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2015年5月

2015年5月30日 (土)

ビクセン規格アリガタ付小型プレートの発売

B15_05_30


本日紹介するのはAP赤道儀などで,カメラレンズ撮影を行う際に便利な
アリガタ付プレートです。
プレートにはアルカスイス規格のクランプなどを光軸方向に付けられるよう
タップ加工を施しており(タップはM6で,基本間隔は17.5mm)
専用のアリガタはビクセン規格なのでそのままAP赤道儀などに装着できます。

このプレート(TP55-180)と専用アリガタのセット価格は8,640円(税込)です。
 

写真のガイドカメラは先日リーズナブルなガイドカメラとして紹介したもので
ガイド用のモノクロカメラにはコーワは75mmのレンズを
ドーム内などの監視や月,惑星用のカラーカメラには6mmを装着しています。
付属するキャプチャーソフトは日本語表示です。

主にモノクロをガイド用として評価していますが
カラーは月や惑星用として実績のある先行機種と同じセンサー(ARO130C)を
搭載しているので期待できそうです。

GP赤道儀などを所有されていれば
本日紹介するアリガタ付プレートと75mmのレンズを付けたガイドカメラがあれば
5万円ほどのご予算でガイド撮影を行えます。
Pモーションが比較的大きい赤道儀でも2軸ガイドさえすれば
如何に高精度なポータブル赤道儀でもガイドなしでは太刀打ちできません。


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2015年5月27日 (水)

SX系赤道儀改造もベルトドライブ化

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従来ビクセンSX系赤道儀のMTS-3自動導入改造(換装)はギヤ駆動が標準で
オプションとしてベルト駆動を準備していましたが
最近はベルトドライブが一般化しており,ベルトドライブのご要望が殆どです。
そのため,今後のSX系赤道儀の改造では
ベルトドライブのみに変更しギヤ駆動は取り止める事としました。 


以下は換装したステッピングモーターの配置状況です。
両軸の駆動用モーターやプーリーのハブが干渉しないよう絶妙?に
レイアウトしました。


ベルトの場合,モーター系のバックラッシュはなく,高速駆動音も大変静かです。
純正の駆動方式に比べ,静かで滑らかな高速駆動になりますが
一番のメリットは比較にならないほどの高いレスポンスでしょう。


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現在SX系の改造は,採用するMTS-3の都合で受注を休止しておりますが
新型のMTS-3の入荷が安定すれば秋以降に再開予定です。

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2015年5月26日 (火)

DS38,DP38-110こんな使い方も

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3年ほど前に,ポータブル赤道儀の極軸廻りアンバランス対策として
バランスウエイトをつけられる自由雲台(BBH-852)を商品化しましたが
雲台ボール部の加工が難しかったので数十台で生産を終了しました。
その後も時折再販のご要望をいただいたております。

今回紹介するのは,ウエイトシャフトとウエイトをつけたDS38です。
これをカメラボディに固定したDP38-110につけると
BBH-852のような使い方ができそうです。
(少し工夫すれば必ずしもDP38やDS38でなくてもOKです)

向ける方向や構図によってはウエイトがポラリエと干渉しますが
極軸が大きなアンバランスになる南の空の縦構図や(写真の状態)
南北方向が長辺となる構図(夏の大三角など)では有効です。
写真のようの回転軸が独立した自由雲台では
バランスの取れたドイツ式赤道儀のような感覚です。

南の空の横構図や東西方向が長辺となる構図ではウエイトが干渉しますが
この構図では軸廻りのバランスはあまり崩れないのでウエイトを外せば良いでしょう。


先日ご紹介したとおりポラリエは極軸廻りのバランスが取れれば
100mm程度なら安定してガイドできる性能を有しています。
構図によっては邪魔になりますが,簡単で大きな効果が得られると思います。


DS38とDP38-110は天文用のアルカスイス規格クランプ/プレートとして
昨年5月に商品化しましたが,一年あまりで1,000台ほど出荷しました。

このところ,ポータブル赤道儀と高性能カメラレンズを組み合わせて
星座や星景写真を撮られる方が増えていますが
そのようなお客様のニーズに合った結果と感じています。

紹介するDS38につけるシャフトとウエイトは先日紹介した
ポータブル赤道儀用も含め通常商品で販売します。
現在HPを作成中なので完成しだいアップいたします。


なお,以前紹介したポラリエ用の極軸望遠鏡(軸内設置)と簡易赤緯体は
商品化を検討していますが,今回のウエイトとシャフトは
それらが商品化された場合もそのままご使用いただけます。


