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2024年12月

2024年12月30日 (月)

2024年を振り返って-4

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2024年最後はなんと言っても紫金山ーアトラス彗星でしょう。2028年の皆既日食適地の下見を兼ね,9月28日~10月8日までオーストラリアへ遠征しました。

上の写真は一番条件が良かった10/2日にアーガイル湖畔で200mm望遠レンズで撮影したもので,この時,頭部の地平高度はほぼ0度です。200mmでは尾が写野をはみ出してしまいました。

短いレンズもあったのですが,さすがに途中で交換する余裕は無かったです。他の画角での撮影は次の日以降と考えていましたが天候に恵まれず惜しまれます。

 

下の写真は9月30日にダーウィン市内から40kmほど南下した中継地の道端で撮ったものです。こちらは105mmですがこの位がベストだったようです。街灯で農地が明るくなっていますが,これはこれでオーストラリアの雰囲気が出ていて気に入っています。

撮影に使ったカメラは2枚ともEOS RaでJPEG1枚画像です。複数枚処理も試みましたがうまく行きませんでした。

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道端での撮影風景です。来年早々,ほぼ同じメンバーでC2024G3を狙い再び渡豪する予定です。

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2024年を振り返って-3

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2024年は2月にツイン鏡筒での撮影用のパン/チルト微動付アリミゾDS38/45PTを製品化しました。

カメラレンズや6~7cmクラスの望遠鏡搭載を想定した設計で,写真のFCT-65DやPleiades68/F3.8などの並列同荷用として便利です。
当然ですがガタは皆無で,高い剛性,低重心(通常のアリミゾ+20mm),小型・軽量(430g)です。これらを満足しパン/チルトともに±10°の微動が可能です。

なお,開発が遅れているDS75PTは2025年4月の完成予定です。

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2024年12月29日 (日)

2024年を振り返って-2

先日の記事と関連しますが,今年はTR74テーパーリングシステムの適合機種を拡大しました。

以下は来年の予定分も含めたTR74テーパーリング一覧です。

  1. タカハシM54接続用:TR74-M54M(注-1
  2. ビクセンM60/M56接続用:TR74-M60M/56F(注-1
  3. シュミットカセグレンM42接続用:TR74-M42_BF105.5
  4. 一般赤道儀M42接続用:TR74-M42F_BF55(注-2
  5. 一般赤道儀M48接続用:TR74-M42F_BF57
  6. 一般赤道儀M48接続用:TR74-M42F_BF55(注-2
  7. タカハシM52接続用:TR74-M52M(注-1)
  8. WilliamOpticsM54接続用:TR74-M54F_BF55(注-1注-2

なお,FCT-65D用のTR74-M52Mは,来年1月の発売予定でしたが,65D FUレデューサーの出荷停止に伴い発売を保留しました。(仕様変更の可能性もあるため)

 

注-1:適合メーカーを限定したものは,ガタを減らすために該当メーカーの相手側ネジに合わせて加工しています。従いまして呼び寸が同じでもねじ込めない場合があります。特にTR74-M54FはWilliamOptics社製以外には適合しない可能性が高いです。

注-2:バックフォーカス55mm仕様(TR**_BF55)のテーパーリングは,光路長の都合上,以下写真のようにTR74-SAPの面から内側に2mm落ち込みます。そのため,接続リングのツバ部の直径が74mmより大きい望遠鏡には適合しません。

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2024年12月28日 (土)

2024年を振り返って-1

今年も残り4日になりましたが,例年通り今年の仕事を振り返ってみます。

TR74テーパーリングシステムの基本構成はタカハシM54接続専用として2020/2月の発売しましたが,その後フィルターホイールを必要としないカラーカメラの一般化に伴い,バックフォーカス調整が可能な構成を追加しました。

カラーカメラはフィルタードロワーとの組み合わせが一般的ですが,ZWO社製のフィルタードロワーはM54ネジ込み接続のため,ここにシムリングを挟みバックフォーカスを調整できます。

