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2014年11月

2014年11月30日 (日)

ビクセンAP赤道儀関連オプションの開発状況

B14_11_30

ビクセンAP赤道儀は先のブログで紹介したとおり
小型軽量の写真撮影用ポータブル赤道儀としても魅力的なので
各種オプションを開発していますが
本日紹介するのは実用性を追求したポータブル赤道儀を構成するパーツです。

ポータブル赤道儀と言えば「極軸体+自由雲台」のイメージが強いのですが
実際に撮影してみて,その使い辛さを実感した方は
オプションを付け加えて写真のようなドイツ型赤道儀を構成されているようです。


写真はAP赤道儀の赤径モーターモジュールに試作の赤緯プレート経由で
アルカスイスのパノラマ雲台とステンレスウエイトを付けた状態です。

カメラレンズで撮影される方には最適な構成と思います。
赤緯プレート,1kgステンレスウエイト,ステンレスシャフトの3セットで発売予定です。
(予定価格:12,000円,2015.1.20発売予定)


B14_11_301


同じ写真ですが,オリジナルのモータードライブを組み込んだAP赤道儀と
カーボン三脚(PTP-C2)のセットも発売します。
こちらはSTAR BOOKは使わずに赤緯モーターモジュール+AMD-1N仕様です。

まだ空洞ですが,赤緯プレート内にAMD-1Nや極望の照明装置を組み込みます。
コストを抑える意味で他社製極軸望遠鏡(暗視野照明対応ですが明視野で使用)
をセットします。


B14_11_302


写真の構成で,赤道儀が2.3kg(パノラマヘッド含む)バランスウエイトとシャフトが1.3kg
カーボン三脚が1.6kgなので,ウエイトも含めたトータルでも5.2kgと軽量です。

販売価格は,カーボン三脚付で159,000円,三脚なしは100,000円を予定しています。
(価格は税込み,パノラマヘッドは含まれません)

一般的な極軸体のみのポータブル赤道儀に,極軸望遠鏡や赤緯軸(ウエイト)
それに極軸高度方位調整装置を付ける思いをすれば大変リーズナブルでしょう。
もちろんですが1軸ガイド撮影も可能です。

また,AMD-2を組み込んだ2軸ガイド仕様やGOTO仕様もラインナップしますが
これら駆動モーターまでオリジナル仕様となるのは来春発売を予定しています。

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2014年11月28日 (金)

QHY11 ε-180ED/130D用OAG-FWセット

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QHYCCDから新型のフィルターホイール(CFW2-M-US)が発売されましたが
このフィルターホイールは大変薄いので,フランジバックの短いQHY11と
組み合わせた場合,εなどの限られた光路長でもOAGが組み込めます。

ε-180EDや130DのバックフォーカスはM54ネジ込み部から56mmですが
写真のStarlightXpress製のOGAを組み込んだ場合でも
光路長は48mmなのでまだ8mmほど余裕があります。
その分を有効に活用するため,スケアリング調整プレートを組み込みました。
フィルターとウインドウ硝子の厚み分もここで調整できます。


写真は光路長や干渉を評価するために試作したものですが
製品では3箇所に工具レスで平行度を調整できる機構を付ける予定です。

反射望遠鏡の場合,斜鏡の傾きや回転でスケアリングズレが生じますが
斜鏡で微調整を行うのは難しいのでこの調整機構があると便利でしょう。

B14_11_282

こちらはQHY11のカメラ側です。
QHY11はフランジ面に対してCCDの平行は調整されているので
この部分でカメラを回転してもスケアリングズレは発生しません。

夏場の夕方など多湿な環境ではウインドウ硝子の曇りが心配されますが
エアパージ用ニップルも標準装備しています。
(パージ用のポンプはQHY11に付属します)


今回は既にご購入いただいたお客さまからの依頼で作成しました。
QHY11も含めたセット価格は712,000円でしたが
このところの急激な円安のため価格についてはお問合せください。

上記価格にはフィルターとガイドカメラは含まれていません。

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2014年11月13日 (木)

ビクセンAP赤道儀

B14_11_13


もうすぐビクセンから新しい赤道儀(AP赤道儀)が発売されますが
実物に触れた感想は作りが大変良くて綺麗です。
大胆に肉抜きされたアルミダイキャストのユニットは軽量で
海外遠征用として大変魅力的な赤道儀でした。
粗動,微動とも主軸の回転部はボールベアリングで保持されており
均一なトルクで滑らかに回転するところは高級感があります。


