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2016年8月

2016年8月30日 (火)

追尾テスト時もPOLE MASTERで極軸合わせ

B16_08_251

これまで赤道儀の追尾テスト時は,極軸望遠鏡でラフに極軸を設定していましたが
最近は赤道儀接続アダプターの評価も行う意味でPOLE MASTERを使っています。


以下の写真のように両軸ガイドが行える赤道儀でキャリブレーションを行った後に
テストする赤道儀(写真例ではMS-3)にガイド鏡を付け替え
Pモーションや赤緯側のズレなどを評価しています。

B16_08_252

MS-3も2軸ガイド改造のお問い合わせが多いのですが
この追尾状況を見ると赤経だけのガイドで何ら問題なさそうです。

そうなるとMS-3(n)も1軸ガイドしたくなりますが,MS-3(3N)のコマンダーを
改造できないか調査中です。
スカイメモ用のガイドケーブルが流用できる場合は追って紹介いたします。


Ms3_1


Ms3_2


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2016年8月23日 (火)

POLE MASTERで極軸調整

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自作の片持ちフォーク赤道儀は昨年春から自宅屋上に据え付けたままですが
最近は200mmでも僅かに星が流れるのでPOLE MASTERでの極軸を確認しました。

据え付け時は極望で大まかに合わせたあと,ドリフト法で追い込んでいましたが
かなりズレていました。
作業などでピラーにぶつかる事もあったので当然かも知れません。
  

フォーク式なので南向きの手擦りギリギリのところに据え付けているため
極望は極めて覗きにくいです。
今回はPOLE MASTERのおかげであっという間に再設定できましたが
この赤道儀を据えたは昨年の5月には,こんな便利な物が現れるとは
思いもしませんでした。


以下のグラフは極軸再設定後の追尾(ガイドなし)状況です。
屋外に放置しているので,連日の炎天下で赤道儀やMTSの温度は
50度以上になっており,過酷な環境下ですが追尾は極めて安定しています。

Y軸の一目盛りは約10秒角なので,5分程度の露出ならPモーションも含め
2~3秒角ほどに収まります。

時折両軸が同じ挙動を示していますが,これは人が居る場所によって
床面が撓んでいるからです。
今回,カメラレンズにも電動フォーカサー(リニアステッピングモーター)を
つけたので遠隔でのピント合わせも可能になりました。

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2016年8月19日 (金)

SDS38,DP38-190のご紹介-4

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先日発売したSDS38とDP38-190は多くのご注文いただきありがとうございます。

一連の記事はSDS38を中心とした商品紹介になっていますが
これはプレート側は安価で種類が豊富な市販品の使用を想定しているためで
今回はSUNWAY FOTOのDPG-3016との組み合わせ例を紹介します。

P-2赤道儀に搭載したのは前回も紹介した2連カメラ+M-GENの例です。
DPG-3016の両端にSDS38を装着していますがDPG-3016は
長さが300mmもあるのでカメラ2台+ガイド鏡も余裕で搭載できます。

両側カメラの光軸が合わせられるので,同一目標の同時撮影が可能です。
このような構成では,赤道儀に取り付けたアルカスイスクランプは
4~5kgほどを荷重を支えますがSDS38なら,なんの不安もありません。

 

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次は,ポータブル赤道儀の赤緯軸としての使用例ですがDPG-3016は端面に
カメラネジ(NC1/4タップ)があるのでパノラマヘッドやウエイトが装着できます。

両軸ともバランスがとれるドイツ型になるので写真のような望遠レンズでの
撮影も可能でしょう。
プレートが長いのでバランスウエイトが軽減できるのも大きなメリットです。


なお,最初の写真のP-2用AMD-1は限定製作を繰り返していますが
引き続き再販のご要望をいただいております。
25台分ほどの材料を確保できたので,年内の再販に向け準備中です。


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2016年8月18日 (木)

QHY16200A 200mmF2で試写

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昨夜は満月でしたが透明度が高かったのでQHY16200Aの試写を行いました。
主な目的は200mmF2のレンズでのスケアリング調整ですが
以前ここで紹介した方法で行ったため,短時間で合わせる事ができました。

