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2019年5月

2019年5月31日 (金)

REDCAT51用フジXカメラマウントとK-ASTEC特別仕様の状況

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REDCAT51にフジのXマウントカメラを装着する場合,純正構成ではNIKONまたはCANONマウントとフジX用マウントアダプタの併用になりますが,スケアリング調整プレート(ASP-RC51,M54仕様)を用いれば,先日紹介したスターベースオリジナルのフジX用カメラマウントが使えます。この場合,マウント部の外形が細いためカメラを付けたままでの調整が容易です。

現在ご予約いただいているK-ASTEC特別仕様のREDCAT51は工場生産が完了しました。写真は先ほどwillamOpticsのYang社長から届いたものです。これから全品の精密検査/調整を行い,6月中旬には出荷される予定です。

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2019年5月28日 (火)

MS-3(N)用PTP-C22アダプターと開発中のAMD-1Nについて

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PENTAX MS-3(N)関連アイテムは生産終了をご案内しましたが,7月の南米日食遠征用として要望をいただいたため,写真のPTP-C22用アダプターを作成しています。また赤道儀内蔵型のモータードライブAMD-1Nも開発中です。

いずれも限定商品で特にPTP-C22用アダプターは極少量の販売となります。

・MS-3(N)用PTP-C22アダプター:7,344円(6/10販売,限定5台)

・MS-3(N)用AMD-1N(オーバーホール込):37,800円(8/上旬から受注,限定20台)

MS-3(N)は電動追尾中でも両軸手動操作ができるので観望には大変便利です。開発中のAMD-1Nは駆動回路を赤道儀に内蔵し電源(5V)を接続すれば追尾します。消費電流は70mA程度なので単三電池3本でも20時間ほど駆動可能です。なお駆動回路を組み込むには赤道儀を預かる必要があるため,オーバーホールを含んだ価格設定としています。

AMD-1N改造後は純正のコネクターを利用して電源とガイドケーブルを接続します。写真のようにガイドカメラに接続すれば簡単に1軸ガイドが可能です。ポールマスターで極軸を合わせれば500mmクラスでも安定した撮影ができます。(写真のポールマスターアダプターと鏡筒取り付け部のPCD35アダプターはセットで5,400円です

 

MS-3(N)は追尾精度が高ので(±10秒角:メーカー公称値)写真のREDCAT51程度ならガイドは不要でしょう。照明付きの極望も内蔵されているので車での移動ならポータブル赤道儀よりずっと効率的です。追尾中でも両軸微動(±10度)ができるため構図の微調整も容易でMS-3Nは目盛環が恒星時を示すため目盛環を使った導入もできます。

両軸が手動操作できるのは日食遠征用としても安心です。構図を取る際にハンドコントローラーを探すより手動で微動ノブを回した方が早いからです。また万が一電動駆動に不具合があった場合でも手動で追尾できるのは大きなメリットです。

なお,P-2及びH-40用のAMD-1の後継機となるAMD-1NもMS-3用と同時期に再販開始予定です。またMS-3用と併せてEM-10/11用のPTP-C22アダプターも製作中です。価格はMS-3用と変わりありません。

 

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2019年5月25日 (土)

REDCAT51の入荷状況について

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REDCAT51は当初のご案内から入荷が遅れていましたが,ここへきて順調に入荷しております。ご注文の方へは近日中に納品いたします。

(現在入荷分は予約分引き当てのため,新規注文の場合は6~7月の納品となります。前後バランスの観点から,新規の場合は以下のTOMITAオリジナルセットをご推奨します)

納品するREDCAT51は天文ハウストミタで光学検査を行い検査成績表が添付されます。初期不良のリスクも少ない上,購入後のメンテナンスも国内で対応できるので安心です。

なおK-ASTEC特別仕様のREDCAT51は予約受付を終了していますが,当方でも,ほぼ同仕様となるTOMITAオリジナルセットの予約を受けております。鏡筒は白/黒で、前後バランスがとれる210mmアリガタ仕様で7月の納品予定です。いずれもスケアリング調整プレートとのセットもご注文いただけます。

(K-ASTEC特別仕様は当方で全品疑似星を使った光学検査/調整を行いますが検査成績表は付属しません)


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2019年5月21日 (火)

REDCAT51用スケアリング調整プレート販売開始

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ここで紹介していたREDCAT51用のスケアリング調整プレートSAP-RC51が完成しました。

