撮影側とガイド鏡の焦点距離について
昨夜の記事でMS-4の素晴らしい追尾状況を紹介しましたが
一番上のグラフなどと比較すると小刻みなふれが小さくなっています。
小刻みなふれは殆どがシーイングの影響によるものですが
その日の状況で大きく変わり,日によっては±2~3秒角ほど揺らいでいるようです。
以下のグラフは途中からオートガイドした例で(以前紹介したMark-X赤道儀の例)
ガイドを行うことでPモーションは綺麗に打ち消されていますが
シーイングによる揺らぎはは取れていません。
グラフの1目盛りは約5秒角なので*
その量はP-Pで約2角ほどのようです。(当然ですが赤緯側も同様に触れています)
(*昨日のグラフとはピクセルサイズが異なるカメラを使っています)
このグラフは焦点距離240mmのガイド鏡+SX SuperStarで計測しましたが
このようなシーイング下ではこれ以上長いガイド鏡を使ってもガイド精度は
上がらないと感じます。
よく焦点距離○○mmの望遠鏡で撮影したいけど
その場合,ガイド鏡の焦点距離はどれほどにすべきか?とのご質問を受けますが
昨夜のようにシーイングが良好な場合でも±1秒角は揺らいでいると思うので
ガイド鏡の焦点距離は240mmのあれば充分でそれ以上は意味がないようです。
この条件でガイドのメカニズム上の制御性は±1秒角より遙かに小さいようですが
全てはシーイングに支配されているでしょう。
このような時はガイドの設定を幾ら変えても改善は望めないと思います。
(制御ゲインを落としてハンチングを防止するには有効です)
やはり日本のように大気の揺らぎが大きいところでは
シーイングキャンセラ-(AO)がないと1秒角オーダーのガイドはできないでしょう。
ちなみに焦点距離500mmの場合,ピクセルサイズ5μmの画角は2秒角となるので
星像を極める場合,500mm程度での撮影がガイド鏡ガイド?の限界なのでしょうね。
ここでは大気の揺らぎをシーイングと表現しましたが
シンチレーションと呼ばれる場合もあるかと思います。
本来シンチレーションは星の「またたき=明るさの変化」を意味する用語なので
ここでは星の「揺らぎ=角度の変化」をシーイングと表現しています。
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