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2016年6月

2016年6月29日 (水)

初代ATLUX赤道儀の修理再開について

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ATLUX赤道儀の駆動系修理(自動導入改造)は2年ほど前に終了しておりますが
その後も時折ご要望をいただいております。
度々書いていますが,ATLUX赤道儀はコントローラーや駆動系が故障しただけで
ゴミにするのはもったいない赤道儀です。

改造業務も少し余裕がでてきたので,ATLUXの修理を再開することとしました。
修理の実施はまだ先のことですが,まずは用品の準備を行います。

初代ATLUX駆動系修理は以前と同じようにウォーム軸ハウジングなどを
一式交換するためそれらの用品の加工が必要です。
以下の奥がオリジナルで,手前が交換するウォームハウジングなどです。


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これらの用品は,必要数量を製作するのでご希望の方はご予約をお願いします。
(ご予約の受付は数量の把握が目的なのでこの時点での費用は発生しません)

ご予約は7月末までお受けし,修理はご予約順に実施します。
実施時期は個別にご相談しますが,早くても秋以降の予定です。

修理の受付は終了いたしました。2016.8.1追記

修理の概要は以前の記事をご参照ください。
基本的に修理で使うコントローラーはAGS-1SとAGS-1Bのみです。
AGSはE-ZEUS互換なので自動導入ソフトはSuperStatのみの対応になります。

ご希望の場合は,LX-200コマンドが使えるMTS-3での対応も可能です。
ただMTS-3の場合,導入速度はAGSの半分以下(約150倍速)になります。

修理費用は従来と変わりません。赤道儀オーバーホール込みの価格です。

・AGS-1S仕様:148,000円
・AGS-1B仕様:168,000円
・MTS-3SDI+(新型ディスプレイ付)仕様:175,000円

以下は駆動系を換装した極軸側の写真と,改造後の追尾状況の一例です。
Y軸1目盛りは約10秒角なのでPモーションは±4~5秒角ほどです。

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2016年6月28日 (火)

ハーモニックドライブ赤道儀の試写結果

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先日紹介した知人のハーモニックドライブ赤道儀の試写結果をいただきました。
赤緯側分解能の限界を探る意味もあり,あえて過積載でのテストです。
そのために極軸側には補助的なバランスウエイトをつけています。

搭載した鏡筒はPENTAX105SDUFでこれにSTL11000を装着していますが
鏡筒バンドやファインダーを含めた重量は10kgほどでしょう。

以下はM13を700mmの直焦点(STL11000でセルフガイド)で撮影しています。
懸念された赤緯側の分解能(以下に説明)の影響が認められたそうですが
概ね良好なガイド結果です。特に極軸側は全く問題ないとのことでした。

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このハーモニックドライブ赤道儀の分解能(計算値)は以下ですが,ステッピング
モーターとハーモニックドライブが直結された赤緯側は1秒角しかありません。
この1秒角はマイクロステップが理論どおりになった場合の計算値なので
実際の分解能はこの数倍になり,さすがに700mmは厳しいようです。

極軸:100×20×200×64=25,600,000=約0.05秒角
赤緯:100× 1×200×64= 1,280,000=約1秒角
数値は左から,ハーモニックドライブ減速比,伝達減速比,モーターステップ
マイクロステップ分割比

以前に紹介していますが,モーターと直結したハーモニックドライブの場合は
300mm程度が限度のようでそれ以上は伝達ギヤで減速する必要がありそうです。

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2016年6月24日 (金)

限定品の販売について

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このところPole Masterアダプターなどのアクセサリーを積極的に製作しておりますが
いずれも20~50個ほどを1~2回生産する限定品になっております。
(写真中央上段のSP用PCD35アダプターは例外的に200個以上作りました)

ある程度の数量がまとまらないと外注製作できない事や
将来的に販売を継続することは負担になるので
このような販売形態をとっておりますがご理解いただけると幸いです。
これら限定品の在庫(予約残数)はこちらをご参照ください。