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2015年5月25日 (月)

フォーク赤道儀の撮影準備

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フォーク赤道儀関連ですが,カメラ側のバックフォーカス調整ができたので
やっと撮影準備が整いました。記念撮影(備忘禄?)も兼ねてアップします。


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このカメラ(STX-16803)はセルフガイドができますが
対象の導入確認用も兼ねた75mmのガイド鏡を載せています。
先日の導入テストではM13やM104が確認でき目標確認には充分でした。
STX-16803のボディはスケアリング調整の際に
X-Y方向へ僅かに動けるようステンレスの薄い板で軽く支えています。


この赤道儀は据え付け用なので,両軸クランプは省きました。
鏡筒が真東の水平線に向く位置で両軸の指標を調整しておけば
指標を合わせた後,パソコン上の真東の水平線でリンクすればOKです。
250mmなら写野の中央に導入できます。

B15_05_253


これは昨夜ガイドテストした結果です。
たかが75mmのガイド鏡なので参考程度ですが,バックラッシュが無いので
赤緯側の引き戻しが良好です。ずれを即座に引き戻すのでほぼ一直線です。

Agf135_4guid


本来の目的だったハーモニックドライブの赤緯軸への適合が確認されました。
ものを作るのが好きな私の性格ではここまでが一番楽しい時間です。
完成するとまた次の事が頭に浮かんでしまうので試写で終わってしまいそうです。


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2015年5月24日 (日)

フォーク赤道儀のケーブル干渉対策

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引き続きフォーク赤道儀関連ですがケーブルの干渉を検証しました。
リモートで振り回す場合避けて通れない問題です。

この赤道儀は簡単に抜けるケンコー製の極軸望遠鏡使っていますが
据え付けなので一旦据え付ければ後は不要になります。
そこで大型赤道儀と同じように極軸にカメラ廻りのケーブルを通しました。
これで極軸側は安心です。

試作2号機は,両軸ともにハーモニックドライブを予定していますが
赤緯側も中空なので,極軸から出たケーブルを赤緯軸を通して
鏡筒側に引き出せば両軸とも干渉を防げるでしょう。

写真はまた250mmに戻していますが(バックフォーカスは合ってません)
ケーブル干渉対策まですめば自由に振り回せるので
鑑賞用写真儀と言うより観測(サーベイ用)でしょう。
銀河系内の新星捜索用としては使えると思いますが。

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Apo Sonnar T*2/135用保持バンド出荷のご案内

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Carl Zeiss Apo Sonnar T*2/135用保持バンドは昨年夏に限定製作しましたが
その後も多くのご要望をいただきましたので第二ロットを製作しました。
当初のご案内より10日ほど遅れて申し訳ありませんが
ご注文のお客様へは明日以降出荷いたします。

当初は10~15台ほどかと思っていましたが
予想に反して合計で47台分(2台は保守用)製作しました。
冷却CCDでの撮影用としてもこのレンズの性能が高く評価されたためでしょう。
なお在庫は保守用のみで,今後の製作予定もありません。

以前のブログでも紹介しましたが,デジタルカメラでの撮影では
ボディにL型ブラケットをつければこのバンドは特に必要ないと思いますが
冷却CCDでの撮影ではフォーカサーも含め必須でしょう。


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2015年5月21日 (木)

フォーク赤道儀の干渉検証

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昨日据え付けた片持ちフォーク赤道儀は,短い鏡筒ならどこに向けても
赤道儀と干渉しないので,昨夜は思いっきりリモートで振ってみました。

南の地平線下や極付近など,いかなる方向へ向けても安心です。
極軸や赤緯軸が一方向に何回転も回るような導入操作を繰り返せば
ケーブルは絡みますが普通はそんなことはしませんよね。
高価なカメラレンズや冷却CCDカメラをぶつける心配がないのは
精神衛生上大変良いです。


B15_05_213


ただ赤道儀と鏡筒の干渉はどこがクリティカルになるか
実機で確認すると改善の余地が見えてきます。
写真は500mmのレンズ(フードなしの状態)をつけていますが
このレンズが南北方向を1回転しても干渉しない限界です。
写真のアームの補強リブの形状を見直せば少し余裕がでます。


