« 2020年9月 | トップページ | 2020年11月 »

2020年10月

2020年10月25日 (日)

P-2赤道儀のポータブル化について

B2010251

こちらの記事で紹介していたP-2赤道儀ポータブル化改造の製品仕様が完成しました。試作から赤緯体を大きくし駆動用電池と極軸望遠鏡の視野照明装置を内蔵しています。

赤道儀本体は純正状態から1kgほど軽くなっていますが,不動点からカメラ搭載面までの距離が半分ほどになるのでウエイトの軽量化が図れます。写真は3.5kgほどの機材(EOS Ra+200mmF2)を搭載した状態ですが1.4gのウエイトで運用可能です。

 

以下はAMD-1N側からと乾電池収納部の蓋を外した状態です。内蔵した極軸望遠鏡の試写照明はこの電池を電源としています。なお蓋の上部はUNC1/4タップを設けているのでポールマスターや自由雲台も搭載できます。

パノラマヘッド装着面にはUNC3/8に加え,2-M6,17.5mm間隔のタップも施しているので片持ちフォークのアームなどを装着可能です。(後日紹介予定)

 

改造費用はAMD-1Nや赤緯体の交換に加え,極軸体のオーバーホールを含めた一式で55,000円(税込,パノラマヘッドは含まず),受注は2021.1の予定です。改造で取り外した赤緯体はオーバーホールをせずにご返却します。極軸体に加工は行わないため元通り修復できます。

B2010253

B2010252

|

2020年10月20日 (火)

旧レンズとミラーレスカメラと自動導入

B2010202

前の記事で紹介したFD500mmF4.5にはマウントアダプターを経由してカメラボディ(EOS Ra)を装着しています。フランジバックが短いミラーレスカメラの登場で今回のような古いレンズが使えるようになるのは嬉しいですね。今回はどちらもCanon製ですがメーカー間の垣根もなくなっているようです。

ところで今回はポータブル赤道儀と500mmのレンズでM31を撮影しましたが導入に手間取りました。今までD810Aなど光学式ファインダーならM31のボウッとした光芒を難なく捕えられますが,EOS Raの背面モニターでは恒星とM31の区別がなかなかつきません。

これまでは天体望遠鏡で対象を導入するのと同じようにファインダーを覗きながら恒星の配列で天体を探しましたが,モニターは直感的でないので難しいです。気軽なデジイチでの撮影と言えど,500mmクラスで撮影するなら自動導入機の方が効率的なようです。

B2010203

|

Canon FD500mmF4.5Lのテスト撮影

B2010201

日食の動画撮影に使えないかと思いFD500mmF4.5の中古品を入手しました。中古との事でしたがキャリングケースも含め,使われた形跡の無い新品状態でした。

このレンズは今から40年ほど前のものですが,500mmの超望遠でありながら2.6kgと軽量です。大口径のフローライトとUDガラスが各1枚使われており色収差は極めて小さいです。一番の決め手は後玉が焦点位置の24cmほども前にあり,第二(三)接触時のゴーストが出ないと思ったからです。

Fd500mmf45

カメラレンズはレンズをきつく固定するので,星を撮るとその影響が出るようです。このレンズも動画用と考えていたので期待はしてなかったのですが,碍子の反射光を使ったテストでは期待以上の性能でした。

 

今回のテスト撮影は写真のポータブル赤道儀(ガイドなし)で行いました。カメラはEOS RaでISO3200,3分露出,JPEG画像で未処理です。

4隅も含めほぼ丸い星像が得られ星野撮影用としても充分に使えそうです。

今回使用したポータブル仕様のPENTAX75赤道儀はここで紹介したものでAMD-1の組込や極望の換装を行っています。以前の測定では±5秒角ほどの精度でしたが今回は緯度の高い対象だった事もあり,500mm3分でも満足な追尾ができました。

