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2019年4月

2019年4月27日 (土)

ワディの撮影機材(架台など)について

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海外遠征で一番の問題が機材の重量制限ですね。現在,私たちが利用するシンガポール航空では預け入れが30kg(エコノミー)までです。以前は20kgだったのでずいぶん楽になりましたが,それでも赤道儀や三脚などを含めるとかなり制限されてしまいます。

以前の20kg時代は行きの重量チェックは厳格でなかったので40kgほど持ち込んでいましたが帰りのパース空港のチェックは厳しいので赤道儀など重たいものはパースの倉庫に預けて帰るようになりました。

そうしているうちに現地に預けた機材は次第に増え,90S赤道儀が3台,GP-D,SP-DX,スカイメモが各1台になっています。(一部は他のメンバーの所有品)これらの三脚やバランスウエイト,延長ケーブルなどの電源周りを加えると100kgほどになるでしょう。これらの一部は共用機として開放しますが,写真は到着した日の午後に整備しているところです。

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これは今回の90Sを使った撮影風景です。先日紹介したPENTAX105SDHFも搭載しました。二日目は強い風でしたが大きな影響もなく撮影できたのは90Sのおかげです。構造上自動導入はできませんがメジャーな天体ならカメラのファインダーで導入できるので支障ないでしょう。今回はハンドコントローラーさえも使わずクランプを緩めて手動で導入していました。

今回,新たにAMD-2で2軸電動化した90Sをもう一台投入する予定でしたが,共用機は自動導入仕様が好まれるので見送りました。(その代わりPENTAX105SDHFと10kg分のバランスウエイトを投入)次回に自動導入仕様のEM-100を持ち込む予定です。

このために不要となったAMD-2仕様の90S赤道儀を売却します。AMD-2を装着した赤道儀本体(グレーのソリッド,程度は並み,追尾確認済,オーバーホール済)と三脚架台、ウエイトシャフトが付属します。(三脚とウエイトはなし)価格は消費税,送料込みで150,000円です。極望のレチクルは古いままですがご希望の場合は15,000円で最新(1985-2015)に交換いたします。

ご購入いただきました。2019.4.28追記

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2019年4月26日 (金)

開発などに使用したカメラレンズの売却について


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①,②,③、⑤はご購入いただきました。④は売却を取りやめました。2019.4.28追記

冷却CCDカメラ関連アクセサリーやバンド類の開発用として入手したカメラレンズを売却します。興味のある方はご一報いただけると幸いです。もう少し詳しくご案内いたします。

①手前左:SIGMA 70mmF2.8MACRO EOSマウント 価格15,000円 

②手前左:SAMYAG 35mmF1.4 EOSマウント 価格10,000円

③奥左:SIGMA APO MACRO180mmF2.8 EX NIKONマウント  価格100,000円

④奥中央:AF-S NIKKOR 200mm F/2G ED VR 価格380,000円

⑤奥右:AF-S NIKKOR 300mm 1:2.8D 価格180,000円

①~④はほとんど使っていないので外観レンズ共に綺麗です。⑤は外観は綺麗ですがレンズ内に小さなゴミがあります。

②,③は四隅が揃った星像なので当たりレンズと思っています。

③は前玉部のバンド(ガイドカメラ設置可)とマニュアルフォーカサーが付属します。

④はハーモニックギヤードモーターを使った電動フォーカサー(コントローラー付き)が付属します。これは新品でVRⅡを購入しましたが満足行く性能でなかったのでメーカー修理に出しましたが,それでもダメだったので入れ替えた新古品の旧型レンズです。こちらの方がはるかに優れています。

④と⑤は複数のレンズから厳選した,いわゆる当たりレンズですが,いずれもフードはありません。(④のフードは行方不明なので出てきたらお付けします)

価格は消費税,送料込みです。写真では保護フィルターが付いたものもありますが取り外します。また元箱やケースなどは付属しないものもあります。

以下は一例として⑤をF3.2に絞った星像です。NIKONの328でこれほどの像は見たことがありません。その他のレンズについては星像の写真は公開しませんが自信をもって勧めらるものばかりと思っています。

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PENTAX105SDHFで撮影したηカリーナ星雲と電磁誘導トラブル

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今回のワディでは眼視観望も行うためPENTAX105SDHFを持ち込みました。スケジュールや夜露のために結果的にあまり観望は行えなかったのですが3晩ほど撮影に使っています。

