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2014年10月

2014年10月19日 (日)

超薄型のステッピングモーター

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オリエンタルモーターから超薄型のステッピングモーターが発売されました。
今までのハイブリッド型は奥の写真のように軸方向に長い形状だったので
フォーカサーに使用する場合,光路長上の制限となっていましたが
これなら比較的短いフォーカサーが設計できそうです。


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また同時に,ハーモニックギヤードタイプも発売されています。
従来ハーモニックギヤード仕様は5相のみのラインナップでしたが
今回は2相モーターから発売されました。

ギヤードタイプでありながら厚みが43mmしかありませんが
2相モーターの方が巻き線の構造上薄型にできて
それと薄型のハーモニックドライブを組み合わせたとのことです。

ハーモニックドライブはバックラッシュが無い上に
出力側はクロスローラーベアリングで保持されているので大変高い強度です。

これで赤道儀を作れば超小型,軽量でありながら
強度の高い夢のような赤道儀が作れそうですがそんなに簡単ではありません。

総合ギヤ比が小さいため
超マイクロステップドライバーと組み合わせる必要があることや
ハーモニックドライブ特有の角度伝達係数(通常のPモーションに相当する誤差)
がどの程度存在するかを調べる必要があります。

このハーモニックドライブの角度伝達係数はカタログデーターでは
P-Pで90秒角もあります。
実機ではそれほど大きくないようで,以下は先日紹介した片持ちフォーク
赤緯軸に使ったハーモニックドライブを極軸相当で追尾したデーターです。


前半は極軸が合っていない状態でのガイドテスト,後半はノーガイドです。
Y軸の1目盛りは約10秒角なのでガイドなしでも満足ゆく精度です。

これで赤道儀を作る場合はガイド撮影を前提とするので
極端に大きなモーションでなければ充分でしょう。
バックラッシュがなく極めて高いレスポンスなので
シンチレーションも追えるほどのガイド性能が得られるでしょう。


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明日から海外出張ですが,空港での乗り継ぎ待ち時間などを使って
評価用赤道儀の設計などを行う予定です。構造をどうするかなど
いろいろ考えるにはちょうどよい時間の過ごし方かも知れません。


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2014年10月15日 (水)

VELOCE RH200価格改定のお知らせ

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VELOCE RH200は2013年秋以降に出荷されたロットから
第1レンズの硝材をオハラ製に変えるなど大がかりな仕様変更がなされ
それに伴う原材料費アップのため2014.4月から価格が改定されています。

それ以前に発注していた分は従来価格を適応できましたが
今回入荷した分を最後に従来価格の適応もできなくなりましたので
今後の受注分から改定させていただきます。
第1レンズの有効径は220mmもあり,それを高価な硝材に変えたため
大幅な改定になりましたが,それに見合う性能が得られたとのことです。


2014.10.15日以降の新価格:988,000円(税込み)


【参考】
価格は,メーカー希望小売価格6,177.78EUR+送料350EUR+関税で設定。
為替レート1EUR=140円で計算していますが,今後のレートにより変更いたします。
従来価格は869,000円(税込み)でした。


写真は星像での受け入れ検査風景で,全数基準器と比較しています。

なお,VELOCEシリーズは,RH200,RH300に加え,RH250が発売されました。
これはF5.6と2絞りほど暗いのですが
スポット値は写野60φの最周辺まで3.6μm以下の鋭像です。
(RH200のスポット値は9μm)

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2014年10月12日 (日)

リモート操作赤道儀

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写真は先日紹介した受け入れテスト中のRST-400ですがこの赤道儀は
機械的な原点センサーを内蔵しています。


原点位置は変わらないので,クランプを緩めて赤道儀の向きを変えても
原点復帰操作を行えば決められた位置に戻せます。
リモート操作する場合,この機械的な原点がないと
望遠鏡が向いている方向を見失った場合どうしようもありません。
据付け用では一般化していますが,このクラスでの採用は珍しいようです。

