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2021年12月

2021年12月31日 (金)

2021年を振り返って-5

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2021年最後の記事となりますが,この夏から天文台の改装に着手しました。まだ完成ではありませんが概ね形ができあがっています。

 

5月の星ナビ取材時はまだ下のように木造(梁などはこの地に植わっていた檜で作りました)の大きな可動屋根でしたが,これを西(写真の左)側に固定し,その内部に新に製作した可動屋根が入り込む構造にしています。

雨水対策上,可動屋根が固定屋根の上に被さる構造が一般的ですが,改築のために逆になっており雨水対策は厄介です。

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新しい可動屋根は今年の1月に自宅屋上に設置した評価機同様アルミフレーム製です。全体サイズが大きくなったので太さや肉厚は二回りほど大きいものを採用しました。

 

通常屋根には断熱材付の鋼板を貼りますが,明るくて開放的な空間が欲しかったので敢えてクリアーのポリカーボネートを貼っています。改築で開口部は半分になりましたが,屋根が開かない部分は機材の組み立てやテストなどに活用する予定です。

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前後しますがこれは正面に見える可動屋根が被さる固定屋根を撤去した状態です。鉄骨構造だったのでプラズマカッターでの切断作業となりましたが,真夏の作業だったので大変でした。この状態で雨に降られると大変なので天気予報を頼りに行いました。

以前の固定屋根部は天井が低かったのですが,移動させた可動屋根に置き換わったので立派な?部屋に生まれ変りつつあります。

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2021年12月30日 (木)

2021年を振り返って-4

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2021年最大のトピックは,EFレンズとASI2600MCなどのカラーカメラを接続する「ドロップインフィルター対応EFレンズコントロール」の商品化でしょう。

商品化と言っても私が関わったのは,モノクロカメラ(フィルターホイール)に対応する「ASTRO MECHANICS社製 EFContoroller MarkⅡ」をカラーカメラで使えるようにした接続部の開発のみです。ただ限られた光路長の中でドロップインフィルターに対応させる構造は難易度の高いものでした。

 

写真は200mmの望遠レンズにASI294MC(要M42接続アダプター)をを装着しています。パソコンからピントや絞りを操作できるので電子観望用としても便利です。片持ちフォーク改造のP-2に搭載していますが,何処の空に向けても干渉しないので安心です。

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2021年を振り返って-3

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今年はタカハシ製などの旧型赤道儀用1軸モータードライブAMD-1Zを製品化しました。写真のタカハシV型,P型の他,D型,P-2,90Sに加え,五藤Mark-X,8cm用など合計100台を製作しました。

殆どの機種は完売していますが,写真右側のP型赤道儀の高度微調整改造とのセット品用(AMD-1Zと高度微調整改造,オーバーホールのセットで60,500円)のみ数台確保しています。

今後AMD-1Zの再製作はありませんが,来年はこれまでのAMD-1Nにクラッチ機構を組み込んだAMD-1NCを計画しています。対象機種はクラッチの構造上の理由からウォーム軸経が9mmのP-2と90Sのみとなる予定です。

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2021年12月29日 (水)

2021年を振り返って-2

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今年を振り返る2件目は昨日発売したXY70-55です。

年末ギリギリの発売となりましたが多くのご注文ありがとうございます。別件のバランスウエイトも含め年内の配達をご希望の方へは昨日発送を済ませております。お急ぎでない方へは1/4日の出荷予定です。

 

XY70-55はAZ-GTiでの使用を想定した製品開発ですが,写真のポラリエなどのポータブル赤道儀用としても多くのご注文をいただきました。ポラリエの場合,前の記事でも紹介しましたが,オリジナルの外装を三脚に固定する方法に比べ剛性がアップする上に重心も低くなるので見違えるほど強固になります。

 

なお,ポラリエ用は以下の接続アダプター(別売:3,300円)をポラリエ背面の極軸ハウジングにねじ込んで使用しますが,ネジ込み時は写真のように六角レンチなどで強く締め付け,さらに緩み防止用の小ネジ(写真では12時の位置)で固定します。(仕様変更によりこのネジは無くなりました)

