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2016年10月

2016年10月31日 (月)

乾燥空気発生装置(DAG)の実力

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2晩連続で先日紹介した乾燥空気発生装置やオフアキのテストを行いました。

初日は湿度が低かった事もあり乾燥空気を送らずとも結露しませんでしたが
昨夜は湿度が高かったせいか性能を評価できる試験ができました。

故意に(高湿度下で乾燥空気を送らずに急速に冷却)ウインドウガラスを
曇らせた後,乾燥空気を送ればどの程度の時間で乾かせるかを試しました。
撮影しながらの確認ですが,60秒毎の露出に対して2枚目からは
楕円形の曇りは写らなくなったので短時間で乾燥したようです。
 

乾燥空気発生装置(DAG)の受注は既に終了しましたが
このテストはDAGをご用命いただいた方への情報を目的としています。
冷却前から乾燥空気を送れば結露が発生しない基本的な性能は
開発段階で確認していますが,カメラレンズ面と並列送気の効果や
一旦結露してしまった場合でも効果があるかをテストしたものです。

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ところで,撮影後に赤道儀の電源を切り忘れる事があります。
フォーク式なのでカメラを取り外していれば事故にはつながりませんが
極軸は何日も回ったままなので,赤緯のモーターケーブルが捻れてしまいます。
対策として,写真のように西の地平線以下で駆動を止めるスイッチを付けました。
原始的なメカ式のスイッチですが直感的でわかりやすいです。

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2016年10月30日 (日)

PTP-C22など,オリジナル商品の販売終了について

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ブログなどで紹介しておりましたが,PTP-C22などのオリジナル商品は在庫限りで
販売を終了させていただきます。
写真のε-130D用の鏡筒バンド(TB-166)やTB-156など,半数ほどのアイテムは
在庫限りです。詳しくは商品一覧のページをご参照ください。
(AP-GOTOなど赤道儀とセット販売するPTP-C22はこの限りではありません)


なお5月に販売を終了したXY50Dは,その後のご要望が多いので20台のみ
追加生産中です。12月末の発売予定です。
この20台は高度プレートの仕様を従来から見直し,2つの高度を指定できます。
たとえば,XY50D-15,35度の場合,緯度0度~50度の範囲で使用できます。
指定いただけるのは,0,15,35,55度の中から2種です。
(高度プレート在庫の都合でご希望に添えられない場合もございます。
常用できるのは1緯度のみで,切り替えには一部を分解して緯度プレートの
入替が必要です)
XY50Dの価格は21,600円,SDS38とのセットは26,460円です。


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2016年10月29日 (土)

QHY16200Aの結露防止テストほか

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今日の九州北部は抜けるような青空が広がっています。
一年を通して新月期の土曜日にこれほどの天気に恵まれる事は無いでしょう。

そんな中,気温が下がり出す夕方からカメラレンズやCCDカメラのウインドウ
ガラスの結露防止テストを行っています。
先日紹介した乾燥空気発生器(受注は終了しています)からのホースを
QHY16200AのOGA部とレンズフードに接続しています。

QHY16200A側は概ね閉じた空間なので,直ぐに発生器からの乾燥空気で
充満されると思うので,残りがフード側に流れてくれれば一石二鳥でしょう。

冷却CCDカメラは本来なら乾燥空気など不要であるべきで
事実,私がドーム内で使っているSTX16803は結露したことはありません。

ただ,夜露で機材がビッショリ濡れることもある遠征などでは
フィルターなども含た光学系が曇る可能性も否定できません。
乾燥空気発生装置は,これらのリスクを下げてくれるアイテムです。


夏場の夕方と違って外気も乾燥しているので評価は難しいのですが
OAGの機能なども含めてテストを行う予定です。
 

なお,QHY16200Aは供給量が限られたため一旦受注を休止していましたが
受注を再開しました。納期はお尋ねください。
このカメラで撮られた素晴らしい(等倍)写真を紹介いたします。

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2016年10月27日 (木)

P-2GOTO赤道儀-2

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P-2赤道儀ハーモニックドライブ(以降はHDと略)の記事で,90S赤道儀にも
ふれましたが,同赤道儀の2軸電動化をご予約のお客様から問い合わせが
ありました。概要を紹介します。
 

90Sは改造方針を変更したので,HDユニットの組み込み状態を紹介します。
当初は写真のように,クランプ機能を残してその上部にHDユニットを
装着する予定でしたが,P-2同様クランプレスに変更しました。
クランプをなくすと,不動点からの鏡筒面までが短くなりウエイトが軽減できます。
また90Sのクランプ部は砲金製なのでかなりの軽量化が図れます。