B15_05_212

またカメラのコネクター位置も重要です。
この場合,カメラの回転(回転でコネクターの位置が変わる)方向によっては
ケーブルを赤道儀に引っかけてしまいますね。


今回のフォーク赤道儀は主にハーモニックドライブの適応性と
フォークの強度を確認するための試作品です。
そのためフォーク部の肉抜きなども省いていますが
今回の評価結果を2号機に反映するつもりです。

小型のフォーク赤道儀は,搭載するレンズやカメラが限定されますが
リモート撮影においては,それに見合うだけのメリットがありそうです。


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2015年5月20日 (水)

ハーモニックドライブ赤道儀の据え付け

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一年ほど前に紹介していましたハーモニックドライブの赤道儀を据え付けました。
赤緯軸のみハーモニックドライブで,赤径側は通常のウォームホイールです。

先日から紹介している赤径側にハーモニックドライブを使った赤道儀もそうですが
従来のMTS-3は,ステッピングモーターでダイレクトにウォーム軸を駆動する場合
設定範囲の制限で対応できませんでした。
メーカーのBOXDORFERに設定範囲(下限側)を拡大してもらい解決しています。
(従来は200ステップのステッピングモーターの場合,ダイレクトに駆動できるのは
ウォームの歯数が216枚以上でしたが,新しいファームの場合54枚まで可能)
 

片持ちフォーク式なので,写真のようなカメラレンズ(MAMIYA67用250mmF4.5)と
冷却CCDカメラの組み合わせならどことも干渉しないので遠隔操作が容易です。
遠隔といっても階下の部屋からの操作ですが
便利な機能を一度体験するとやめられなくなりますね。
長時間連続撮影できるのでナローバンド撮影を楽しめそうです。

B15_05_202


今回は冷却CCDカメラのテストも兼ねていますが,MAMIYA67用レンズは
フランジバックが110mmほどもあるのでカメラは延長して接続しています。
運用ではフィルターホイールをつけますが40mmほど余裕がありそうです。

フランジバックが長い恩恵と思いますが,スケアリングズレに寛容で
調整を行っていませんが36mm角のコーナー部まで良好な星像です。

 
以下は設置時に測定したPモーションです。
この赤道儀もウォーム軸をダイレクトに駆動しているので
ステッピングモーターの回転ムラの影響が出ていますが
Pモーションが極めて小さい(±2~3秒角)ので目立ってしまいますね。

Agf180_2


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2015年5月17日 (日)

リーズナブルなガイド環境

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現在リーズナブルなガイドカメラのテストを行っています。
一番気になる感度やPHD Guidingなどでの動作環境に問題がなければ
販売する予定ですが,写真のコーワ製75mmレンズやサポートリングのセットで
45,000円ほどになるでしょう。

このカメラと教育用に開発された,写真のRaspberr Piでガイドすれば
ガイド鏡や保持金具も含めて5万円強でガイド撮影できる時代になりました。
先日から紹介しているスタンドアローンのM-GENとともに
ポータブル赤道儀の2軸ガイド化がますます進展しそうです。
 

私はRaspberr Pi用のOSは全く理解していませんが
Windows10が無償提供されるようになれば何とかなるのでは?と思い購入しました。

Raspberr Piの電源は5Vなのでモバイルバッテリーで運用できそうですが
安価なWindows8のタブレットを買った方が手っ取り早いかも知れませんね。


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2015年5月16日 (土)

ハーモニックドライブ,赤道儀用としての評価テスト

B15_05_16


ハーモニックドライブの赤道儀への応用については度々紹介していますが
ネックは角度伝達係数(通常のPモーションに相当する誤差)と
ステッピングモーターのステップ中間精度です。
一般にハーモニックドライブとステッピングモーターは直結するので
総合減速比が小さくなりマイクロステップ駆動のムラが出てしまいます。
 

写真左は,これらを評価するためにポータブル赤道儀風に仕立てたものですが
以下のようなモーションを示します。

Hd100

Pモーションと同じような大きな波が角度伝達係数によるもので
概ね±15秒角です。これに周期の短い波が重畳しています。
振幅は±3秒角ほどですが周期が短いのでガイドしても取り除けません。

Hd100guide


200ステップのステッピングモーターを64分割で駆動していますが
レスポンスの良いハーモニックドライブでは
中間精度不良による回転ムラが如実に表れてしまいます。

上記はMTS-3で駆動したグラフですが,FS-2で駆動するとさらにひどくなります。

Hd202jpg


一方,別のハーモニックドライブでテストすると以下のように滑らかです。
これは以前紹介した片持ちフォークの赤緯軸用に使った物ですが
中間精度が出ているようです。(途中までガイドを行っています)