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その後,附属のUNC3/8ボルトを用いてXY70-55をアダプターを装着したポラリエに取付,最後に赤道儀回転防止ネジで完全に固定します。

この赤道儀回転防止ネジは2カ所に設けており,外側が中心から23mmの位置で,AZ-GTiに合致します。内側は15mmです。

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2021年12月28日 (火)

2021年を振り返って-1

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今年も残り3日になりましたが,何回かに分けて今年の仕事を振り返ってみます。

最初は3月に受注したP-2赤道儀のポータブル改造です。純正の赤緯体を,駆動用モーターや駆動回路,電源(単三電池3本)を内蔵した赤緯体に換装する改造です。

P-2赤道儀のウォームギヤは先日レナード彗星の撮影に使った90S(自動導入改造機)とは同じもので追尾精度も同様です。300mmの望遠レンズでも安心して撮影できるポータブル赤道儀になります。スイッチを入れれば直ぐ撮影にかかれるので今回のレナード彗星など時間勝負の撮影に最適でしょう。

本年のP-2ポータブル改造は用品準備の都合で10台限定でしたが,その後のご要望もいただいていますので,来年からは数量制限を設けずお請けいたします。ただオーバーホールも含むため2~3台/月程度の受注となります。既に10台分の材料は準備しており,2022.1月から受注開始します。価格等は本年分と変わりありません。

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2021年12月24日 (金)

XY70-55の開発について-9

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先日近くのショップで撮影した写真ですがクリスマス雰囲気満載なので再掲載します。XY70-55に搭載したSWAT-350とツリーの色が良くマッチしていますね。

ところで,XY70-55はボディが回転するAZ-GTiをターゲットに開発したためにオフセットを設けていませんが,SWAT用としてご計画のお客様から,重心を南に振れるオフセットプレートのご要望をいただいております。

また低緯度対応のご要望もあることから,そのまま200mmほどオフセットするタイプと,-13°ほど傾きを設けたタイプを計画しています。-13°タイプは緯度16~28°に対応するのでケアンズでも使えます。低緯度では安定感が損なわれるのでオフセットを設ける事でかなり改善できるでしょう。オフセット量200mmでストレートタイプ,-13°タイプを各10台生産予定です。

三脚側の取付部は大きなモーメント荷重がかかるので,見合う方式を採用するために基本的にはPTP-C22専用設計となる予定です。(一般的なカメラ三脚でも使用できますが,その場合はUNC3/8ボルト1本固定になります)

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2021年12月19日 (日)

XY70-55の開発について-8

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発売準備中のXY70-55は多くのお問い合わせいただきありがとうございます。

半月ほどの余裕をもって進めていましたが,細部の見直しが発生したため年末ギリギリの完成になっています。本来なら年末の繁忙期を避けたいところですが,第1回目の記事で年内の発売をアナウンスしましたので12月28日の発売としました。

 

また同時進行でAZ-GTi用バランスウエイトの受注生産を行っていますが,こちらは12/28日までの受付,来月末納品予定でした。

このスケジュールではXY70-55と一緒にご注文いただいた際に,それぞれに送料が発生するので,事前にウエイトとシャフトも製作しています。数量に制限がありますが,お急ぎの方へはXY70-55と同じ28日~30日に出荷できるよう進めています。一括ご注文の場合,送料は無料です。

AZ-GTi関連の商品は以下のとおりです。DS45-GTiとDS33Fは12/25日発売です。

XY70-55と合わせて,12月28日~30日に出荷できるウエイトセットは軸長250mmが5台,300mmが5台です。(既にご予約の方分はこの数量に含みません)

 

できましたら年末の繁忙期は避けたいので,お急ぎ無ければ年明けにご注文いただけると幸いです。仮に第1ロットが早期に完売したとしても,第2ロットで充分な数量を製作しますのでご安心ください。現在ご予約の方へは12/25日を目処にご注文の案内をいたします。

 

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2021年12月18日 (土)

XY70-55の開発について-7

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少し間が開きましたがXY70-55の製品仕様が完成しました。試作から方位クランプの設置や肉抜きなどを見直し強度アップを図っています。

写真はXY70-55にAZ-GTiとポラリエを装着した状態と単体です。前の記事で書きましたがポラリエではオリジナルの固定方法と比べると,見違えるほど剛性が上がります。

