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2014年9月

2014年9月28日 (日)

RH-200のスケアリング調整方法

RH-200のスケアリング調整を行いましたので,ご使用いただいているお客さま
への情報提供や私自身の備忘録も兼ねて紹介します。

スケアリング調整はフォーカスモードで行う事は先に紹介しましたが
その場合,モニター4隅の画像がCCDのどこに対比するかを調べると便利です。
当然ですが,互いの位置関係は冷却CCDカメラの回転などで変わるので
それを明確にしてから調整しないと,やみくもな作業となるので大変です。

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対比を確認する方法は他にもあると思いますが,私は写真のように四箇所に
1~4個の穴を開けた厚紙をフィルター部に入れて撮影します。
そうすると以下のような画像が得られので
モニターの特定のコーナーに対するスケアリング調整箇所が解ります。

厚紙は,第一,第二,第三,第四象限の順に,3,2,1,4個の穴ですが
モニター上では同順に,4,3,2,1個が写っています。

つまり,モニターの第一象限(右上)は4個写っているので
CCDカメラ側は4個の穴がある第四象限(右下)と対比していることになります。

実際の調整は各コーナーに設置された4対の押しネジと引きネジで行いますが
押しネジはロック用なので,調整作業は引きネジだけで行えます。
光軸調整同様にスプリングで押されているので調整は容易です。
(黄色い○で囲んだもので,大きい方が引きネジ,小さい方はロック用の押しネジ)

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下の写真は,この方法で調整した結果で上段が写野中央,下段が左下です。
(画像は4,096*4,096Pixelの内,1200*800Pixel切り出したPixel等倍で
STX-16803のL画像(ノーフィルター),処理は行っていません)

昨夜は時間の都合で全てのコーナーで最良の調整はできなかったので
RH-200の性能が伺えるよう,一番良好なコーナーをアップしました。


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2014年9月27日 (土)

RST-400 1号機入荷

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商品としては最初となるRST-400が入荷しました。
RST-400はPモーションの実測データー(超高精度エンコーダーで計測)が
添付されますが輸送中の不具合がないかを確認する意味で実測します。

なおRST-400は±2.5秒角以下の追尾精度を保証していますが
これは機械的な基本精度で
PECによる補償ではないのでオートガイダーとの干渉もありません。


メーカーのRainbow Astro社からは実際のRST-400と同じ
コントローラーやモーターが組まれたテスト装置を借りているので
お客さまからの操作に関する問い合わせなどは
手元のテスト装置を使って迅速に確認がきます。
またアフターサービスについても,機械系,電気系ともに修理や調整を
日本国内でも行える体制を整える予定です。


写真は25cmF3.6のアストロカメラ(AG10,フォーカサー以降は未装着)を
搭載していますが写真の状態でバランスが取れています。
重たいカメラを付けても上段ウエイトの調整範囲で対応できそうです。
25cmの鏡筒があまり大きく感じられないほどですが赤道儀の重さは24kgです。


RST-400はP5精度のアンギュラベアリング(日本製)を採用していることは
先に紹介しましたが,実際に鏡筒を搭載すると驚くほど滑らかな回転です。
ガイドのレスポンス(特に赤緯側)がいい事は以下の写真で解ると思います。

C14でM27を撮影(ナローバンド)していますが
シュミカセと言えども35cm4,000mmを完璧にガイドするのは難しいことです。


M27_3ha7os_ha_o3_o3_16bit_ps_1_2

近いうちに2台目も入荷予定ですが,次は実際に撮影テストも行う予定なので
またご紹介いたします。


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2014年9月26日 (金)

RH-200 やっと2回目の試写

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写真は,自前のRH-200の試写結果ですが
5月に抜き差し式のフィルターができて以来初めての撮影です。

RH-200は恒星を見ながら眼視で調整できるので光軸調整は至って簡単です。
焦点内外像を確認しながらの調整は
操作量に対する像の変化が敏感な上,わかり易いので30分もあればすみます。

ただ像面の傾き(スケアリング)は試写しながら
(フォーカスモードで4角の星像を見ながら)になるので少し時間がかかります。
昨夜はこの調整を行う予定でしたが22時頃には曇られました。