Hd20_100


どちらかと言えば,ハーモニックドライブの特性より
ダイレクトに駆動するモーターの特性による短周期の波が問題になりそうです。
これらはエンコーダーをつけてリアルタイムに補正すれば
何れの波も極めて小さい赤道儀が作れそうですが
ガイドが前提なら短周期の波さえ抑えれば実用できそうな気がします。


写真右奥は極望を組み込むために入手した中空のハーモニックドライブです。
軸の中心に極望を通すとモーターと直結できませんが
タイミングベルトで駆動すれば減速比も稼げるので期待できそうです。
 

因みにこのハーモニックドラブ(SHD-25-160)は強大なトルクを発します。
10kg程度の鏡筒ならバランスウエイトなしで運用できる強度です。
(許容トルクと許容モーメント荷重は何れも3.5~9.5kgfm:カタログデータ)

手前の小さい方は30φのハーモニックドライブでこれはフォーカサー用です。

ハーモニックドライブの実験データーとして記録しました。

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2015年5月15日 (金)

小型赤道儀用規格統一バランスウエイトの発売

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今までにポータブル赤道儀のバランスウエイトセットは
H-40スカイグラフ用を限定品として販売しましたが(限定品は終了しています)
その後も継続的にお問合せをいただいています。
その中にはH-40とスカイメモRなど
異なる機種での共用化についてもご要望をいただきました。


そこで赤道儀毎に専用の接続アダプターを揃えれば
多くの小型赤道儀で使える統一ウエイトを製作しました。


構成は以下の4点セットで,価格は15,000円(税込)です。
・M12細目ネジ仕様のベースシャフト(直径15φ,長さ200mm)
・500gと1,000gのステンレスウエイト
・各種赤道儀用の接続アダプター(直径20φ,長さ40mm)

接続アダプター単品は3,500円
追加用のウエイトは500gが3,500円,1kgが5,000円です。


商品化する接続アダプターは以下の機種用です。
1.M12細目ネジ仕様:タカハシH-40,P-2など
2.M12並目ネジ仕様:スカイメモR,ペンタックス75赤道儀など
3.M16並目ネジ仕様:ビクセンGP/SP系,AP,マークXなど
4.UNC1/4メスネジ仕様:ビクセンガイドパック,五藤スカイグラフなど
5.UNC1/4オスネジ仕様:自作赤道儀など


写真は左から
・M12細目ネジのφ15,L200mmのベースシャフト
・UNC1/4メスネジ接続アダプタをつけたベースシャフト
・M-12細目ネジ変換アダプター    〃
・M-12並目ネジ変換アダプター    〃
・M-16並目ネジ変換アダプター    〃

手前中央はUNC1/4メスネジ用で,接続アダプターの内側から
キャップスクリューで赤道儀に固定できます。


ベースシャフトと接続アダプターはM12細目ネジ接続なので
タカハシのH-40やP-2ではアダプターなしでも使えます。

なお,ウエイトはステンレス製ですが,シャフトは硬質クロムメッキ仕様の鉄材です。
ネジ部はメッキが取れているので油分が切れると錆びる恐れがあります。

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2015年5月11日 (月)

AP赤道儀のインターフェースプレート

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AP赤道儀の自動導入化でも触れていますが
赤道儀本体と信号を取り合うコントローラーやオートガイダーなどとの接続位置は
ケーブル引き回しの観点から赤緯体が合理的と思います。

EM-200などはこれらを集約するプレートが赤緯体に配置されていますが
AP手動モジュールでポータブル赤道儀を仕立てた場合は
従来と同じようにコントローラーへ何本ものケーブルを繋がなくてはなりません。
オートガイドケーブルは赤道儀の向きを変える度にケーブルの干渉が心配です。


そこでAP赤道儀の自動導入化ではそれらを取り合うインターフェースプレートを
バランスシャフトの付け根に集約します。
まだ計画段階ですが,自動導入仕様は写真のように全てのコネクターを
2軸ガイド仕様はこの部分に駆動回路(AMD-2AP開発中)を内蔵します。

このインターフェースプレート(2軸ガイド仕様ではAMD-2AP)は
バランスシャフトのネジ込み部に固定するので赤道儀の改造は不要です。
赤緯モーターモジュールを両軸に使う場合は
モーターの配線もAP赤緯ユニット内のコネクターを差し替えるだけです。


