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2021年5月

2021年5月29日 (土)

新型ゴニオステージ赤道儀について-4

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今回は新型ゴニオステージ赤道儀の極軸合わせについて紹介します。

これまではジンバル雲台を使った撮影(観望)スタイルで紹介してきましたが,この赤道儀の開発の主な目的は星景写真撮影用です。ゴニオ赤道儀は三脚の一部の様な形状なので自由雲台との相性は大変良いです。

 

星景写真では,概ね極軸があっていればいいので大掛かりが極望は不用ですが,さすがに素通しのパイプでは辛いので,最初の記事で紹介したアングルファインダーやマグニファイヤー(何れもCANON製)を装着できるようにしています。

特に写真のマグニファイヤーは大変コンパクトですが2倍ほどの倍率があるので北極星を探すのは楽です。前方に開けた穴の中心に北極星を導入すれば充分でしょう。

 

ただ望遠レンズでの撮影では不安なので,写真のように外付けの暗視野照明付の極軸望遠鏡もオプションとして準備しました。ジンバルとの干渉もなく撮影の邪魔にはなりません。

また,日食撮影時はiPhoneでセッティングできるようにトップ面を突起のない形状にしています。

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以下は先日触れた追尾精度の撮影スタイルと実写結果です。満月に近い月夜のうえ,雲が多かったのでF5.6,ISO200で撮影しています。極軸は極望を使ってセッティングしました。

300mmF4のレンズで各3分露出の連続した4枚ですがどれも満足な追尾が得られています。ゴニオステージのウォーム軸は約4分で1回転なので3周期分の撮影です。

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2021年5月27日 (木)

新型ゴニオステージ赤道儀について-3

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昨日の皆既月食は予報が芳しくなかったので気軽な新型ゴニオステージ赤道儀で挑みました。この写真を撮った後に雨が降り出す始末でしたが。

今回はゴニオ赤道儀にはFOA-60とNikonD810Aを搭載しましたがこの場合でも一番撓むのは三脚のようです。

以下は第1回目の記事で紹介したジンバル雲台が入ってきたポーチにゴニオ赤道儀(BENROのジンバルを装着)を入れていますがコントローラーやモバイルバッテリーなど一式収まりました。携行にはとても便利です。

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新型ゴニオステージ赤道儀について-2

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新型ゴニオステージ赤道儀は駿河精機製のステージ面60×60mmのゴニオステージ(中古品)を使っています。

ウォームギヤ式で1回転当たり1度,移動量±5度,回転軸中心高が125mmなので,直径250mm,歯数360枚のウォームホイールの1/36に相当します。可動部の保持はクロスローラーベアリングです。廃盤機種ですが現行品ではこの機種相当で赤道儀が1台買えるほど高価なものです。

中古品ですがギヤ面の状況から殆ど使われていない(動いていない)ようです。念のためにクロスローラーベアリングの与圧とウォームギヤの噛み合わせ調整を行っています。

電気的な仕様は5相のステッピングモーター駆動で,原点(未使用)と両端のセンサーが内蔵されています。モーターは2相に換装していますがコストを抑える為にセンサーやコネクターはそのまま使いました。(追尾時間を延ばすためにセンサー位置を変え,最大12度(48分間の追尾)としています)

 

このゴニオステージの下面側には専用に製作したアルカスイスプレートを,上面にはジンバルや自由雲台を搭載するカメラプレートを取り付けています。

カメラプレートには以下の写真のようにアングルファインダーを装着できます。倍率が1倍なので明るい空では北極星は見づらいのですが素通しより良いようです。(評価中ですがマグにファイヤーを併用すれば良く見えそうです)

 

以下は上記で紹介した分を組み立てた状態ですが一式で1kgもありません。

このゴニオの可動部の保持はクロスローラーベアリング式でハーモニックドライブと同じです。極めてコンパクトですが大きな耐荷重を有しており,この製品は5kgfです。5kgfはステージ面に真っ直ぐかかる力ですが,これは角度の秒オーダーの剛性を保証する場合の値であって,分オーダーを許容できる赤道儀で使用するのなら,これ以上の荷重やモーメント荷重に対しても問題ないと感じています。

これまでの実験結果から,先日のジンバル仕様で300mmF2.8クラスやFC100DLクラスまでが搭載の目安でしょう。

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追尾精度については次の機会に詳しく紹介しますが以下は代表例のガイドグラフです。条件を統一するために75mmレンズ+QHY5L2Mを使ったPHD-1のグラフで,Y軸1目盛は約10秒角です。P-Pで5秒角ほどの振れしかなくこれなら500mmでも追尾できそうです。

