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2015年6月

2015年6月27日 (土)

ポラリエ用極軸望遠鏡について-1

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独自に開発を進めているポラリエの極軸望遠鏡は,当初計画の極軸貫通式
(+簡易赤緯体)から写真のような外付け方式に変更しました。

極軸内に極望を貫通する場合,中空の極軸回転機構が必要になりますが
それなりのコストがかかる事や,自由雲台での運用では回転機構自体が不要なため
ムダな投資になってしまいます。
基本は純正にはない,「カメラを付けたまま使える照明付の極望」とし
必要に応じて既製品でシステムアップできる構成にしています。

写真では極軸回転にBENROのPC-0を使っていますが
同等品が7,000円ほどで入手できアルカスイスクランプ仕様なので安価で便利です。

B15_06_272

極軸望遠鏡は外付けですが,ポラリエの極軸を支える構造体に
直接取りつけるため,外装につける方法に比べ遙かに高精度です。
また,素通しファインダーの覗き穴部に回り止めが勘合するので安定します。
アームは肉厚ですが内部に以前紹介した暗視野照明回路を内蔵するためです。


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極望はアームに固定される(アームに対して回転させない)ので
写真のように極軸側を三脚に固定してポラリエ本体を回転させれば
完全に光軸を合わせられ,極軸内貫通式と全く同じ精度が出せます。

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指標はポラリエの東西方向を水平にした状態で写真のようになるので
北極星の時角を求めてセッティングしますが(EM-11などと同じ方法)
カシオペア座や北斗七星の位置からでも充分です。

たとえばこの時期なら,北斗七星(のη星)は20時頃に南中するので
(北の空を見上げて時計の12時方向にみえる)
極望の視野(倒立)では12時の位置(離角40分)に北極星を導入します。

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採用する極望は大変短いので,カメラとの干渉は最小限に抑えられますが
西の空に向けた時はボディと干渉する場合もあります。
その場合はアームを回転させて回避しますが大した手間ではないでしょう。

この極望はポラリエにねじ込む接続アダプターと照明装置内蔵アームとの
3点セットで8月に発売予定です。価格は19,000円ほどを予定しています。
(写真のアームは試作ですが製品は黒色のメッキを施します)
またアルカスイス規格の赤緯プレートやステンレスウエイトも準備中です。

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2015年6月20日 (土)

AP赤道儀用の連続点灯照明装置

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GP用として連続点灯の極軸望遠鏡明視野照明装置を頒布していましたが
今回,設計を変更してAP赤道儀用として商品化しました。

GP用では特殊なリチウム電池を使っていましたが
今回は一般的なボタン電池(CR2032)に変更しています。
容量は1/8ほどになりましたが,それでも計算上10年以上連続点灯します。
特に消す必要はないと思いますが今回はスイッチもつけ
明るさの調整と電池の交換もできます。
  


AP赤道儀には純正の極軸望遠鏡(暗視野照明付)が準備されていますが
大変高価です。
今回敢えて明視野照明装置を作ったのは
他社製の極望を使えるようにするためで大幅なコストダウンが図れます。

AP赤道儀はクランプフリーで極軸が回転するので
この極望でも高精度な組み付け調整できる事を確認しています。
明視野照明になりますが
個人的には明視野で不便を感じたことはないので(南天遠征時も含め)
コストダウンで精度や使い勝手を犠牲にすることはないと思っています。
人によっては,いつも照明がついている安心感の方が大きいかも知れませんね。


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このAP用極望照明装置(商品名:AP-PFL)は少し工夫すれば他の赤道儀
でも使えそうです。
特にH-40(スカイキャンサー)やP-2は赤緯体に収納できるので便利でしょう。

単体価格は1,620円(税込み)で7月から発売いたします。

極望に付いては別途ご紹介しますが,AP赤道儀用としてはAP-PFLとの
セット販売を予定しています。
(AP-PFLを装着した場合,開口部のスライドカバーは使えなくなります)


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PENTAX75赤道儀用アングルファインダー

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PENTAX75赤道儀の極軸望遠鏡はP-2以上に覗きにくいため
アングルファインダーが一番必要な赤道儀と感じていましたが
接眼部に日時を設定する回転機構があるので設計に時間がかかりました。
試行錯誤の結果目処が立ったのでご紹介します。

実はP-2用のM34-M20接続リングはPENTAX75での使用も意識して
設計しています。
具体的には,外径をPENTAX75の日時を合わせる部分と同じにしたので
写真のような簡単な筒をPENTAX75に装着すればP-2用が共用できます。
筒の深さも浅いため,日時の設定も可能です。


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日時設定部を意識しすぎ,左のようなアイピース直接付けなども
テストしましたがファインダーの保持が難しく結果的に遠回りになったようです。


紹介する延長筒は3,000円で受注生産しますが,M34-M20の接続リングの
在庫が僅かになっているのであまり多くはご提供できません。
(現在赤道儀改造をご注文いただいている方分は確保しております)

P-2用M34-M20接続リングは完売しました。2015.6.24追記

懸案だったPENTAX75も対応できたので一連のアングルファインダー企画は
今回のPENTAX75赤道儀用で終わりといたします。
 

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2015年6月19日 (金)

