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2022年2月

2022年2月26日 (土)

コーワ100mm用のヒーター内蔵フードHF40.5他の開発について

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昨年10月に発売したコーワ75mmレンズ用のヒータフードフードHF34に引き続き,100mm用のHF40.5を開発しています。

また,このヒータフードはレンズ前方の保持機能もあるため,これに合わせ専用のプレートDP33-114も準備しています。

DP33-114はHF34と75mmレンズの組み合わせとHF40.5と100mmの何れにも適合します。DP-33-114は発売中のファインダー用アリミゾのDS33Fで固定しますが,DS38シリーズ(写真DS38-30など真鍮のブロックが出入りする新タイプのみ)でも固定できます。
何れもカメラは,SR31.7B4などで保持したQHY5L2MやM-GEN3が使えます。

これまで75mmや100mmのガイドシステムは,DP38-114やDS38-30などとの組み合わせでしたが,軽量なガイドガイドカメラの保持には今回のシステムで充分です。重さ,価格ともに1/2ほどで構成できます。

HF40.5の価格はHF34同様5,940円,DP33-114は4,400円で,4月の発間予定です。

 

DP33-114はメッキ前の試作品です。写真右はHF34を仮に100mmレンズに装着した状態で製品では直径が4mmほど大きくなる予定です。

また40.5mmネジ部は少し緩めた状態でのサポートも兼ねることからコーワのLM100JC,100J1MSに合わせています。他のレンズではきつくてねじ込めない場合もあります。

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2022年2月23日 (水)

移動用フォーク式赤道儀の開発について-2

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先日紹介した移動用フォーク式赤道儀については多くのご連絡をいただきありがとうございます。

搭載可能鏡筒(重量)や極軸合わせに関するお問い合わせが多かったのでそれらについてご案内します。

 

極軸合わせは上の写真のように,フォークアーム北端にUNC1/4タップを設けていますのでここにポールマスターを取付ます。また極軸側の南端に付くカバーにはここで紹介した極軸望遠鏡も取付可能です。通常はカバーに固定しますが,TDMを使わない場合は回転する極軸そのものにも付くので高精度に据付できます。

 

標準仕様の場合,搭載できる鏡筒の長さと太さはε-160D程度のニュートンタイプです。下の写真は筒先を真北を向けていますが,アームを極軸中心から140mm,鏡筒を筒先側に70mmオフセットした状態です。

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こちらは上記状態で真南の地平線に向けた状態です。極軸体にぶつかる寸前(リモート仕様でなくても,この部分は衝突防止機能があります)で地平線を向きます。

鏡筒径が同じニュートンタイプなら筒先側へオフセット量を増やすだけで標準仕様でも特に問題ありませんが,鏡筒が太くなるとフォークアームの極軸中心からのオフセット量の変更に加え,フォークアームの長さを伸ばさないと南の地平線を向きません。(試作機はε-160EDが水平になるアーム長の300mmとしています)

ただ,今回追加で受注する分は基本的に受注生産なので費用が発生しますが上記の変更は可能です。

その分大きく重たくなるので移動用とは呼べませんが,採用しているハーモニックドライブのモーメント荷重(13.2kgfm=アーム長300mmの場合約40kgf))には余裕があるので,軽量な25cmニュートンでも対応可能です。

なおμ-250などのカセグレン系は北に向けた際に極軸体とカメラ間の距離が不足するためお勧めできません。(リモート仕様の場合はこれらのリミットがかけられるので,極付近を撮影しなのであれば対応可能です)

フォークアームを極軸中心に配置したツイン鏡筒仕様については現在試作していますので3月上旬には紹介できる予定です。

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2022年2月22日 (火)

新型ゴニオステージ赤道儀について-6

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新型ゴニオステージ赤道儀最後の記事となりますが,ご予約のお客様から注文いただきました。ありがとうございました。 

