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2024年6月

2024年6月27日 (木)

NIKON AF-S FISHEYE 8-15用リングヒーターについて-1

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大変お待たせいたしましたが,こちらの記事で紹介した「NIKON AF-S 8-15用リングヒーター」が完成しました。

発熱体(スリ割り部から見えている茶褐色のシリコンゴムヒーター)の仕様上,電源は12V(5V→12Vステップアップケーブル附属)となりました。12Vで約4Wです。

明日6/28~30日までは姫路で開催される「CANP2024」にメーカーとして参加いたします。詳細は7/1日以降に改めてご案内いたします。ご予約いただいたいた方へは一両日中に案内いたします。

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2024年6月22日 (土)

Pleiades111/F4.8について

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こちらの記事で触れていた,Pleiades111/F4.8が発売されました。天文ハウストミタに展示品が入荷していたので簡単に紹介します。

基本構造はPleiades68/F3.8と同じで,鏡筒内部でレンズ前群が移動する「WIFD(WO内部フォーカス設計) 」です。

WIFD合焦機構は,一般的なドローチューブ式と事なり,カメラの重さによるモーメント荷重がかからなため,撓みは発生せず極めてスムーズなピント合わせが可能です。

接眼部が固定されているので信頼性も高くなりますが,2重構造の鏡筒になっているため重たいのが唯一の欠点でしょう。鏡筒のみで約8kgあり,FSQ106EDPの6.4kgより1.6kg重たくなっています。


以下の写真は口径食を調べるために,カメラマウント部から対物レンズを写したものです。詳しく計測してはいませんがフルサイズ周辺付近でも口径食は起きない模様です。

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まだ国内販売価格は決まってないとの事ですが,メーカー直販価格の3,798USDを現在の為替レートで単純計算すると,税込み660,000円程度でしょうか?

Pleiades111/F4.8の焦点距離は528mmでVSD90の495mmとほぼ同じですが,集光力の差は1.5倍もあります。口径による解像度の差もさることながら,その分露出時間を短縮できるのも魅力でしょう。

以下はPleiades111/F4.8とASI2600MMで撮られたM31です。詳しくはastrobinを参照ください。

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2024年6月21日 (金)

Apo Sonnar135/2専用 CMOSカメラ関連製品について-3

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こちらの記事で紹介した,Apo Sonnar135/2とCMOSカメラを組み合わせたシステム用の電動フォーカサー関連パーツが完成しました。

レンズに装着するポリウレタン製ベルトが長期間メーカー在庫切れだったため,当初予定から3か月ほど遅れてしまいました。お待たせしてしまいましたが,ご予約の方へは一両日中に案内いたします。(予約数量のみ製作したため余剰はありません)

 

Apo Sonnar135/2専用のEAF関連パーツは以下となります。当初プレートは1枚でしたが,完成が遅れましたので2枚にしました。

構成は以下の4点です。下の写真右手前のパーツ類です。

・ASI EAFやASI AIRを装着できる専用トッププレート(黒)×2枚
・EAF取付金具(シルバー)
・ベルト2本(内1本はレンズに装着するポリウレタン製でレンズに密着します)
・EAF用タイミングプーリー

なおこちらのページで,EOS用のApo Sonnar135/2(未使用)を販売しています。1台のみですが紹介する写真の状態一式での販売も行っております。(フィルタードロワー付カメラマウントはセットしますがその他のZWO社製品は含みません)

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2024年6月18日 (火)

バックフォーカス調整可能なカメラマウント接続構成について

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フィルタードロワーを併用したカメラマウント接続運用は,ZWO社純正の「フィルタードロワー付カメラマウント」だけで実現できますが,カメラとの接続がM42となるため,フルサイズのASI6200MCPやデュアルチップの2600MC DUOでは支障がでます。

その対策として,「フィルタードロワー付カメラマウント」とASI6200MCPなどを,開口部54φ,三脚台座ありで接続する「FDCM-6200Ⅱ」を商品化しています。(上の写真右上)

