« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »

2015年12月

2015年12月31日 (木)

2015年もありがとうございました

B15_12_31


年末・年始のお休みを利用して昨日から観測所にきています。

私個人にとって2015年の大きな出来事は
メインのカメラをCANONからNIKONに変えた事でしょう。

今までも彗星撮影用として明るい望遠レズを所有していましたが
写真はそれらを処分して導入したNIKONの200mm f/2です。
できればこのレンズでは,カタリナ彗星の撮影を
ファーストライトにしたかったのですがお天気が微妙なようです。

2015年一年間お世話になりました。来年も引き続きよろしくお願いいたします。

|

2015年12月30日 (水)

2015年を振り返って-3 (2段式カーボン三脚)

B15_12_30_2


今年も残すところ1日になりましたが
2015年を締めくくる商品は,今月初めに発売した2段式のカーボン三脚です。
僅か1ヶ月で初期ロット100本の内,半数近くを出荷しました。


写真は左から
・軽量化と強度を最優先した1段式のPTP-C2
・今月発売した2段式のPTP-C22
・それと2段式として試作した三脚を並べていますが
きれいに低,中,高になっています。

このPTP-Cシリーズは海外遠征用に特化した三脚として企画しましたが
強度,長さ,重さの兼ね合いを何処にもって行くかで大変悩みました。

最初に製品化したPTP-C(C2)は強度と重さを最優先して1段式にしましたが
大きめのスーツケースでないと収納できない事や
傾斜地での据え付けに不便とのお声もいただいております。

今回これらのご要望を受けて,2段式を発売しましたが
大変好調なスタートを切れたのは,お客様のご要望を反映した結果と
感じています。


なお,標準でラインナップしている,P-2,GP(SP),EM-10/11,100mm延長筒に
加え,来年1月にはSXシーズ用(7,344円)を発売します。
またご要望の多いスペース用などは特注で受注しております。


|

2015年12月29日 (火)

2015年を振り返って-2 (M-GENの登場)

B15_12_291

2015年で一番の出来事はスタンドアローンガイダー,M-GENの登場でしょう。
M-GENは数年前に発売されていましたが,1年ほど前に国内販売の話があり
2月にオーストラリアで評価を行なわせていただきました。

ぶっつけ本番の出張でしたが,デザガイドも含め「これは使える」と
確信したのでアクセサリーの開発や,マニュアル作成を受け持ちました。
GW明けに国内発売されましたがその後大きな反響となったようでホッとしています。

写真は2軸ガイド対応に改造した小型赤道儀に
328クラスの望遠レンズを搭載し,その脇にM-GENを固定していますが
個人的にはこれがM-GENの理想的な使い方と思っています。


2月の記事でも紹介しましたが,いつもお世話になっているワディファームでの
撮影風景と定宿?の10号室です。
B15_12_292


B15_12_293


2月は真夏だったので星の撮影より,ゆっくり星を見ながら過ごすバカンスと
M-GENのテストが目的でした。
日頃は仕事に追われるのでジックリとテストする時間がとれませんが
この出張期間中は半分ほどM-GENのテストを行っていました。

いかにもバカンスらしい写真ですが,こちらが私の得意分野ですよ。
B15_12_295_2


ところで,M-GENは「Lacerta」と言うメーカー製ですが,Lacertaは「とかげ座」です。
今回は真夏だった事もあると思いますが,大きなトカゲが出迎え?てくれました。
これも何かの縁だったのでしょうね。


B15_12_296

B15_12_294

|

2015年を振り返って-1 (カメラレンズ用フォーカサー)

B15_12_282

今年も残すところ3日なりましたが,2015年を振り返ってみたいと思います。

昨年からの継続ですが,今年もカメラレンズ用のフォーカサーに力を入れました。
写真はCarl Zeiss Apo Sonnar T*2/135専用のフォーカサーですが
専用品としてはこれが最初となります。
このレンズはIFでないため,ヘリコイドの回転が堅い事や
ピント合わせで,バンドで保持部とヘリコイド部の相対位置が変わるので
開発に時間がかかりましたが昨日すべて出荷しています。(電動仕様を除く)

このレンズは天体写真用としてすばらしい性能ですが
ピント位置によっては星の回りに色が出てしまうようです。
このフォーカサーは微妙な色の出方を抑えるために有効と思います。


B15_12_281_2


業務多忙につき,SIGMAのAPO MACRO180mmF2.8など
個人用として製作する分を除きカメラレンズ用アクセサリーの開発は
本年で終了予定です。
特にCarl Zeiss Apo Sonnar T*2/135関連商品には
たくさんのご注文いただきありがとうございました。

|

2015年12月27日 (日)