この赤道儀は直径250φウォームホイールの約1/32を切り出し,クロスローラーベアリングで固定したゴニオステージを利用したものです。

構造上追尾時間が制限(約45分)されますが,連続追尾を必要としないのであれば極めて優れた赤道儀が作れます。終端に達すれば自動停止し,ボタン操作で10秒ほどでスタート点に戻るのでストレスはあまり感じません。

 

赤道儀部の重さは1kgほどですが,紹介の写真のように星景写真から皆既日食撮影用のツイン鏡筒用など利用範囲は広いでしょう。剛性が高いので動画と静止画のツインでも実用になります。

なお,1件のキャンセルがでましたので余剰が出ています。

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2022年2月21日 (月)

移動用フォーク式赤道儀の開発について-1

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お客様からのご依頼で移動撮影用のフォーク式赤道儀の開発に着手しました。条件はε-160EDツイン搭載で赤道儀の重量(ツイン用アリミゾ込み)は10kg以下です。

紹介する写真はその試作機でまだモーターやセンサーなどは未装着なうえに極軸の高度調整もできませんが,試作の最大の目的は上記条件を満たしてた上で充分な剛性の確保や各部の干渉などの確認です。特に剛性は試作機に鏡筒を搭載してみないと解りませんが必要充分な事が確認されました。

 

採用したハーモニックドライブは軽量型の中空タイプで,赤経側がSHD25-160-2UH-LW,赤緯側がSHD20-160-2UH-LWです。中空型なので写真のようなツイン対応やここで紹介したTDMの装着やセンサーが内蔵できます。

またツイン仕様にはできませんが中空タイプの場合,接眼部に装着するカメラ用USBケーブルや電源ケーブルを赤緯軸→赤経軸を通して,極軸南端に引き出せるのでリモート天文台では極めて有利です。

リモート天文台用仕様の場合,両軸のリミットと原点のメカニカルセンサーを内蔵できるので安全(センサーによりで4方向ともに鏡筒が赤道儀へ衝突する事故を防止します)且つ安定した運用が可能になるでしょう。

今回の試作機はオフセット量を調整できるL型(最大オフセット150mm,試作回数を減らすためにツイン仕様も兼ねている)の片持ちフォーク式ですが,ツイン用は極軸の中心にアームを配置した形状です。(アームは50mmオフセット可)

この後,手持ち用を含め2台製作しますが,もしもご希望があれば受注生産もお請けいたします。

受注期間は2月28日までで,完成は6月末の予定です。(ハーモニックドライブの納期により変わる場合もあります)基本的にご希望の仕様で製作するワンオフ品なので詳細はメールでお問い合わせいただけると幸いです受注の受付を終了しました。3/1追記

 

仕様や組み合わせるコントローラーなどによりますが,現時点での予定価格(税込)は以下の通りです。

  • リモート仕様(5相ステッピングモーター駆動,電源24V):990,000円
  • Titan TCS仕様(2相ステッピングモーター駆動,電源12V):660,000円
  • コントローラーレス:550,000円

ツイン仕様は55,000円増し(光軸調整機構を備えた専用のDS75Tが附属),TDM仕様は262,000円増しです。
製品はセンサーやモーター部にカバーが付き,硬質黒色アルマイト処理を施します。

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以下は大きさの目安です。下に置いた紙はA3サイズで,厚みは115mmなので海外遠征にも使えるでしょう。この状態(ツイン用のアリミゾあり,赤経側モーターやカバーなし)で8kg弱なので,フルセットで10kgは余裕でクリアーできそうです。

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2022年2月17日 (木)

新型ゴニオステージ赤道儀について-5

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昨年の5月に案内していた新型ゴニオステージ赤道儀ですが,一部の設計見直しや接続コネクター調達に半年ほど要した事で完成が遅れてしまいました。やっと出荷の目処が立ちましたので最終のご案内です。

(この赤道儀は手配できた10台の中古ゴニオステージをベースに赤道儀化したもので,昨年5月時点で予定数量のご予約をいただいております。余剰が出た場合は別途ご案内いたします)