赤緯側は高速回転できればクランプがなくともあまり不自由を感じません。
鏡筒を下ろす時や収納時に赤緯軸を回したい時は手で回せます。
(電源を切れば保持トルクがなくなるので少し力を入れれば回転できます)

以下はP-2のオリジナルとHD化の比較ですが,HD化の方が鏡筒面までは
短くなっています。

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90Sに組み込むHDユニットはP-2用より一回り大きく,強度は約2倍です。
HDユニット自体の許容モーメントとトルクは,共に120Nm(12kgf・m)ほどで
モーメント,トルク共に1m離れた位置で12kgの荷重をかけられる値ですが
これは,90S赤道儀本来の強度より大きいものです。
概ね15kg程度までの機材を搭載した運用を可能にすると思われます。

(実際は鏡筒と三脚の接触などを考慮してモーター電流を抑えています。
筒先などに1kgfほどの力をかけるとモーターが止まる(脱調する)程度で
その力はHD許容トルクの1/10程度なのでHDへ負担はありません)


以下はHDユニット裏面(駆動モーター側)ですが極望の機能も残せます。
なお,JP(J,NJPはバランスシャフトの都合で不可)でも改造は可能ですが
自動導入できないP-2や90Sを優先する都合で当面計画はありません。

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2016年10月25日 (火)

P-2GOTO赤道儀-1

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写真は昨日の記事でふれた赤緯軸をハーモニックドライブ化したP-2赤道儀です。
数回に分けてご紹介しますが,まずは,なぜP-2をハーモニックドライブ化か?
その背景から紹介させていただきます。
 

タカハシのP-2や90Sは精度,強度,デザイン全てにおいて素晴らしい赤道儀ですが
赤緯側が部分微動なので,2軸ガイド撮影や自動導入には不向きです。
眼視観測では赤緯の微動ハンドルが常に観測者を向くなど優れた設計ですが
撮影派の方からは2軸ガイドや自動導入化のご要望を多くいただいております。


P-2の2軸ガイド化を検討している事は,何度か紹介していますが
POLEMASTERが登場した事で,2軸ガイド化の意味合いが薄れてしまいました。
POLEMASTERで正確に極軸セッティングができれば
2軸ガイドのためだけに難しい改造する必要はなくなったと感じられるからです。


一方,ハーモニックドライブの赤道儀への適合については以前から評価しており
ここで紹介したように満足な結果を得ています。
ハーモニックドライブは大変高価ですが,その強度,レスポンスや信頼製は
ウォームギヤ式とは別次元です。

ハーモニックドライブでP-2を2軸化すれば,単なる2軸ガイドにとどまらず
最高のガイドレスポンスと自動導入を両立できるので密かに?開発していました。


星空研究会で実演しましたが,対恒星時5,000倍速でも駆動できます。
(必要性はないでしょうがパフォーマンスとして,消費電流は12Vで約550mA)
綺麗な外観のP-2を台無しにしたくないので美観にこだわりましたが
以下のように極望も使えるようにしたのが最大のポイントかも知れません。

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なお,90Sでも同様な改造を行っています。
いずれも,2軸ガイド改造を予約いただいた方を対象にご案内しているので
申し訳ありませんが当面は一般受注の予定はありません。

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2016年10月24日 (月)

星空研究会2016に参加しました

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先週末は「西はりま天文台」で開催された星空研究会に参加させていただき
3台のハーモニックドライブ赤道儀(P-2は赤緯のみHD)を展示しました。

別室ではウエイトレスでVSD100を搭載して実演しましたが大きな反響でした。
強固さなどは現物に触れてわかるので良い機会をいただき感謝しています。
 
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ところで昨日,QHYCCDからフルサイズの冷却CMOSカメラ(QHY367C)が発表
されました。NikonD810と同じセンサーを搭載している模様ですが気になりますね。

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2016年10月20日 (木)

RainbowAstro社リモート天文台の紹介

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RainbowAstro社が米NewMexicoに設置されたリモート天文台の紹介です。
自社製の小型スライディングルーフが3基設置され,その内の1基には
上の写真のようにRST-400に搭載したPlaneWave製CDK14が設置されています。
 

下の写真はもう一つのスライディングルーフに設置された
RST-400とFSQ-106EDで,カメラはCDK14と同じSTX16803です。
いずれもリモート制御のノウハウを構築するための研究開発用ですが
既に実運用に入っていました。
RainbowAstro社Jeong ByoungJunさんのfacebookで詳しく紹介されています。