スケアリング調整を行う前の写真なので角の星像はリング状でした。
掲載した写真は中央部の40%(面積で)をトリミングしていますが
さすがに600秒×3枚では荒れています。(STX16803+Haフィルター)


RH-200は最近2本のご注文をいただき,通算で10本目になりました。
納期ではご迷惑をおかけしておりますが
購入された方には高い性能や扱いやすさに満足いただいています。

自前のRH-200はなかなか本来目的の撮影はできていませんが
入荷した個体の星像比較(全品眼視で確認しています)用として
活躍しているのでこれはこれでいいでしょう。

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2014年9月25日 (木)

PTP-C2専用赤道儀アタッチメントについて

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小型赤道儀用Carbon三脚のPTP-C2は,色々な赤道儀を搭載できるよう
各種アタッチメントを準備中ですが,先日ご紹介したとおり
台座部の構造やサイズを変更したので搭載できる赤道儀が多くなりました。

写真はビクセンGP赤道儀(極軸のみ)を搭載していますが
ご覧いただければ三脚の大きさを実感いただけるでしょう。
40φのカーボンパイプなので,通常のカメラ用三脚とは次元が異なるものです。
また,開脚角度を大きくとっているので見ただけで安定性を実感できるでしょう。

現在作成中のアタッチメントは以下の赤道儀用です。
・タカハシP-2用
・ビクセンGP/SP系用(60φ)
・ビクセン新規格用(40φ)
・タカハシEM10/11用
・UNC3/8,100mm延長筒(早期ご予約特典対象分には標準付属)
・UNC3/8標準プレート(これのみPTP-C2に標準付属)

PTP-C2と各種アタッチメントの接続部は65φで,アタッチメントは
ここに落とし込んで使用しますが,XY65と,PTP-C2対応のXY50Dは
UNC3/8接続を行わず,そのまま落とし込んで接続できます。
価格は対応機種により異なりますが,6,000円~9,000円ほどを予定しています。


下の写真はEM-10+71mm写真鏡をPTP-C2に搭載した例です。
一般的な海外遠征の標準的な機材と思いますが
PTP-C2はこのような構成での遠征にベストマッチでしょう。
広角レンズで撮影するポータブル赤道儀にはオーバースペックかと思います。

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PTP-C2は50本限定で製作していますので,アタッチメントも見合う数量の生産です。
対応機種にもよりますが10~20台分程度となるので完売時はご了承ください。
(既に20本ほどはご予約いただいておりますが
今後予想を上回るご注文をいただいた場合は,第三ロットも視野に入れています)

今回紹介したPTP-C2は試作品なので,商品とは一部仕様が異なります。
また写真で使ったアタッチメントはイメージ用に作成したもので
製品は三脚と同じ表面処理を行った黒色になります。


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2014年9月24日 (水)

AMD-2の駆動速度について

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AMD-2の駆動速度については以前のブログで紹介しましたが
ガイド撮影用を想定しているので基本追尾速度は恒星時(理論恒星時)のみです。

恒星時駆動のみですが私は日食観測でも何ら問題ないと考えています。
両者の差は僅か0.3%なので,昼間に行う据え付け誤差の影響の方が
はるかに多いと思えるからです。


恒星時駆動以外はガイド用の0.5倍速と構図変更用の32倍速を備えています。
(32倍速はオプションのハンドコントローラーが必要)

この0.5倍と32倍速は,誤操作を防ぐ目的で切替えスイッチは付けていません。
単純に,どちらか操作した信号で駆動速度が変化しますが
余計な速度切替えスイッチがあると,切替えを忘れてキャリブレーションエラーに
なりかねませんからね。

それと,有線になりますがハンドコントローラーのケーブル(RJ11)は延長できます。
いちいち速度を切替えなくていいので離れた車内などから構図の変更も簡単です。

なお,32倍速側と0.5倍速側は同じインターフェースなので
どうしても手動ガイドを行いたい時はコントローラーを0.5倍速側に繋げば可能です。
逆に,32倍速側にガイドケーブルを繋げば
ガイド信号が正しくAMD-2に入っているかの確認テストに使えます。


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最初の写真はMark-X極軸体をPTP-C2(試作品)に搭載しています。
XY65との組み合わも含めてベストマッチングではないでしょうか?