 

XY70-55仕様などは以下のとおりです。

  • 名称:背面固定赤道儀用 極軸高度方位調整装置 XY70-55
  • 適合機種:AZ-GTi,ポラリエ(要専用アダプター),SWATなど
  • 高度調整範囲:緯度35°±6°
  • 方位調整範囲:中央から±10°
  • 質量:約560g
  • 三脚固定方法:UNC3/8,M8-4,PCD35
  • 赤道儀固定方法:UNC3/8ボルト*(赤道儀の雌ネジ有効深さ12mm以上必要)
  • 価格:29,700円
  • 発売日:2021.12.28
  • 生産数:100台(第一ロット50台,第二ロット50台)

 *赤道儀固定にはUNC3/8ボルト固定用の六角レンチ(7/32)が必要です。

 

手持ちの都合でショップのSWAT350を搭載してみましたがSWAT純正の極軸高度方位調整装置に比べ,かなり軽量ですが極めて低重心なので剛性が増すようです。

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2021年12月17日 (金)

ASI EAF対応のDP38/45-222の発売について

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先日紹介したRED CAT71用のASI EAF取付金具に併せて,EAFを取り付けられるアリガタDP38/45-222も製品化しました。

ASI EAF取付金具はRED CAT71用に開発しましたが,写真のようなカメラレンズの電動フォーカス化にも使える場合もありますので単体発売も行います。DP38/45-222以外は数量限定品となります。

必要となる写真のカメラレンズ台座部のスペーサーは,ASI EAF取付金具をご購入の場合に限り受注生産いたします。40φ円形で高さ25mmまで(0.5mm単位で指定可)1,650円です。

 

  • DP38/45-222:9,900円(通常販売商品)
  • DP38/45-222用ASI EAF取付金具(写真のL型金具):3,850円(10台限定)
  • RED CAT71用14mm嵩上げスペーサー(2個セット):5,500円(10セット限定)
  • RED CAT71用ベルト,プーリーセット:1,650円(10セット限定)

ASI EAF取付金具はDP38/45-222上で10mmスライドできる構造なので,ベルトのテンション調整が可能です。写真のような市販の丸ベルトなどを使えばASI EAFでレンズのピントリングを駆動でき来ます。

なお,DP38/45-180やDP38/45-222は当方のDS38とDS45シリーズにのみで適合を確認しています。特に45側はボルトで直接アリガタを押さえる仕様のものや,真鍮ブロックの浮き上がり防止が無いものではご使用いただけません。

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2021年12月13日 (月)

RED CAT71用ASI EAF取付アダプターと専用アリガタについて

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こちらの記事で紹介していたRED CAT71用のASI EAFアダプターが完成しました。

お客様のご要望でフォーカスモーターを鏡筒と専用アリガタ(DP38/45-222)間に収める方法に変更しています。バンドを14mm嵩上げしているので赤緯のバランス上はデメリットになりますが,純正のガイド鏡取座やキャリングハンドルが使用できるメリットの方が大きいようです。

今回はRED CAT71をご注文いただいた方からの依頼で製作しましたが7台分ほどの余剰がございます。この分の販売については後日ご案内いたします。

 

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2021年12月12日 (日)

EFレンズコントロール,ASI294MC用M42接続アダプターについて

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こちらの記事で紹介していた,ASI294MCなどM42ネジ接続カメラ用のアダプター(M42-PCD80AD)が完成しました。カメラに附属するM42-M48リングを用いてカメラをアダプターに固定するので写野の傾きを防げます。

このM42アダプターを装着するとASI294MCなどM42接続カメラをASI2600MCなどと同じ接続形状に変更できます。接続面からセンサーまでのバックフォーカスは12.5mmです。このM42-PCD80アダプター価格は5,500円です。

下の写真はM42-PCD80ADにASI294MCを装着した状態です。このM42-PCD80ADでもスケアリング調整が可能です。

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なお,ドロップインフィルター対応EFレンズコントロール(DIF-EFcont)本体は初期ロット12台が完売しました。次期ロットは2022.2月完成予定です。

写真はビクセン/アルカスイス互換のDP38/45-180にDIF-EFcontを固定した状態です。

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2021年12月10日 (金)

