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2019年8月 8日 (木)

高精度ハーモニックドライブを評価するーその3

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南米日食遠征などで2か月ほど間が空きましたが,高精度ハーモニックドライブは実機への採用を始めました。写真は先月受注を再開したGE1414HDで全て高精度仕様です。この後実際の星での追尾テストを行い納品します。

前回の記事で紹介しましたが,高精度仕様と言えども標準品の1.5倍ほどの精度しかなく,∔15秒角ほどの追尾エラ ーがあります。これは度々紹介するP-2や90S赤道儀と比べると1/3ほどの精度で,ガイドなしでは135mm程度が限界でしょう。

この追尾精度の悪さを電気的に軽減するのが「PEC」でこれを併用すれば∔5秒角ほどまで改善できます。高精度仕様の場合,振幅が小さくなっているだけでなく周期性や滑らかさも改善されているのでPECの効果がより期待されます。

 

以下上が高精度仕様で下が標準品です。高精度仕様は周期性が明瞭で滑らかです。

ただPECは大変有効な機能ですが一度学習した内容を保持しないと不便です。最初の写真でわかるようにGE1414HDはギヤヘッド付きのPM型ステッピングモーターを採用していますが,これはモーターの回転は電気信号に合致させ学習結果を保持させるためです。ハーモニックギヤ付きのステッピングモーターでは励磁を切ると手で回せますが,これではせっかく覚えたPECが無効になってしまいます。

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またPECは雲の通過などで一時的にガイド星が見えなくなった場合も有効です。以下のように比較的エラーの大きな個体では短い時間ガイド星が見えなくなった場合でもガイドエラーになりますが,PECがあれば凌げることもあります。

以上のことからハーモニックドライブ赤道儀にとってPECは大事な機能ではないかと感じています。

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