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2014年9月22日 (月)

PTP-CarbonからPTP-C2へ

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7月に再販をご連絡していましたPTP-Carbon三脚
さらに大きな強度を手入れるため台座部の構造を大幅に変更しています。
それに伴い,当初9月末出荷開始予定でしたが12月末に変更させていただきました。

三脚の強度を評価する上では,撓みや振動(ブレ)などが大きな要素ですが
台座部の「ガタつき」も見逃せません。
初代PTP-Carbonではそれを排除するため,3ヶ所に押しネジを配置しました。

ただ赤道儀のクランプでもいえる事ですが
このような構造体を確実に固定する方法はスリ割り締め付け方式です。
XY50などでも採用していますが,ガタつきがなくなるだけでなく
固定する側とされる側が一体構造となるので強度が大幅に増します。
特に接続部にモーメント荷重がかる延長筒の併用時は大きなメリットです。


そこで製造メーカーに相談した結果
今回のロットからスリ割り固定式に変更できました。
同時に,肉厚やカーボン脚の固定部のサイズを大幅に大きくしています。
さらに開脚部金物へのカーボン筒の差し込み深さまで増しました。
この台座をマニシングセンターで無垢材から削り出すのですから高い技術力です。

これら台座部の仕様変更で初期のPTP-Carbonから
300gほど重量が増しますがそれでも1,600gほどです。
この重量アップはより大きいポータブル赤道儀や鏡筒が搭載できるように
強度を優先した結果とご理解いただけると幸いです。
下の写真を見ていただければ一目瞭然ですね。


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構造が全く変わったので初代PTP-Crabonに対し,PTP-C2と呼ぶことにしました。
価格は変わりありませんが,台座部の構造を変えたので搭載できる赤道儀用の
範囲も拡大できる予定です。接続アダプター類も充実しますのでご期待ください。

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2014年9月21日 (日)

DS38第二ロットが入荷しました

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先月から欠品していた,天文用アルカスイス規格のクランプ(DS38)は
第二ロット分の200台が入荷しました。

このDS38は,カメラ業界標準のアルカスイス規格品をポータブル赤道儀など
天文機材で使いやすくするために商品化しましたが
5月の発売以来,4ヶ月弱で初期ロットの200台を販売できました。

天体望遠鏡用のDS45,65,80シーリーズと同じように
お客さまのニーズに合った商品をいち早く開発できたと思っています。


DS38は赤道儀取付用として標準化されたM8-P.C.D.35mmに対応しますが
M6とUNC1/4(カメラネジ)でも固定できます。
そのため,M8(低頭,12と16の2種),M6(皿),UNC1/4(皿)ボルトが
それぞれ2本付属します。M6とUNC1/4を皿ボルトとしたのは
M8ボルトが通る8.5φの穴加工を施しているので芯がずれないようにです。


現在,対応するアルカスイスプレートはDP38-110を商品化しています。
主にカメラレンズ用のフォーカサー(MFA-C**)や
QHY5LⅡMを使った小型ガイドシステム用ですが
近日中に鏡筒バンド(TB60~TB115)に対応するプレートを発売します。


さらにAMD-2と合わせて2軸ガイドを実現するガイドプレートも開発中です。
一言でいえば,赤緯修正機能を付加したアルカスイス規格のプレートですが
構造は先日紹介したスカイキャンサーの赤緯微動部と同じです。


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2014年9月20日 (土)

ビクセンSP-DX,GP-D用AMD-2について

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ビクセンSP用のAMD-2については先日のブログで紹介しましたが
SP-DXやGP-Dへの対応について多くのご質問をいただいています。

AMD-2は回路部とモーターを同一ハウジングに納めてケーブルの取り回しを
減らしていますが,一番の目的はコストダウンです。
アルミ削り出しのハウジングはメッキ処理まで含めると4,000円ほどかかります。
AMD-2に採用する小型のハイブリッドステッピングモーターはPM型に比べると
7~8倍ほども高価ですがハウジングを削減することで価格を抑えました。

ただ,モーターを内蔵した一体型のためSP-DXなどでは北側の高度調整ネジと
AMD--2のハウジングが干渉するので適合範囲外としていますが
メーカー純正のコントローラーは12Vが必要なうえ消費電流も大きいことから
(常時5Wほど消費)AMD-2対応のご要望が多いようです。

