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2016年6月 4日 (土)

信頼できる極望とは?

B16_06_041

このところのPole Masterブームで存在感の薄い極軸望遠鏡ネタですが
極軸内で回転できる極望の信頼性についてちょっとひとこと。

極望の構造についてはこれまでに度々紹介していますが
大きく分けて以下の2タイプです。
 

①クランプフリーで極軸が回転する赤道用
 タカハシP-2やビクセンGPなどがこのタイプですが,極軸を回転させながら
 パターンの中心が目標からズレないようにするだで高精度な調整が可能。
 一度調整すれば極軸と極望(パターン)の相対位置は変わず信頼できます。


②クランプフリーで極軸が回転しない赤道儀用
 五藤光学のスカイグラフやケンコーのスカイメモRなどがこのタイプですが
 クランプフリーで極軸を回転できないために
 極望を単独で回転できる構造になっています。
 レチクルパターンの中心は極望の回転軸に合うよう調整されますが
 極望と極軸の光軸は加工精度に委ねられ調整機構はありません。

このタイプの場合,ウォームの噛み合いをフリーにして極軸を回転させれば
極軸と極望の光軸があっているか確認できますが
仮にズレていたとしても通常は調整できません。(最後に補足説明あり)

 
写真は試しにAP赤道儀に②のケンコータイプの極望を装着してみました。
AP赤道儀はクランプフリーで調整できるので①でもいいのですが
ケンコー式は根強い人気がありますしね。

極軸がクランプフリーで回転するので,以下のように極望の対物側に
光軸調整ネジを付けると②タイプの欠点を補い完璧な光軸調整が可能です。
極望単独での回転に支障がないように,光軸調整ネジが当たる部分には
樹脂製のスリーブを入れています。

個人的には信頼できる極望があればPole Masterは不要?と書いていますが
こうすれば正に信頼できる極望のできあがりです。


B16_06_042


 
②タイプの極望の光軸についての補足
スカイメモRなどはオーバーホールの際に極軸の回転をフリーにして点検しますが
極軸と極望の光軸ズレが見受けられることがあります。
その場合,無限遠とレチクルの視度を合わせる部分(ケンコーの場合銀色のリング)
を緩めて対物側を振れば調整できます。
少し緩めただけで光軸は大きくズレるので根気が必要ですが充分に追い込めます。
逆に言えばこの調整部を緩めると光軸は完全にズレてしまうので注意が必要です。

極望で極軸を正確に合わせたつもりでも,赤緯方向に流れるようであれば
疑ってみる必要があるでしょう。Pole Masterと比較するのも有効です。
(遅れておりますがスカイメモR(RS)用アダプターは7月発売予定です)


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