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これも自社製の遠隔制御装置で,望遠鏡やカメラなどの電源ON-OFFと
スライディングルーフ開閉,それにUSB機器の接続を遠隔操作するものです。
RST-400は光学式のメカニカル原点を内蔵しているので遠隔操作に対応します。
CDK14とカメラ周りの重さは40kgを軽く超えていますが問題なく運用されています。

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訪れた時に実演してもらいましたが,操作開始から撮影まで驚くほど短時間で
1万kmほど離れた地の遠隔操作とは思えませんでした。
昼夜が逆転しているので仕事をしながら撮影できるそうです。

以下は3基のスライディングルーフの設置風景です。

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2016年10月18日 (火)

久しぶりのスカイメモQ改造

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久しぶりにスカイメモQのAMD-1化改造を行いました。
P,Q,NS,R(RS)と変遷したスカイメモシリーズは何度も紹介していますが
個人的な感想では機能美,精度ともに「Q」が最高の出来と思います。

ただオリジナルは同期モーターで駆動しているので回転方向が変えられません。
今回,南半球で使用できるようAMD-1に換装しましたが
駆動部が内蔵され,5Vのモバイルバッテリーで駆動できる点もメリットです。


今回はカーボン三脚やXY65(SDS38仕様)も同時にご注文いただきましたが
正に理想的なポータブル赤道儀に仕上がったと自負しています。


なお,今回紹介したスカイメモQの改造など,単品の改造は本年末をもって
全ての受注を終了させていただきます。
1ロット10台ほどで行うEM-200赤道儀など自動導入改造は
新型MTS-3が完成したら受注を再開しますのでよろしくお願いいたします。


紹介したPTP-C22カーボン三脚は在庫が少なくなりました。(14本,10/18現在)
在庫限りで販売終了ですが,日食など海外遠征用としては便利ですので
ご検討いただけると幸いです。
PTP-C22三脚とXY65(スカイメモ,マークXのみに対応)のセットで74,800円です。
 


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2016年10月12日 (水)

乾燥空気発生装置(DAG)の補足

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昨日紹介したばかりですが,乾燥空気発生装置は数件のご注文をいただきました。
ありがとうございます。

その中で保守用品としてのシリカゲルパックの入手について
ご質問をいただきましたので簡単に補足します。

このシリカゲルパックと乾燥器(台湾製)はここなどで市販されています。
ただ,写真のようにパックを開封すれば粒状のシリカゲルと交換も容易です。
パックは一つ1,800円ほどするので劣化した場合は入替が現実的でしょう。


なお,昨日の写真や説明では解りにくいので断面の構造を紹介します。
本体・蓋ともにアルミ無垢材からの削り出しで,アルマイト処理を施していますが
本体は,シリカゲルパックの形状に合わせており,空気の入口側(上側)と
出口側(下型)は絶縁されています。

シリカゲルパックの構造上,パック内でショートパスする空気も多いので
ここまでする必要はないのですがちょっとこだわってみました。


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2016年10月11日 (火)

乾燥空気発生装置(DAG)の頒布について

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この記事で紹介した冷却CCDカメラ用の乾燥空気発生装置が完成しました。
短期間(10月20日まで)で申し訳ありませんが頒布の受付も行います。 


この乾燥空気発生装置(DAG)は,シリカゲルパックマイクロブロアー
内蔵しているので電源を接続すれば乾燥空気を発生します。
写真の小型モバイルバッテリー(3,000mA at3.7V)で10時間以上も作動し
騒音も殆ど気にならないレベルです。

吐出量は毎分1.2リットル,吐出圧力は2kPaです。(ブロアー単体の性能)
また電源は,4.5~8Vで5V駆動時の電流は約0.15Aです。

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シリカゲルパックの両面(空気出入口)は絶縁される構造になっていますが
ブロアーから送られた空気は写真の上面に入り,シリカゲルパックを通った後
出口のニップルに導かれます。
 
以下の写真は,専用の乾燥機(付属品)と保管用のタッパー(市販品)です。
シリカゲルパックは最大4段重ねで乾燥可能です。
 
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わざわざこのようなものを作らなくとも,粒状のシリカゲルを瓶に入れ
そこにホースを通すだけで目的を果たしますが
シリカゲルの入替や乾燥などに手がかかるので考案しました。
シリカゲルパックだと専用の乾燥機(ホットエアー式)で簡単に再生できます。
電子レンジでの再生と異なりシリカゲルが割れる事もありません。
 

前置きが長くなりましたが,マイクロブロアーを内蔵したDAGとブロアーを
内蔵しない一般仕様を頒布します。
ご希望の方はHPからメールでお問い合わせください。
ご注文方法や納期などをご案内します。
この製品はQHY16200Aをお求めになった方用として受注生産するため
10月20日で受付を締め切らせていただきます。
 

