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2024年5月

2024年5月30日 (木)

WilliamOpticsのPleiades68 f/3.8について-5

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5月28日は夕方まで雨でしたが,夜半には急速に回復したためPleiades68/F3.8と比較用のVSD90SSやTMB92(WO製0.8Xレデューサー併用)で試写しました。シーイングは悪くなかったのですが,湿度が高く,少しモヤがかかったような空だったので輝星ににじみが出ている恐れがあります。

試写は上のように観測所設置の自作片持ちフォーク赤道儀で行いました。カメラはEOS Raで,ISO1600,60秒露出です。ガイドは行っていません。ピント合わせはライブビュー(30倍)で行っています。

 

【Pleiades68/F3.8(fl260mm)】 F3.8と明るいながら星像は極めてシャープで周辺光減光も目立ちません。ただ,以前のGFXでの試写でも見受けられましたが左側の星像がやや肥大しています。これはGFXでケラレが小さくなるよう自作したM60接続のカメラマウントが影響しているかと思うので近いうちに取り直します。

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【TMB92/F4.4(fl405mm)】 他社製レデューサーを併用していますが,かなり健闘しており中心像はVSD90SSと遜色ありません。

Tmb92rd

【VSD90SS/F5.5(fl495mm)】さすがに完璧で周辺まで完全に丸い星像です。

Vsd90ss

以下は上の写真の中心部のみを比較したもので200%拡大です。(輝星はかんむり座γ星) VSD90はカメラの縦横が他と異なるので90°回転しています。

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2024年5月27日 (月)

VSD90SS用クラッチ付EAF取付アダプターの開発中止について

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こちらの記事で紹介していた「ビクセンVSD90SS用のクラッチ付EAF取付アダプター」は以下の理由で開発を取り止めました。

EAFモーターの出力軸は滑り軸受け保持なので,写真の赤い線で示したラジアル方向の遊び発生しますが,ピントノブの回転がやや重たいVSD90SSではバックラッシュの増大*が懸念されるためです。(直結の場合この遊びは問題となりません)

 

*EAFのモーター出力軸は平ギヤ減速機が内蔵されており,それによりバックラッシュは1.5°ほどで(手持ちの実測値)一般的な1回転25mmストロークのラック&ピニオンでは約100μmに相当します。

ただ,EAFは電気的なバックラッシュ補正機能を有していることと,オートフォーカス時は片側から追い込むのでこの影響は無視できます。

 

モーター軸とピニオン軸を直結する場合は,この1.5°のみのバックラッシュですが(ラック&ピニオンのバックラッシュは別途)EAFをギヤ結合で使う場合,上記のバックラッシュに加え,モーター回転負荷に伴うラジアル方向の遊びが加わります。滑り軸受けでは出力軸が傾くためでこの分の遊びがバックラッシュとして加算されます。

これまで商品化した製品は全て実機テストを行いその影響は無視できるレベル(ピニオンギヤで発生するバックラッシュの1/10ほど)ですが,実例のあるEAFモーター軸経の個体差なども考慮し,VSD90SS用の開発は取り止める事としました。

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2024年5月23日 (木)

久しぶりの新仕様のP-2自動導入改造

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暫く中断していた「新仕様のP-2自動導入改造」を行いました。今回は2台実施しています。(写真の3台の内1台は手持ちの評価用)

P-2赤道儀の極めて高い剛性や追尾精度に加え,自動導入や2軸ガイド,両軸クランプフリー回転が可能です。高精度の視野照明付極軸望遠鏡も内蔵しています。

北極星が見える暗さになれば,極軸合わせ→クランプフリーで明るい恒星でアライメント→目標の自動導入→撮影までを短時間で済ませら,これは夕方の彗星撮影においては極めて有効です。

P-2赤道儀は基本精度が高く,300mm程度の焦点距離までならガイドも不用なので,据付後,極軸合わせ時間も含め5分もあれば撮影開始できるでしょう。

 

別件ですが,以下はAMD-1N仕様のP-2赤道儀の追尾テスト状況と試写結果です。500mmの望遠レンズで2分露出していますがほぼ満足な追尾です。

新仕様のP-2自動導入改造は,現時点で5台受注可能ですが,自動導入や2軸ガイドの必要がなければ,1/10ほどの出費で済むAMD-1Nをお勧めします。P-2用AMD-1N(C)は製造を終了していますが,年度内には新型を発売する予定です。

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2024年5月21日 (火)