B15_05_093


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写真は試作品ですが商品では,銀か黒の艶消しのメッキを施す予定です。

新型MTS-3を使った自動導入仕様は秋以降に
(既に自動導入仕様でご予約いただいている方は新型MTS-3入荷次第)
2軸ガイド仕様は夏頃の発売予定です。

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赤道儀の入れ替え

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自宅屋上の赤道儀を五藤光学のMX-ⅡからRST-400に入れ替えました。
MX-Ⅱは同社の12.5cm屈折や,21cm反射用の赤道儀で
タカハシの16cm反射用システム160(NJPの前身)より一廻り大きいです。

しっかりした作りで特に極軸体は重たくここだけで23kgもあります。
(赤緯体も含めた赤道儀の重さは36kg)

入れ替えはリモート操作のテスト(習得)が主な目的ですが
MX-Ⅱの赤緯軸はガイド性能があまりよくなかったことも理由のひとつです。

一番の原因はウォームホイールが小さい事ですが(約90φ,150T:M0.6)
テーパーローラーベアリングで支えた赤緯軸が短い事も相まって
モーメント荷重がかかると動き始めるのに大きなトルクが必要です。
そのためガイド性能はあまり良くありません。

特に以前は通常の赤道儀同様に
赤緯を駆動しない時はモーター電流を遮断していましたが
そうすると赤道儀側からの反動でモーターが引き戻される症状がありました。
常に電流を流すようにしてから改善されていますが
テーパーローラーベアリング保持では限界かも知れません。


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入れ替え後のRST-400ですが,赤道儀自体が10kg以上軽い上に
MX-Ⅱに比べて不動点から鏡筒までの距離が短いのでウエイトも軽くなります。
併せて20kgほど軽くなっています。

昼間は良く晴れていましたが,夜は雲が広がったのでファーストライトは次回に
なりました。備忘禄も兼ねて記事にしています。


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2015年5月 9日 (土)

EM-200のモーター仕様について

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現行のMTS-3を使った自動導入改造については
2015年9月まで分をご予約いただいているお客様へご案内をすませております。
当方の手違いなどで
まだご案内が届いてない方がおられましたらご一報いただけると幸いです。

10月以降は新型MTS-3での対応を予定していますが
新型の発売時期などが確定次第ご予約いただいた方へご案内いたします。

 

現行のMTS-3を使った自動導入改造は
9月までに30台ほど予定していますがそのうち半数ほどはEM-200です。
EM-200の改造ではモーターの減速機に平ギヤを使った通常仕様が標準ですが
バックラッシュ補正機能付のギヤを使ったBLD仕様も承っています。
 
BLD仕様については一旦終了していましたがご要望が多く昨年再開しました。
ただ選択を悩まれる場合も多いようですので
以下の説明をご参考に選択いただければと思います。
(今後EM-200ではMTS改造を標準とするためパネルの印刷も変更しております。
写真左がBLD仕様のモーターとパネル,右が標準仕様です)
 


ここで言うバックラッシュはモーターギヤヘッドに起因するものを指しますが
赤道儀のウォーム減速機構には構造上比較的大きなバックラッシュが存在します。


バックラッシュが問題となる赤緯軸では,南北方向を故意にアンバランスにして
ウォーム系のバックラッシュを取り除く(小さくする)ことで
モーター系のバックラッシュが小さいメリットを活かせます。
BLD仕様をご選択いただいた場合は
南北方向を僅かにアンバランスにして撮影してください。

通常赤緯側はガイド速度(対恒星時50%程度)で南北に駆動した場合
時間で数秒間は反応しません。
BLD仕様で採用しているモーターは通常の平ギヤ仕様に比べ
バックラッシュは1/5ほどなので優れたレスポンスを示します。

通常の平ギヤの場合でももちろんガイドできますので
赤緯のより高いガイドレスポンスを望まれる場合はBLD仕様をお薦します。
 

BLDで採用しているTHギヤ仕様のモーター(PK243A1-T7.2)の
バックラッシュは約0.25度ですが
一般的なSHギヤを使ったハイブリッドモーターは1.5度ほどです。
EM-200純正のPM型モーターの場合はSHギヤのハイブリッドモーターより
さらに大きく,TH仕様の10倍ほどです。

