
以前はレボルビング装置やカーボン三脚などの紹介では
主にH-40赤道儀を使っていましたが
このところはPENTAX75赤道儀(以降P-75と略)をよく使います。
特に意味はないのですが塗装色がきれいなので写真が華やぐようです。
写真は全く手を入れていないP-75とフルにカスタマズしたH-40を並べていますが
同じような大きさです。その差が気になるとこですね。
P-75の良いところはなんと言っても作りの良さで追尾精度も抜群です。
大変小さいのですがガタや撓みは極めて小さく
クランプを締めるとカチッと固まるイメージです。
逆にマイナスな点は,極軸望遠鏡が極めて見づらいことと
写真のように赤道儀と三脚台座部が外れないので
分解時は三脚を1本づつ外さなければなりません。
一方H-40は極軸の調整機能がないことや,ガイド鏡が固定されているので
そのままではポータブル赤道儀としては使いにくいようです。
これはH-40専用のXY50やフルカスタマイズなどで
大変使い易いポータブル赤道儀に生まれ変わり多くの実績があります。
追尾精度や強度はP-75の方が優れているように感じられます。
以下は,P-75をモーター組み込みのために分解,加工した状態です。
P-75のウォームホイールの大きさは約60φ(147T,M0.4,砲金製)で
横に並べた72φ(144T,M0.5)のアルミ製ホイールより二回りほど小さいです。
それでもP-75はこの72φの赤道儀より,数倍高い追尾精度なので
ウォーム軸が如何に高精度加工(研磨)されているかご理解いただけるでしょう。
ウォーム軸の精度を補うためにホイールを大きくする手もあるとは思いますが
本来ならこのようにウォーム軸の精度を上げるべきでしょうね。
さすがにPENTAX製で小さくても高精度な赤道儀ができるという見本のようです。

この写真はスカイメモPの記事で紹介したウォーム軸受けに切られた油溝です。

ところで,H-40(スカイキャンサー含む)用のAMD-1は200台ほど出荷しました。
XY50-35Hも100台ほど出ています。
過去にカスタマイズさせていただいたH-40のシリアル番号は
一番古いもので「743**」(H-40が発売された年)で一番新しいのでは「802**」です。
上位2桁が西暦で,あとの3桁が通し番号と思いますが
少なくとも74年~80年までの7年間は製造されており
年によっては400番ほどのものもあるので
単純計算では,2,000台ほど生産されたことになりそうです。
(上記はH-40のみで,スカイキャンサーは82年,FC50は84年代の履歴があります)
そのためかH-40は中古の取引も多いようですがP-75はあまり見かけません。
PENTAX75ED-HFとセットで販売されていたので
それなりに出ていると思いますが,どこかに眠っているのならもったいないですね。