以上の事から,両軸のモーターは純正を使い回路部のみをモーターカバーに
固定する方法を検討しています。
(回路部は昨日紹介したスカイキャンサー用と全く同じです)
GP-D(GPでも可)では写真の位置に,SP-DXでは架台側面などに貼り付けます。

GP-Dの場合赤径側モーターへの配線はカバー内で直接
赤緯側へは短いケーブルで繋ぐので取り回しはたいへん楽です。
また,極望の視野照明光源(LED)も付くので純正のペンライト部に装着できます。


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AMD-2は16分割マイクロステップ駆動なので,純正のモーターを駆動した場合
恒星時駆動周波数は19PPSから8倍の154PPSになります。
消費電流が小さくなることもですが,惑星観測などではこのメリットも大きいでしょう。

写真は純正モーターの駆動テスト状況ですが消費電力は1.5Wです。
(電圧は3~6Vに対応します。5V時は約300mA,電圧が下がると電流は増します)
写真のモバイルバッテリーの容量は40Wh程度なので25時間ほど駆動できます。


このAMD-2は当面はご要望をいただいた方へのサンプル供給のみですが
来年には商品化する予定です。
価格は24,000円程度を予定しています。(ハンドコントローラーはオプション)
ガイドパック用は赤緯用ケーブルが分離し,ケーブルはオプションです。

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2014年9月19日 (金)

スカイキャンサー カスタマイズ全体像の紹介

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写真は2軸ガイド撮影を可能とした,スカイキャンサー赤道儀です。
スカイキャンサー赤道儀のカスタマイズについては先日紹介しましたが
高度・方位調整装置や三脚回りは具体的でなかったので改めてご案内します。

なお紹介するスカイキャンサーのカスタマイズは
既にご予約されているお客さま分で一旦終了しました。
お客さまへの情報源として記事にしています。


度々書いていますが,私が理想とするポータブル赤道儀は
撮影地での面倒な組み立てやケーブル接続が不要なことです。
可搬性を優先したとしてもモーターや極軸望遠鏡を現地で取りつける事は
面倒なだけでなく,予期せぬトラブルの原因になりかねません。


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このスカイキャンサー赤道儀のカスタマイズは正にその理想?に基づきました。
現地でのモーターや極望照明装置などへのケーブル接続は不要で
ガイドケーブルも写真のように最短で接続できます。
外部ケーブルの接続は電源とガイド用のUSBだけで即2軸ガイドが行えます。
(ケーブル取り回しに関してはEM-200などと変わりありませんが
2軸ガイドができるポータブル赤道儀としては強くアピールしたいです)

今回ベースとなった赤道儀はFC50用なので高度・方位調整装置はXY50Dを
改造しましたが,スカイキャンサーはXY50-35Hが対応します。
フルカスタマイズではXY50(XY50D)やカーボン三脚とのセットも準備しました。

今回改造に使ったFC50赤道儀は,いつも紹介するH-40に比べると
追尾精度が落ちるようです。
それでもPモーションは±10秒角強なので最新のポータブルと同程度でしょう。

以下のガイドグラフは,紹介する機材で実際に行った結果ですが
ガイドを行っていない前半(=最新の極軸のみのポータブル赤道儀相当)と
2軸ガイドした後半の差はこれほどです。
これでは,ガイド撮影を経験した人にとってはガイド無しは怖いですよね。

重さ3kg程度(XY50D含む)のポータブル赤道儀で
写真のような7cm fl350mmクラスを何分でもガイドできる赤道儀になるので
改造する価値は大きいと思います。


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写真では間に合っていませんが,駆動回路やギヤのカバーが付きます。
鏡筒搭載面には,アルカスイスクランプを接続できるプレートが付属します。


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2014年9月15日 (月)

WO Star71 F4.9の広いイメージサークル

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このところWO Star71関連の記事が集中していますが
今日は,13日の夜に試写した北アメリカ星雲付近のHa写真を紹介します。
(クリックで拡大。25%にリサイズ。レベル補正などは行っていますが
フラット処理や周辺減光補正は行っていません)