以下はフィルターホイールを必要としないカラーカメラのシステムチャートです。OAGは非適合となります。

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2024年12月24日 (火)

H-40(FC-50,スカイキャンサー)関連商品について

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先の案内から完成が遅れましたが,H-40(FC-50,スカイキャンサー)赤道儀関連商品が完成しました。ご注文の方へは本日発送しました。ご予約の方へは一両日中にご案内いたします。

AMD-1NCとのセット販売分はAMD-1NCが来年の完成となりますので,今回は単品販売分の紹介です。

単品販売分の在庫数は以下のとおりです。H-40(FC-50,スカイキャンサー)赤道儀関連商品は今回が最後の製作となります。

【適合赤道儀】

  • H-40赤道儀:XY60-35H40,TR50-Y35H40,照明装置
  • スカイキャンサー:XY60-35H40,TR50-Y35H40,照明装置 ,赤緯プレート
  • FC-50赤道儀:赤緯プレート,照明装置

極軸望遠鏡照明装置はAMD-1,1Nを装着した場合に限ります

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2024年12月22日 (日)

「Ultra-Cat108 」のスポット図ほかの訂正について

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先日紹介した「Ultra-Cat108 」のスポット図やイメージサークルの記載に間違いがありました。訂正させていいただきます。未発表の上位機種のデーターと取り違えておりました。

スポットダイヤグラムは以下のとおりで,正しいイメージサークルは60mmです。同時に公開されたMTF曲線及び周辺光量図も掲載いたします。

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Ultracat108_mtf

Ultracat108_ri

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2024年12月20日 (金)

WilliamOptics「Ultra-Cat108 」の発表

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WilliamOptics「RED CAT91」の上位機種の「Ultra-Cat108」が発表されました。価格は594,000円で発売は2025.4月頃です。天文ハウストミタでは先行予約(特典あり)も開始されています。

「Ultra-Cat108」は口径108mm f4.8の5枚玉アドバンスド・ペッツバール光学系で,イメージサークルは80mm→約60mmをカバーします。Ultra-Catシリーズでは,独自のスケアリング調整機能「Sensor Tilt Xterminator」が標準装備されました。

以下は「Ultra-Cat108」のスポット図(RMS半径)ですが,写野中心で1.5μm,像高40mm→27.5mmで3.3μmほどと,極めて高い光学性能を発揮している模様です。来年になりますがデモ機が入荷するので,入荷次第レポートいたします。

記事の内容及び掲載したスポット図が間違っておりました。お詫びして訂正(差し換え)いたします。

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2024年12月16日 (月)

Pleiades68のバックフォーカス調整構造の補足

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昨日紹介した,Pleiades68のバックフォーカス調整構造の説明がわかりづらかったので補足します。

Pleiades68のカメラ接続部は,写真のように3つのパーツからなる2段構成で,鏡筒へのネジ込み具合でバックフォーカスを調整できる構造です。簡易的な回転ヘリコイドですね。

  1. 左がM54M/M60Mリング(M54カメラ接続リング)
  2. 中央がM60F/M63Mリング(バックフォーカス調整リング)
  3. 右ががM63Fリング(バックフォーカスロックリング)

2は鏡筒のM63F部にねじ込まれ,回転ヘリコイドと同じ役目をします。3はそのロックリングです。

2のネジピンチは1.0mmなので,この部分を1回転すれば1.0mmバックフォーカスを調整できます。(下の鏡筒側も含め,白いマーキングは回転角度が解るように私が付けました)

以下は組立状態で,ロックリングに工具を刺しています。(昨日アップした写真)

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またこれとは別に,M48とM54のシムリングも同梱されていますので,昨日紹介したテーパーリングは,四隅の星像が最適な位置から1mmマイナス側で設計しています。伸ばす方は簡単ですが縮める方は難しいためです。