これは先月オーストラリアで試写したREDCAT51の生画像(サソリ尾部M7~NGC6441付近 ,D810A,180S露出,JPEG ,ライブビューでピント合わせ)です。入荷後に光軸の確認(調整)しただけでスケアリング調整は行っていませんが四隅ともほぼ満足行く星像です。ただ厳密にいえば四隅の星像は均一でないので,さらに追い込む余地もありそうです。改造カメラなど,センサーの並行性に疑問がある場合などは特に有効でしょう。

SAP-RC51(M54F)の仕様などは以下の通りです。

【接続仕様】 REDCAT側:M56オスネジ,カメラマウント側:M54メス(タカハシカメラマウントDX-WR(NIKON/EOSに対応)

【光路長】 約10.5mm(カメラマウントを含めた状態で,REDCAT51純正構成より約5.6mm短くなるため冷却CCDカメラでの使用に有利)

【傾き調整方法】 4か所押し引きネジ,押し方向は光線漏れも兼ねたOリングの反発力併用,調整には対角2mmの六角レンチが必要

【フィルター】 カメラマウントに48mmフィルター装着可

【価格】 10,800円(REDCAT51と同時販売価格,税込)

写真の奥中央はREDCAT51にSAP-RC51とタカハシ製DX-WRを装着した状態,右は48フィルター取付け状態

写真の奥左と手前左がDX-WRと完全互換のスターベース製カメラマウント(ニコンF及び富士X)このほか,ペンタックK,ソニーA,E,フォーサーズ,マイクロフォーカサーなどラインナップされています。DX-WRより安価な上,軽量なのでお勧めです。

写真の手前中央と右はSAP-RC51を分解した状態。Oリングの反発力でスケアリング調整を容易にしています。また押し、引き調整ネジはいずれも2mmのレンチ(写真は市販の首下ショートタイプ)に対応するものを使用しています。

 

SAP-RC51の特徴はカメラマウントの回転機能と併用する事で,調整ネジ位置を画角の隅に合わせられます。ライブビューでネジと対応した四隅の星像を見ながら定量的な調整ができます。またOリングの反発力を利用するので調整ネジは引きネジだけの操作すればよく至って簡単です。引きネジ両側の押しネジは調整後にロックしてください。

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以下はスケアリング調整を行っている状況です。首下ショートの六角レンチ(付属しませんので市販品をお求めください)を用いればカメラを装着した状態で調整ができます。調整は対角する引きネジと併せて行ってください。一方を締める場合,対角側はその回転分だけ緩めます。


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スケアリング調整後はREDCAT51のカメラ回転機構は使用せずに鏡筒バンドを緩めて鏡筒からカメラ一式を回転します。こうすれば調整結果を維持できます。

なお,すでにREDCAT51純正のカメラマウントを購入されたお客様からの要望で,カメラマウント側がM48オス仕様のSAP-RC51(M48M)を準備しています。(上記の調整ネジ位置と画角を合わせることはできません)6月15日,20台限定販売で価格はM54F仕様と同じです。こちらは単体販売品です。

 

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2019年5月19日 (日)

P-2赤道儀の2軸駆動改造について

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P-2用2軸モータードライブ(AMD-2N)は,赤径側モーターハウジングの手配がつかなくなったために販売を終了していましたが,代品の手当がついたので再販(改造として受注)の準備を行っています。同時に赤緯側のカップリング仕様の変更と従来オプションだった駆動部の短縮改造を標準としました。従来仕様からの変更点は以下の通りです。(写真のコントローラーは他機種用です)

・赤径モーターハウジングの変更

・赤緯モーターと微動軸のカップリングの変更,コネクター位置変更

・赤緯スプリング微動部の短縮改造

従来のP-2用AMD-2Nの価格は59,400円(短縮改造は+10,800円)でしたが,仕様の変更により81,000円を予定しています。赤道儀をお預かりしての改造です。同時にオーバーホールを希望される場合は16,200円,極望のレチクル交換は19,200円となります。

改造の受注は2019.10月の予定で,10台限定です。別件ですがご予約いただいている90S用のAMD-2Nは完成が遅れ7月の予定です。(申し訳ありませんが確保した材料の都合で新規の受注は行っておりません)

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以下は赤緯側のカップリング部と短縮改造した微動部です。従来はカップリングの収縮代(1~2mm)のみの駆動でしたが特殊構造により3倍ほど駆動範囲が拡大されました。なお短縮改造したスプリング部は内部のスプリングも交換しています。

構造上バックラッシュは極めて小さい(モーターギヤヘッド分のみ)ので安定した2軸ガイドが可能です。スプリング部が半分以下に短縮されるため収納が容易になります。

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以下は紹介した2軸駆動機のガイド状況(途中からガイドOFF)です。P-2赤道儀はどれも高精度ですがこの個体は特に良好で∔4秒角ほどです。