先日も冷却CCDで撮影した写真を紹介しましたが
マウント部でのケラレがあったのでマウントを作り直して撮影しました。
月が大きい時期なので早い時刻にL画像を,その後Haで撮影しています。


100%のL画像(ノーフィルター)はサイズが大きいのでここにアップしています。
(上のHaと同じ構図ですが上下が逆になっています)


撮影して驚いたのは,その広大なイメージサークルでフルサイズオーバーの
STX16803(約37mm角)のコーナーでも綺麗な星像で光量も豊富です。
試写では露出時間や撮影コマ数が少ないので
強引な強調処理を行っていますが殆ど周辺減光を感じません。

この鏡筒の周辺光量は,55φで90%と聞いていますが
STX16803(写野円52φ相当)での試写結果から間違いないでしょう。
PENTAX645Dでの撮影を想定した
ビクセンVSDでさえ55φで70%なのでそれを凌ぐ光量です。

私も含め,フラット処理が億劫な人には大変魅力的な鏡筒ですが
ここまで性能がいいと,より大きな口径を期待しますね。


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2014年9月14日 (日)

改造で採用する自動導入コントローラーについて

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SKY MAX赤道儀とEM-100赤道儀をFS2やMTS-3を使って自動導入改造した
例を紹介します。

従来の自動導入改造はAGSシリーズが主流でしたが
最近はLX-200コマンドやASCOMに対応したFS2やMTS-3が殆どです。
AGSシリーズを採用するのは,使用するモーターの高速特性やトルクの関係で
バイポーラ駆動のFS2やMTS-3では対応できない場合のみとしております。

AGSはユニポーラ駆動なのでバイポーラより高速特性が優れており
その事で大きな減速比を選定できるため
小型モーターでトルクが要求される場合に有利です。
限られたスペースで駆動系を入れ替える初代ATLUXや
小型モーターでないと交換できないNEW ATLUXで採用しています。

以下のEM-100などは外付けになるのでモーター選定に自由度がでます。
これらは今後特に指定が無い場合はFS2やMTS-3をご推奨しています。

なおEM-100やNJPなどは駆動系でのバックラッシュを排除するために
以下のようにベルトドライブも選択できます。
南北方向を僅かにアンバランスにすれば,赤緯側も赤径側と同じような
レスポンスを示すので安定したガイドが期待できます。

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初代ATLUXなど,恒星での追尾確認を行う一部の改造では
悪天候で対応が遅れておりましたが徐々に解消しております。
納品遅れでご迷惑おかけしておりますが9月中にはお届けできる予定です。

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2014年9月13日 (土)

WO Star71 F4.9フォーカサー改造について

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先日紹介した,WO Star71 F4.9の電動フォーカサーへのご質問をいただいたので
簡単に紹介します。

改造(といっても蓋への加工のみ)は下の写真のようにフォーカサーの蓋に
ステッピングモーターとコネクターの取りつけと相互の配線を行います。

モーターとフォーカサーの軸の接続はオルダム型カップリングを使いますが
このカップリングは分離するので,予め両方の軸に固定しておき
蓋をねじ込む事で連結されるようにします。

このとき,軸の長さが短いと届かず,長いとねじ込めないので
予めモーターシャフトを5mmほどまで切断する必要がありますが
切断が面倒でしたらモーターを10mmほど嵩上げしてもいいでしょう。

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今回は手持ちのカップリングを使いましたが
オルダム型カップリング(軸径5mm-4mm)は1,000円程度です。
モーターやコネクターも含め7,000円程度の材料費で改造できます。

作例で使ったステッピングモーターは28mm角のPKP223U09Bです。
2.3kgのSTX-16803でもトルクは問題ありませんが
さらに重たいカメラを搭載される場合は一回り大きい(長い)
PKP225U09Bの方が安心かも知れません。
 
なお1ステップでの駆動量は,実測で約5μm(1-2相励磁)駆動でした。

電動フォーカサーは冷却CCD撮影においては必須と思いますが
安価に改造できる点もこの鏡筒のメリットでしょう。
安価で簡単な改造ですがバックラッシュは極めて小さく優れた性能です。
ケーブル処理も含め「取って付けた」ような形にならないのもいいですね。