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2021年5月24日 (月)

新型ゴニオステージ赤道儀について-1

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昨年紹介したゴニオステージ赤道儀は予想以上の反響でした。終了後も追加のご要望が多かったことから,新なゴニオステージ赤道儀を製作しています。ご予約の方を対象とした内容となりますが数回に分けて新型ゴニオステージ赤道儀を紹介いたします。

以前のタイプは以下で紹介しています。新型は専用に開発したコントローラーとゴニオステージに内蔵された始点と終点のセンサーを用いた自動タイプです。

なお,新型は専用コントローラーの開発やセンサー内蔵のゴニオステージを使ったために昨年紹介したタイプより機能が上がりました。そのため昨年案内分からの振り替えも考慮して仕様や価格を紹介していますが新規に受注するものではありません。

 

1回目は新型ゴニオステージ赤道儀をジンバル雲台仕様としSIGMAの105mmF1.4のレンズを搭載した例を紹介します。ゴニオ部は三脚の一部と思える程の大きさしかありませんがこの程度のレンズなら何ら問題なく搭載します。ジンバルの場合,赤道儀に大きなモーメント荷重がかかりますが,赤道儀よりジンバルや三脚(PTP-C22)の剛性が劣る感じです。

写真のジンバルは極軸回りのバランスがとれるよう,クランプ部を改造したもので,写真の例では両軸ともにバランスがとれています。

 

新型ゴニオステージ赤道儀の価格は以下のとおりです。

  • 赤道儀本体:99,000円(33,35,36度いずれかの極軸台座とDS38R-60含む)
  • 外付け極軸望遠鏡:16,500円 25,300円 訂正しました2020.2.17
  • 極軸固定台座をXY60に変更:17,900円
  • 写真のジンバル雲台:19,800円(市販品の改造)

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2021年5月23日 (日)

ASI2600MC用保持バンドとレンズサポート-1(受注生産品)

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ASI2600MCとカメラレンズの組み合わせで撮影する際に便利な保持バンド(リング)を製作しました。

ドロップイン式のフィルターに対応するので手差しにはなりますがモノクロカメラでの撮影でも使えます。カメラマウントはEF Contoroller MarkⅡなのでパソコンからピントと絞りを制御できます。

写真は固定側にDP45-190LをトッププレートとしてTTP40-190Nを装着した状態ですが,DP38-144,190,208も適合します。トッププレートにはガイドカメラを搭載できます。

 

レンズのサポートリングは最大外径100mmまで保持できます。オプションのC型リングを併用すれば(最大外径は94mmまで)レンズへの傷防止になります。

このカメラ用バンド(CB90AS:12,100円)とレンズサポート(LR100AS:12,100円)は後日紹介するEF Contoroller MarkⅡを装着したフィルターホイールとASI2600/6200MMやQHY263Mとの組み合わせでも使えます。カメラをご注文のお客様からの受注生産品ですが,他でも使えるために各20台ほど製作しました。

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2021年5月22日 (土)

2021年のEM-200赤緯軸ハーモニックドライブ化のご案内

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しばらくのあいだ休止しておりました,EM-200赤道儀赤緯軸ハーモニックドライブ化改造(EM-200DHD)再開のご案内です。
本年改造分から赤緯軸に採用するハーモニックドライブを従来のSHG-20-160-2SOからSHF-20-160-2SOに変更しました。それにより改造費用は従来より6,600円安価な323,400円になっています。

SHF型はSHG型に比べ30%ほど許容トルクが落ちますが,それでも5kgfm(最大許容トルクは15kgfm)に耐えるので全く問題ありません。許容モーメント荷重は変わりなく19.1kgfmです。

他にワンタッチ着脱のバランスシャフト部の形状などを見直しています。附属するウエイトシャフトは18φで,長さ300,350,400mmから選択いただけます。

2021年は10台分の材料を準備していますが,既にご予約分で半数ほど埋まっています。今後のご予約台数は最大5台までで改造の実施は8月からとなります。2021年分の改造予定数量に達しましたのでご予約の受付を終了いたしました。2012.5.29追記

 

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2021年5月21日 (金)

限定の33度と36度の極軸傾斜台座 販売中

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ポラリエUなど,ポータブル赤道儀用の極軸傾斜台座TL35に引き続きこちらの記事で紹介していた33度と36度の極軸傾斜台座が完成しました。33度と36度は初期ロットのみの数量限定品で,本日現在各5~6個在庫があります。