デジタル式の極軸望遠鏡 「PoleMaster」 その-2

B15_12_27


先日紹介した「PoleMaster」は大きな反響で早速数台のご注文をいただきました。
ご注文いただいたのは,GP-D,SXDに加え,MS-4や初代ATLUX用ですが
この内,GP-DやSXD,SXP用のアダプターは来月メーカーから発売されるそうです。

その他についてはK-ASETCオリジナルとしてアダプターを準備しており
MS-4,初代ATLUXの他に,PENTAX75,H-40,マークXなどと
極望が装着されていないタカハシのD型用をPoleMasterとセット販売いたします。
(インチネジ仕様となる海外製赤道儀用アダプターの製作予定はありません)
 

現在,「PoleMaster」の納期はご注文後約1ヶ月で1月末の出荷予定です。
K-ASETCオリジナルアダプター仕様の「PoleMaster」の価格は40,500円で
GP-D用など,QHY純正アダプター仕様と同額です。

 

試しに作ったアダプターでPoleMasterをPENTAX75に装着してみました。
PENTAX75の極望は覗きづらい事や,口径の都合で南天には不向きなので
接眼部や極望そのものの交換を行いましたが「PoleMaster」を使えば簡単に解決できそうです。

2軸ガイド仕様のPENTAX75赤道儀は遠征用としては理想的ですが
極望の口径が小さいため南天では使えませんでした。
PoleMasterの登場で南天遠征用として有力なポータブル赤道儀になりそうです。
なお,PoleMasterの南天対応ソフトは来春頃に完成する予定との事です。


|

2015年12月25日 (金)

デジタル式の極軸望遠鏡 「PoleMaster」 その-1

B15_12_251

デジタル式の極軸望遠鏡 「PoleMaster」がQHY CCDから発売されたので
国内代理店の天文ハウスTOMITAから入手しました。
このアイデアはTOMITAの立案でQHY CCD社と共同開発されたとの事です。

極軸がクランプフリーで回転できればどこにでも取り付けても良いのですが
基本的には極望のキャップ部になるのでしょう。
接続アタッチメントは,タカハシ用のM34P1.0の他に
Skywatcher,iOptron,Celestron製などが準備されています。
これらは単体でも販売するので,複数の赤道儀でご使用いただけます。


メーカー仕様によれば0.5分角の据付精度が得られるようです。
極軸自体が望遠鏡になっているタカハシのNJPでさえ
据付精度は2分角なのでさらに高精度な据付ができそうです。


個人的には使い易い光学式の極軸望遠鏡が内蔵されていれば
南天も含め不自由を感じた事はありませんが
写真のP-2赤道儀などでは,覗きにくい事や倍率の問題で少し苦労します。


このPoleMasterが南天での極軸合わせの救世主になるかも知れませんが
こればかりは実際に行かないと評価できませんね。
11×8度の画角があるのでこの領域を導入するのは容易でしょう。

またブログで紹介するPENTAX75赤道儀用などのアダプターは
私のところで作る予定です。ネジ物は現物がないと製作しづらいのですが
さいわい多くの赤道儀を所有しているので役に立ちそうです。


B15_12_252


PoleMasterの価格は40,500円(タカハシ用など標準アダプター付,税込み)です。
当方で製作するアダプターは4,000円ほどを予定しています。
現在品薄との事なので納期は約1ヶ月ほど要します。

|

2015年12月21日 (月)

MTS-3の入荷状況と来年の改造予定について(お詫び)

B15_12_211


EM-200などの自動導入改造やAP-GOTO赤道儀に採用しているMTS-3は
(ドイツboxdorfer社製)入荷が遅れご迷惑をおかけしています。

本来なら今年夏までには新型へ移行する予定でしたが
完成が遅れたため引き続き従来型での供給を依頼していました。
それも新型開発の影響などで遅れましたがやっと30台強確保できています。
(写真とは別に10台入荷します)

ただ,この30台ほどは,従来型での改造とAP-GOTOでご予約分(+予備)に
なっており余剰はありません。

現在,新型でご予約いただいている方には申し訳ありませんが
完成まで今暫くお時間をいただくことになりそうです。

また,このような状況なので2016年の新規ご予約を受けられる状態では
ありません。大変心苦しいのですがご了承いただけると幸いです。
なおAGS(E-ZEUS互換)シリーズは製造を終了しております。
(初代アトラクスなど一部の赤道儀修理用としては今後も供給予定です)
  

B15_12_212
 

ところで,新型はパネル面にガイドやシリアル通信のコネクターが
配置されて二回りほど大きくなる予定ですが,AP-GOTOなど
赤道儀側に集約パネルが付く場合は現状の一括コネクター接続が便利です。
その事をメーカーに伝えていたところ,新しいサンプル基板が届きました。
従来型と全く同じハウジングやパネルに対応しますが
従来DIPスイッチが付いていた部分にディスプレイも取り付けられます。
(いずれか一つでディスプレイの場合はハウジングやパネルは別仕様)