-- 追記 --------------------------------------------------------

今日は,すがすがしい秋空が広がっています。
このまま夜まで晴れれば,赤道儀の追尾テストの傍らに試写もできそうですが
晴れ間がもったいなので遠くの碍子に反射する太陽光で色収差を確認しました。
内像は紫に,外像は青の収差を感じますがその量は極僅かです。
さすがに比較したFC60には及びませんが写真に影響はないレベルと感じました。


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2014年9月11日 (木)

WO Star71 F4.9フォーカサーテスト

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先日WO Star71 F4.9のフォーカスモーターを紹介しましたが
久しぶりに星が出ていたのでテストしてみました。
テスト撮影はを始めた頃はまだ薄明が残っていましたが
その後30分ほどで曇ってしまったので詳しい評価まで至りませんでした。

1度だけピントを追い込んだ感想ですが
この鏡筒は予想どおり大変シャープで20μmの駆動でもピントの変化を感じます。
モーターを付けたフォーカサーはバックラッシュは皆無なうえ
写真のようにSTX-16803を付けてもカメラの重みで抜け出ることはありません。


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駆動量に伴う星像の変化を定量的に撮影するつもりでしたが直ぐに曇ったので
得られた写真を紹介します。
ピント合わせとは直接関係ありませんが,この写真はSTX-16803の最周辺です。
(クリックで拡大,100%表示,画像の右上が最周辺です。
3本の黒い筋が写っていますが,中央の筋付近がフルサイズの周辺相当です)

星像は36mm角フォーマットの周辺まで良好ですが,その光量は驚きです。
フルサイズフォーマットなら周辺減光は殆どないと言えるでしょう。
(鏡筒とカメラの接続はEOSマウントで,フィルターは装着せずに撮影しています)

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2014年9月 6日 (土)

スカイキャンサー赤道儀のカスタマイズについて

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ポータブル赤道儀の2軸ガイド関連記事が続きますが
本日はスカイキャンサーのカスタマイズについてご案内します。

昨日のMark-Xベースモデルは試作状態でしたが
こちらは既に受注分を製作しているので
AMD-2のハウジングは他のオリジナル製品と同じメッキ処理をしています。


スカイキャンサーのAMD-2(2軸電動駆動改造)も基本コンセプトは
昨日紹介したMark-Xと同じでケーブルの引き回しを最小限にすることです。
極軸望遠鏡の視野照明も別電源は使わずモーター電源から供給します。


これらを実現するため紹介する写真のように赤緯プレートの裏面に
駆動回路を配置しました。
やはり変?な位置ですが,こうすると,赤緯モーターは回路から直結
赤径モーターと照明装置は赤緯の回転分のみ余裕が必要ですがほぼ直結です。
ガイドカメラも10cmほどのガイドケーブルで接続できます。
さらに,Mark-Xと同じようにバランスシャフトにモバイルバッテリーを巻き付ければ
全てのケーブルの引き回しはなくなります。

QHY5LⅡと50~75mmのCマウントレンズでガイドすれば
駆動回路付近に取りつけたままでいいので,最終的に外部と接続するケーブルは
QHY5LⅡとパソコン間のUSBケーブルだけです。


ところで,昨夜紹介したMark-Xベースモデルのカスタマズは
一晩の内に6件ものご予約をいただき驚いています。

本日紹介分も駆動回路の取付位置は従来の常識?から外れていますが
実際に使ってみて不便と感じることを少しでも無くすようにした結果です。
昨夜のご予約はそれが認められたようで驚きとともに少しホッとしています。

遠征先で何本ものケーブル接続や
視野照明装置の電池切れなどでイライラした経験は誰しもお持ちでしょう。
ケーブルはまだしも,現地でモーターや極軸望遠鏡を後付するのは
手間がかかるだけでなく,それなりのリスクが増えてしまいます。


AMD-2関連はバラバラにご紹介していますが概ね以下のラインナップです。

赤道儀の改造を要せず製品として販売するもの(全て準備中)
・90S用AMD-2    
・SP/GP用AMD-2
・Mark-X用AMD-2(カスタマイズセット含む)