 

写真は北半球仕様時の形態です。ステージには,北,南,上面の3カ所にUNC3/8ボルトを設けており,目的によりジンバル雲台や,自由雲台を搭載できます。南半球での使用時は,赤道儀の南北方向を入れ替えます。(右下の3/8ボルトを南の極に向ける)

これまでの記事は以下の通りです。

 

価格は以下の通りです。申し訳ありませんが,先のご案内で極軸望遠鏡の価格に間違いがございました。また紹介したジンバル雲台の手配につきましても諸事情で取り止めております。附属するアルカスイスクランプは脱落防止の観点からDS38-50に変更しました。

  • 赤道儀本体:99,000円(33,35,36度いずれかの極軸台座とDS38-50含む)
  • 外付け極軸望遠鏡(暗視野照明付):25,300円
  • 極軸固定台座をXY60に変更:17,900円
  • PTP-C22専用台座:4,400円

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2022年2月11日 (金)

P-2,90S用AMD-1NC開発状況の紹介-2

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新しいモータードライブを開発する際に厄介なのがギヤカバーの設計です。

赤道儀のウォーム軸とモーター軸の位置,カバー取付部の赤道儀の形状,極軸側クランプとの干渉など,幾つかを実機で確認しながらカバーを開発しますが,多くの場合2度ほどの試作を要します。

写真は90S用のAMD-1NCのギヤカバーを設計するために,90S用AMD-2N用ギヤカバーを付けた状態ですが,やや赤道儀との隙間が大きいため,モーターユニットを赤道道儀に固定する金具の設計に反映する必要がありそうです。

今回は他機種用で概ねの位置関係が確認できたので試作は1度で済みそうです。これにより当初90S用のAMD-1NCは6月発売の予定でしたが,P-2用と同じ4月には商品化できる目処が立ちました。

ギヤに傷が付いたり,砂などを噛むと追尾精度に影響がでるのでカバーは大事です。高速回転しないAMD-1Nでは問題となりませんが,自動導入機では安全対策として必須でしょう。お子様などが指を挟む事故に繋がりかねません。

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2022年2月 7日 (月)

ON STEPによる自動導入コントローラーについて-1

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旧型赤道儀の改造用としてON STEPによる自動導入コントローラーの評価を行っています。
常々10万円の中古赤道儀にそれ以上の改造費用を求めるのは無理があると感じていますが,オープンソースON STEPならホビー用電子部品で構成されるため極めて安価な自動導入コントローラーを作れそうだからです。

ON STEPコントローラーのみの価格は,これまで採用したMTS-3(販売終了)の1/2,現行のTitan TCSの1/4に抑えられるので,モーターや改造費用も含めても100,000円以下を達成できそうです。(安価なホビー用品で構成されるため,それなりのところもあります)

写真は知人の協力を得て五藤6.5cm用として試作したON STEPコントローラーです。

パソコンやスマホとはUSB,ブルーツース,Wi-Fiで接続できます。通常は写真のようにiPhoneなどからの操作になるかと思いますが,ディスプレイがあるので単体でも自動導入できます。

 

試作品なのでスイッチ類の位置が中心からズレており,化粧パネルも未装着です。また現時点ではディスプレーが小さいので改良した上,時刻や観測地設定の煩わしさを解消するためにGPS搭載も検討しています。(ディスプレイがあれば時刻や観測地の入力はそれほど煩わしくなく,GPSが電波を検出する待ち時間より設定した方が早いと判断した場合は見送ります)


現在は評価段階で実用化できたとしてもこの夏頃の予定です。当面は一部の赤道儀改造用として採用する予定です。

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2022年2月 4日 (金)

P-2,90S用AMD-1NC開発状況の紹介-1

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こちらの記事で触れていたクラッチ付のAMD-1NCの開発状況をご紹介します。