新型への移行までの繋ぎ?のような仕様ですがこれはこれで魅力的なので
積極的に採用できないか検討しています。
 

以下は裏面ですが,完全にワンボード化されています。
これで単体でも自動導入できるので驚きですね。(別途キーコードが必要)

B15_12_213


|

2015年12月20日 (日)

公共天文台の自動導入改造

B15_12_191

このところ更新が滞っていますが公共天文台の自動導入改造を行っています。
公共の場合は運営スケジュールの合間をぬって工事を行いますが
次の開館日までには仮のシステムで立ち上げるなど切り替えには気をつかいます。
 

写真は今回自動導入改造のため交換したモーターですが
528枚のウォームホイールを最新のステッピングモーターで高速駆動します。
 
 
ところで,今回は最新のステッピングモータードライバーを採用しましたが
従来の同等機種と比べると,駆動電流が半分に(1.4A→0.75A)なっています。
ステッピングモーターのトルクは流す電流と
コイルの巻数(抵抗)の積になりますが
省エネの観点でコイル抵抗を増やし,電流を抑えたようです。
同じトルクを出すには巻数を2倍にすれば電流は半分ですみますからね。

ただ,コイルの巻数(抵抗)が増えた分,高速特性が落ちますが
そこは供給電圧を高くすることで補っているようです。
今回のドライバーは最大で340Vの電圧をコイルに印可して
良好な高速特性を得ています。
小型赤道儀の場合は12~36V程度なのでまさに桁違いです。

一般的な使用では,高速で回るのは極短時間で
ほとんどは停止しているので大きな省エネ効果が得られるのでしょう。

B15_12_192


|

2015年12月13日 (日)

天文用2段式カーボン三脚について-4

B15_12_132


天文用として企画した2段仕様のカーボン三脚(PTP-C22)は
今月1日に発売したばかりですが予想以上の評価をいただいています。

現在,協栄産業・大阪店東京店では発売記念セールを行われていますが
併せて展示もしているので,強度を実感いただけると幸いです。

 

最初の記事で紹介したストーンバックへのお問い合わせをいただいたので
わかりやすい写真を掲載しました。
「SLIK 三脚アクセサリー ストーンバッグ DX」という商品ですが
PTP-C22とのバランスもよくて使い易いようです。
 

また,写真ではXY50D-55を搭載していますが,以下で紹介する機能性だけでなく
統一されたデザインや質感など見た目にもこだわっています。

その機能性ですが,三脚とXY50Dなどの接続部はクランプを少し緩めると
滑らかに方位を振れるので極付近の星の配列を探す南天では特に重宝します。
付属のソフトケースは,XY50DやXY65を三脚に付けたまま収納でき便利です。


B15_12_131


|

2015年12月 4日 (金)

H-40とPENTAX75赤道儀

B15_12_041

以前はレボルビング装置やカーボン三脚などの紹介では
主にH-40赤道儀を使っていましたが
このところはPENTAX75赤道儀(以降P-75と略)をよく使います。
特に意味はないのですが塗装色がきれいなので写真が華やぐようです。
 
写真は全く手を入れていないP-75とフルにカスタマズしたH-40を並べていますが
同じような大きさです。その差が気になるとこですね。
 
P-75の良いところはなんと言っても作りの良さで追尾精度も抜群です。
大変小さいのですがガタや撓みは極めて小さく
クランプを締めるとカチッと固まるイメージです。
逆にマイナスな点は,極軸望遠鏡が極めて見づらいことと
写真のように赤道儀と三脚台座部が外れないので
分解時は三脚を1本づつ外さなければなりません。 


一方H-40は極軸の調整機能がないことや,ガイド鏡が固定されているので
そのままではポータブル赤道儀としては使いにくいようです。
これはH-40専用のXY50やフルカスタマイズなどで
大変使い易いポータブル赤道儀に生まれ変わり多くの実績があります。
追尾精度や強度はP-75の方が優れているように感じられます。

 

以下は,P-75をモーター組み込みのために分解,加工した状態です。
P-75のウォームホイールの大きさは約60φ(147T,M0.4,砲金製)で
横に並べた72φ(144T,M0.5)のアルミ製ホイールより二回りほど小さいです。

それでもP-75はこの72φの赤道儀より,数倍高い追尾精度なので
ウォーム軸が如何に高精度加工(研磨)されているかご理解いただけるでしょう。

ウォーム軸の精度を補うためにホイールを大きくする手もあるとは思いますが
本来ならこのようにウォーム軸の精度を上げるべきでしょうね。
さすがにPENTAX製で小さくても高精度な赤道儀ができるという見本のようです。