三脚台座があるので,カメラレンズでの運用に便利ですが,各部はボルト接続なので,バックフォーカスを小刻みに調整する事は難しく,フィルターによる影響を細かく調整することはできません。(FDCM-6200Ⅱはレンズ全群が可動するApo Sonnar135/2専用です。1段階のみ調整できるFDCM-6200Ⅲを開発中)

これに対して,「2インチEFW用カメラマウント」+「フィルタードロワーM54」で構成する方法もあります。本来の使用方法ではないため純正のみの構成では光路長が5mm長く(EFマウントの場合,11.5+20+5+12.5=49mm)なりますが,フィルタードロワーとASI6200などのチルトプレートをM54で接続するためケラレは発生しません。

バックフォーカスを規程しないRED CAT51やVSD90SSでは支障なく使えますが,正確なバックフォーカスを要求するカメラレンズなどでは,長すぎる5mm分を吸収する「M54FD-5AD」を併用すればバックフォーカス44mmを実現できます。

この場合,「2インチEFW用カメラマウント」と「フィルタードロワーM54」はM54ネジ込み接続なので,市販のシムリングを挟む事でバックフォーカスの微調整が可能です。市販品として,0.1,0.2,0.3,0.5,1.0mmなどを入手可能です。

結論が最後になりましたが,フルサイズカメラでバックフォーカスを小刻みに調整したい場合は,「2インチEFW用カメラマウント」「フィルタードロワーM54」「M54FD-5AD」の3点構成をお勧めします。

望遠鏡とテーパーリングで接続するTR74構成との切替も容易です。(上の写真左側の構成,手前は「フィルタードロワーM54」の後段部で「M54FD-5AD」と交換した部位)

以下が3点構成状態です。「2インチEFW用カメラマウント」と「フィルタードロワーM54」の間にシムリング(写真は全て0.1mm)を挟めます。


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2024年6月12日 (水)

M48(42)用バックフォーカス55mmのテーパーリングについて

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TR74システムにWilliamOpticsなどの鏡筒で採用している,M48バックフォーカス55mm接続のテーパーリング,TR74-M48F2を追加します。(図の赤線で示した構成部)

正確なバックフォーカスを要求するPleiades68は鏡筒側に同梱された,0.3,0.5,1.0のスペーサーを併用する事で,55mm~56.8mmまでを約0.3mm刻みで微調整可能です。併せて同一仕様のM42用も追加予定です。

M48,M42接続用のTR74-M48F2及び,TR74-M42F2の発売は7月15日予定で,価格は何れも7,700円です。

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2024年6月 5日 (水)

WilliamOpticsのPleiades68 f/3.8について-7

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こちらの記事で紹介した写野隅の星像悪化は自作カメラマウント不良ではなく,Pleiades68本体の僅かなスケアリングズレが原因でした。昨夜も晴れたため純正のカメラマウント(EOS)に変えて調整してみました。

Pleiades68には,回転角度が刻まれた化粧カバーの内側に写真のようなスケアリング調整機能が付いています。回転装置の前段に配置されているので光学系のみの調整ができます。


調整はデジカメを使いましたが,センサー方向とパソコンのモニター上に写し出される画像の相対位置を把握しておけばCMOSカメラでも同じ要領で行えます。

 

具体的な方法は以下になります。デジカメ背面モニーターの隅に写った星の位置と,それに対応する調整ネジの位置関係が解かれば20~30分もあれば調整できます。

  1. カメラ回転装置で,デジカメの背面モニターと調整ネジの位置関係を下図のようにする
  2. ライブビューで写野中心にピントを合わせた状態で4隅の星像を確認する
  3. 仮に図のように左上の星像が伸びていたら,ピントノブを操作し,前後どちらでピントが合うか確認する
  4. もしも後側(繰り出し側)でピントが合えば,対向する右下の押し引きネジを押す側(調整プレートを浮かす側)に調整する

説明の場合,右下を押す方向に調整するが,逆の場合,既にプレートが密着していれば引く事ができないのでその場合は対向する側を押す。

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以下は調整後の中央と四隅の星像ですがフルサイズのカメラでも満足行く星像になりました。

昨夜似たような状況で試写したVSD90SS(カメラはGFX-50SⅡ)にひけを取らないように見えます。(Pleiades68はVSD90に対して焦点距離が約半分なので星像はその分小さくなります)


