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2015年11月12日 (木)

2軸駆動のポータブル赤道儀

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2軸駆動のポータブル赤道儀は以前から何度も記事にしていますが
ほとんどは個人所有の機材やお客様からご支給いただいた赤道儀の改造でした。
 

少量生産の場合,微動部をゼロから作るのは,ウォームホイールなどの
製作コストの観点から難しいため,市販品として流用できる
回転ステージなどで評価してきましたが強度などの問題で形になりませんでした。
 

そのようななか,ちょうど一年前にビクセンからモジュール式のAP赤道儀
発売され,それをベースに自動導入仕様のAP-GOTO赤道儀を製作しています。
(MTS-3入荷の都合で完成が遅れていますが,第1,2ロットは
ご予約で終了しています。次のロットは新型MTS-3完成後となります)

このAP-GOTO赤道儀はウォーム周りのバックラッシュを極小化する意味で
手動モジュールを採用していますが,基本的にはAP赤道儀そのものです。
海外遠征を前提としているので,随所に軽量化を図り,三脚も含め5kg強ながら
8cmクラスの望遠鏡で十分運用できる強度と精度を有しています。


ただ,デジタルカメラと200mm程度の望遠レンズでの撮影に使用する,いわゆる
”ポータブル赤道儀”としては少し大きすぎるようです。
AP-GOTO赤道儀の設計から手が離れたので,このモジュールを使った
2軸駆動のポータブル赤道儀の試作に着手しました。

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このポータブル赤道儀の特徴は,先日紹介したウエイトを軽減するために
赤緯側のモーター駆動部をウエイト側に配置することと
全体を小型化するために極軸ハウジングを北側の面で保持していることです。

重心が低くて全体のバランスもよくなり,さらには剛性も高くなります。
この部分で高度の微動も可能ですが(調整範囲は35度±5度程度)
一番の目的は駆動回路を入れるスペースを作るためで
ここに駆動回路を入れると外圧でスイッチなどが破損することを予防できます。


年末までに実際に撮影などを行い,すべての評価を完了する予定ですが
その後商品化の時期については現時点では未定です。
微動部は流用しますが基本はゼロからの設計なのでAP-GOTOより
遙かに難しいためです。
 


以下は純正で2軸駆動化したAP赤道儀と,APモジュールを使った
ポータブル仕様の比較ですがこんなに違います。
小さいけど純正構成以上の強度で,バックラッシュは極めて小さくなりますが
外付けのコントローラー(SB-0)が不要なのが最大のメリットではないでしょうか。

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