新仕様のP-2自動導入改造の紹介-1
赤緯軸の駆動にハーモニックドライブを採用したP-2赤道儀の自動導入改造は,2020年末に終了していますが,その後も2~3件ほどのご要望があったので再開しました。
これまではハーモニックドライブを1ロット当たり10台単位で入手し,3ロット,合計30台の改造を行いましたが,今後は纏まった受注が見込めない事から,単品でも入手できるハーモニックドライブギヤヘッド付のステッピングモーター(PKP262FD15AW-H100S)に変更しています。
新に採用したハーモニックドライブギヤヘッド付のステッピングモーターは,大きさの都合で従来行っていた赤緯体内蔵ができないため,バランスウエイト側に駆動系を配置するレイアウトを採用しています。ビクセンのATLUXやSX系赤道儀と同じ配置です。
以下はそのために製作したウエイト側に配置した駆動系から赤緯ヘッド部までを連接する軸と組み立て状態です。赤緯粗動回転部はSX-D赤道儀などと同じ構造です。
通常ハーモニックドライブを用いた赤道儀では「軸」を設けることはなしいので,クランプの組込は難しいのですが,今回採用したレイアウトの場合,クランプフリー回転ができるのが大きなメリットです。(従来方式でもオプションとして簡易回転体を設定しましたが,面接触方式のため耐荷重や滑らかに欠けていました)
最近は安価なハーモニックドライブ(同等品)を採用した赤道儀の出現で,それらの赤道儀一式が買えるほどの費用を要す改造は現実的でないかも知れませんが,P-2赤道儀本来の極めて滑らからで高精度な追尾や極軸望遠鏡(視野照明装置内蔵)を活かしたまま,自動導入機として生まれ変わるのも魅力的です。
両軸クランプフリー回転は眼視観望にはとても便利ですが,自動導入に於いてもクランプを緩めに効かしてておけば,鏡筒やカメラが三脚などと接触してもそれらを壊す心配はありません。万が一転倒した際でも粗動部が回って衝撃を軽減すので破壊的な損傷を免れる確率が高くなります。
先に書いたとおり,これまではハーモニックドライブの調達数量で改造受注数が決まっていましたが,今回紹介する新改造は1台単位で調達できるタイプに変更したため極少数のご要望にも対応できます。
ただ,本体の改造費用は以前と大差ありませんが,採用する自動導入コントローラーの価格が改定されたため,その分以前より高くなっています。具体的な価格などは次回で紹介いたします。
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