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2015年5月16日 (土)

ハーモニックドライブ,赤道儀用としての評価テスト

B15_05_16


ハーモニックドライブの赤道儀への応用については度々紹介していますが
ネックは角度伝達係数(通常のPモーションに相当する誤差)と
ステッピングモーターのステップ中間精度です。
一般にハーモニックドライブとステッピングモーターは直結するので
総合減速比が小さくなりマイクロステップ駆動のムラが出てしまいます。
 

写真左は,これらを評価するためにポータブル赤道儀風に仕立てたものですが
以下のようなモーションを示します。

Hd100

Pモーションと同じような大きな波が角度伝達係数によるもので
概ね±15秒角です。これに周期の短い波が重畳しています。
振幅は±3秒角ほどですが周期が短いのでガイドしても取り除けません。

Hd100guide


200ステップのステッピングモーターを64分割で駆動していますが
レスポンスの良いハーモニックドライブでは
中間精度不良による回転ムラが如実に表れてしまいます。

上記はMTS-3で駆動したグラフですが,FS-2で駆動するとさらにひどくなります。

Hd202jpg


一方,別のハーモニックドライブでテストすると以下のように滑らかです。
これは以前紹介した片持ちフォークの赤緯軸用に使った物ですが
中間精度が出ているようです。(途中までガイドを行っています)

Hd20_100


どちらかと言えば,ハーモニックドライブの特性より
ダイレクトに駆動するモーターの特性による短周期の波が問題になりそうです。
これらはエンコーダーをつけてリアルタイムに補正すれば
何れの波も極めて小さい赤道儀が作れそうですが
ガイドが前提なら短周期の波さえ抑えれば実用できそうな気がします。


写真右奥は極望を組み込むために入手した中空のハーモニックドライブです。
軸の中心に極望を通すとモーターと直結できませんが
タイミングベルトで駆動すれば減速比も稼げるので期待できそうです。
 

因みにこのハーモニックドラブ(SHD-25-160)は強大なトルクを発します。
10kg程度の鏡筒ならバランスウエイトなしで運用できる強度です。
(許容トルクと許容モーメント荷重は何れも3.5~9.5kgfm:カタログデータ)

手前の小さい方は30φのハーモニックドライブでこれはフォーカサー用です。

ハーモニックドライブの実験データーとして記録しました。

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