赤道儀の改造を要すもの(現在受注中,納期は約2ヶ月)
・スカイキャンサー2軸駆動改造
・P-2赤道儀2軸駆動改造


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2014年9月 5日 (金)

Mark-Xベースモデル フルカスタマイズのご案内

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先日紹介しましたAMD-2に,XY65や超軽量カーボン三脚などを加えた
Mark-Xベースモデル(MX-1)のフルカスタマズを準備中です。

カスタマイズ内容は,以前から行っているH-40赤道儀とほぼ同じですが
MX-1自体の加工は行っていません。

カスタマイズの内訳は以下のとおりです。
1.MX-1へのAMD-2の取付
2.MX-1専用のXY65の取付
3.PTP-Crabon三脚のセット
4.専用バランスシャフト,ウエイト(1000g)のセット
5.パノラマヘッドの取付

このカスタマイズは1回だけの受注製作となり
10月15日までご予約をいただき,11月中旬の納品予定です。

価格は1,2,3までの3点合わせて104,000円
1,2,3,4までの4点合わせて110,000円(送料は実費)です。
5は取りつけるパノラマヘッドの実費分をいただきます。

XY65はPTP-Carbon三脚専用なので,三脚を含まない場合は
AMD-2とXY50Dのセットとなります。その場合の価格は62,000円です。


先日のAMD-2紹介後に,何件かのお問合せをいただきましたが,おひと方は
「MX-1を持っているがこれを使って実用的なポータブル赤道儀に仕立てたい」
との事です。

H-40もですが,Mark-Xのベースモデルは大変素晴らしい赤道儀です。
これらの性能が最大に発揮されるようモーターや三脚などを組み合わせましたが
何れも理想のポータブル赤道儀として生まれ変わります。


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写真はAMD-2の内部です。
写真では切れていますが,上面(クランプの横)に照明の明るさ調整ボリュームが
左側には赤緯モーター用(将来用)のコネクターがついています。
極望の照明は必須ですが,南天での使用も想定し絞れば消えるようにしています。


なお,AMD-2の追尾速度は恒星時のみで太陽時や1/2恒星時には対応しません。
AMD-2はPICマイコンを使っていますが,ガイド撮影用として開発したので
敢えて不要と思われるインターフェースは設けていません。

なお,日食観測においては私自身の経験から恒星時追尾で何ら問題ないと
思っています。恒星時と太陽時の差は0.3%ほどですが,昼間の
極軸据え付け誤差が追尾に与える影響の方が遙かに大きいと考えるからです。


ところでMark-X(スカイメモ)用のXY65は緯度9~63度まで対応します。
以下の写真は高度を一番高くした状態ですが,大方の観測地なら対応します。

B14_09_053


初期ロットのXY65をご購入のお客さまへは大変お待たせしましたが
今回のロットで製作した専用の高度・方位調整ノブをお届けいたします。
11月頃になりますがよろしくお願いいたします。

既にXY65やPTP-Carbonをご購入いただいている方はお問合せください。
AMD-2などはセット価格相当でご提供させていただきます。


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2014年9月 4日 (木)

QHY11用ワンタッチ マウントアダプター

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冷却CCDカメラをご注文いただいた場合,お客さまのご要望に合わせて
接続アダプターの設計から製作までを行っています。
今回はカメラレンズが主なので,恒星でピント確認とスケアリング調整も行います。

紹介するのはCCDカメラがモノクロフルサイズのQHY11で
レンズ側はEFマウントまたはM57接続リングのワンタッチ交換式です。
テーパーリングになっているので回転も容易です。

QHY11はフランジバックが短いのでフィルターホイールでも設計できますが
お客さまのご希望でコンパクトな抜き差し式を採用しました。

光路上にフィルターとCCDのカバーガラスなどが入るため
接続部の厚みは∞位置のピントを確認しながらの製作になります。

作業はレンズを∞位置にしてピントが出るように調整すればいいのですが
厄介なのはε-180EDなど
補正レンズからのバックフォーカスが規定されている光学系です。
前出のようにフィルターなどの厚みでピント位置は1~2mmほど後ろにずれますが
それをどのように考慮すれば良いのか定かでないので
このような場合はお客さまご指定の寸法に合わせるだけになります。

そう言った意味では,先日紹介したWO Star71 f4.9やビクセンのVSDは簡単です。
ピントが出る位置にCCD面が来るようにするだけです。


申し訳ありませんが,現在カメラレンズ用など実際の星を使って調整する
作業はお断りしております。ここ数ヶ月にわたる悪天候のため
赤道儀も含め調整作業が滞っていますのでご了承いただけると幸いです。
またこれらの設計~製作は
冷却CCDカメラを当方からご購入いただいた方のみを対象としております。

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2014年9月 3日 (水)

Mark-X用AMD-2について

B14_09_031_3

先日はSP/GP赤道儀用AMD-2の開発状況を紹介しましたが
本日はMark-X用をご紹介します。

同じAMD-2ですが,Mark-X用と後日紹介するスカイキャンサー用は
P-2用などとは異なり赤径側のモーターはAMD-2本体には内蔵されません。
赤道儀のモーター取付部構造や赤道儀の大きさとAMD-2のバランスなどから
モーターと駆動回路を分離するレイアウトを採用しました。

そうなると駆動回路をどこに置くかですが,安直に外付けボックスにすると
モーターやガイドケーブルの取り回しが煩雑になるので,セッティング後
直ぐ撮影にかかれる理想のポータブル赤道儀からはほど遠くなります。

そこでちょっと大胆なレイアウトですが
ご覧のとおり極軸北端に付けたプレートに駆動回路を内蔵してみました。

このレイアウトのメリットは以下のとおりで,結果的にコストダウンを図れます。
1.極軸体にパノラマヘッドとバランスウエイトを付けるプレートと兼用できる
2.ガイドケーブルなどの取り回しが容易
3.極軸望遠鏡の視野照明装置を内蔵できる
4.ウエイト軸にバッテリーを付ければ電源ケーブルも直結できる


Mark-Xはシステム型で販売されたので極軸体だけお持ちの方も多いでしょう。
それに今回紹介するような金具を付けて撮影するのが一般的でしたが
私も30数年前に同じような「コの字」型の金具を自作して撮影した事を思い出します。

少し変?な形ですが,昔の流行のスタイル+最新のオートガイド対応のモーター
ドライブはいかがでしょうか?実用性は高いと思いますが。


まだ部品の実装前ですが駆動回路は以下のようなレイアウトになります。
表面処理は,XY65などと同じメッキ(化学研磨)処理を行います。

B14_09_032_2


【補足事項】

・赤径モーター取付方法の都合上,写真のXY65またはXY50Dの使用が
 前提となります。そのため,XY65/50Dとのセット販売も予定しております。
・赤径側のモーターへはAMD-2の回路から直接ケーブルが延びます。
・赤緯のモーター接続はコネクター式です。(ケーブルは付属しません)
 後日発売予定の三脚の高さを調整する簡易修正装置に接続できます。
・電源仕様などは他のAMD-2と同じです。
・価格は,Mark-X用のXY65/50Dとのセットで58,000円ほどを予定しています。
・2014.12発売(10台ほどの限定販売)予定です。

追記:上記はタイミングプーリー保護カバーなしの価格です。
    カバー付は62,000円となります。


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2014年9月 2日 (火)

WO Star71 F4.9へフォーカスモーター取付

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先日からご紹介している,WilliamOpticsのWOStar71F4.9にフォーカスモーターを
付けてみました。
キャップに穴を開けてステッピングモーターを付けただけなので簡単な作業です。

購入前からこのキャップの目的が気になっていましたが
これは専用のフォーカサーが考慮されているようです。
モーターを付けてみて実感しましたが
小型のモーターでも素晴らしいパフォーマンスを発揮する構造のようです。
モーター軸とピニオン軸の軸方向の長さもちょうどよい具合でした。

今回使ったモーターはNFC-KAで駆動(1-2相励磁)した場合,1ステップで
5μm送ります。ピント合わせ精度は50μmほどなので丁度良いようです。

力も十分で2~3kgのカメラでも重みでドローチューブが抜け出る事はないでしょう。

そのうちに専用の電動フォーカサーが発売されるかと思いますが
材料はモーターとカップリングだけなので6,000円ほどで電動化できます。
既にフォーカスコントローラーを所有されていれば自作も容易です。


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