D型赤道儀にスラストベアリングを組み込む
D型赤道儀の極軸は1対のテーパーローラーベアリングで保持されていますが
ウォームホイールとハウジング間のスラスト力は赤いファイバーワッシャーで
受けているために強い与圧をかけられません。
ファイバーワッシャーを挟んでいますが与圧をかけようとすると摩擦が大きくなり
クランプフリー回転が渋くなります。
対策としてワッシャーをスラストベアリングに代えれば与圧をかけられますが
見た感じではそのままでベアリングが組み込めそうです。
D型の上位機種の8cm用にはスラストベアリングが採用されているので両機の
ウォームホイールやハウジングが共通ならD型にもそのままでベアリングが
組み込めそうです。彫り込み部の直径や深さも市販のベアリングに合致するので
試してみたら案の定ほぼ無加工で組み込めました。
上の写真の赤いリングがファイバーワッシャーで手前がスラストベアリングです。
ハウジング側にはスラストベアリングの受け側を装着しています。
改造前はファイバーワッシャーがホイールの上面とハウジング間に
挟まれていましたが改造後はスラストベアリングがこの役目を果たします。
下はウォームホイールにスラストベアリングを装着した状態です。
なおウォームホイールの経年変化で若干内径を研磨する必要はありました。
下は研磨後のホイールです。
与圧の目的は単にクランプフリー回転を滑らかにするだけでなく
ここで紹介したとおり剛性が増します。
また与圧がかけられない赤道儀ではクランプとウォームの相対位置で
ウォームの噛み合いが微妙に変化しますがこれも小さくなります。
与圧とは関係ありませんが,この時代のタカハシ製赤道儀はホイールを
押さえる真鍮版(ハウジング内部の板状のもの)とハウジングの隙間を
鉛棒で埋められています。
クランプを締めた際に軸が微妙に回転するのを防ぐためなので分解時は
紛失に注意が必要です。
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