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2019年5月11日 (土)

2019年のP-2赤道儀 自動導入改造状況について

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ここで紹介した,2019年のP-2赤道儀自動導入改造は15台のご予約をいただいていますが,その内の4台が完成しました。来週の発送予定です。

ハーモニックドライブの供給状況が昨年までとは一変し,今では2か月ほどで入荷するようになりました。そのため昨年のご案内より3~4か月ほど前倒しで進めています。本年の2回目と3回目でご予約の方へは個別にご案内しましたが,いずれも前倒しでの施工が可能です。また5台ほどは追加の受注もお請けできます。 追加受注の受付は終了しました。2020年以降の改造計画は未定です。2019.5.15追記

今年受注分からコントローラーはMTS-3に加えTITAN TCSもお選びできます。そのために赤道儀側のサブパネルは無くし,両軸のモーター配線のみとなりました。ワンタッチ接続の高級コネクターを採用していますが,サブパネルがなくなった分改造費用を見直しています。

改造費用は以下の通りです。いずれも税込みで,赤道儀のオーバーホール費用も含みます。極望のレチクル交換費用は19,200円です。

【MTS-3仕様】199,800円

【TITAN仕様】237,600円

以下は両軸のモーターコネクターを接続した状態です。赤緯側はモーター信号を利用した極望の照明も内蔵しました。

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2019年5月 9日 (木)

撮影鏡とガイド鏡の焦点距離の関連について

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QHY5LⅡMを使った小型ガイドセットを検討されるお客様から,「75mmと100mmどちらが良いか」と相談を受ける場合がありますが,以前C5(125mmF10のシュミカセ)と50mmレンズでのテストした結果などを基に,焦点距離が800mm程度までなら75mmを推奨しています。75mmは全長が短いうえに,前玉部が軽いのでヘリコイドや保持部のたわみを受け難くなるメリットの方が大きいと感じるからです。

上の写真は先日紹介したPENTAX105SDHF(700mm)とD810Aで3分間撮影したηーカリーナ星雲の中心部のpixel等倍です。ガイド鏡は75mmでクランフ゜は1点固定,ここで紹介したように片側のバンドに固定しただけです。これで僅かなエラーはありますがコンポジットすれば問題ないレベルでしょう。この結果からもガイド鏡は撮影側の1/10倍ほどで十分と言えそうです。

以下のガイドグラフはηーカリーナ撮影当日(4日目)の状況です。撮影に使った90S赤道儀は,初日にこの方法で極軸を合わせ(2000年位置)たままだったので,その間の極軸ズレに伴い1方向に赤緯側が修正されています。常に1方向の修正はバックラッシュの影響が出ないので風であおられても暴れることなく良い結果が得られるでしょう。なおこの程度なら視野の回転は感じませんでした。

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2019年5月 3日 (金)

南天専用の赤道儀を作る

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先日紹介したように西オーストラリアには複数の赤道儀を預けており,南天が初めての方や持ち込まれた機材のトラブル時などに貸し出しています。その内の2台は自動導入仕様ですが自動導入機が人気なので次の機会にもう一台追加する予定です。

せっかくなので初心者でも簡単に極軸合わせができるように,PENTAX製の7×35正立ファインダーを極望として内蔵したEM-2(自動導入改造)を作りました。

 

私は以前から南天では極望の指標は使わず,以下の方法でセッティングしています。指標のない極望でも使えることや,指標があっても極軸を回転しながら星の位置と合わせるのは意外と難しいからです。この方法でP-2や90Sの高倍率(9倍)の極望でも合わせますが視野が狭いので初心者にはハードルが高すぎます。十字線しかないファインダーですがこの方法なら使え,広い視野と正立像を生かして楽に台形を探せます。(当然ですが極軸との光軸調整機構は必要です)

また,大きな口径と視度調整も有効です。3.5cmあれば南の極と三角を形成する6.8等と7.8等星もよく見えるのでより正確なセッティングが可能です。(通常はσ星から7.2等に伸ばした紫の線と直角に同じ距離だけ伸ばした位置で十分です。先日のηーカリーナは700mmで撮ってますがこの方法で合わせただけです)

なお,はちぶんぎ座の台形の探し方は天文リフレクションで詳しく説明されているので参考になさってください。

追記:図はステラナビゲーター10の星図(2000年点分)をトレースして作成しています。天文リフレクション様からのご指摘により概ねですが歳差分を書き込みました。

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