フォーカサー用ステッピングモーターのバックラッシュ
このところフォーカサー関連の記事が多いのですが
今日はフォーカサーに採用するステッピングモーターのバックラッシュについて
少しだけ考察(私論?)を書いてみます。
今回取りあげるステッピングモーターは,写真は左から
1.リニアステージ駆動用(ギヤヘッドなし)ハイブリッドステッピングモーター
2.ハーモニックギヤ付ハイブリッド 〃
3.バックラッシュ調整ギヤ付ハイブリッド 〃
4.スパーギヤ付ハイブリッド 〃
5.スパーギヤ付PM型 〃
以上で並びの順にバックラッシュが増えます。
1と2は基本的にバックラッシュは「0」で
3は0.2度,4は1度,5は3度ほどです。(何れもモータ出力軸において)
仮に一回転で25mm駆動するラック&ピニオン式のドローチューブを
これらのモーターで直動した場合,計算上は
3のモーターで14μm
4のモーターで70μm
5のモーターで210μm
のバックラッシュが存在します。
一方ピント合わせに必要な精度は,光学系のF値やシャープさのほか
シーイングなども影響しますが,F3程度で30μmほどと感じています。
これについては,ε-180EDで極めてシャープな星像を要求される知人も同意見で
30μmピント位置を変えた場合,どうにかピントの変化を感じるようです。
大まかな目安はF値×10μmが検出限界でしょう。
そうなると,上記のモーターの場合,1,2,3は
モーターに起因するバックラッシュは考慮しなくて良いことになり
実際に3のギヤ付モーターをTOA-150でテストした際は存在を感じませんでした。
(ドローチューブには抜ける方向の荷重がかかったままでのテスト時)
さすがに4や5のモーターではバックラッシュは無視できませんが
一方向からピントを追い込めばあまり問題とはなりません。
1(リニア駆動装置とセット)と2は大変高価なので
アマチュア用では使われないと思いますが
3のモーターはFSQ-106EDなど用に採用しご好評を得ています。
4は先日から紹介している汎用のフォーカサーに採用します。
5は大変安価なので一般的なメーカー製フォーカサーで使われています。
今回の記事はあくまでもピニオン軸をモーターで駆動する場合ですが
ハンドル1回転での駆動量が小さいクレイフォード式は条件が良くなります。
また途中に減速機が入るとモーター軸のバックラッシュはトータルでは
軽減されるので,先日からご紹介しているフォーカサーは1/3ほどに減速しました。
手動であれ電動であれ人間の感覚でピント合わせする場合
バックラッシュは厄介な存在ですが,天体撮影もオートフォーカス時代です。
オートフォーカスは使った事がないのでその精度は知りませんが
バックラッシュは自動で補償されるので気にすることはないでしょう。
問題はオートフォーカスに頼らずに自分の感覚でピント合わせする場合で
その際はバックフォーカスの存在を認識しなくてはならないようです。
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