Pleiades68はVSD90SSより2倍以上明るいので完璧を求めるなら調整は必要でしょう。面倒と思えるかも知れませんが1つの要素のみで調整できるので,反射系カメラの調整と比べれば至って容易でしょう。

Pleiades68がこれほどの性能となるとVSD90SSとほぼ同じ価格のPleiades111/F4.8の存在が気になりますね。

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2024年6月 4日 (火)

VSD90SSとGFX-50SⅡの試写

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昨夜は爽やかに晴れましたが相変わらずシーイングは良くないので極小ピクセルカメラでの試写は見送りました。他機との比較ができる状況ではなかったです。

代わりにVSD90SSにGFX-50SⅡを付け,天頂付近を試写しています。以下がその中心と四隅ですが星像もさることながら,周辺光量の豊富さも素晴らしいですね。

Gfx50s2_vsd90ss

今回は写真のようにPENTAX645用カメラマウント*にPENTAX645→GFXマウントアダプターで撮影しましたが,バックフォーカスを気にする必要のないVSD90SSの運用はとても楽です。特にフィルターなどを併用する場合大きなメリットでしょう。

*今回使ったPENTAX製のカメラマウントでもビクセン純正構成時とバックフォーカスは同じかと思います

またマウントアダプターによっては前後面の平行度が出ていない製品もありますが,VSD90SSは写野の傾きにも寛容との事で,その結果が試写に現れているのかも知れません。

VSD90SSはカメラ回転機構がないのでスリーブ差し込み部でカメラを回転しますが,差し込み部のクリアランスによる星像への影響は無視できるでしょう。

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2024年6月 3日 (月)

WilliamOpticsのPleiades68 f/3.8について-6

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昨夜は雲が多かったのですが,晴れ間もあったので引き続きPleiades68 f/3.8の評価を行いました。

先日のデジカメを使った写野周辺像の確認に続き,今回は極小ピクセルサイズ(1.45μm)のQHY5Ⅲ715Cを用いた中心解像度の確認です。VSD90SSなどとの比較も行う予定でしたが雲が多い上,シーイングが良くなかったので,Pleiades68 f/3.8のみで試してみました。

以下はキャプチャー画面のスクリーンショットです。シーイングが安定しないので星像が収束した画面の600%拡大で,中央やや右上が微光星で明瞭な緑の輝点はホットピクセルです。

これが最微光星かは定かではありませんが,この画像から微光星は2~3ピクセル(3~4.5μm)に収束している模様で,メーカー公称のスポット直径の3.8μmとだいたい合っています。シーイングなどの影響を受けているのでお遊び程度ですが参考にはなるでしょう。

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2024年6月 1日 (土)

カメラレンズと天体望遠鏡

Gf250_1091_95comp_s

このところ「Pleiades68/F3.8(fl260mm)」を紹介していますが,ほぼ同じスペックの「GF250mmF4 R LM OIS WR」と比較してみました。

紹介の写真は「GF250mmF4+GFX-50R」で撮ったM8付近で個人的には素晴らしいレンズと思っています。(JPEG画像の8,256x6,192を2,064x 1,548にリサイズ)

 

以下は「RED CAT51+D810A」と「GF250mmF4+GFX50R」の比較ですが,中心付近はRED CAT51より色収差も小さくシャープです。(GFX50Rはノイズ処理設定に原因があったためかD810Aと比べ微光星を含む背景が綺麗ではありません)

Gfx_d810a

 

ただ,星野写真では素晴らしい性能のGF250mmF4でも,ピクセル等倍で4隅を切り出すと星像の伸びや輝星の割れが目立ちます。Pleiades68/F3.8と比べるとその差は歴然です。

一枚目の写真のように,GFX50の5,000万画素(8256×6192)を,web掲載サイズ(例では2064× 1548)にリサイズするのなら周辺像の流れも気にならないので,軽くて機動性の高いカメラレンズが良いのかも知れません。

  • 写真上「GF250mmF4+GFX-50R」で撮ったオリオン座中心部
  • 写真下「Pleiades68/F3.8+GFX-50SⅡ」 で撮ったアルデバラン付近

Gf250f4

P68_gfx

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