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2015年4月23日 (木)

ポータル赤道儀の追尾精度について

B15_04_22_2

ポータブル赤道儀の精度についての私感ですが,ポータブル赤道儀は
(ガイドせずに)星を追尾して写真撮影するための専用器具なので
どの程度のカメラレンズまで追尾できるかは重要な要素です。

眼視観測が主な目的の,一般の赤道儀より重要かも知れませんが
追尾精度が公表されていないものもあるようです。


追尾エラーは機械精度(Pモーション)の影響だけではないのですが
その器具に求められる一番重要な要素なので
せめて「100mmのレンズを3分間追尾する精度」などと
ある程度具体的な目安を表記して欲しいと思います。
ユーザーにとっては使わているベアリングの数より重要と思います。


それがないと,たとえば50mmでも流れてしまう場合
原因が赤道儀本来の性能なのか
三脚や雲台などの撓み(ガタ)によるものか
または極軸の設定に間違いがあるかなどの判断がつかず
この赤道儀は広角レンズでしか使えないと諦められてしまいそうです。
特に初心者の場合は経験がないので悪い評価とならないか心配です。


そこで極軸望遠鏡などのオプション開発用として入手した
ビクセンのポラリエと最近発売された海外製のポータブル赤道儀の
Pモーションを計ってみました。

結論から言えばポラリエは100mmでもガイドする機械精度を有し
よく耳にする広角レンズ専用ではないようです。
これはAP赤道儀の赤緯や手動モジュールを複数台測定した値や
過去に測定したGPやSX系赤道儀の値から予想したとおりの結果です。

B15_04_221

上のグラフはポラリエのPモーションですが,±20秒を少し超えるほどで
周期性もハッキリしています。以前紹介したAP赤道儀と大差ありません。


個人的にはPモーションが±20秒程度の赤道儀なら
100mmほどのレンズでもほぼ満足の行く写真が撮れると思っています。

以前紹介しましたがモンゴルでは実測値が±7秒角ほどのH-40で撮影しましたが
350mm3分を全てのコマで満足の行く追尾でした。
寒いので極軸セッティングも適当に合わせただけです。


以上のことから,ポラリエは軸回りのバランスやセッティングに注意すれば
100mm程度の望遠までま追尾する性能をもった赤道儀と思います。

もう一台の海外製も測定しましたが,こちらはガイド端子がついているので
長めのレンズはオートガイドで対応する設計でしょう。
近日中にM-GENで一軸カガイドテストを行う予定です。


それから消費電流も実測しました。
ポラリエは約360mA,海外製は40mAほどです。(何れも内蔵電池使用時)
ポラリエはステッピングモーターなので,負荷による電流の増減は僅かですが
DCサーボの海外製は負荷に比例して電流が変動します。

単三型アルカリ電池の容量は概ね1,000mAh程度なので,計算上では
ポラリエは3時間,海外製は25時間ほどの駆動時間になります。
ポラリエは2時間と公表しているので良心的と感じました。


記載した内容は手持ち個体で計測した値から得た私論です。
測定誤差や個体差もあるので参考用とお考えいただけると幸いです。


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