日食遠征用ジンバルフォーク赤道儀の受注について
昨日のRR-92記事で触れたジンバルフォーク赤道儀GF140HDの紹介です。
開発の主目的は日食遠征機材の小型・軽量化で,軽金属製のハーモニック
ドライブを採用しています。
赤道儀本体(極軸高度方位微調整装置内蔵)の重さは約1.3kgと圧倒的に軽く
ポラリエ+極軸高度方位調整装置(XY50-35)より軽量です。
(上記の重さにはPTP-C三脚台座,駆動回路,電池を含みます。
写真のジンバル雲台を含めた場合は約2.1kg。
写真は試作機のため極軸高度方位微調整機構は内蔵していません)
採用したハーモニックドライブはP2-GOTOや先日紹介したMewlon180cで
ダイヤモンドリングを撮影したRST-150Hの赤緯ユニットと同サイズです。
許容モーメント荷重は4.2kgfm,許容トルク(瞬時)は5.5kgfmなのでハーモニック
ドライブの強度上は20kgほど搭載できます。
(ハーモニックドライブ取付面から機材重心までの距離を20~25cmとした場合)
上の写真は6cmの望遠鏡を搭載していますがこのジンバル雲台のままで
8~10cm程度を,ジンバルを変更すればさらに大型機材も搭載できます。
強度の高いハーモニックドライブを三脚に近い位置で支える構造なので
耐振動や剛性が極めて高く,P-2赤道儀を凌ぎます。
シンプルな構造なので信頼性が高いのも海外遠征には大きなメリットでしょう。
開発の主な目的は日食撮影用ですが星野写真用としても使えます。
以下はGF140HDに300mmF2.8の望遠レンズを搭載した状態です。
極軸回転方向は大きなアンバランス状態ですがジンバルが耐えればOKです。
写真のジンバル雲台の場合,アーム長の都合で全天には向きませんが
大型のジンバルならさらに大きい望遠レンズでも余裕です。
追尾誤差は±20~25秒角ほどなのでこのクラスではガイドは必要ですが
誤差は以下のように規則正しいカーブを描くのでガイド特性は良好です。
グラフのY軸一目盛は約10秒角です。
GF140HDに興味のある方はHPのお問い合わせからご連絡ください。
ハーモニックドライブの納期に8ヶ月ほど要すため9月末まで予約をお受けし
来年初夏頃の納品予定です。
価格は極望無しが12~13万円程度(税別),極望内蔵は+1.5万円ほどです。
適合三脚は販売を終了したPTPシリーズのみですのでご注意ください。
多くのご予約ありがとうございました。9/30日をもって締め切らせていただきました。
2017.10.1追記
【GF140HDの仕様】
・駆動速度:恒星時のみ。オートガイド(手動)修正は±100%
・追尾精度:対恒星時±20~25秒角程度
・消費電流:60mA at4.5V。内蔵単三電池3本で20時間以上連続駆動
・許容荷重:最大約20kg,推奨10kg程度,ジンバル取付面から20cmの位置
・機器取付部:UNC3/8及びM8PCD35。ジンバルやパノラマヘッド固定可
・適応三脚:PTP-C,C2,C22のみ,専用アタッチメント標準付属
・赤道儀質量:約1.3kg(35度±5度の極軸高度調整可,範囲外はオプション)
紹介した試作機は駆動回路がむき出しになっていますが製品は内蔵されます。
外部インターフェースはオートガイド用コネクターのみです。
主な目的を日食用としていますが,日食の撮影では追尾誤差が寛容と
判断されるため星野撮影を優先して恒星時追尾を採用しています。
(日食撮影では太陽時と恒星時の誤差より,据付誤差の影響の方が大きいと
判断しています)
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