先日紹介した,P-2用のアングルファインダー接続リングは本日完売しましたが
今後これらの限定商品の再販予定はありません。

タイミングが合わずに,これらをお求めいただけなかったお客様対応として
ご希望でしたら製作図面(PDF,相ネジが必要な場合あり)をご提供いたします。
単品製作を請けてくれるところへご注文いただくために利用いただけると幸いです。
 

なお,写真左上の,P-2用極軸高度調整ネジはアングルファインダー接続リングと
セットで販売しましたが,単体販売のご要望をいただきました。
材料費の原価は500円ほどですが,手数料と送料を含め1,080円で販売します。
管理の都合で6月末日までの受付とさせてください。
ここで紹介したAP赤道儀でも使用いただけますがその他では未確認です。

販売を終了いたしました。2016.7.1追記


実は,P-2用のアングルファインダー接続リングはJP赤道儀でも使用できます。
若干ねじ込み代が浅くなるので公表していませんが実用上は問題ありません。


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2016年6月21日 (火)

P-2用アングルファインダー接続リングの再販

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P-2赤道儀用のアングルファインダー接続リング(M34-M20)は
1年ほど前に限定生産しましたがその後もご要望が多いので再製作しました。
多めに作ったので余剰分(10個ほど)を販売いたします。

---完売しました2016.6.24追記---
 

今回は表面仕上げをP-2赤道儀などの目盛環と同じ化学研磨処理にしました。
当方の商品は一部を除きこの化学研磨処理を施しています。
通常のアルマイト処理に比べ処理費が高くなりますが高級感があります。

価格は前回と同じで4,000円(送料は540円)ですが
今回はご要望のあった手で回せるT字状の高度調整ネジも標準で付属します。

 
このM34-M20接続リングはP-2赤道儀とCANON ANGLE FINDER 「B」のみに
適合します。その他の赤道儀やアングルファインダーには対応しておりません。

また前回のロット(50個)では1件のみでP-2側にねじ込めない不具合がありました。
今回も同じサイズでねじ切りしているので,同様の不具合が懸念されますが
その際は返品対応になる事を予めご了承ください。

なお,HP在庫状況は障害のため昨日から更新が滞っております。

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2016年6月18日 (土)

スカイメモR(RS)用Pole Masterアダプター

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遅れていました,スカイメモR(RS)用Pole Masterアダプターは7月末に発売します。
価格は8,100円(税込,送料は540円)で本日からご予約を承ります。
対象赤道儀の販売が終了していることなどから50個のみの限定生産となりますが
よろしくお願いいたします。
既にご予約をいただいているお客様へは一両日中にご案内いたします。


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スカイメモR(RS)の極軸はクランプフリー回転できないので
このアダプターに回転機構を内蔵した2重構造になっており
ローレットネジの片側が回転機構のクランプ,もう片側がPole Master脱着ネジです。
真鍮製のリングを,極軸北端のM30.5P0.5部にねじ込んで固定します。

なおPole Masterは脱着ネジと埋め込まれたキャップスクリューで3点保持されます。
僅かに偏心しますが,極軸(または相当)を回転して合わせるので問題ありません。

このアダプターを装着すると,スカイメモR(RS)の赤緯体(アーム)は
極軸から抜けなくなりますが,脱落防止として機能するメリットがあります。
付属する専用のグリースを塗布すれば,驚くほど滑らかな回転が得られます。


なお,写真のスカイメモR(RS)用ステンレスウエイトセットは
以前紹介した規格統一ウエイトセットから接続アダプターを外した構成です。
シャフトと,1kg,500gの3点セットで11,500円です。
またスカイメモR(RS)専用のXY65はPTP-C22とのセットで79,800円です。

1~2個ほどですがEM-400/500用,H-40用のアダプターの在庫がございます。


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2016年6月16日 (木)

2つの個性のハーモニックドライブ赤道儀

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ハーモニックドライブの赤道儀を評価していることは何度か紹介していますが
韓国の知人と情報を交換しながら実用化を競いあっています。


上の写真は私の評価機ですが,バランスウエイトが要らないメリットを生かして
ツイン鏡筒仕様や極軸を北につきだして子午線越えの追尾に有利な形状などを
模索しています。プレートを多用したためかちょっとゴチャゴチャしていますが
VSD100を余裕で搭載します。赤道儀の重さは4kgほどです。
 