B15_12_042


この写真はスカイメモPの記事で紹介したウォーム軸受けに切られた油溝です。


B15_12_043


ところで,H-40(スカイキャンサー含む)用のAMD-1は200台ほど出荷しました。
XY50-35Hも100台ほど出ています。

過去にカスタマイズさせていただいたH-40のシリアル番号は
一番古いもので「743**」(H-40が発売された年)で一番新しいのでは「802**」です。

上位2桁が西暦で,あとの3桁が通し番号と思いますが
少なくとも74年~80年までの7年間は製造されており
年によっては400番ほどのものもあるので
単純計算では,2,000台ほど生産されたことになりそうです。
(上記はH-40のみで,スカイキャンサーは82年,FC50は84年代の履歴があります)

そのためかH-40は中古の取引も多いようですがP-75はあまり見かけません。
PENTAX75ED-HFとセットで販売されていたので
それなりに出ていると思いますが,どこかに眠っているのならもったいないですね。


|

2015年12月 2日 (水)

天文用2段式カーボン三脚について-3

B15_12_02


PTP-C22関連の記事が続きますが今日は強度について紹介します。
1,2回目は長さ(高さ)の紹介でしたが強度の説明は大変難しいです。

搭載される赤道儀や鏡筒の重さだけでなく
鏡筒の長さや観測目的にもよるので,仕様では「8cmクラスの鏡筒を搭載した
P-2赤道儀など,トータルで15kg程度までを目安」と紹介しています。

写真はVSD100を搭載したP-2赤道儀で,約3.5kgのウエイトで釣り合っています。
カメラをつけた鏡筒周りが6.6kg,赤道儀が6kgなのでトータルで16kgです。

この状態で鏡筒を振っても三脚が弱いとは感じられないので
特に風が強くない限り撮影には支障ないでしょう。
P-2赤道儀もこの程度の鏡筒なら余裕で搭載する強度です。
 

もちろんですが,7kgほどあるメタル三脚にはかないません。海外遠征など
限られた重量制限内で実用になる強度を有しているとご理解ください。
 

いろいろ紹介していますが,強度については現物に触れて
ご自身の使用環境に合うかをご判断いただければと思っています。

今週末からは協栄産業様(東京店,大阪店)に展示されるので
その軽さと強さを実感いただけると幸いです。
数に限りがありますが,発売記念としてEM-11用などの
赤道儀搭載用アタッチメントが無償で添付されます。


|

2015年12月 1日 (火)

PENTAX75赤道儀の2軸ガイド化

B15_12_011

PENTAX75赤道儀については写真右の赤緯軸をカットしたポータブル仕様
原形をとどめて?極軸側モーターを装着する改造を行いましたが
今日紹介するのは2軸ガイド仕様です。
お客様からの依頼があったので手持ちの個体で評価してみました。

昨夜ガイド状況などをテストしましたが以下のように良好な結果が得られています。


2ax_p75_guide


赤緯側は写真のようの僅かに伸縮するカップリングを使い
モーターでの直結駆動を採用しました。

カメラレンズでの撮影では,多くの場合でガイドカメラと並列同架になるので
そのためのプレートに2軸駆動回路と直結するモーターを組み込みました。
改造が簡単なので費用も抑えれますが
モーター直結なのでバックラッシュも極めて小さくなります。
 

このPENTAX75やP-2の赤緯微動はスプリング式なので原理上
微動部ではバックラッシュは発生しません。

直結したモーターのバックラッシュは残りますが
スプリング式は極軸側のウォーム式に比べ減速比が大きいので
ガイド修正時でもモーターは早く回します。
今回の例では,極軸側の恒星時に対して4倍の速度で駆動するので
モーターのバックラッシュの影響が1/4になり,これは大きなメリットです。


B15_12_012


以下は開発が遅れているP-2赤道儀の赤緯駆動部ですが
コンパクト化を図るためにモーターを側面に配置するレイアウトで進めていました。
ただ小型モーターのトルク不足や改造コストなど課題も多いので
今回のPENTAX75同様にプレート+モーター直結式に見直すつもりです。


B15_12_013

以下はガイドをOFFにしてPモーションを測定したグラフです。
ポータブル仕様もそうでしたがこの赤道儀の追尾精度は本当にすばらしいですね。
アイピース部を入れ替えた極望で簡単にセッティングしていますが
それでも赤緯側のズレは僅かなので,3分ほどの撮影なら300mmでも点像でしょう。
2軸化の目的はどちらかと言えばデザガイドのためかも知れません。
(Y軸の1目盛りは概ね11秒角)

2ax_p75_2


なおこの2軸駆動改造は,赤道儀の改造(オーバーホール含む)や赤緯プレートを
含め68,000円でお請けしています。(極望の改造は別途)
既に1軸改造された方へは差額分のみのご負担で2軸改造を行います。

|

« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »