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2016年5月

2016年5月31日 (火)

カメラ2台を並べて同荷するプレート

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限られた時間内で効率よく撮影するために,カメラ2台を並列に同荷する
プレートを作りました。
個人的には撮影中の組み替えを極力少なくするのが目的ですが
2台同時撮影にも使えます。
予め両側のDS38の固定具合で(パン方向も必要ならシムの併用)
光軸を合わせておけば,2台のカメラををほぼ同軸に合わせられます。
  

プレートはあまり長くすると赤道儀などと干渉するので最低限にして
カメラボディとM-GENの干渉を防ぐために,M-GENは前方にシフトしています。

このプレートは個人的な目的から作ったので商品化の予定はありませんが
8枚ほど余剰があります。
TOMITAのASRTOLABE長穴アリガタプレートとのセットで9,720円です。
(アリガタの内側から,124mm間隔,M8通し穴加工部を利用して縫い合わせ)
M-GENなどをシフトするためのプレートは2,160円です。(写真とは異なります)
  

このプレートの長さは230mmで,以下の位置にM8タップを施しています。
・両端にはDS38などを固定するために光軸方向に17.5mm間隔
・中央部にはM-GENなどのガイド鏡を固定するために長手方向に17.5mm間隔
・アリガタプレートと縫い合わせるための124mm間隔

縫い合わせたアリガタプレートは長穴となっているので
中央部のM8タップ列は裏面からM6ボルトでの固定も可能です。
 
 
同時にPENTAXのMS-3(MS-3n)や65,75赤道儀にDS45(65N)を固定するための
穴加工も承ります。(後加工なので加工部のメッキはとれます)

追加工を行ったDS45(65N)は14,040円です。
一括外注加工を行う都合上,受付は6月30日で締め切らせていただきます。


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2016年5月28日 (土)

MS-3とMS-3n赤道儀

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PENTAXのMS-3(MS-3n)赤道儀は,モーター駆動用とは別の微動装置が
ついていることは以前の記事で紹介しました。
この機構は眼視観望や日食撮影時に大変便利ですが
万が一,モーター系が故障した際の緊急対応として手動追尾にも使えます。
 

実は,3月のインドネシア日食時に知人の赤道儀が故障していました。
輸送中のショックが原因かと思いますが,過去に2~3度同様の経験があります。
この日食では第1接触を過ぎた頃に追尾していないことに気づかれましたが
その場でウォーム部を分解し皆既の30分ほど前に追尾できるようになりました。
私はこの修理をすませたあと,観測場所を変えると言うドタバタ劇を演じています。
 

最近の赤道儀はモーターが内蔵されていますが,このようなトラブルが起きると
撮影に大きな支障が出ます。
その点MS-3(MS-3n)は手動でも追尾できるのでいざというときには便利です。

モーター外付けの赤道儀で遠征される場合は,緊急用として手動ハンドルも
持って行かれると安心でしょう。

 
ところで,MS-3とMS-3nの違いをご存じでしょうか?2台並べてみましたが
外観上の違いは,右のMS-3nには架台部に水準機があるだけに見えます。

注意して見ると,極軸側の目盛環を指す指標の位置が
左のMS-3はクランプフリーで回転する赤緯体側に
右のMS-3nは三脚に固定されるハウジング側に配置されています。

単に指標の位置が違うだけでなく,MS-3nの目盛環はウォームホイールの
外周に配置されており,内側のウォームと一緒に回転する仕掛けです。

これがMS-3とMS3nの大きな違いで,この構造のMS-3nの目盛環は
常に恒星時を示すので目盛環を使った導入に便利な赤道機です。


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MS-3は少し重たいのですが,万が一に備える意味では日食用として便利でしょう。
極僅かですが,専用のアタッチメントをセットしたPTP-C22も販売しております。

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2016年5月21日 (土)

P-2用AMD-1のご予約受付は終了しました

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昨日紹介したP-2用AMD-1は1日も経たない内に予定した数量に達しました。
多くのご予約をいただきありがとうございます。

今回は大変な人気のPole Masterとのセットも準備しましたが
破格値でのセットにも関わらず,セットでのご予約は僅かでした。
 

既にPole Masterを所有されていることもあるかと思いますが
パソコンを使って極軸合わせするPole Masterは
固定感覚で撮影できるAMD-1のコンセプトには合わなかったのかも知れません。
 