写真はAMD-1Nに評価用として手持ち部品で製作したクラッチを装着したP-2赤道儀です。

最大の特長は滑りクラッチを採用し,モーター駆動のままで手動ノブで操作できる事です。予め適当なトルクに調整しておけば手動操作時にクラッチを締めたり緩める必要がないので極めて快適です。

モーターにかかる負荷も含め,滑り機構の実用化目処が立ったので,P-2用が4月,90S用が6月の発売に向け準備中です。2機種用併せて100台の予定です。

 

AMD-1Nは駆動用の電池を内蔵しているので,モーター追尾状態で両軸手動操作ができると観望にはとても便利です。暗闇でハンドボックスを探すより手を伸ばしてノブを操作する方が早いケースも多いでしょう。日食撮影用としてもお勧めです。

また今後プレートソルビングを使った導入支援が一般化すれば,撮影も含め便利に行えると思います。

なお,以前のAMD-1N(P-2用のみ)用として滑りクラッチとギヤカバーのみの販売も予定しています。

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2022年2月 3日 (木)

スカイキャンサー用XY70-H40や赤緯プレートの受注状況について

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先日紹介しましたスカイキャンサー(FC-50)赤道儀関連商品は予想以上のご注文をいただきありがとうございます。

この内,XY70-H40のUNC3/8仕様は短時間で当初予定数量の5台に達しましたので10台を追加しています。本日現在の受注可能数量は以下の通りです。

  • XY70-H40(UNC3/8専用):生産数量15台→残り数量6台
  • XY70-H40(PTP-C22専用):生産数量5台→残り数量4台
  • AMD-1N2:生産数量20台→残り数量17台
  • 赤緯プレート:生産数量10台→残り数量3台 完売しました2022.2.3追記

併せてH-40赤道儀のパノラマヘッド改造のご依頼も多いのですが,以前と同額の16,500円(オーバーホール含)でお請けしています。

 

写真は赤緯プレートを付けたスカイキャンサー赤道儀に,200mmF2のカメラレンズとEFレンズコントロールを装着したASI294MCを搭載していますがスカイキャンサー赤道儀の強度に不安はありません。この赤緯プレートはガイドカメラも同架できるのでカメラレンズでの撮影では特に便利です。

別件ですがXY70-55の初期ロットは完売しました。次のロット完成まで4ヶ月以上要します。

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2022年2月 1日 (火)

AMD-1Nなどに採用しているモーターやギヤの精度について

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TDMでの赤道儀精度測定は,エンコーダーの取付方法の影響を受けていましたが,安定した計測ができるようになったため,AMD-1Nなどを装着したP-2赤道儀のPモーションを計測してみました。JP赤道儀の記事でも触れたとおり,モータードライブの精度が赤道儀の本来の精度を落とすことがないかを確認するのが目的です。

 

紹介するデータは上が,写真中央のオリジナル状態のままのP-2(当方で事前にオーバーホール実施)をAMD-1Zで駆動したデーターで,下が,写真左のポータブル改造したP-2のデーターです。両者の伝達ギヤは同じですがモーター仕様が異なるので両方を紹介しています。

 

間接的に外付けのモーターの精度を評価するには,赤道儀にそれなりの精度が要求されるので,上の追尾精度が高い赤道儀のデーターで解析してみました。

グラフからウォーム軸1回転に要す約10分周期の波(=Pモーション)に,約2.5分とそれより小さい周期の波が重畳しているのが読み取れます。(データーはウォームギヤ3周期分の約30分間計測)

この内,振幅の大きい2.5分周期の波はモーター出力段ギヤ比の1:4と合致するため,その影響であることは明らかですが,その振幅は±1秒角程度なので赤道儀の精度(P-2の場合,通常は±4~7秒角)より小さく問題となるレベルではないようです。また外部の伝達ギヤの軸偏心の影響と思える波は見受けられないようです。

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なおP-2ポータブル改造は,こちらで紹介したとおり数量に制限はありませんが,既に準備した材料は5台分となっております。この分が無くなった場合,次のロットまで1年ほど要します。

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