写真左手前はTL35,奥はTL35にDS38R-60を装着した状態です。TL35はDS38R-60との組み合わせを想定したサイズになっています。

右の2台は33,36の底面です。33度と36度のみ角度を刻印しています。

TL35の重さは110g,傾斜面はM8タップを4カ所(PCD35)加工しています。底面はUNC3/8タップで中心から17.5mmの位置に回り止め用のM6タップがあります。(反対側は加工時の固定穴)

なおTL35と同時紹介したポータブル赤道用極軸望遠鏡(UNC1/4固定)は極軸望遠鏡入荷遅れのたため完成が遅れております。6月の予定です。

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2021年5月18日 (火)

タカハシP,D型赤道用AMD-1Zの発売日と価格について

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タカハシP型赤道など用のAMD-1Zは4月末発売予定でしたが,モーターユニットの仕様見直しのため6月15日となりました。

以前紹介したモーターユニットはP型へ装着する場合に,赤緯微動部との干渉を防ぐためにモーターを傾ける方法を採っていましたが,外観を損なうために全面的に見直し(小型化)ています。写真は装着していませんが微動ノブとの干渉を避けるようカバー形状も見直しています。

 

形状見直しに伴いモーターハウジングの加工費用が嵩んでしまいましたので発売価格は47,300円とさせていただきます。
(既にご予約の方はこちらで紹介した一式44,000円でご提供いたします)

なお,7月に発売するP-2用は44,000円ですが,Mark-X用と五藤8cm用は47,300円となります。

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2021年5月16日 (日)

ドロップインフィルター対応のEFマウントとM54接続(受注生産品)

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前回に引き続きASI2600MC用のパーツを受注製作しています。何れもZWO製ドロップインフィルターホルダーを使い,一つはカメラレンズ(EFマウント)用で,もう一つはタカハシM54接続用です。EFマウントはEF Contoroller MarkⅡなのでPCからピントや絞り制御が可能です。

タカハシM54接続はテーパーリングTR74の上段に装着するのでフィルターとセンサーの距離が長くなりゴーストには有利でしょう。TR74に52φをドロップインフィルターホルダーに48φのフルターを装着できます。ドロップイン側は構図を変えずにフィルター交換できるのでモノクロカメラ用としても使用できそうです。

(EFマウント側は手持ちを合わせたイメージ写真です。そのままでは光路長を満足しないのでフィルターホルダーの加工が必要です)

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2021年5月12日 (水)

ASI2600MC用テーパーリング接続キット(受注生産品)

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ASI2600MC(カラー)をモノクロカメラと同一仕様で接続するキットを受注生産しました。

タカハシ製鏡筒のM54にねじ込むテーパーリング(TR74)で脱着と回転が可能です。M54ネジ込み面とカメラセンサーはコリメーター調整後にお届けいたします。

 

写真は紹介のカラーカメラとツイン鏡筒で運用するモノクロのASI2600MM(7枚用FW併用)と並べた状態です。鏡筒接続が同じ条件なので運用の幅が広がります。なおカラー,モノクロ側どちらもOAG-M64の併用と52φフィルターの装着が可能です。

引き続きASI2600MCにEF Contoroller MarkⅡを装着する台座付アダプターも受注製作中で6月中旬に完成予定です。

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2021年5月11日 (火)

SP赤道儀用P.C.D.35mmアダプター入荷しました

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こちらの記事で紹介していた「SP赤道儀用P.C.D.35mmアダプター」が入荷しました。殆どは予約で終了していますが6台ほどの在庫がございます。完売しました。5/12日追記

写真はこのアダプターを使用してSP赤道儀にアルカスイス規格のDP38-76を装着した状態です。

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2021年5月 1日 (土)

ZWO社製カメラ関連パーツの生産終了について

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4月末をもちましてZWO社製ASI2600MM/6200MM専用のカメラ関連パーツの生産を終了しました。在庫限りで販売を終了いたします。

生産を終了したのは以下の4機種で,鏡筒バンドやプレートと関連のあるEAFパーツは引き続き生産いたします。

  • ASI 2600MM用タカハシM54接続キット
  • ASI 6200MM用タカハシM54接続キット
  • ASI 2600MM用光路11.5mm延長プレート
  • ビクセン鏡筒用TR74-M60/56Mテーパーリング単体

なお,カメラ本体に加え,上記のパーツやEF Contoroller MarkⅡ を組み合わせたコリメーター調整セットは,引き続き受注生産品としてお請けします。

 

以下は特注で製作したε-130D用のEAF取付金具です。以前のタカハシ汎用接眼部用フォーカサーと同じ取付方なので接眼部の回転が可能です。ε-130Dの他,FS60CBなど多くのタカハシ製鏡筒に対応するので量産を計画しています。

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