度々書いていますが,私も信頼できる極軸望遠鏡が内蔵された赤道儀では
南天も含めてPole Masterは使わないでしょう。
固定撮影と同じ感覚で撮影する場合は,外付け電池でさえ鬱陶しいと感じる
ほどなので,極軸合わせのためだけにパソコンを使う気にはなれませんね。


今回Pole Masterとのセット企画が不調だったのは「意外」な結果ではなく
AMD-1のコンセプトを充分にご理解いただいた結果では?と複雑な気持ちです。

そうなると,1年前に限定生産したアングルファインダー用の接続リングの再販
が求められそうです。7月頃になりますが20個ほど再生産しますのでご期待ください。

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2016年5月20日 (金)

P-2,H-40用AMD-1再生産のご案内

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一体型モータードライブ(AMD-1)は一部電子部品の調達ができなくなったため
販売を終了していましたが,海外での手配ができたので再生産を行います。

先日も紹介しましたが,Pole Masterで正確な極軸合わせができれば
極軸側のみの1軸ガイドでも充分です。P-2赤道儀を使った場合
比較的に露出時間が短いデジカメでの撮影では500mmでも余裕でしょう。

 
以下はPole Masterの評価用として以前紹介したガイドグラフ(約1.5周期分)です。
この赤道儀のPモーションは±5秒角強ですが200mm程度ならほぼ点像に写ります。

グラフ赤色が赤緯側のズレを示していますが,Pモーションより遙かに小さいので
(赤経のPモーションに連動した傾向を示していますが赤経の1/5ほどのズレです)
赤経側のみのガイドしてPモーションを打ち消せば500mm以上の焦点距離でも
満足の行く星像が得られるでしょう。


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今回再生産するのは,P-2用15台,H-40(スカイキャンサー)用10台で
極望照明装置,専用1軸ガイドケーブルが付属し37,800円(税込み)です。

なお,今回は両機種用ともにPole Masterとのセットも限定販売します。
両機種合わせて10台限定で,写真のようにシルバーのアダプター仕様です。

Pole Master装着時は不要となる極望の視野照明装置は付属しませんが
AMD-1本体+20,000円の57,800円(税込み)でのご提供です。

いずれも発売は7月ですが,数量に制限があるPole Masterとのセットは
ご予約も承っております。

P-2用のAMD-1の予約受付は終了しました。2016.5.21追記

 
記事の内容と関係ありませんが,写真のPROMINAR500mmF5.6は
容易に回転できるようにTB-80ASと内径スペーサーで固定しています。
前後用2個セットを22,896円で受注製作いたします。

また,P-2赤道儀を搭載しているカーボン三脚は最終ロットが入荷しました。
若干ですが,P-2用アダプター(プレゼント品)もございます。

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2016年5月16日 (月)

天草のミューイ天文台

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先週は前回の南阿蘇に引き続き,天草のミューイ天文台の点検を行いました。
こちらは目立った損傷はありませんが,駆動系にトラブルが発生していました。
しばらくは駆動系入れ替えなどの作業が続きますが今月末の完了予定です。
 

ここに設置された西村製作所の赤道儀はユニークな構造です。
ウォームホイールと同軸に平ギヤが設置されており
常時そのギヤをトルクモーターで駆動しています。
初めて見ましたが,常にウォームホイールとギヤの噛み合い部に
一定のトルクを与え,バックラッシュをなくす工夫のようですね。

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ミューイ天文台は上天草の龍ヶ岳山頂に設置されていますが
日本一の星空に選ばれたとのことです。

大変見晴らしの良い展望台ですが,その直ぐ下は断崖絶壁になっています。
(外れていた看板?を持って撮影しています)

ところでミューイ天文台の「ミューイ」はこの地の方言で「見よう」と言う
意味だそうです。
私は熊本出身ではありませんが説明されなくてもわかります。

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2016年5月11日 (水)

D810AでDxフォーマットのレンズを使う

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最近SIGMAから発売された50-100mmF1.8 DC HSMを入手しました。

このレンズはDxフォーマット(ニコン特有の呼び方で一般的にはAPS-C)
用ですが,まもなく入荷するQHY16200Aとのマッチングが良さそうなことと
レンズ前方をバンドで保持できる形状だったからです。
それと全域1.8の明るさに惹かれました。F4まで絞ると周辺減光がなくなります。