1x8a0058_w2048

 1x8a0058_qc

ところで,先日紹介したP型など,評価用としてポータブル改造したものが10台ほど溜まりました。主なものはPENTAX75×2台,FC-50赤道儀×2台,P型×2台,P-2×4台です。全てAMD-1Nを装着し,FC-50とP型は極軸高度方位調整装置を付けた状態で売却予定です。お譲りする前に全機種Pモーションを測定する都合上,ご案内は来年1月頃を予定しています。

|

2020年10月16日 (金)

AMD-1NとXY70-35で改造したポータブル仕様のP型赤道儀

B201016

P型赤道儀をベースとしたポータブル化改造については昨日のブログで紹介していますが,XY70-35やAMD-1Nのパネル側の写真が無かったので改めて紹介いたします。

AMD-1NはP-2用などと同様に下部に乾電池ホルダーを組み込んでいます。極軸望遠鏡の視野照明はこの電池を電源とし,配線とLEDは赤緯体内に内蔵しました。またウエイトシャフトがAMD-1N(電池ホルダー)と干渉しないように60mmの延長筒を装着しています。端には純正のシャフトをねじ込めます。

 

写真のパノラマヘッド(BENRO PC0)を含んだ一式の重量は約2.8kgです。同様にAMD-1Nを装着したP-2より2kgも軽いので300mmF2.8クラスのカメラレンズでの星野撮影や8cmクラスでの日食遠征用として便利でしょう。

なおP-2は極望の倍率が9倍もあるので八分儀の台形を探すのに苦労しますが,P型は倍率が低いので(5倍9度)南天での極軸合わせは大変容易です。

昨日の記事でXY70-35はXY62の二回りほど大きいと紹介しましたが実感が涌かないアングルだったので正面からの写真を紹介します。この状態だと大きさの差が解りやすいです。重さはXY70-35が620gでXY62が440gです。

|

2020年10月15日 (木)

P型赤道儀改造用XY70-35の状況について

B2010151

P型赤道儀改造用のXY70-35が完成しました。XY70-35単体及び赤道儀改造を予約の方へは時期や内容確認の案内をいたします。

なおXY70-35はご予約分のみの受注生産となっており余剰はございません。(12月にツイン鏡筒用の超低重心のXY80-0を受注予定です)

 

写真は手前左がXY70-35単体,中央がXY62です。XY70-35が二回りほど大きく重さは620gです。

奥は左と中央が評価のためP型赤道儀を自動導入改造を行ったもので,右がAMD-1NとXY62(試作品)でポータブル改造したP型赤道儀です。

改造内容と費用は以下のとおりです。

10.26日現在2.の「赤緯体を改造しAMD-1Nのみ装着」のみ4台受注可能です。追記

  1. P型赤道儀の極軸保持部をXY70-35に改造:40,700円
  2. 赤緯体を改造しAMD-1Nのみ装着:49,500円
  3. AMD-1NとXY70-35の装着しポータブル赤道儀化:90,200円

XY70-35を装着するためには極軸体から極軸保持部を切断します。分解して行うため極軸体のオーバーホールも行います。

AMD-1Nを装着するには赤緯体の上下を入れ換え,バランスシャフトを装着していた側へパノラマヘッドを装着(パノラマヘッドは改造費用に含まず),鏡筒バンドが付いていた側にAMD-1Nとウエイトシャフトアダプターを装着します。純正のウエイトシャフトがそのまま装着できます。AMD-1Nから赤緯ハウジング内にケーブルを通し極軸望遠鏡の視野照明も行います。

 

以下は評価用として赤緯軸をハーモニックドライブ化した自動導入機です。赤緯軸のハーモニックドライブ部は一枚目写真の左側と同じですが(内部が見えるよう開放状態),こちらは極軸側のモーターを赤緯体の中に組み込みコンパクトに仕上げました。

これまでP-2,90S(改造終了),EM-200の赤緯軸をハーモニックドライブ化しましたが今回のP型も極軸望遠鏡は使えます。

内蔵したハーモニックドライブは小型のCSF-11型で許容モーメント荷重は0.7kg/mです。写真の200mmF2程度なら許容値の60%ほどです。

評価のために極軸側のモーター周りが異なる2タイプの改造を試しましたが,他の機種に比べ手間やコストがかかる事から受注は行わない予定です。

P型にここまで手を入れるより,立派な高度方位調整装置を持っているP-2をハーモニックドライブ化した方が賢明でしょう。

B2010153

B2010154

B2010152

|

2020年10月 8日 (木)

