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2016年1月 3日 (日)

2軸駆動ポータブル赤道儀の試作機

B16_01_021


11月のブログで紹介した2軸駆動ポータブル赤道儀は試作機が完成しました。
記事で紹介したとおり,昨年中に動作テストまで完了し満足な結果を得ています。

最大の特徴はバランスウエイトを軽減できるよう,駆動部をウエイト側に配置し
極望の視野を確保するための穴を開けた赤緯軸でパノラマヘッドに連結しています。

この構造の場合,穴を開けた赤緯軸は電動駆動で回転するだけなので
クランプフリーで目標天体に向けても常に極望が使えます。
撮影中に極軸のズレを確認できるので大変便利です。
(自動導入仕様の場合は,視野確保のために電動で赤緯軸を回す必要があります)
またバランスシャフトも電動で回転するので,ウエイト側にガイド鏡を設置することを
可能にしています。


このポータブル赤道儀は300mmF2.8(以下328と略)クラスを
2軸ガイド(デザガイド)撮影するのが目的なのでドイツ式を採用しました。

極軸のみのポータブル赤道儀と自由雲台では
重さの都合で328クラスでの撮影は事実上不可能でしょう。
対策として赤緯軸を付加してドイツ式での運用になると思いますが
その場合は箱状の極軸体とカメラの干渉を防ぐために
赤緯軸を伸ばす必要があり結果的に重いウエイトが必要になります。

デザリング撮影でノイズを抑えるのが目的の一つなら
ガイドは必須なので極軸側は追尾精度より
コンパクトさを優先した方が使い易い赤道儀になると考えました。

 

海外遠征の場合,トータルでの軽量化が必要なので
基本構成は,三脚などすべてを含んだセット販売を予定しています。
PTP-C22三脚,1kgウエイト2個,バランスシャフトにパノラマヘッドを
含んだ一式の重さは約7kgです。
(方位微動の構造上,使える三脚はPTP-C,C2,C22のみです)
 
このセットは5kgほどまでの機材を安定して搭載できますが
極限まで小型・軽量化しているので,使い勝手やコストを犠牲にしています。
車で移動するのが前提であれば,2倍以上の重さになりますがEM-11など
普通のドイツ式赤道儀とメタル三脚の組み合わせが遙かに有利でしょう。


なお,11月に紹介した時点では「PoleMaster」は考慮していませんが
試作機では赤緯体の北端を平面に加工し取り付け面を確保しています。

B16_01_022


この2軸駆動のポータブル赤道儀は試作と性能評価まで完了しましたが
本年はご予約いただいている,P-2赤道儀やスカイメモ2軸化が優先です。
そのために現時点では商品化の時期や価格などは決まっておりません。


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