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2014年4月12日 (土)

スカイグラフ赤道儀の修理

B14_04_081

知人からの依頼などで3台のスカイグラフ赤道儀を修理(改造)しています。
2台は電気系,1台は機械系が壊れていましたが
写真の左に写っている個体はまだ手を入れていないオリジナルの状態です。

一番右は機械系の故障で完全に分解しています。
(本来ウォームホイールと極軸は接着されているので
写真の状態まで分解できませんがこの個体はこの接着部が緩んでいました)

電気系故障はロジックICの不良なので修理は簡単ですが
そのまま直すだけでは南半球では使用できないうえ12Vの電源が必要です。

そこで1台はAMD-1の駆動回路や電池も内蔵する改造を行いました。
写真中央のものですがモーターや伝達ギヤも変えています。
このギヤ比が108:75なので100枚(ホイールの枚数)×108/75=144となり
144枚系の赤道儀と同じ回路で駆動できます。

ただこの改造はサイズの異なるモーターに入れ替えたり特注ギヤを作るなど
大変な手間とコストがかかっています。

そのため2台目はモーターや伝達ギヤを変えずに修理しました。


B14_04_082

先に書いたとおり,この赤道儀のウォームホイールは100枚ですが
純正はそれを76:20と68:18の減速ギヤ経由で駆動しており
総合ギヤ比は100枚×76×68÷20÷18の1,435.555・・・になります。

中途半端な数値のようですが,これも以前ご紹介したスカイメモP同様
減速ギヤ比で恒星時を作っています。
1RPMのモーターで駆動すれほぼ恒星時になります。(正確には0.03%ほど遅い)


実はこのことが修理には大変便利で
恒星時を作るために特殊な周波数の水晶が必要ありません。
分周すれば60.000Hzになる既製品の水晶(6.308MHz)がそのまま使えます。
ネットで1個100円ほどでした。

ついでにモバイル電池が使えるようステップアップ回路を内蔵したので5V駆動です。
また南北切り替えやオートガイド機能も取り込んでいます。

5V駆動時の消費電流は150mAほどです。
(励磁シーケンスを変えるので電流・駆動音とも小さくなります)
3,000mAh(at3.7V)程度のモバイルバッテリーで15時間ほど駆動可能です。

色々書きましたが内容の殆どは備忘録のようなものです。
スカイメモPの件も記事に残していたから後から参照する事ができました。


なお,この修理(改造)に使う材料は余剰があるので故障でお困りの方は
ご予約いただければご対応させていただきます。

紹介した内容での修理(改造)費用は赤道儀のオーバーホールを含み
25,000円ほどで,本年8月頃1回のみ実施予定です。


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