この赤道儀の魅力は,ユニット単位で好みの構成にできることでしょう。
私の場合,2軸ガイドができる小型軽量赤道儀として魅力を感じます。


このブログで度々紹介していますが,小型赤道儀での2軸ガイドはご要望が多く
スカイキャンサー赤道儀などを改造していますが
今後はAP赤道儀が第一候補になりそうです。
写真のようにPTP-C2カーボン三脚とのマッチングも良さそうですし
その気になれば(需要があれば)自動導入もできそうです。


ただ一つ気になるのは使用されているステッピングモーターが小さい事です。
ポラリエと同じ外径25φのギヤヘッド付きPM型との事ですが
私の経験ではこのサイズではトルクに不安があります。

ステッピングモーターは同じ電流で駆動した場合
モーターサイズが大きいほど発生するトルクが大きくなります。
電磁石は鉄心を大きくしてコイルを多く巻けば
同じ電流でも磁力が強くなるのと同じ事です。

従来のGPシリーズやタカハシのEM-11などで使われている
35φや42φのモーターと比べると
25φでは概ね1/3~1/4のトルクしかありません。

そのため荷重によるクリアランスの変化や気温変化などを考慮し
ウオーム軸の与圧やホイールとの噛み合わせは
それなりに緩く調整されているかと推測しますが
そうなるとバックラッシュが気になります。

この赤道儀のコンセプトはクランプフリーでの観望用とのことなので
そのような使い方ではバックラッシュはあまり気にならないでしょうが
オプションのクランプレバーを付けて撮影用とした場合は
バックラッシュ(特に赤緯側)が気になるかも知れません。


以下の写真は外径27φと35φのPM型ステッピングモーターです。
数字以上に大きさの差を感じるかと思いますがトルクも同じです。
25φだとするとさらに小さいのでギヤ精度も含め少々気になるところです。

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2014年11月12日 (水)

おうし~ぎょしゃ~ペルセウス座

B14_11_12

撮影データ
EOS 5DM2(IRカット改造)SAMYANG35mmF1.4→F4,ISO1600 180秒6枚コンポジット
ソフトフィルター使用,25%縮小表示 H-40赤道儀(改造)自動追尾 クリックで拡大
2重星団を意識したので,ぎゃしゃ座の5角形が切れてしまいました。


よっちゃんの画像処理実演DVDに刺激され?昨年モンゴルで撮った写真を
処理してみました。といってもステライメージで
コンポジット後にカラーバランスとレベル補正を触った程度ですが
バックグラウンドの濃度はDVDを参考にして濃いめ?にしました。


空が圧倒的に暗いうえに,気温が低くてデジカメのノイズが目立たないので
簡単な処理でもそこそこ見られる写真になったかと思います。


昨年は彗星狙いで12月のモンゴルに出かけましたが
良く考えると以下のように天体写真撮影地としてベストかも知れません。

1.この時期殆ど雨は降らない
2.高緯度なので夜が長く12時間以上撮影できる
3.外気温が-20度以下になるのでデジカメのノイズが少ない
4.日本から比較的安価に行ける(12月に限った事ではありませんが)
5.圧倒的に空が暗い(これも12月に限った事ではありませんが)

昨年滞在した施設は,室内は暖かいのでリモート撮影すれば快適です。

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2014年11月 8日 (土)

各種電動フォーカサーの頒布を行っています

B14_11_081


既にHPで紹介していますが,11月予定分のフォーカスコントローラーが入荷したので
各種電動フォーカサーの頒布を再開しております。

今回はトータルで15台分準備できましたが
既に10台ほどご注文いただいていますので残りは5台ほどになりました

今回入荷したフォーカスコントローラーは完売いたしました。
次回は2015.3月頃を予定しております。
2014.11.9追記


ご提供できるのは,FSQ85/106ED用,タカハシ汎用(FS60CBは非対応)
CANON EF100MACRO用,それにWO Star71 F4.9用です。

B14_11_082

WO Star71 F4.9のフォーカサーについては以前ブログで紹介しましたが
何件かのご依頼があったので改造まで行う事にしました。

写真のようにキャップをお送りいただければ(コネクター取付位置をマーキングして)
モーターやコネクターの取付を行います。
費用はフォーカスコントローラーセットで29,500円で,納期は約1ヶ月です。
まとめて加工する都合上,今回(11月10日まで)のみの受注とさせていただきます。
コントローラー完売時は加工のみ(14,500円)の対応となります。