12/7日のレナード彗星

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12/7日のレナード彗星写真を14カットコンポジットしてみました。まだ高度が高かったこの日の写真がベストショットみたいです。CR3ファイルが開けないので,相変わらずJPEG画像を処理しています。

FDK170(17cmF5),EOSRa,ISO6400,120S×14カット,自動導入改造90S赤道儀,K-ASTEC観測所

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2021年12月 9日 (木)

今朝(12/9)のレナード彗星

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サッと処理した今朝のレナード彗星です。7日も撮っていますが元画像を見比べると7日の方が良く写っているようです。空の状態はあまり変わりなかったようなので,高度が低くなった影響でしょう。鑑賞用なので構図の短辺を地平線に合わせています。

10×40の双眼鏡は見えましたが,肉眼では難しかったようです。

RH-200(600mmF3),ISO6400,20秒露出のJPEG画像9枚をコンポジット

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2021年12月 7日 (火)

レナード彗星5日間の変化

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同一条件で撮影した,12/2日と今朝(12/7日)のレナード彗星です。コマの大きさや尾の長さは2倍ほどになったようです。東の空で撮影できるのは,あと2~3日と思うので天候が続く限り追い続けるつもりです。

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2021年12月 4日 (土)

12/2日のレナード彗星写真を画像処理してみました

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今朝の記事で触れた2分露出12カットの内,薄明でバックが明るくなった3カットを除外して9枚のJPEG画像をコンポジットしてみました。手動で彗星核で位置合わせしましたのでズレもありますが,先日の1枚ものに比べると尾の写りは良くなったようです。

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XY70-55の開発について-6

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先日紹介したAZ-GTi用の2kgステンレスウエイト(12/28日までの受注生産品)の試作品ができました。

標準の250mmウエイトシャフトでFSQ-85EDクラスまでは2kgのウエイト1個でバランスしますが,さらに重い機材を搭載される場合は,最大400mmまで追加費用なしでご指定いただけます。ただ管理の都合上,250,300,350,400mmから選択とさせていただきます。

 

以下は開発中のAZ-GTi専用のビクセン規格アリミゾです。側面にはDS38-30や開発中のファインダー用クランプDS33Fなどを装着できます。多くのお問い合わせをいただきましが,こちらも年内発売予定で進めています。なおこの2点は限定品ではありません。

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12/2日のレナード彗星撮影機材と樹木伐採

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早朝のレナード彗星は,11月末までは自宅で撮影していましたが,暗い空を求めて熊本の観測所に出向きました。幸い,撮影当日の12/2日は,一年を通して最高と言えるほどの星空に恵まれ良い結果が得られたようです。空の暗さに勝るものはないですね。

ただスライディングルーフの東の低空は16年間で伸びたクヌギが邪魔なので,彗星方向が開けていてる場所に陣取って撮影しました。

 

これから12月9日頃までは東の空に見えますが,益々低空になるのでとりあえず邪魔になるスライディング東画のクヌギの枝落としを行いました。左がビフォーで右がアフターです。

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ところで,今回撮影に使った機材は最初の写真の17cmF5のコレクテッドダルカーカム鏡と自動導入改造した90S赤道儀*です。(*90Sの極軸部とEM-100の赤緯部を合体した改造機です。極軸のウォーム回りは90Sを使ったので改造90Sと呼んでいます)

 

以下は改造90Sで2分間撮影した連続12カット(Pモーション約2.4周期分)を並べています。P-2や90Sの追尾精度が高い事は認識していましたが(複数の実測結果は概ね±5秒角前後)850mm,2分露出の全てのカットをほぼ点像に止めるとは予想していませんでした。こうして見るとレナード彗星の移動は大きいですね。

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2021年12月 3日 (金)

12/2日早朝のレナード彗星

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昨日撮影したレナード彗星です。とりあえず120秒露出,ISO6400で撮影したJPEG1枚画像をレベル補正とトリミングのみ行った写真を紹介します。120秒1枚なので彗星量の移動も小さく収められました。

FDK170(17cmF5),EOSRa,自動導入改造90S赤道儀(NonGuide),K-ASTEC観測所

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