ブロアー内蔵タイプは冷却CCDカメラのウインドウガラス結露防止を目的に
開発したものなので,概ね密閉された空間を乾燥空気で充たす程度です。
フード内など空気を送る対象が開いた空間では効果の保証はできません。
 
価格は,QHY16200Aを既にご購入の方へは一式で25,920円(税込み)です。
それ以外は34,560円になります。


上記とは別に,自己責任でご使用いただけるよう,マイクロブロアーを
内蔵しない単なるチャンバー仕様の頒布も行います。
シリカゲルパックを装填する部分と,エアーの出入り用ニップルが付いた
だけなので自作される瓶と同じです。
紹介するDAGからブロアー室を取り除いたイメージで,ご自身の機材に
合ったエア源を接続いただけます。この場合は一式で24,300円です。

いずれのセットも,シリカゲル乾燥機,シリカゲルパック(4個),ニップル
専用ホース(2m)が付属します。

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2016年10月10日 (月)

久々の韓国出張

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先週末は韓国へ出張し,RainbowAstro社と友人の観測所を訪れました。

RainbowAstro社が米NewMexicoに設置されたリモート天文台の
遠隔制御設備の拝見や,据付赤道儀用のコントローラーなどの打ち合わせ
それと本日紹介するハーモニックドライブ赤道儀の情報交換が目的です。


まずはRainbowAstro社製のコンパクトなハーモニックドライブ赤道儀です。
写真のように,GPSや駆動回路を内蔵した赤道儀本体は完成していますが
来年の北米日食に合わせて小型のHUBO-iコンロトーラーを開発されていました。
iPhone側を向いたレバーは三脚とワンタッチで着脱するためのものです。
あとはデザインを損なわずにPOLEMASTERに対応させるだけとのことでした。


ここでは手法は紹介できません,太陽でアライメントをとる機能も開発中とのことで
視野の中心に太陽をとらえ続けられます。


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重さは3,300gですが,バランスウエイトをつけなくても10kgほど搭載できます。
気になる販売価格ですが,RST400より少しお安い程度になるそうです。


下の写真はワンランク上の試作機です。バランスウエイトを併用すれば
(ウエイトシャフト側から撮影)20~30kgを搭載するようでうす。

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次は友人の観測所です。友人は上記RainbowAstro社製と同じコンセプトの
海外遠征用も開発中ですが,据付用のハーモニックドライブ赤道儀も作っています。
40cm反射写真鏡を搭載し既に運用されています。

ここには,25cmが搭載されたハーモニックドライブ赤道儀も設置されていますが
いずれも運用中で素晴らしい結果との事です。
巨大なバランスウエイトがないので観測所が広く使えるのも大きなメリットです。


今回,海外遠征用として小型軽量を極めたタイプと,据え付け用大型タイプを
見てきましたがいずれもハーモニックドライブのメリットを活かしています。


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2016年10月 2日 (日)

QYH5Ⅲシリーズ販売開始

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先日からブログで紹介していたQHYの新しいCMOSカメラの販売を開始します。
ガイド用として最適なモノクロカメラ3機種の主な仕様と価格は以下のとおり。

・QHY5Ⅲ174M (赤) 1/1.2inch 1,920×1,200 5.86μm        【75,800円】
・QHY5Ⅲ178M (青) 1/1.8inch 3,024×2,048 2.40μm 裏面照射 【55,800円】
・QHY5Ⅲ290M (銀) 1/2.8inch 1,920×1,080 2.90μm 裏面照射 【51,000円】
                                   上記価格は税込みです


従来のQHY5LⅡMに変わる小型ガイドシステムとして銀色の290Mでセットしました。
ピクセルサイズがさらに小さいので,計算上75mmでも100mm相当になります。

サポートリングをSR31.7B2にすれば,カメラネジで固定できるので写真のような
安価なアルカスイスプレートが使えます。(写真はDPL-100で2,000円ほど)
写真の75mmレンズ,QHY5Ⅲ290M,SR31.7B2のセット価格は69,684円です。
(写真のガイドケーブルはAP-GOTO専用,Temma2M用なども作成します)

天候が悪く実際の星を写していませんが,夜景での比較ではQHY5LⅡMと比べ
感度が高いうえ大変滑らかでした。


なお,QHY5Ⅲシリーズの発売に伴い,QHY5LⅡMは価格改定されています。
同時にPOLE MASTERなども改定(値下げ)されました。こちらを参照ください

さらに先日紹介した,ポラリエAP赤道儀用のPOLE MASTERアダプター
POLE MASTER本体とのセット販売も行います。
ポラリエはセットで40,230円,APはセットで39,960円です。

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