撮影時間は30分(300秒×6枚)ですが,F2の明るさと高感度なKAF16200なので
それなりに写っているようです。フルフレーム型のKAF16200は
赤外域の感度が高いので,KAF16803同様にHaが良く写ります。


撮影データーは以下のとおりです。
・QHY16200A,1×1bin,冷却温度-10℃,露出300S×6,Ha(7nm)フィルター装着
・レンズ:AF-S NIKKOR 200mmF2 →F2開放
・自作赤道儀で自動追尾

ダーク,フラット補正は行わず,レベル調整と周辺減光,かぶり補正を行っています。

上の写真は1/4にリサイズ(若干トリミングあり),下の写真は中央付近を100%で
アップしています。

試写なので構図が悪い上,遠隔操作で撮っていないので屋上床の撓みに伴う
ガイドミスがあります。


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2016年8月16日 (火)

SDS38,DP38-190が入荷しました

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先日から紹介していましたSDS38とDP38-190が入荷しました。
ご注文いただいていた方へは明日以降順次出荷いたします。

以前の案内と重複しますが価格は以下のとおりです。
・SDS38:9,720円
・DP38-190:8,100円
・PP50-0.5:810円(パノラマヘッドへの傷防止用ステンレスプレート)
なおSDS38とDP38-190は発売記念として,8月31日まで送料は無料です。
SDS38とDP38-190のサイズを文末に表示していますのでご参照ください。
 


SDS38と一緒に写したパノラマヘッドは,SDS38と大きさや強度のバランスがいい
FEISOL社のPB-70とPB-90で,耐荷重はPB-70が19kg,PB-90は38kgです。
PB-70はSDS38の短辺方向が,PB-90とは長辺方向がピッタリ合います。

このPB-70と90のクランプ構造は,回転軸を横から押す一般的な方法ではなく
テーパー構造体をスラスト方向にずらして固定します。
軽い操作で確実に締まりますが,固定に伴う光軸ズレはほとんどありません。


SDS38とPB-90の組み合わせは,ポータブル赤道儀用として最適でしょう。
先に紹介したSDS38の回転ロックネジを使えば固定や取り外しが容易です。
大きさのイメージがわかりやすいように,市販のポータブル赤道儀と同じ
筐体(配線ボックス)に装着してみました。(箱だけのダミーです)

 

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2016年8月15日 (月)

QHY16200Aウインドウガラスの結露対策

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この数日はQHY16200Aのテストを行っていますが,気温が下がり出す
夕方からは湿度が上がるためにウインドウガラスの結露が確認されました。

ウインドウガラスの結露は,QHY11やStarlight XpressのSXVR-H36などの
フルサイズカメラで経験していますが,これらはウインドウガラスを
加温していないので日本の気候ではやむを得ないのかも知れません。

ただ,QHY16200Aはウインドウガラスを加温しているので
効果を期待していましたが曇ってしまうことが多いようです。
同じ環境で使っているSTX-16803は,夕方のセンサー温度の約40℃から
マイナス20℃まで一気に冷却してもまったく曇りません。

この差は,ヒーターのパワーやガラスの材質(厚み)にもよるかと思いますが
決定的な差は,フランジバックを優先した設計が影響しているのでしょう。

ウインドウガラスの直ぐ後ろにセンサーが配置されているため
空気の熱伝導でガラスが冷やされて結露に至っていると推測します。


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実は先日紹介したスケアリング調整プレート(OAG併用のM54接続仕様も同様)は
パージエア対応になっています。
上下に設けた固定タップは内部に貫通しており,ここからフィルターホイール部へ
極少量のドライエアーを流せば結露を防げる事が確認されました。
30℃以上から一気にマイナス10℃(100%冷却)テストを繰り返しましたが一度も
結露は発生していません。

乾燥空気源は一枚目の写真にある,パックされたシリカゲルとマイクロブロア
組み合わせた装置を開発中です。
消費電流が極めて小さいので小さなモバイルバッテリーでも数十時間運転できます。

今回QHY16200Aをご注文のお客様へは,この乾燥空気発生装置(DAG)を特別価格
でご提供いたします。
シリカゲルパック4個と再生器(AC100Vで再生)などフルセットで25,000円ほどです。
QHY16200A以外でもカメラレンズの結露防止などに使えるので便利です。