ちなみに写真に写っている後郡のレンズ(有効径42φ)は鏡筒固定で,ピント合わせで前後するのは前郡だけです。そのため正確なバックフォーカスを要求します。

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2024年12月15日 (日)

Pleiades68用M54接続用「TR74-M54F」の開発について

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FCT-65Dなど用の「TR74-M52F」に引き続き,Pleiades68/F3.8のM54接続用「TR74-M54F」を開発しています。

Pleiades68/F3.8には,M48とM54の2種の接続リングが同梱されますが,開発中の「TR74-M54F」は,M54接続用です。

試写結果を元にマイナス側のバックフォーカス調整代を約1mm確保した光路長で設計する予定です。
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写真のTR74-M54Fは実写テスト用の試作品です。バックフォーカスロックリングの左部隙間を1mmにした状態で四隅の星像が最良となるようTR74-M54Fを設定します。

なおメーカー指定バックフォーカスはM48,M54何れの接続でも55mmですが,この値はバックフォーカス調整代分(数mm)で変わます。これまでのデジカメでの試写結果,現状に不安があるため実写(フィルター未装着)で求めた最良位置で設計する予定です。

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2024年12月13日 (金)

FCT-65Dほか,M52接続用「TR74-M52F」の開発について

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9月に発売された,FCT-65D,FS-60CP,FC76-DPのカメラマウント接続部は,タカハシ製鏡筒一般的なM54M接続の「カメラマウントDX-WR」と事なり,FS-60CB用M52F接続の「カメラマウントDX-60W」です。

これら「カメラマウントDX-60W」用鏡筒に適合する「TR74-M52F」を開発しています。

「TR74-M52F」の発売は2025年1月10日発売日未定で,価格は8,800円です。

 

「TR74-M52F」はTR74システム標準構成時のバックフォーカス(メタルバック)をメーカー指定値の56.0mmになるようにしました。FCT-65Dなどはレデューサーがピント合わせに伴い移動するので正確なバックフォーカスが要求されます。

バックフォーカスはフィルターや冷却カメラのウインドウガラスの影響を受けるため,5枚のシムリングで光路長を調整できるEX12.5±1.0での構成を推奨いたします。

 

EX12.5±1.0に附属するシムリングは「フィルタードロワーM54」とのネジ込み部に挟みますが,その量を求めるにはM54ネジ部を回転させて写野周辺像の変化を見れば容易です。1回転で0.75mm前後するので回転角度からシムの量を決めてください。1回転(0.75mm)も動かせば目立つ変化が現れるでしょう。

なお,シムリングは「フィルタードロワーM54」の後段にも挟めます。フィルターがない場合を後段側で,フィルター装着分は前段など使い分けると便利です。シムリングは市販品なので不足時はここなどで購入いただけます。(EX12.5±1.0に附属するシムリングの単体販売は行っておりません)

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2024年12月11日 (水)

土星食と「TAMRON SP35mm F1.4Di USD」 の試写

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12月8日は観測所で土星食を観望しました。と言っても観測所のある地点では食にならず月の近くをすり抜けますが,見応えのある光景でした。撮影はミードの15cmシュミカセに1.5倍バローを装着しEOS-Raで撮りました。月と土星の光度差が大きいので難しいですね。

 

食が終わった後,FCT-65Dなどのテストを行いましたが,傍らで最近入手した「TAMRON SP35mm F1.4Di USD」を試写しました。JPEG取って出しです。

このレンズはレフ機用として高い評価だったので,無くならない内に入手しましたが,素晴らしい性能に驚きました。以下はF2.8まで絞っていますが,最周辺まで点像です。(構図は適当です)

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2024年12月10日 (火)

FCT-65DとPleiades68の実写比較を行いました

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土星食観望のついでに,FCT-65DとPleiades68の実写比較を行いました。赤道儀に2本同荷し,カメラを交換して撮影しています。ガイドは行っていません。