私は停滞しているさなか,知人は以下のプロトタイプを完成させてしまいました。
既にFSQ106EDや後ろに置いたR200SSでのテスト撮影に入っているようです。

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あくまでも極軸望遠鏡の内蔵にこだわる私と,極望はあっさり切り捨てて
Pole Maste対応とした知人のデザインの差は歴然ですね。
インテリアにもなりそうなスマートなデザインはさすがです。
これなら海外遠征でもかさばりません。
プロトタイプの重量は約5kgとのことなので,重さでは私がリードしています(笑)

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実は知人は既に据え付け赤道儀としてハーモニックドライブを実用化しています。
写真は40cm(プライムフォーカス)鏡筒を搭載していますがウエイトが無いので
観測所内が広く感じますね。ウエイトに頭をぶつけることがなくなったそうです。


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以下はガイド撮影中のグラフです。(拡大します)

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2016年6月14日 (火)

MS-3用PCD35アダプターとSP用の再販などについて

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PENTAX MS-3(MS-3n,,65,75でも使用可)用PCD-35アダプターを発売します。

PCD35の位置に,M8タップに加えM6タップも加工しているので
赤道儀に取付けてM8タップ部にアリミゾなどを装着する一般的な使い方と
裏返して鏡筒バンドをアリガタなどへ取り付る際にもご使用いただけます。
(アリガタなどのM8タップや長穴部から,M6ボルトでこのアダプターを固定。
この場合,M6ボルトとM5のナットは別途準備していただく必要があります)
 

また付属するUNC1/4ボルトを裏面からねじ込むと自由雲台などを装着できます。

MS-3用PCD35ADの価格は4,320円(送料540円)で,25個の限定販売です。
ご希望の場合は,投函になりますがご安価な送料(180円)での発送もいたします。

 
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上の写真は同じ目的のSP赤道儀用PCD35アダプターです。
通算で200個ほど販売しましたが,販売終了後も時折お問い合わせを
いただきますのでこの機会に再度販売を行います。


オートガイダーが安価に入手できる現代では,古い赤道儀を再活用するのも
時代の流れかもしれません。はっきり言ってSP赤道儀でも2軸ガイドすれば
8cmクラスでの直焦点撮影も容易です。直焦点撮影のために
流行の極軸のみの赤道儀にパーツを付け加えてドイツ式にしても
赤緯軸電動化のハードルが高いので2軸ガイドは容易ではありません。
さらに言えば2軸ガイドなら,極望のスケールが少々古くても問題ないでしょう。
 

SP用PCD35アダプターはメッキ仕様などを見直し以前の価格の5,400円から
4,860円に変更しました。これも180円の送料でも送れます。
発売は7月でMS-3用と同じく25個の限定になります。(価格は全て税込み表示)


下の図は開発中の大型アルカスイス規格クランプです。
現行のDS38を二回りほど大きくしており,小型赤道儀への装着を想定しています。
今回紹介するアダプター経由でMS-3やSP赤道儀装着すれば
豊富なアルカスイス規格製品での運用を可能にします。
 

このアルカスイス規格クランプはビクセン規格対応のDS45などと同じように
アリガタと3点で接触する理想の形状です。
締め付けハンドルも30φ(DS38は20φ)の大型ノブを採用し,この夏発売です。

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2016年6月13日 (月)

ミューイ天文台 修理完了

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この週末は先月紹介した天草のミューイ天文台修復作業を行いました。
写真は完了後の自動導入テストなどを行っている様子ですが,ACサーボモーター
特有の静かで滑らかな動作はステッピングモーターとは一線を画すものです。
 

作業は壊れた駆動系の換装と,ウォーム周りの調整や配線の張り替えです。
写真は新旧の出力200WのACサーボモーターやドライバーを並べてみましたが
ちょうど20年前に廃盤となった旧型と新型はご覧のとおり大きさが異なっています。
重さでは,モーターは3.4kg→1.0Kgにドライバーは5.9kg→0.9kgなので1/5ほどです。
(新型のモーターは旧型モーターから取り外した特殊減速機と連結した状態です)