今後,個人レベルでもリモート操作での天体観測や写真撮影が
拡大するのは明らかなので先進的な取り組みでしょう。

メーカーで行った原点からの導入試験風景をYouTubeにアップしているので
参照いただけると幸いです。
バックラッシュ補正も行っており如何に高精度かご理解いただけると思います。
動画ではHUBO-i(コントローラー)での操作ですが
原点復帰やパーキング操作はパソコンから(ASCOM対応)も行えます。

なお,機械的原点位置(ホームポジション)は固定されており
表示に従って鏡筒を取りつければ概ね東(または西)の地平線方向になります。
ホームポジションとパーキングポジションは異なり
パーキングポジションはHUBO-iで任意の4点を設定できます。

今月18日~27日まではオーストラリアへ出張しますが
リモート観測の下調べが目的です。
南半球での新天体捜索のお手伝いが目的なので
高速通信環境が要求されるためそれらの状況を調査してきます。


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PROMINAR 500mmF5.6FL関連アクセサリーについて

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PROMINAR 500mmF5.6FLは色収差が極めて小さい事などから
高度な画像処理を行うハイアマチュアにも大変な人気ですが
初心者の方へも自信を持ってお薦めしています。

基本的にはカメラレンズなので,写真撮影が主な目的なら
像面を平均化するレデューサーやフラットナーさらにはカメラマウントなどが
不要で,面倒なバックフォーカスの調整なども要らないからです。


収差補正に有利なフローライトを使っても,眼視用の2(3)枚玉仕様では
フラットな写野は得られず高価なレデューサーなどが必要になるばかりか
画角の角まで良好な星像を得るにはそれなりの試写や調整が必要でしょう。

また,天体写真の撮影ではピントの微調整や保持も問題となりますが
PROMINARは良質なヘリコイド仕様のため
写真のようなフォーカサーを付ければ精密なピント合わせと保持ができます。
ドローチューブのクランプなども必要ないので
安定したピント合わせから撮影に移行できるのも大きなメリットでしょう。
さらには接眼部のガタつきによる周辺像劣化の心配もありません。


ここへきて,写真の2点バンドやフォーカサーは動きがまた活発になりました。

ここで何度か紹介した,WilliamOptics製WOStar71F4.9APOも高性能で
特にフルサイズ(37mm角のKAF-16803でも)の周辺まで優れた星像のうえ
周辺減光を感じないところは驚くばかりです。

この鏡筒もPROMINAR同様に
レデューサーなどの後付け光学系が不要な写真鏡なので
PROMINARかWOStar71F4.9APOにするかを悩まれるでしょうが
最終的にはKowaブランドのPROMINARを選択されているのかも知れません。


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2014年10月11日 (土)

赤道儀自動導入改造状況について-2

前回はビクセンATLUXの改造についてご案内しましたが
今回はタカハシEM-200についてです。
ご要望の多いJシリーズとEM-100については次回ご案内いたします。

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今月から出荷するMTS-3を使ったEM-200の自動導入改造は
ATLUX改造と同じ小型モーターを採用した仕様なので(商品名MTS-3_EM200)
写真のように出っ張りのないスマートなパネルになりました。


パネル面にRS-232Cコネクターを配置していますが,電源(+12V)を供給するので
以前紹介したBluetoothモジュールを装着でき,PCとBluetoothで接続できます。

BluetoothでPCと接続した場合,EM-200のパネル面は
MTS-3,電源,オートガイドの3本のケーブル接続になります。
(ASCOM経由でガイドする場合はMTS-3と電源の2本のみです)


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Bluetoothモジュールが出っ張るので,実運用ではモジュールは赤道儀に貼り付け
短いフラットケーブルで接続することになるかと思います。
(赤道儀から電源供給するので使用できるBluetoothモジュールは制限があります。
またフラットケーブルはオプションとして設定しています)


これに伴い,従来選択できたバックラッシュレス仕様(BLD改造)は現在受注分で
一旦終了いたしますが,引き続きご要望が多いので
次回のMTS-3入荷予定の2015年3月頃から再販する計画です。


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(現状はAGS仕様のBLDユニットを流用してるのでMTS-3改造でも
パネル印刷はAGS用ですが来春のロットからMTS-3仕様に変更します。
Bluetoothモジュールへはケーブルで対応可能です)