EM-100のインターフェースパネル

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赤道儀側に設置するインターフェースパネルについては度々紹介していますが
今回は新設計のEM-100パネルです。

従来仕様でもモーターケーブルの一括化やガイドポートも配備していましたが
新仕様ではパソコン接続用のRS-232Cも取り込みました。
ご要望の多い,Bluetoothモジュールに対応するので無線接続も可能です。

EM-100は6,7月で4台改造しますが,パネル類は10台分ほどまとめて作りました。
残りの4~5台は来年以降受注予定で,これをもってEM-100の改造は終了します。
(今回の改造費用は,コントローラーにMTS-3,ベルトドライブ仕様で
118,000円ですが,来年以降は新型のMTS-3移行に伴い改定予定です)

EM-100の改造は来年予約分も含め全て終了いたしました。(2015.6.29追記)


EM-100は’EM’の名がついていますが基本構造はP-2や90S,NJPなどと同じです。
赤径モーターを内蔵したので’EM’がつけられたと思いますが
本来はモーター外付けの設計です。
鋳物のハウジングは質実剛健で,ウォームギヤの保持が滑り軸受けなので
コロ軸受け(ボールベアリングなど)を使った機種に比べ追尾精度が高いようです。
過去に実測した個体は全て±5秒角ほどの追尾精度でした。
以下に一例を示します。(Y軸1目盛りは約10秒角)


Em100_5


EM-100は10cm屈折+重量級の冷却CCDカメラを搭載できます。
本体の重さは10kgほどなので,重たい機材を敬遠される方に丁度良いでしょう。
 


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こちらは重さ3.5kgの自動導入仕様AP赤道儀(試作改造品)です。
以前ご紹介しましたがウエイトシャフト部にインターフェースパネルを設置しました。
試作ではRS-232Cは取り込んでいませんがパネル面に小型のコネクターを
赤緯ハウジング内にはBluetoothモジュール接続用のD-Sub9Pinを配置します。

外付けモーターですがモーター配線はハウジング内を通してインターフェース
パネルに導いています。

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H-40の飾りリング

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H-40でもアングルファインダーを使う際に必要なボーグの「7423」を
飾りリングに仕立てました。と言っても外周とローレット部を削っただけですが
フルカスタマイズで赤道儀を預っているお客様への確認用としてアップします。

赤道儀をお預かりしているので,M42のネジ込みを確認して
(固い場合は7423を修正)ご返却いたします。
P-2とH-40両方を所有されている方も多いようですがこれで共用できます。

既に何人かのお客様から使用感をお寄せいただきましたが
アングルファインダーの「直角視」より視度調整の方を喜ばれているようです。
(紹介のアングルファインダー装着時は双眼鏡などと同じ視度調整幅になります)


若いときは極軸望遠鏡の視度調整など気にもかけませんが
歳をとると目のピント調整能力が著しく小さくなるので視度調整は必須ですね。

進めている赤道儀のダウンサイジング化やスタンドアローンガイダー化などと
同じでシニア世代用として重要なアイテムの一つでしょう。


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2015年6月17日 (水)

アングルファインダー H-40赤道儀でも

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昨日の記事で,P-2赤道儀のアングルファインダーを古いH-40で使用する場合
ボーグ「7423」のM42ネジ込みが固くて最後までねじ込めないと紹介しましたが
他の「7423」では問題ありませんでした。
ボーグ製と言えどもネジ部は若干の個体差があるようです。


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このままでも違和感はないのですが,「7423」の外形が若干大きいので
表面を削り銀色の飾りリングに仕立てれば完璧でしょう。


CANON製アングルファインダーBをP-2赤道儀などの接眼部に取りつける
接続リング(M34-M20アダプター)は20個ほどの余剰がありましたが
昨夜のうちに残り10個ほどになりました。

P-2用M34-M20接続リングは完売しました。2015.6.24追記

たいへん多くのご注文をいただきありがとうございました。

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2015年6月16日 (火)

アングルファインダー接続リングの出荷について

B15_06_16


先にご案内しておりましたP-2赤道儀へ
CANON製アングルファインダーBを取りつける接続リング(M34-M20アダプター)が
完成しました。殆どのお客様へは本日出荷いたします。


P-2の極望は視度調整ができないので,近視の場合はメガネをかけて覗きますが
アイポイントが短いので大変でした。

このCANON製アングルファインダーBを併用すると
強い近視の私でも裸眼でピントが合うので便利です。

なお,写真のように赤道儀側をM42リング(ボーグ7423など)で延長すれば
スカイキャンサー赤道儀でも使用できます。
古いH-40では,M42のネジ込みが固いので最後までねじ込めませんでしたが
実用にはなるようです。
 

このM34-M20接続リングは50個作ったので少し余剰があります。
価格は4,000円で送料は540円です。
(表面処理は艶ありの硬質アルマイトに変更しました)