WilliamOpticsのPleiades68 f/3.8について-4

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月も大きくなったのでメーカー公表データーなどを観察してみました。

上の図は上段がRED CAT51で採用しているペッツバール光学系で,下段がPleiades68/f3.8などで採用された7枚玉光学系です。Pleiades68/f3.8は7枚の内,3枚はスーパーEDレンズ(FPL-53)を採用しています。

Pleiades68/f3.8の構造は,前玉3枚が鏡筒内で前後する「WIFD(WO Internal Focus Design)」です。通常のドローチューブ式に比べフォーカス機構にモーメント荷重がかからないのが大きな特長です。後玉は鏡筒に固定されいるため,ペッツバール系と事なり正確なバックフォーカスを要求します。

 

以下は同じような明るさのVSD90SSとFSQ-85EDP(何れも専用レデューサー併用)のスポット図の比較です。各社公開データのスケールを合わせています。Pleiades68/f3.8のRMS-SPOT半径は1.9ミクロンですが,同1.6ミクロンのFSQ-85EDP+QB0.73XやVSD90SS+V0.79Xと比べるとやや劣るものの大きな差はないように見受けられます。

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2024年5月20日 (月)

WilliamOpticsのPleiades68 f/3.8について-3

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昨夜も良く晴れていたのでPleiades68 f/3.8の試写を行いました。月が大きいためお遊び程度にGFX-50S2を付けています。周辺光量を試すには充分でしょう。

以下は取って出しのJPEG画像です。GFXの33×44フォーマットでも極端な周辺減光は見受けられませんが,マウント部のケラレの影響かと思われる星像にトゲが出ています。今回は手持ちの都合でM48で接続したEOSマウントとEF→GFXのマウントアダプターを用いていますが,M54かM60で接続すれば改善されるかも知れません。

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肝心の星像は極めてシャープで色も全く感じませんでした。過去に複数のRED CAT51の受け入れ検査を行っていますがそれを超える事は間違いないでしょう。

F5クラスの鏡筒でもレデューサーでF4クラスになりますが,後付の場合,設計性能が出ないケースもあります。それに対してPleiades68は単体でF3.8の明るさを実現しており,F3.8の状態で出荷検査されているので安心です。以下に光学性能を添付します。ダウンロード - pleiades68.pdf

なお,Pleiades68 f/3.8は当方では取扱しませんので天文ハウストミタでお求めください。

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2024年5月18日 (土)

WilliamOpticsのPleiades68 f/3.8について-2

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こちらの記事で紹介したWilliamOpticsのPleiades68 f/3.8」は,多忙のために評価テストが遅れていましたが,やっと時間が取れるようになったので私なりのテストを行予定です。とは言ってもこの5ヶ月の間に素晴らしい写真がSNSでアップされていますので,私はVSD90SSとの比較を主に行う予定です。

以下は前回紹介した写真の再掲となりますが,メーカー公表どおりREDCAT51を凌ぐ性能であることは間違いないでしょう。

m45_rgb_v1.1_4K | 賴小熊 | Flickr

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2024年5月12日 (日)

EM-100赤道儀の自動導入改造再開について

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公共関連工事の都合で休止していた,EM-100赤道儀の自動導入改造は先月から再開しました。写真は先月納品したTiTaN TCS仕様の改造機です。

準備した材料の都合で本年内の実施数量は最大8台です。完成分や予約分が4台あるので残数は4台です。写真はTiTaN TCS仕様ですが,AGS-2(NS-5000)仕様もお選びできます。何れもPCやスマホとはWi-FiやBluetooth(iOSのスカイサファリはWi-Fiのみ)接続でき,TiTaN TCSはASCOMやASI Airに対応しています。予定数量に達したので受注を終了しました。05.14追記

改造費用には赤道儀オーバーホール費用を含みます。極軸望遠鏡のレチクルの清掃(再調整含む)をご希望の場合別途,5,500円申し受けます。なおレチクルは手持ちが無くなったために交換できません。また対物,接眼レンズも簡易的な清掃は行いますがバルサム切れには対処できません。

改造・オーバーホール費用は以下の通りです。作業に伴う赤道儀お預かり期間は約3か月です。赤道儀返送用送料は実費を申し受けます。

  • EM-100赤道儀自動導入改造 TiTaN TCS仕様:242,000円
  • EM-100赤道儀自動導入改造 AGS-2(NS-5000)仕様:187,000円

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