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モーター外形は小さく,軸形は太くなってるので機械的な接続部の加工が
必要ですが,一番厄介なのは電気信号の入れ替えです。

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上位側のコントローラーから信号を一つずつ調べながら入れ替えますが
上位側との取合い図などはないので大変です。
サーボモーターはステッピングモータに比べると取合い信号が多いのですが
間違った配線で上位側に影響が出ると大変なので神経を使う作業です。

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ところで天文台を訪れると思わぬ出迎えがありました。
私の方に向かって小鳥が飛んで来たので驚きましたが
実は天文台の職員さんが巣から落ちた雛を保護され,最近自然界に離された
ホオジロの幼鳥とのこと。スマホでこれだけ近寄れました。


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天草と言えばタコが有名ですが,近くの道の駅でタコ丼をいただきました。
タコの量の多さにビックリしましたが,太い足1本分以上使ってありそうです。

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ミューイ天文台の作業は完了しましたが,帰りに立ち寄った別の天文台は
手つかずのままです。
辛うじて転倒は避けられましたが,このタイプの赤道儀はアンカーボルトはなくて
ベースに乗っているだけなので転倒防止対策が必要です。
しばらくは先に紹介した南阿蘇ルナ天文台の本復旧作業などが続きます。


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2016年6月10日 (金)

来年の日食用赤道儀-2

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先日紹介した日食遠征用ポータブル赤道儀ですが数件のお問い合わせを
いただきました。中にはAP-GOTO赤道儀も含めご検討いただいているので
現時点での予定などをご案内いたします。
 

まず,先日紹介したポータブル赤道儀(写真左)は今後予約をお受けします。

確保した材料から14台受注可能ですが,他の業務との兼ね合い上
1月当たり3~4台のペースで9月頃から年末にかけて供給できる予定です。
価格は,三脚セットが167,400円,三脚無しが108,000円いずれも税込みです。
数量は限られますが,Pole Masterセットは各,195,400円,136,000円です。

写真は1kgのステンレス製バランスウエイトを1個装着していますが
商品ではAP-GOTO同様に1kgが2個付属します。

なお写真のBENRO PC-1など赤緯体に装着するパノラマヘッドは付属しませんが
開発中の大型アルカスイスクランプとパノラマヘッドをオプションで準備します。
また高度調整の関係で電源は先に紹介した内蔵からUSB5Vに変更しました。

 

次にAP-GOTO赤道儀の第2ロットは15台予定していますが
自動導入コントローラー(MTS-3の後継機種)の完成時期が未定なので
新規の受注は行っておりません。

ただ,新型のMTS-3は遅くとも年内には完成すると思うので
上記ポータブル仕様に引き続き着手できる体制をとっておけば
来年早々順次出荷できるでしょう。

MTS-3の入荷時期が確定した時点で新規のご予約はお受けします。
なお,EM-200などの自動導入改造も同じ理由でご予約はお受けしておりません。

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ポータブ仕様と自動導入仕様の重量差は1kgです。
(ポータブルが2.9kg,自動導入が3.9kg,バランスウエイトは含まず)

自動導入仕様は写真のようにBluetoothアダプターを内蔵できるので
スマホなどから無線で操作できのが大きなメリットです。
5Vのモバイルバッテリー(20,000mAh at3.7V)で12時間ほど駆動できるので
トータルでは軽量・コンパクトな撮影環境が組めるでしょう。

AP-GOTO赤道儀は,265,000円(Bluetooth対応は287,000円)
いずれもPTP-C22三脚,1kgステンレスウエイト2個のセットです。
(上記価格は初期ロットの実績で,第2ロットで採用予定のMTS-3は
価格が改訂されます。その分は見込んでおりません)

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2016年6月 8日 (水)

QHY16200Aまもなく入荷

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発売が遅れていましたQHY16200Aはまもなく出荷されるとのことです。
昨年末の予定でしたが半年ほど遅れたようです。

入荷後に実機の光路長を確認した上で接続アダプターを製作するため
ご予約いただいている方へのお届けは7月末頃の予定となります。

なお初回の生産数は僅かとのことで私のところで在庫を持てるかは微妙です。
多めに希望しているので,もしも在庫が出た場合は改めてご案内いたします。

私のところは他のQHY製品同様に天文ハウストミタさんから供給いただきます。
国内価格はまだ発表されていませんが,QHYCCD社のHPで3,999USD(OAG付)
なのである程度の予想はつきますね。
 