スケアリング調整対応OAGユニットの紹介

B201007

10月下旬納品で案内していたスケアリング調整に対応したOAGユニット(2AD-SAP/OAG_M54/M72)が完成しました。FSQ-106EDP附属の2種アダプターCCA-250に互換しています。ご予約の方へのご案内となりますが,いつものとおり2~3割ほどの余裕をもって製作しました。余剰が出た場合は後日改めて案内いたします。

都合により余剰分は無くなりました。10/11追記

詳細は以下をご参照ください。

Nikon D810A用でOAG対応の要望が多かった事から,先のご案内から仕様を変更し機種を統一しました。対応カメラ機種やOAGの有無の選択は無くなりました。

  • 2AD-SAP/OAG_M54:19,800円
  • 2AD-SAP/OAG_M72:19,800円
  • M54,M72調整プレート単体:5,500円

以下は左から,2AD-SAP/OAG_M54にタカハシカメラマウント(Nikon AI)を装着,2AD-SAP/OAG_M72にBORG製GFXマウントを装着した状態です。(補助リング併用)

左から3番目は試作品のためにD810Aにのみ対応しません。一番右が2種アダプターCCA-250です。
試作品は数量制限がありますが15,400円での販売です。M54/M72何れにも対応できるよう2枚の調整プレートが附属します。

B2010071

D810Aを装着した状態です。D810Aはストロボを内蔵しているのでこの部分の干渉を防ぐため途中からサイズを落としています。なおミラーレスでないカメラではOAGユニットは下方に装着します。

B2010072

|

2020年10月 6日 (火)

ASI6200MMをFLI社製FWに接続するアダプターセット

B201005

こちらの記事で紹介した,ASI6200MMをFLI 社製フィルターホイール(CFW1-5またはCFW2-7)に接続するアダプターとQHY600用スペシャルOAGをセットを受注製作しました。僅かですが余剰がございます。完売しました。10/11追記

詳しくは以前の記事で紹介していますが,光路長はQHY OGA-Mに附属する3mmのスペーサーを併用すれば57.2mm*になります。タカハシ鏡筒のM54部からのバックフォーカス56.2mmに対して1mm長くなっています。

*SOAG:18.2,スペーサー:3,CFW:20.5,FLI-6200AD:3,ASI6200:12.5→合計57.2mm

この構成のメリットは,OAG側で行う鏡筒のスケアリング調整とは別に,C-MOSセンサーの傾きをASI6200MMに装着するアダプター(FLI-6200AD)で調整できる事です。センサーの調整ができればカメラのみを回転ができるため縦横構図変更が容易です。

 

QHY600用SOAGとFLI-6200ADのセット価格は34,100円です。(在庫数は2セットのみ,QHY OAG-Mは含まず)CFW1-5(2-7)のフロントパネルへのネジ加工は無償で行います。

写真は手前左からビクセン用M60/M56テーパーリング,タカハシ用M54テーパーリング,FLI-6200ADで,左奥は加工したCFWのフロントパネルとそれにQHY600用SOAGを取り付けた状態,右はFLI-6200AD装着したASI6200をCFW1-5に装着した状態です。CFWに対してカメラの回転や着脱が容易に行えます。

 

このところ公共や個人天文台の自動化改造工事が立て込んでいます。光学センサーによる望遠鏡格納位置からの全自動導入やリミット機能に加え,降雨信号による望遠鏡格納→格納完了後にスライディングルーフを閉鎖するシーケンスも行います。ASCOMにも対応するのでリモート天文台用としても便利です。

基本は出張作業ですが,システム構成や動作確認に時間を要すため,当面は改造の受注を休止しております。(既にEM-200DHDなどの改造のご予約をいただいている方へは近日中にご注文の案内をいたします)

|

« 2020年9月 | トップページ | 2020年11月 »