QHY16200AはOAGを含めたフランジバックは44.64mm(ウインドウガラスなど
影響を加味した光学的距離は46.50mm)と大変短いために
ε-180などのM54取り合いからのバックフォーカス56mmを満足できます。

バックフォーカスが短い鏡筒でもOAGを使えるメリットと結露のデメリットを
どうとるかですが,乾燥空気発生装置を併用すれば結露から解放されるので
メリットの方が大きいと思います。


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2016年8月12日 (金)

自宅天文台の撮影環境整備

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自宅屋上の天文台は,ここ1年ほど赤道儀の追尾テストなどで使っている
だけでしたが,赤道儀の自動導入改造や出張業務などが一段落したため
鏡筒周りやパソコンOS入れ換えなどの撮影環境を整備しました。


メインのRH200はSTX16803で撮影しますがバックフォーカスが短いため
フランジバックの長いSTX16803ではフィルターホイールは使えません。
そのため50mm角用の抜き差し式のフィルターホルダーを作りました。

また,RH200オリジナルのフォーカサーはSTX16803の重みでスケアリングが
ズレる傾向が見受けられたので,FLIのATLASフォーカサーに交換しています。

RH200はフォーカサーを交換する場合,一旦スケアリング調整プレートを
取り外しますが,調整なし(機械的な間隙を一定)の状態に戻し試写しました。

写真は上から,全体(25%リサイズ)と,視野中心(100%),左上(100%)です。
オリジナルのフォーカサーでスケアリングを調整した状態よりも今回
ATLASフォーカサー+スケアリング調整「0」の方が周辺像が良好です。
やはり周辺像の悪化はフォーカサーの影響が大きかったようです。

RH200,STX16803(-20度),Ha7nm,600S1枚,輝点ノイズ除去とレベル補正のみ
コーナーはスケアリングが良好な左上を掲載しています。

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2016年8月10日 (水)

中小屋天文台「昴ドーム」

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昨日は宮崎県の北部に位置する「美郷町立中小屋天文台」へ出張しました。

中小屋峠付近を切り開いた立地は360度全方向とも素晴らしい見晴らしです。
都市部から遠く,標高も1,000mあるため九州ではトップクラスの星空でしょう。
上の写真は入り口からドーム方向を撮っていますが,右方向が南です。
視野を遮るものは何もありません。


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こちらはドームの奥から北側を撮影したものですが,全方向で視野を妨げるのは
この山(中小屋山)だけです。

九州山脈は険しい地形が多く主要な道路は殆どが谷底?を走っていますが
ここへ通じる道路は殆どが尾根伝いでした。

直ぐ近くにスカイロッジ銀河村もありますが,途中にも舗装された空き地も
点在したので撮影には最適でしょう。夜間の車の往来は皆無との事です。


今回の出張目的は駆動系が故障して動かなくなった60cmフォーク赤道儀の
修理です。
修理と言っても,30年ほど前の駆動方式(MS-DOSのパソコンから直接制御)
なので一式交換になります。

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おもしろい看板があったので撮ってきました。
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2016年8月 5日 (金)

QHY16200A用カメラレンズマウント-2

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先日紹介したQHY16200A用カメラレンズマウントは,台座のない
Apo Sonnar T*2/135を取り付けていましたが,今回紹介するのは台座のある
200mmF2望遠レンズ(AF-S VR Nikkor 200mm f/2G IF-ED)の装着例です。

写真のようにQHY16200Aのマウント部とレンズ台座をプレートに固定していますが
専用のスペーサーと微調整用のシムで高さを合わせています。
殆どの望遠レンズでは三脚台座は1点固定ですが
こうすることで前後2点で固定されるので飛躍的に安定します。


両者がプレートに固定されるため,構成の変更には少しだけ手間がかかりますが
マウントの撓みや回転から解放され常に安定した星像が期待できるでしょう。
カメラとレンズの相対位置が変わらないので,一旦スケアリングを調整すれば
ベストな位置を保持できます。


なお,今回私のところで確保した初期ロットのQHY16200Aは全て完売しました。
QHYCCD社の話では搭載するセンサー(KAF16200)の確保が難しい模様で
次のロットの入荷時期は未定です。


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