この改造の受付は終了しております。今後の予定はありません。
WO Star71 F4.9に光学性能については何度か紹介しましたが
私のようにフラットを処理が苦手な人には救世主と言えるほどの周辺光量です。
最新ロットはカメラのスケアリング調整機構も付加されており
海外でも大変な人気のようで品薄とのことです。


以前アップしたものですがSTX-16803のL画像(フラットなど処理なし)を再掲します。

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2014年11月 6日 (木)

高精度を感じる痕跡

B14_11_06


紹介する写真はタカハシのJP赤道儀のウォームホイールですが
見ていただきたいのはウォームギヤと摺動した際についた痕跡です。
写真に写っているのは一部ですが全周に渡ってほぼ均一です。

この痕跡は赤道儀をオーバーホールする際に確認しますが
このように均一に付いた痕跡は希です。

ホイールに僅かな偏心があれば一部に強い痕跡が残っていたり
このようなスポーク形状のホイール場合
スポークのある部位(45度毎の8箇所)に強い痕跡が付くようですが
紹介するのは大変綺麗に揃っており,タカハシブランドを感じました。

追尾精度はその殆どがウォームギヤの偏心によりますが
ホイールが偏心していたり,スポークの影響で特定の場所が微妙に変形していると
ギヤの噛み合いが変わってしまうのでバックラッシュが発生します。

一部の海外製赤道儀ではこれをカバー?するために
バネを使ってギヤをホイールに押し当てて対処しているようですが
本来は偏心の無いホイールを使うべきでしょうね。


ところで,タカハシといえばFSQ( QuattroのQではなくQuintet のQ)130EDが
近々発売されるとアナウンスされました。
価格が気になるところですが,既存の85EDや106EDと体積を計算すると
概ね1,2,4なのでそれから推測すれば100万円弱かと。
ただ5枚玉で5インチ接眼部となるみたいなので120万円くらいでしょうか?

性能は口径の二乗に比例しますが,屈折望遠鏡の場合は
硝子材の価格に依存するためか価格は口径の3乗に比例するようですね。

13cmとしては大変高価な望遠鏡になるのは間違いないようですが
最高の性能を求める方には大変魅力的な鏡筒でしょう。
関連のオプションは来月末までに準備しないと間に合わないようです。


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2014年11月 1日 (土)

オーストラリアから帰国しました

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今週月曜日のことですがオーストラリアから帰国しました。
帰国後,期間中に溜まった仕事や
月末業務に追われブログの更新が滞ってしまいました。

今回の出張は先に紹介したとおり,観測目的での遠隔操作環境の調査でした。
滞在したのは高速NET環境が整った市街地だったので
せっかくの新月期でしたが天体写真は撮っていません。


写真は唯一観光したメルボルン郊外のワイナリーです。
写真がないと寂しいので紹介しますが
ヤラバレーと言うオーストラリアを代表するワインの産地です。
車だったので好きなワインのテイスティングができなかった事が残念でした。

B14_11_011


出張とは関係ありませんが,久々にDynoStarX3が入荷したので
タカハシJシリーズ用自動導入モータードライブを作りました。

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DynoStarX3仕様なので,パソコンなしでも自動導入ができますが
大きな電流を流せるので高速特性がいいこと(約600倍速で導入)
ガイド速度の微調整ができる事などMTS-3にはない機能が備わっています。

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今回はバックラッシュが極めて小さいTHギヤードモーター(PK264A2-T7.2)と
高精度ギヤの組み合わせです。
60mm角のモーターなので,安定したトルクを発揮します。


価格は238,000円で納期は約1週間です。今回は2台のみの限定販売です。
詳細は開発試作品コーナーに掲載しますのでご参照ください。

完売しました。2014.11.2追記

また,先にご紹介した画像処理の実演ビデオも引き続き限定品コーナーで
販売いたします。
大きな反響をいただき現在在庫が切れているので発送まで10日ほど要し
ますがよろしくお願いいたします。

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