 
QHY16200AはOAG装着時でもバックフォーカスに余裕があるので
ε-130DなどではM54接続部にスケアリング調整機構も取り込めそうです。

このカメラにはUSBハブやRS232C→USB変換器も内蔵しています。
パソコンとQHY16200AをUSBケーブルで繋げば(ケーブル引き抜け防止つき)
ガイドカメラ,赤道儀,フォーカサーなどはQHY16200Aに接続できます。
USBとシリアル(RS232C)機器は各2系統接続可能です。


KAF16200はフルサイズと比べると約2/3の面積ですが
2インチフィルターとの相性や光学系の周辺減光などを考慮すれば
ちょうど良いのかも知れません。
KAF8300と比べると2.6倍もの面積なので広写野を実感できるでしょう。


掲載した写真は以前紹介したβ仕様です。製品はハウジングの色などが
変更されています。

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2016年6月 6日 (月)

来年の日食用赤道儀-1

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気が早いようですが,知り合いから来年の北米日食用機材を依頼されています。
忙しくてなかなか時間がとれないので,年末までにはなんとか?と伝えていますが
気が早いとも言えなさそうです。

7~8cm程度の屈折望遠鏡を搭載するのが条件なので,PENTAX75赤道儀を
改造する予定で進めていますが,確保した分では足りなくなりました。

 
そこでAPモジュールをベースにしたオールインワンの赤道儀を計画しています。

日食遠征用の企画ですが星も撮れるように先日紹介した極望も内蔵します。
信頼できる極望なので1軸ガイドでも充分でしょう。
強度的には以下のような328クラスでも余裕で搭載します。
また,Pole Master対応(アダプタ不要)なので慣れない南天でも便利です。

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実は,AP赤道儀はモジュールを連結する構造なので
極望を固定する極軸南端と,赤緯体を固定する北側の面は
モーター駆動により相対的な位置関係が時間と共にズレて行きます。
(P-2やGPのように極軸の片側に極望,もう片側が赤緯体ではありません)

そのため先日紹介した①の極望では極軸セッティングの際に
鏡筒側が下(ウエイト側が上)になるケースも出てしまいます。
モーターで高速巻き戻しができるAP-GOTOなどでは
問題ではありませんが,恒星時駆動のみのオールインワン型では
②の単独で回転できる極望が必要になります。


この日食遠征仕様赤道儀は三脚も含めた一式で6kg(1kgのウエイト含む)です。
ビクセンの純正で構成した場合より2kgほど軽いだけですが
純正構成とほぼ同額でご提供できるのでそれなりの魅力もあるかと思います。
モータートルクに余裕があるので,極軸周りはガタのない調整を行います。

・純正構成:AP赤道儀(SBO仕様)+PF-L極軸望遠鏡+APP-TL130三脚
・日食遠征仕様:APモジュールベース赤道儀(1kgステンレスウエイト付)
          +ケンコー製極望(AMD-1から照明電源供給)+PTP-C22三脚
 

AMD-1や極望の手持数で制限されますが,年末にまでに10台ほど作れるので
興味のある方はお尋ねください。
(PTP-C22の在庫状況によっては三脚セットでの予約は終了させていただきます)

※経験上,正確なセッティングができない日食遠征では太陽時追尾の必要を
感じないのでこの赤道儀は恒星時駆動のみです。

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2016年6月 4日 (土)

信頼できる極望とは?

