは22kgほどになりました。

 


B13_12_102
 


この写真は明け方のラブジョイ彗星が上ってくるまでに
星野写真を撮るための構成です。
プロミナーとはアルカスイスのクランプで簡単に交換できます。
レボルビング装置はマイナス30度の環境でも問題なく回転できました。

 


以下の写真はH-40赤道儀の追尾状況です。
先日ご紹介したようにH-40は350mmの焦点距離を満足に追尾しています。
H-40のPモーションの実測値は,±5~6秒角程度で
P-2や90S,EM-100などと同じ程度の精度です。
どれも5分程度なら,350mmは余裕で追尾しますが
今回はマイナス30度の環境でも安定して追尾しました。

3分露出の連続した6カットを並べていますが
ウォーム軸が約2回転する18分間,どのカットも満足の行く追尾が得られています。
(100%表示ではガイドエラーが解りますが50%に縮小では殆ど解らないレベルです)


日頃Pモーションの実測は行いますが,このように実際のフィールドで
検証することは少ないので,モーションと撮影結果の評価に役立ちます。

今回のH-40やP-2など,±5~7秒角の追尾精度があれば
350mm,3分露出なら連続した全てのカットで流れることはないでしょう。


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【クリックで拡大します】

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2013年12月 8日 (日)

モンゴル遠征-2 観測地

昨日は遠征結果の速報でしたが今日は遠征先の観測地を紹介します。

今回の遠征はモンゴルの首都ウランバートルまで航空機で行きましたが
空港を出たとたん煙りの臭いに驚きました。街全体が煙に霞んでいる感じです。


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市街地にある火力発電所からの煤煙?と思いましたが
どうも民家で焚いている石炭ストーブが原因のようで息苦しく感じました。


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観測地はウランバートル市内から車で1j時間ほどのゾーンモドと言う街の近くです。
ウランバートルから30kmほどしか離れていないので煤煙の影響を心配しましたが
間に1500mmほどの山があるためかその影響は全くありませんでした。


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ここが滞在したところで今回のモンゴルツアーを企画していただいた
韓国の知人が何度となく利用している施設です。
全室床暖房が完備されているので滞在は快適でしたが
何といっても東西南北方向に伸びたコンクリートで舗装された路面?は
まさに赤道儀を据えるために作られたのかと思うほどです。
写真は北方向でこの先がウランバートル市内です。


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こちらは東の方角ですが
全方向ともほぼ地平線まで見渡せる素晴らしいロケーションの観測地です。
真東に伸びるコンクリートの路面が映っています。

(観測地の写真はクリックで拡大します)


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2013年12月 7日 (土)

モンゴル遠征-1 速報

遠征中はご迷惑をおかけいたしましたが本日遠征先のモンゴルから帰国しました。
アイソン彗星は残念でしたが代役のラブジョイ彗星や冬の星空を堪能できました。

下の写真は厳冬のモンゴル平原で撮影した上るオリオンとヒアデス星団です。
モンゴルではオリオンが上る頃,ヒアデス星団はその真上に見えます。


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撮影データ
EOS 5DM2(IRカット改造)SAMYANG35mmF1.4→F4,ISO1600 180秒×1枚
H-40赤道儀(改造)+AMD-1で追尾,ソフトフィルター使用,クリックで拡大します。


期間中の撮影は全て改造したH-40赤道儀で行いましたが
マイナス30度ほどの環境下でも安定して追尾してくれました。
単三電池(リチウム)3本で,夕方から明け方のラブジョイ彗撮影までの12時間
3夜連続で追尾できたのには驚かされました。


マイナス30度の環境下では機材は結露して写真のようになってしまいます。


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今回はアイソンの代役となってくれたラブジョイ彗星の撮影がメインとなりましたが
以下はその一コマです。
焦点距離350mm(3分露出)での撮影ですが,上記のように極めて過酷な状況でも
H-40赤道儀は全てのコマで満足な追尾(ピクセル等倍で流れがわかる程度)でした。


B13_12_072

撮影データ
EOS 5DM2(IRカット改造)PROMINAR500F5.6→350mmF4,ISO1600 180秒×1枚
H-40赤道儀(改造)+AMD-1で追尾,ピクセル等倍,クリックで拡大します。

尾の一部に変化が見えますが,3分毎の撮影でその動きが明確に確認できました。
1夜当たり40枚ほど撮影しているのでGIF動画にできないか検討中です。
追尾不良のコマがあると動画は難しいと思いますが見たところ全て使えそうです。


それから遠征の目的だったアイソン彗星の残骸でも検出できればと思っていました。
ただアイソン彗星の方向にはそれをかき消してしまうほどの黄道光が見られた事と
ラブジョイ彗星の撮影システムからの変更は容易ではなかったので断念しました。
単にレンズや霜防止用のヒーターを変えるだけですが
マイナス30度の環境下,短時間ですますのは容易ではありません。

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