この写真は南天でもっとも華やかなηカリーナ星雲で3分露出のJPEG1枚画像です。中心部が極端に明るいので多段階露光で撮影していますので後日,画像処理に挑戦してみたいと思っています。

撮影データ:PENTAX105SDHF 700mm(F6.7)直焦点,D810A,ISO3200,3分露出1枚画像を1/4にリサイズ,デジタル現像+レベル補正処理,2軸電動に改造した90S赤道儀,75mmCマウントレンズ+QYH5L2Mでガイド

 

実は,この撮影を行った日はなぜかガイドができないトラブルに見舞われました。常用しているPHD1ではキャプチャーするがキャリブレーションに移行せず,最新のPHD2ではキャリブレーションが異常に長い(半分フリーズしたような動作でキャリブレーションステップを20,000にしても30分ほど要す)一つ前のバージョンのPHD2ではガイドまで移行するが途中でカメラが遮断される。

前日まで順調な上,過去に経験したことのない症状ばかりだったので完全にお手上げ状態でした。ガイドカメラやケーブルの不良も考えましたが,決め手は゛前日と何が変わったか?゛でした。

下の写真にも写っていますが鏡筒には結露防止のためにAC240Vのコードヒーターを巻き付けています。前日は鏡筒のみの加熱でしたが,当日は結露が酷かったので鏡筒に加えヒーターの一部をガイドカメラに巻き付けたことです。これしか無いと思いヒーターを外してみると見事に解決しました。直接AC電源で加熱したので電磁誘導*でカメラが誤動作したのでしょう。ここまでに4時間も費やしてしまいましたので防備もかねて記事に残しました。

*一般的なテープ状の凍結防止ヒーターはヒーター線が2本並行しているのでAC電源でも電磁誘導は起きませんが,使ったヒーターは紐状なので磁性体に巻けば強い電磁誘導が発生します。これによって発生した誘導電流がガイドカメラ内部の電子回路に悪影響したものと推測します。

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この写真は天文リフレクションの編集長に撮影してもらったものです。前日の状態で鏡筒のみに巻いた紐状のヒーター線が写っています。翌日,余った部分をガイドカメラに巻いて失敗しました。(軽量化のためにトッププレートは使わず鏡筒バンドにガイドカメラを搭載しています)

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2019年4月25日 (木)

ワディファームについて

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今回の遠征で滞在した西オーストラリアのワディファームについて紹介します。

写真は夜間の撮影に備え各自が陣取ったところです。椅子や机に加え,写真に写った範囲全てにAC240V電源を供給しているのでパソコンを使った撮影もできます。初日にセッティングし滞在中はずっとこのままで,疲れたら部屋で休めるなど撮影環境は恵まれています。

今回の遠征には天文リフレクションの編集長も同行され特集記事が掲載されています。特にこれから南半球遠征を計画される方には役に立つ情報が満載ですよ。

 

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私が初めてワディファームのお世話になったのは2000年の5月だったのでちょうど20年前です。施設内の樹木も大きくなったように感じます。左の建屋が今回渡した泊まった1,2号室で,左がシャワールームなどです。

 

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前後しますがここがワディファームの入り口ゲート?です。この奥の宿泊施設まで4.8kmあるので歩けば1時間かかる広大な敷地です。敷地内にはプライベート空港もあります。

 

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1,2号室の前に観望用の10.5cm望遠鏡を組み立てたところです。1~4号室はシャワーやトイレはないために共同施設を利用します。5~9号室はシャワー,トイレが完備され快適です。(現在9号室は利用不可)

 

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ワディでの食事は自炊です。これは初日のバーベキューパーティの様子。

ここは食事が自炊だったり,たまに断水もするなど,生活環境はよくありませんが広大な施設を貸し切り状態で使える環境が好きです。撮影よりも南天の星やおいしいワインを楽しみながら,ゆっくりと過ごす時間に惹かれ度々訪れています。

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2019年4月23日 (火)

GFX-50Rで撮影した銀河中心部

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遠征最終日にGFX-50Rで撮影した銀河中心部です。使用したレンズは23mmなので35mm換算18mmの画角になります。GFXに限らずフジのカメラは赤いガスも写り華やかです。ISO3200,F4で3分露出したJPEG画像1枚のコントラストとカラーバランスを調整し,1/4にリサイズしています。画面下部の光芒は黄道光です。

