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2019年6月 6日 (木)

高精度ハーモニックドライブを評価する-その1

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ハーモニックドライブの赤道儀への応用は5年ほど前に開始し,昨年は日食遠征用として特化したGE1414HDを商品化しました。当初は写真左側にあるハーモニック減速機付きのステッピングモーター*から始め,その後は目的に合ったハーモニックドライブを採用しています。(*このタイプはフォーク式構成の赤緯用として便利ですが2020.3で生産終了されます)

ハーモニックドライブは大きなトルクを出せる上にバックラッシュはほぼ0なので赤道儀駆動用として魅力的ですが,赤道儀用(極軸側)として満足できないのは追尾精度です。写真のCSF-14型の場合,メーカー公称値の角度伝達精度は1.5分角(90秒角)で,実測値はその2/3(±30秒角)ほどです。たびたび紹介するP-2や90Sなどと比較すると1/5ほどの精度しかありません。

対策としてHOBYM Observatory社のCRUXは強力なPEC機能を内蔵しPEC学習後は1/10ほどに抑えらます。またMTS-3でも1/5ほどまで改善できるのでハーモニックドライブ赤道儀ではPEC機能は必須でしょう。

ただ個人的にはPECに頼らず,機械精度だけで市販のウォームギヤ式赤道儀並みの赤道儀を作れないかと思っていました。敢えてGE1414HDを日食遠征用と謳ったのは星野撮影用としては不満があったためです。

 

前置きが長くなりましたが,以前からこれらの状況をハーモニックドライブ社に相談していました。その結果,角度伝達精度の改善と追尾の滑らかさを実現するにはサーキュラスプラインの研磨が有効とのことでその対策品が完成しました。入荷した型番の末尾についたSPはその証です。写真は第二ロット(予約分で新規の受注はありません)のGE1414HD用として入荷した高精度仕様(RA用)と,標準仕様(DEC用)のハーモニックドライブです。

以下は高精度仕様のサーキュラスプライン,フレクススプラインとウエーブジェネレーターです。見た目は標準仕様と変わりありませんが記念に掲載しました。その-2に続きます。

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