南米日食の観測地や機材の概要
今回の南米日食の観測地や機材について簡単に紹介します。忘備録としての詳細な記事は後日改めて改めアップする予定です。
前の記事でも触れていますが観測場所はアルゼンチンのベジャビスタと言う小さな町に作られた広大な特設会場です。この会場は約800人が利用しましたが,現地の方と欧米人が殆どで日本人は私たち14名だけでした。
今回の撮影機材はタカハシのFOA-60(900mmF15仕様)の2連で静止画と動画用です。赤道儀はこのために開発したGE1414HDです。
GE1414HDの両軸には34Nmのモーメント荷重(軸中心から20cmの位置に17.5kg*)に耐えるハーモニックドライブを採用しているので極軸の回転方向や鏡筒の前後方向などのバランスを気にせずに搭載できます。複数の鏡筒を搭載する日食撮影では重要な事で,GE1414HDを敢えて日食観測用と呼んでいるのはそのためです。
*干渉時のリスクを軽減する意味で駆動モーターの電流を制限し許容モーメント荷重の半分ほどの8kg程度に設定しています。今回のFOA-602連の場合,カメラなどを含めた偏荷重は6kgほどなので,電源脱落時でも姿勢を保持します。
今回は航空機の乗り継ぎが多い(12回)ので機材は丈夫なケース(上の写真に写ったPROTEX製)にしました。度重なる航空機への積替時が一番リスクが高いためです。ただこのケースは通常のスーツケースに比べ重い上,国際線以外の預け入れ重量制限は23kg(有効数字の関係で23.9kgまで可)1個までなので機材の軽量化が最重要でした。以下が内訳で合計23.7kgです。
- 機材収納ケース(PROTEX CR-5000):7.7kg
- 赤道儀,三脚,鏡筒×2本:8kg(鏡筒はフードなどを取外し軽量化しています)
- 既皆中の風景撮影用カメラ(D810A),レンズ,三脚,鏡筒バンドなど:4.5kg
- 衣類他:3.5kg(結果的に不要でしたが冬場の高地(約2000m)だったので防寒対策をしていました)
以下は出発前に確認した2本の鏡筒の調整状況です。GE1414HDはシンプルな調整機構を有すのでそのための微動装置は不要です。一般的な赤道儀の場合,微動雲台などの光軸調整装置やプレートの併用が必要なためそれだけでも1~2kgほどの負担が増えてしまいます。
| 固定リンク
「日食関連」カテゴリの記事
- ロンドンブリッジの夕景(2023.04.26)
- これまで見た中で最高の皆既日食でした(2023.04.22)
- 南米日食の観測地や機材の概要(2019.07.14)
- 南米日食から帰国しました(2019.07.11)
- 第三接触の写真(2019.07.08)