 
もちろんですが,本来のデジタルカメラでの使用も想定しています。
Dxフォーマットのボディは所有していませんが
ニコンはDxフォーマットのレンズをフルサイズのボディで使用できます。
レンズを自動で判別して,Dxフォーマット相当で撮影できるので便利です。

フルサイズをトリミングして使うのと同じなのでもったいない気もしますが
画角で75-150mm域は魅力的なレンズが少ないので価値はありそうです。

弟分の18-35mmF1.8はEOS60Da用として大変気にっていますが
フルサイズ画角換算で27-55mmになります。

写真のTAMRON SP15-30mmはフルサイズで使うと,3本のズームレンズで
15-30mm,27-55mm,75-150mmをカバーします。
3本で3kgを超えますが,機材が制限される海外遠征用としても便利でしょう。

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2016年5月 9日 (月)

2軸ガイドかPole Masterか

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現在,期間限定でPole Masterがお買い求めやすい価格となっているためか
お客様さまから「2軸ガイド改造とPole Master,どっちにすれば良い?」との
相談を受ける事があります。
本来は性格の異なるものですが,星を点に写す目的の道具としては
同じなのかも知れませんね。


ポータブル赤道儀で200mmクラスまでのガイド撮影を行う場合
①2軸ガイドで完璧な星像を得る方法(極軸は概ね合っていればOK)
②Pole Masterで極軸を正確に合わせ,極軸のみ1軸ガイドする方法
の2ケースです。

完璧な星像を求めるなら,①になりますが,その場合ポータブル赤道儀の
2軸ガイド対応などコスト面のハードルは高くなります。

個人的には,赤道儀や三脚などの強度が充分で
それらを舗装された路面などに設置するなら②で問題ないと思います。

ただ,「舗装された路面」などが容易に得られれば良いのですが
柔らかい地面の場合はどんどん極軸がズレて行くので
そのような環境で撮影されることが多いなら①になるのでしょうね。

それと極めて個人的な意見になりますが
①の場合は撮影カット全てを採用できますが
②の場合,微妙に流れたカットを採用するか不採用にするか悩みます。
この判断に悩むよりは①で完璧な星像を得た方が早いと思っています。

 
 
ところでスカイグラフなどはそのままではPole Masterは取付けられません。
専用のアダプターを特注する方法もありますが
安価なLブラケットを併用して写真のように装着するのが簡単です。
撮影時は取り外すことになりますが,各部の強度や路面などの条件が
満足されていればこの方法で特に問題ないでしょう。


なお写真は当方オリジナルのUNC1/4ネジ仕様のアダプターで
LブラケットにPole Master装着していますが
UNC1/4仕様はメーカー純正が発売されました。

このアダプターも含め,今月末までは15%OFFの34,500円(税込み)です。

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2016年5月 7日 (土)

レボルビング装置の裏技?

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天体写真を撮影するにはレンズへの夜露付着対策が必須です。
乾燥したイメージのオーストラリアでも,この時期は
昼夜間の温度差が大きいのでレンズが曇ることはしばしばです。

この写真はこの時期にクイーンズランド州のトゥウンバ付近(Dalby)で
撮影しましたがもの凄い夜露でした。
レンズ(PENTAX67の対角魚眼)にはここで紹介したリングヒーター
装着していたので,全く結露しませんでしたが機材はびしょ濡れ状態でした。


このころのフィルムカメラならまだしも,デジカメでは不安になるほどの
夜露ですが,その対策用としも遠征時には大きなポリ袋を持参します。

本来は急な雨対策用ですが,写真のようにレンズだけ顔を出して
撮影すれば,カメラボディなどの機材を夜露から守れます。
この際にレボルビングのリング部がポリ袋の保持に役立ち
100リットルクラスのポリ袋なら被って構図やピント合わせもできます。

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2016年5月 6日 (金)

SP15-30mmとレボルビング装置について

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TAMRON SP15-30mmは超広角ズームレンズとして人気ですが
異様に大きくて重たいので,自由雲台での運用には無理があるようです。
このところ自由雲台に限界を感じられた方から,レボルビング装置(RR-110)
に関するお問い合わせが多いので改めて紹介いたします。
 

通常はカメラボディを直接レボルビング装置に装着しますが
大きくて重たいこのレンズの場合,L型ブラケットの併用を推奨します。
確実に保持できるうえに,RR-110へのカメラ装着がワンタッチで行えます。

写真のNIKON D810Aの場合はCANON EOS6Dなどと比較すると
ボディ底面からマウントまでが長いですが以下の組み合わせでは
RR-110と干渉しないことを確認しております。