 

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2019年4月21日 (日)

REDCAT51用スケアリング調整プレートと前後バランス対策アリガタ

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ここで紹介したREDCAT51用スケアリング調整プレート(メッキ前の製品仕様)が完成しました。タカハシ製ワイドマウント経由でNIKONマウントを装着した状態です。

REDCAT51側がM56,ワイドマウント側がM54で光路長は10mmです。REDCAT51付属のM56-M48接続リング(写真左)より短いため最大バックフォーカスが約6mm延長されます。M54部からは最大64.5mm確保されるため,オフアキシスガイダーの適応も可能です。

REDCAT51は国内入荷後,光軸の確認(必要であれば調整)を行い出荷します。これは光軸上での星像(疑似星を使用)を確認するものですが焦点面のわずかな傾きは検出できません。

REDCAT51のF値は約5なので,焦点面の傾き(=スケアリングズレ)にはそれほど敏感ではありませんが,接眼部,回転機構,カメラマウントなどの公差のために4隅の星像が均一にならない個体も存在します。REDCAT51に限ったことではありませんが,これを可能な限り調整するのがスケアリング調整プレートです。センサーが傾いている恐れのある冷却CCDカメラや,デジタルカメラでも4隅の星像を揃えたい場合には便利なアイテムでしょう。接続がM54なのでタカハシ製アクセサリーが装着できるのも魅力です。

 

次は前後のバランス対策を施したアリガタについてです。

オリジナルのREDCAT51に付属するアリガタはバンドを中央に取り付けられないため前後のバランスがとれません。対策としてK-ASTEC特別仕様品には長いアリガタをセットしましたが,オリジナル仕様をご注文のお客様へは写真のようにほぼ中央にバンドを取り付けられるよう加工したアリガタを添付します。(ご希望の場合のみ)

急な出張のために特別仕様仕様のご予約の方へのご案内が遅れております。数日中にはご案内いたしますので今しばらくお時間ください。

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2019年4月17日 (水)

特別仕様のREDCAT51 ご予約受付の終了について

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昨日ご案内いたしました,K-ASTEC特別仕様のREDCAT51は多くのご予約ありがとうございました。おかげさまで半日ほどで予定数量に達しましたのでご予約の受付を終了しました。掲載は特別仕様REDCAT51のイメージです。

ご予約のお客様へはオプションの追加も含め改めてご案内いたします。ご案内まで少しお時間いただくことをご了承ください。

天文ハウストミタでも,同色のREDCAT51の予約を開始しました。K-ASTEC仕様同様,210mmのアリガタが付属するので前後のバランスが取れます。全品に検査成績書が添付される予定です。 (2019.4.20追記)

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REDCAT51の800%拡大星像

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先日から紹介しているREDCAT51で撮影したM8,M20付近を800%拡大した画像です。(画像をクリックすると拡大します)

西オーストラリアの安定したシーイング化で撮影しているので本来の光学性能が発揮され,最小星像はほぼ2pixel以内に収束しているようです。D810Aのpixelサイズから最小星像は10μmを下回っているのは確実でしょう。私の経験ではこれほどシャープな星像を見たのは初めてのようです。

昨日紹介したK-ASTEC特別仕様のREDCAT51は一晩で20台近いご予約をいただき,残りは一桁になっております。

予定数量に達しましたので予約の受付を終了いたします。多くのご予約ありがとうございました。(2019.4.17追記)

 

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2019年4月16日 (火)

K-ASTEC特別仕様のREDCAT51のご案内

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今回,REDCAT51を西オーストラリアで使い,改めてその性能に感動したので急遽,K-ASTEC特別仕様のREDCAT51を企画しました。K-ASTEC特別仕様と通常仕様との相違点は以下のとおりです。

・色は鏡筒部が白でアルマイト部が黒です。写真のキャップ類とヘリコイド固定リング,アリガタなどの金色部を全て黒色に変更。

・アリガタは前後のバランスがとれるよう210mmに変更。(標準の110mmではD810Aなどのカメラを装着した場合リアヘビーになるため)

・キャップとソフトケースのロゴはWilliamOptics標準のスワンマークに変更。(キャップにはK-ASTEC LIMITED EDITIONの表記あり)