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これだけの量のMTS-3が揃う事はないと思うので記念撮影しましたが
これから9月までの5ヶ月間で全てお客様へお届けする予定です。


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2015年5月 8日 (金)

MAMIYA645用300mmF4.5調整後の星像

先日マウントアダプターの不具合を紹介したMAMIYA645用300mmF4.5ですが
アダプターの寸法を正常に調整しただけ(100μmほどのズレ補正)では
星像が今ひとつだったので積極的に?過調整してみました。
寸法上正常な状態から50μmほど過剰に調整しています。

備忘録としての記事ですが,スケアリング調整は数10μmほどずらさないと
わからないようです。
カメラは5DM2で60秒露出。上から,左上,右上,左下,右下です。

一枚目の左上はもう少し追い込めそうですが他のコーナーは良好です。

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PTP-C2へのAP赤道儀搭載について

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天文用カーボン三脚(PTP-C2)の各種赤道儀搭載アダプターについては
以前ご案内していますが,ビクセンAP赤道儀などの45φ用アダプターも
標準在庫品といたしました。
写真はSP/GP用アダプターに45φアダプター(シルバー)を乗せた状態です。
SP/GP用アダプターとのセット販売となりますが,セット価格は8,048円です。

AP赤道儀はポータブル赤道儀化するためのオプションも販売されていますが
それをカメラ三脚で運用する場合は,XY50(50D)などの高度方位調整装置が
別途必要になるでしょう。

AP赤道儀には極限まで肉抜きされたアルミダイキャスト製の台座
(高度・方位調整付)がついているのでそれを使わない手はありません。
XY50などを使うより強度が高くて軽量ですが,なにより安価です。


各種アダプター経由で赤道儀を搭載される場合は
アダプターは赤道儀側に装着されたままの運用をご推奨いたします。
三脚の固定クランプを僅かに緩めれば簡単に赤道儀を脱着できます。
方位の粗調もスムーズなので極望への北極星の導入が簡単ですが
特に南半球では八分儀座の台形を探す時に大変便利です。
(クランプはレバーを引いて回せば固定位置を調整できます)
 

なおPTP-C2はこのところご注文が増え,在庫は10本ほどになりました。
現ロット完売後は,次のAP赤道儀とのセット販売予定分の入荷まで
半年ほどお時間をいただくことになります。


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2015年5月 2日 (土)

ビクセンポラリエの実力は

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昨夜は大きな月がありましたが,先日Pモーションの実測結果を紹介した
ポラリエの実写テストを行いました。

極軸望遠鏡の芯出しと,極軸廻りのバランスが取れるように
以前AP赤道儀用として作った廃材を利用しドイツ式に仕立てました。

テストにはシグマ70mmとEOS60Daを使いましたが
3分間露出したいので,月の影響を避けるためISO200,F8で撮っています。

結果は以下のとおり,連続した6コマ全てでほぼ点像です。
厳密に言えば上下(赤径方向)に流れているコマもありますが許容範囲でしょう。
Pモーション±20秒程度なら
100mm程度までOKと書きましたが実証できて良かったです。

写真はクリックで等倍表示します。中央の輝星は木星です。

B15_05_022


今回のように,光軸調整できる極軸望遠鏡とバランスが取れるオプションを
付加すれば赤道儀本来の追尾精度を発揮できますが
それらのオプションが赤道儀本体ほどの価格では魅力はありませんね。

また,その都度極軸望遠鏡を装着するのは再現性の観点から不安ですが
今回使った極軸望遠鏡はコンパクト(短い)なので組み込みもできそうです。
組み込み後に光軸調整をしておけば安心です。


B15_05_024


写真は廃材で組んだものですが,この極望とドイツ式で運用できるパーツ一式で
ポラリエ本体の半額ほどで商品化できないか検討しています。
(12mmのウエイトシャフトとビクセン純正1kgウエイト用アダプターを含みます。
赤緯軸用のアルカスイス規格回転ヘッドは含みません)
 

もちろん標準で長期間連続点灯の明視野式照明装置も内蔵しますが
オプションのケーブルを使えば暗視野(輝度調整式)にも対応します。

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先日ポラリエと海外製ポータブル赤道儀の追尾テストを紹介しましたが
何件かのお問合せがありました。
あくまでも比較した2個体に限った評価ですが
海外製はモーションの振幅はポラリエより大きく,常に変動していました。
そのために追尾能力はポラリエより劣ると感じています。


 

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