EM-200のMTS-3改造費用は以下のとおりです。
なおMTS-3の確保数量の都合で,2014年分の受注は終了しています。
(50,000円高となりますがDynoStarX3仕様は納期1ヶ月です)


・標準仕様(MTS-3_EM200)143,000円(組み込み改造費用を含みます)
・BLD仕様(MTS-3_EM200BLD):168,000円(2015年からの新価格,改造込み)  
表示は税込みで別途赤道儀返送用送料の実費が必要です。
何れもBluetooth対応ですが,Bluetoothモジュールは含みません。

ガイド撮影を想定した改造なのでトルクを優先した設計です。
そのため標準仕様,BLD仕様ともに導入速度は200倍速程度です。
改造後は実用に支障のない程度,極軸望鏡の視野が妨げられます。


MTS-3は2~3ヶ月毎に10台ほどのペースで入荷していますが
年内は来月入荷分で終りです。(この分までは全て予約で終了)
2015年前半の入荷は3月と5月頃になる見込みで(何れも各10台)
半年ほども先で申し訳ありませんがご予約は受け付けております。
(既に6~7件ほど予約が入っています)


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2014年10月 8日 (水)

綺麗な皆既月食でした

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今夜は皆既月食だったので家族で食事をしながらお月見?しました。
最後まで良く晴れて最高の月食でした。
月食写真はこのブログでは初めてですが月の撮影はやっぱり難しいですね。


実は月食の写真では随分昔に天文誌の表紙を飾った事があります。
今から32年前の,1982年12月30日に起きた皆既月食で
皆既中の月と星座の写真でしたが
知人から「表紙採用だよ」と聞いた時は本当に驚きました。

写真はFC60+Eos60Daで撮影しました。トリミングのみ行っています。


下の写真は自宅のほぼ真東にある三郡山から少し欠けて昇る月です。


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2014年10月 4日 (土)

赤道儀自動導入改造状況について-1

赤道儀の自動導入改造では改造後の確認テストなどが遅れておりましたが
このところの好天で作業は順調に進んでいます。
長い間お待たせして申し訳ありませんでしたが,数日中には全て納品します。


来週以降はご予約いただいている改造に着手しますが
その状況についてご案内いたします。

最初はNEW ATLUX赤道儀で最近改造依頼が急増しています。

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殆どの場合,追尾やガイド(特に赤緯側)が安定しないとのことですが
ロータリー接点採用が原因しているようです。(スターブック仕様は対策されています)

DCサーボモーターのエンコーダー信号もロータリー接点を経由していますが
エンコーダーの微弱信号(電流)を
金メッキも施されていない接点で経由するのは無理があるのでしょう。

エンコーダーはA相とB相の位相差で回転方向も判別するので
接触不良で信号が僅かに乱れれば安定したガイドなどできないと思われます。


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その点,ステッピングモーターの電流は
エンコーダー信号(電流)とは比較にならないほど大きいので
接点を手入れすればローターリー接点を経由しても特に問題はありません。


組み込めるモーターサイズの都合で,AGS-1Sでの改造となりますが
赤緯側はバックラッシュが極めて小さいモーターを採用しています。

AGS-1S改造なので改造数量に制約はありませんが他の作業の都合で
ご予約後,実施まで2~3ヶ月ほどお時間をいただいています。


次は初代 ATLUX赤道儀ですが,既に60台ほど改造しました。

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最近はウォーム軸周りのモーターレイアウトを変える改造を行っていますが
改造部品の残りは3台分になったので(保守用は別途保有)
この分がなくなれば初代 ATLUX赤道儀の改造は終了させていただきます。

改造部品の確保数は1台分となりました。2014.10.11日追記


ご予約は常時受け付けていますが,4~5ヶ月ほどお時間いただくことになります。


ATLUX赤道儀は初代と2代目で合計73台のAGS改造を行いました。
AGSシリーズは通算で500台以上出荷しているので15%ほどを占めています。

初代もNEW ATLUXも自動導入改造と言うより
駆動部の不具合で使えなくなったものを修理して使えるようにしています。
基本的な構造体は健在なので,駆動部を入れ替えればりっぱに蘇ります。

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