・ガイドカメラ搭載用として写真のSUNWAYFOTO製アルカスイスクランプ(改良品)と結露防止用のシリコンラバーヒーター(5V2.6W)が標準付属。

・スケアリング調整プレートをオプション設定(10,800円アップ)

価格は税込み83,200円→89,520円(標準仕様+4,200円)(税別価格で計算していたため訂正させていただきました)で納期は7月中旬の予定です。限定30台で,全品入荷後に光学検査を行います。

予定数量に達しましたので予約の受付を終了いたします。多くのご予約ありがとうございました。(2019.4.17追記)

 

以下はREDCAT51で撮影した写真のM8とM20部分をpixel等倍で切り出した画像です。昨日掲載したものと同じショットで D810Aで3分露出したLaw画像をJpegに変更しただけです。 5cmで撮影したとは思えないクオリティの高さに驚かされます。

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2019年4月15日 (月)

西オーストラリア出張から帰国しました。

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4月6日からの西オーストラリア出張から帰国しました。昨年はサイクロンの影響で天体撮影には残念な天候(昼間は快晴だが夜は雲がわく)でしたが,今回は好天に恵まれました。

写真はREDCAT51F4.9での撮影風景ですが,改めてその星像の小ささには驚かされました。以下は写野中心と四隅の星像で,最小星像はD810Aの2pixelに乗るほどです。(撮影データ:REDCAT51,D810A,ISO3200,180秒露出,JPEG取って出し,90S赤道儀)

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REDCAT51は出張中も多くのご予約メールをいただきありがとうございます。星像が小さいために5cmでの撮影とは思えないほどのクオリティが得られます。納品までのお時間いただきますが引き続きご予約の受付中ですのでよろしくお願いいたします。なおスケアリング調整プレートやアルカスイスクランプとのセットは30台限定です。

  

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2019年4月 5日 (金)

フォーク式のポータブル赤道儀について-1

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フォーク式のポータブル赤道儀については度々紹介していますが,本日紹介するのはタカハシのPM-1赤道儀をベースとしたものです。

小型赤道儀をフォーク式にした場合,搭載するのはカメラレンズに限定されますが,ウエイトが不要(微調整用に軽量のウエイトを併用する場合もあり)な事や,極付近でも長時間撮影ができるメリットがあります。特に写真のようにレボルビング装置を併用すれば極付近のモザイク撮影時の糊代も最小化でき便利です。

ベースとなるPM-1赤道儀は追尾精度も高いので(過去に複数台を測定した結果はいずれも∔10秒角以下)写真の超広角レンズ~135mm程度までなら完全な追尾ができます。

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今回紹介するPM-1赤道儀ベースのように極軸側は既製品を流用したものや,回転ステージやハーモニックドライブを採用ものなど様々なタイプを評価しています。

今回のPM-1用はフォーク側は小型のハーモニックギヤ付きのステッピングモーターを採用した2軸自動導入仕様(試作品)ですが,赤緯の回転部のパノラマヘッドを使用するタイプも計画しています。前者が162,000円ほどで,後者は19,440円ほどです。(いずれもフォーク部のみ,自動導入仕様はMTS-3に加え,PM-1側のモーター換装なども含みます。またいずれも極軸望遠鏡の視野照明装置が内蔵されます)

明日からの西オーストラリア遠征でも同様なフォーク式ポータブル赤道儀で星景写真を撮影する予定です。

 

別件ですが,先日紹介したNANOフォーカサー用ヒーターREDCAT51用スケアリング調整プレートは多くのご予約ありがとうございます。回答が遅れていますが間違いなく対応させていただきますので今しばらくお時間ください。

なおFSQ-85/106EDなど用のフォーカサーはほぼ予定数量に達しました。しばらくメールのご回答ができないため一旦受付を終了します。

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2019年4月 3日 (水)

海外出張に伴う通常業務の休止について

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4月6日~15日までは機材のテストのために西オーストラリアへ出張します。新たに導入したGFX-50Rや話題のREDCAT51での撮影も予定しています。期間中はメールのご回答や出荷ができずご迷惑をおかけいたします。

写真は昨年の1月に2023/4/20エクスマウス皆既日食現地踏査に行く途中で立ち寄った,Denhamのリトルラグーンで撮ったものです。

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