①RR-110専用のLBプレートに
②SUNWAYFOTO社製のDMP-100を装着して
③kirkphoto社製ブラケットを装着したD810Aをクランプします。

この組み合わせでは,一番厳しいTAMRON SP15-30mmを
クリアーするのでこれより小さいレンズは概ねご使用いただけます。
(全てのレンズの装着を保証するものではありません。
SIGMA8mmF3.5などの全周魚眼レンズでは視野が蹴られます)


写真はスカイグラフに少し手を入れた状態での撮影スタイルです。
この場合,極軸,赤緯軸(相当のパノラマヘッド),レボルビングの3軸が
フリー回転で構図をとれます。
これは自由雲台とは比較にならない使いやすさですが
フリークランプで動かない=撮影中にズレて星が流れない事を意味し
これが最大のメリットでしょう。


写真のスカイグラフはRR-110(旧型,ノーマル状態)やカーボン三脚などとの
セットでお譲りいたします。(カメラとレンズは含みません)
1段式三脚の場合,一式で150,000円,2段は160,000円です。

詳細はHPからお尋ねください。ご購入いただきました。
極軸のみのポータブル赤道儀とは別世界の使いやすさです。

 

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2016年5月 4日 (水)

Pole Master用アダプターの在庫状況など

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Pole Masterは相変わらずの人気で,K-ASTECオリジナルアダプターの在庫は
僅かになりました。全て在庫限りで終了です。

現在,Pole Master本体はタカハシ用などのアダプター付で34,500円(税込み)です。
Pole Master本体+タカハシ用などご希望のアダプター+K-ASTECオリジナル
アダプターの3点セットの場合,38,280円(税込み)でのご提供となります。
(5月31日までの特別価格)


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今回,Mark-XにPole MasterやTB80/60AS仕様のFS60CBを搭載しましたが
写真の状態で前後バランスがとれます。(写真はフラットナー併用の状態)
ガイド鏡を前方に搭載していますが,こんなに重心が後ろになるので
通常の鏡筒バンドでバランスをとるのがいかに難しいかご理解いただけるでしょう。
 

ガイドカメラはTOUPCAMのGCMOS 01200KMAで,以前テストしたタイプから
センサーの変更やドライバーの改良が行われました。
安価ですが人気のQHY5LⅡMに引けをとらない性能になっています。
国内販売は銀色のみのようですが
私が評価した個体はMark-Xや鏡筒にマッチしたカラーですね。

 
次はMark-X用の自動導入モータードライブの開発状況です。
Mark-Xはウォーム軸の延長線にモーターを配置する設計なので
モーターをウォーム軸と平行配置する際には軸間距離が長くなります。
それを避けるための工夫を行った結果,最終的には以下のレイアウトになりました。
ただ,純正の架台(MX-3)は使えず極軸側はXY65で保持する事が条件になるので
ご予約いただいていたお客様へは近日中に確認のご案内をいたします。
(写真にはありませんが,ベルトカバー付で12万円弱
Mark-X専用XY65とのセットの場合は13万円強での販売を予定しています)

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最後になりますが,欠品していたPTP-C22カーボン三脚はGW明けに入荷予定です。
数量が限定されますが,今回もサービス品を予定していますのでご期待ください。
 

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2016年5月 2日 (月)

Zeiss APQ150/1200のヘリコイド

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ルナ天文台には82cm反射(ジンデン鏡)の他に併設されたスライディングルーフに
ZeissのAPQ150/1200(フローライト3枚玉アポクロマート)が設置されています。

先日はこれで木星などを見ましたが本当によく見えます。
所有していた,TOA-150やTMB-152よりもよく見えるように感じました。
APQ150/1200は15cm屈折の中で最も高い評価のようですが
知人が所有する某カメラ(顕微鏡?)メーカー製のフローライト(15mmF7,3枚玉)
と見比べてみたいです。これも驚くほど良く見える15cm屈折です。
 

ところで,ZeissのAPQ150/1200の接眼部はヘリコイドですが
写真のようにアイピース側を保持する構造になっています。

私のバンドは,ビクセンのVSD100やBORG55FLなどを以下のように
ヘリコイドの両側を保持する方法をとっていますがこれと同じです。
さすがにZeissでヘリコイドを知り尽くした設計でしょう。
接眼部に力をかけてもビクともしませんでした。

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