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このところのPole Masterブームで存在感の薄い極軸望遠鏡ネタですが
極軸内で回転できる極望の信頼性についてちょっとひとこと。

極望の構造についてはこれまでに度々紹介していますが
大きく分けて以下の2タイプです。
 

①クランプフリーで極軸が回転する赤道用
 タカハシP-2やビクセンGPなどがこのタイプですが,極軸を回転させながら
 パターンの中心が目標からズレないようにするだで高精度な調整が可能。
 一度調整すれば極軸と極望(パターン)の相対位置は変わず信頼できます。


②クランプフリーで極軸が回転しない赤道儀用
 五藤光学のスカイグラフやケンコーのスカイメモRなどがこのタイプですが
 クランプフリーで極軸を回転できないために
 極望を単独で回転できる構造になっています。
 レチクルパターンの中心は極望の回転軸に合うよう調整されますが
 極望と極軸の光軸は加工精度に委ねられ調整機構はありません。

このタイプの場合,ウォームの噛み合いをフリーにして極軸を回転させれば
極軸と極望の光軸があっているか確認できますが
仮にズレていたとしても通常は調整できません。(最後に補足説明あり)

 
写真は試しにAP赤道儀に②のケンコータイプの極望を装着してみました。
AP赤道儀はクランプフリーで調整できるので①でもいいのですが
ケンコー式は根強い人気がありますしね。

極軸がクランプフリーで回転するので,以下のように極望の対物側に
光軸調整ネジを付けると②タイプの欠点を補い完璧な光軸調整が可能です。
極望単独での回転に支障がないように,光軸調整ネジが当たる部分には
樹脂製のスリーブを入れています。

個人的には信頼できる極望があればPole Masterは不要?と書いていますが
こうすれば正に信頼できる極望のできあがりです。


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②タイプの極望の光軸についての補足
スカイメモRなどはオーバーホールの際に極軸の回転をフリーにして点検しますが
極軸と極望の光軸ズレが見受けられることがあります。
その場合,無限遠とレチクルの視度を合わせる部分(ケンコーの場合銀色のリング)
を緩めて対物側を振れば調整できます。
少し緩めただけで光軸は大きくズレるので根気が必要ですが充分に追い込めます。
逆に言えばこの調整部を緩めると光軸は完全にズレてしまうので注意が必要です。

極望で極軸を正確に合わせたつもりでも,赤緯方向に流れるようであれば
疑ってみる必要があるでしょう。Pole Masterと比較するのも有効です。
(遅れておりますがスカイメモR(RS)用アダプターは7月発売予定です)


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2016年6月 3日 (金)

望遠鏡の比較テスト

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先日紹介した12.5cm屈折望遠鏡はレンズの状態が良くなかったので
セルから取り外してメンテナンスしました。
そのために再組み立て後はどの程度の性能が出ているか確認するために
基準?となる望遠鏡と見え味を比較しています。


基準としたのは,五藤光学製8cmF15のアクロマートです。
40年ほど前の製品ですが教科書に書かれたような恒星像を見せてくれます。

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今回のように2本並べて同じ恒星を見比べる場合は互いの光軸を合わせますが
写真のように銀塩時代のガイドマウント(ビクセン規格アリミゾ改造)を使いました。
ガイドマウントとしての出番がなくなった今日でも役に立ちますね。

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先日紹介しましたApo Sonnar T*2/135の用バンドですが,次回製作分は
バンドの形状を変更する予定です。詳細は後日改めてご紹介します。

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2016年6月 1日 (水)

火星の観望

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このところまずまずのお天気が続いていますが久しぶりに望遠鏡で星を見ました。
といっても本来の目的は後ろに置いた12.5cm屈折の調整でしたが
せっかくなので接近中の火星にも向けました。
主砲のTSC225でも見てみましたが火星を見るのは何年ぶりでしょう?

この12.5cm屈折はジャンク状態でしたが,海外での観望用にリメイクしています。
軽い上に鏡筒がバラバラ?になるので海外への持ち出しも容易でしょう。

ところでこの鏡筒の光軸調整は前玉(凹レンズ)のコバを4方向から押して行います。
最初はこれで本当に光軸が合うのか疑問でしたがちゃんと合うのですね。
次の機会にオーストラリアへ持ってゆき,そのまま置いておこうかと思っています。

 

記事とは全く関係ありませんが,以前限定販売した
Apo Sonnar T*2/135の用バンドなどの再販依頼をいただいております。
既に再製作できるだけのご要望をいただいたので製作の準備を行っていますが
今月中旬までは新規のご注文も承っております。7月中旬のお届け予定です。

写真のようにこのレンズを冷却CCDに装着される場合は特に便利でしょう。

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