P-2用M34-M20接続リングは完売しました。2015.6.24追記

商品は写真手前の黒いリングのみで,ファインダーに装着する
四角い銀色部を外して使用します。
 

P-2のアイポイントに合わせて製作したので,基本的にP-2赤道儀専用です。
M42で延長すればスカイキャンサーやP型赤道儀でも使用可能ですが
その他の赤道儀ではご使用いただけません。
またM20のネジ込み確認はキャノン製アングルファインダーBでのみ行っています。

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2015年6月14日 (日)

Wynneコレクター

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ビクセンからR200SS専用のWynneコレクター(コレクターPH)が発売されました。
高性能なWynneタイプコレクターが6万円ほどなので大きな反響のようです。


ただWynneコレクターは筒外焦点距離が長くなるのでフォーカサーへの負担が
大きくなります。特に重たい冷却CCDでの撮影は不安です。

写真のWynneコレクターは何れも3インチのEDコレクターです。
長い方の全長は180mmですが,それに加えバックフォーカスが79mmもあるので
ピント面は鏡筒側面から25cmほどになります。
(写真の3インチコレクターは全長の半分ほどがドローチューブ内に収まります)
そこに4~5kgほどの荷重がかかかれば接眼部の撓みは避けられないので
フィルターホールとの接続部を保持するなど何らかの対策が必要でしょう。
 


R200SS専用のWynneコレクターが発売されたためか
以前頒布していたフォーカサーの問い合わせが増えています。
 
R200SS+コレクターPHでは上記ほどの引き出し量ではありませんが
重たい冷却CCDでの撮影では接眼部など撓みが懸念されます。
電動フォーカサーを望まれるのは冷却CCD撮影が前提と思うので
申し訳ありませんが,上記理由で再頒布の予定はありません。


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2015年6月 8日 (月)

フォーク赤道儀での試写

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先日から紹介しているフォーク赤道儀ですが先月25日に試写しました。
いつもの撮っただけの写真ですが記録としてアップします。

今回,フォーク赤道儀に搭載するためにMAMIYA67用の250mmと
STX-16803の接続部を作り直したので星像の確認が目的です。
カメラマウント面から,冷却CCD取付面までの平行度を
ディプスマイクロメーターで調整しただけですが四隅とも満足行く星像のようです。
先に書いたとおり,フランジバックが110mmほどあるので
100μmほどズレていても殆ど星像には影響しないと感じました。

以下はコーナー部のピクセル等倍像です。
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ドームの外に設置しているので,ほぼ全天リモート撮影ができます。
常設しているので晴れれば主に広写野ナローバンド撮影用として楽しめそうです。
あとは梅雨が明けるのを待つばかりですね。


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2015年6月 4日 (木)

久々のRH-200入荷~検品

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お待たせしましたが,ご注文いただいていたVELOCE RH-200が入荷しました。
昨年の10月以来なので7ヶ月ぶりです。

九州地方は既に梅雨入りしていますが幸いな事に昨夜から晴れています。
このまま今夜まで好天が続けば,星像での検品や光軸確認を行い
必要であれば調整後出荷します。

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2台のRH-200はツインシステム用で,それぞれにFLIのATLASフォーカサーが
つきます。カラー撮影側は50mm角フィルターが10枚入るCL-1-10仕様です。


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なお,今回入荷分から主鏡が納められた部分の外観が変更されました。
左が新タイプで右が従来品ですが,新タイプはアリガタなどのアクセサリーを
直接ボディ(黒い部分)に固定するので強度が増したようです。

因みにATLASフォーカサーで運用する場合,バックフォーカスは
RH-200とフォーカサーの接続面から107mmです。


ところで,輸送中の不具合(光学エレメントの圧迫や光軸ズレなど)点検は
単焦点アイピースで星像を拡大して行いますが
個人的には最新の広視野タイプより,古典的なAbbe式が見やすいと思います。
視野は狭いのですが中心像で評価するので広い必要はありませんしね。

接眼部に付けた回転ヘリコイド(アイピースを回せばピントが変わる)を
併用すれば,焦点前後での星像の変化が大変わかりやすいです。

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2015年6月 2日 (火)

レボルビング装置とNikon 810A

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Nikon初の天体写真撮影用カメラ,Nikon810Aが発売されたためか
レボルビング装置(RR-110)で干渉はないかとのご質問が寄せられています。
結論から言えば干渉せずに約170度(スペーサー併用時は270度)ほど
回転できますのでご安心ください。


写真はD200を装着した状態ですが,D200はD810Aと比べ
高さが1cmほど低いだけで,幅はほぼ同じなので干渉の評価はできます。
RR-110へは標準状態で固定していますが
赤道儀取付プレートとボディの角は約1cmほどの余裕があります。

ただ,他のカメラボディでも同じですが,写真で真上を向いているグリップ部は
赤道儀に固定しているプレートと干渉するので
最大でもグリップ位置が,時計の19時~4時までの回転です。
背がD200より1cm高いD810Aでは,ダイヤルなどが干渉するため
グリップ部が22時から4時までの回転に限られますが
RR-110付属の嵩上げスペーサーを併用すれば19時~4時まで回転できます。
(写真の状態がグリップ部が12時の位置です)

RR-110は5月末に20台入荷しましたが在庫は僅かとなっております。
次のロットは7月上旬の予定です。

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