カメラはEOS Raで,ISO1600,露出180S,ライブビューでピント合わせしています。西の低空に半月が残っていましたがまずまずの空でした。

(Pleiades68はこの撮影時からバックフォーカスを触っています。長くする方向に調整していますが悪化させている模様です)

 

FURD0.65Xを併用したFCT-65Dの焦点距離は260mm,Pleiades68は258mmで両者はほぼ同じ焦点距離です。中央と四隅,中心とコーナーの半分ほどの星像,写野周辺の輝星(アルニタク)の影響,周辺減光の順に比較しています。

手持ちの個体を比較した所感は以下ですが,シーイングやピント合わせ精度などの条件が異なるので参考用にしてください。

FCT-65Dのフルサイズ写野の周辺像は申し分ないが,写野中心からコーナーまでの半分ほどの星像はPleiades68が勝る。FCT-65Dは写野周辺の明るい恒星像にヒゲが発生するがPleiades68は出ない。周辺光量はPleiades68が大きい。

 

【FCT-65D】

Fct65drd_qc

 

【Pleiades68 】
68_qc

 

【左:FCT-65D 右:Pleiades68 】中心からコーナーまでの半分付近の比較的明るい恒星(以下周辺減光図の赤い円外側,4時付近の4.8等星)像の比較(200%)

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【左:FCT-65D 右:Pleiades68 】アルニタクのゴーストはカメラ(EOS Ra)によるもの

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【左:FCT-65D 右:Pleiades68 】周辺減光の比較

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2024年12月 7日 (土)

90S用AMD-1NCのご予約受付終了について

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本日時点で90S用AMD-1NCは計画数量に達したためご予約受付を終了しました。多くのご予約ありがとうございました。

なお,機種毎の生産数量は,手配したモーター代数を元に振り分けています。機種により異なる金具類は,既に見合う数量を発注しているため90S用を増産する予定はありません。

本日12月7日時点でのご予約数量は以下のとおりです。

  • H-40用:AMD-1N:42,900円(13台) →残受注可能数量 10台 
  • H-40用:AMD-1NC:49,500円(7台)      〃   6台
  • P-2用:AMD-1N:42,900円(15台)       〃   15台
  • P-2用:AMD-1NC:49,500円(50台)      〃   40台
  • 90S用:AMD-1NC:49,500円(10台) 計画数量に達したため予約の受付を終了しました

別件のP-2用のアングルファインダー取付金具は完売しました。

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2024年12月 5日 (木)

BF55mmタイプのTR74テーパーリング使用時の注意点について

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BF55mmタイプのテーパーリング(TR74-M48F_BF55,TR74-M42F_BF55)は構造上,望遠鏡との接続リングツバ部の外径が74mm以上では使用できません。
SHARPSTAR 15028HNTなどが該当します。

なお,Askar SQA85などのM48接続リングも該当する模様ですが,この鏡筒はペッツバール光学系なのでバックフォーカスを合わせる必要はなく,BF57mmタイプを使用できます。(ペッツバールなど,光学エレメントの相対位置が変わらない光学系では,ここで言うBFが変わっても,その分だけドローチューブの繰り出し量が変わるだけで星像への影響はありません)

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2024年12月 1日 (日)

H-40,スカイキャンサー用XY60-35H40について

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先日,H-40(スカイキャンサー)用極軸高度・方位調整装置(TR50-Y35H40)を紹介しましたが,方位側も微動を望まれるお客様からのご要望で,これとは別に両軸微動を有したXY60-35H40を準備しています。ポールマスターでの極軸合わせに便利でしょう。


先の案内と一部重複しますが,他のH-40用アイテムと併せて12/15日から販売します。一般用のXY60-35ではオプション扱いの両軸ロックレバーを標準装備しました。

  • XY60-35H40 :27,500円(TR50-T35H40と合わせて限定20台)
  • TR50-Y35H40 :17,600円
  • TRC50ノブ仕様:13,200円
  • 赤緯プレート    :  5,500円(限定10台,H-40赤道儀は適合外)

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