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2025年6月

2025年6月30日 (月)

ツイン鏡筒用光軸調整機構付きアリガタ ADP75-150について-2

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引き続きツイン用アリガタ「ADP75-150」の紹介です。先日はチルト側(写真右奥側)が主でしたが,今回はパン側(写真左手前)の構造紹介です。裏面(75mmアリガタ面)の写真です。

ADP75-150の裏面から,DS45Nの中心をUNC3/8ボルトで,前後のM6タップ部をローレットボルトで引いています。中心のUNC3/8ボルトは皿バネで適当なフリクションを与えています。

一方,押し側はDS45にねじ込んだ2本のM6イモネジです。イモネジの頭がADP75-150に設けた窪み部に入りピボット軸受けに似た動作です。これにより,DS45Nはシーソーのような動きでチルト方向にのみ動き,パン方向の動きは抑えられます。

2本のローレットボルトを交互に操作する事でチルト調整を可能としていますが,DS45Nの中心をバネで強く引いているのでの,2本とも緩んでも「ガクッ」と動く事はありません。

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チルトの可動範囲は突き出すイモネジの長さによりますが,2mm(窪みの深さは1mm)で約1度傾きます。屈折望遠鏡なら1度もあれば十分でしょう。以下は1度傾けた状態です。突き出し代は通常は固定(ダブルのイモネジでロック)で運用します。

*上の写真で「不要長穴」と示したのは加工ミスで商品にはありません。

なお,写真のように本来の位置に追加加工した物を特別価格で販売します。通常商品は19,800円ですが約45%OFFの11,000円での販売です。不要な長穴があるだけで他は通常商品と変わりありません。複数ございます。完売しました7/5追記

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以下はアイピースを装着したULTRA CAT56(左)とPleiades68(右)のツインで操作性を確認している状況です。両側共にスムーズな調整ができる上,ロックも完璧です。
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2025年6月29日 (日)

ULTRA CAT108/4.8について-6

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 九州北部が梅雨明けした6/27~29日にかけて観測所に出かけました。星の色滲みや周辺減光が確認できるよう,暗い空で十分な露出をかけてみました。

掲載する写真はULTRACAT108/4.8で撮ったM8.20付近です。今回はEOS Raを用いISO1600,180秒露出しました。掲載する画像は全て撮って出しです。

上の写真は6720*4480Pixelを1/3(2240*1493)に縮小したもので,下の2枚は,M8付近と右下隅(NGC6544付近)の2000*1600PixelをPixel等倍で切り出したものです。

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2025年6月26日 (木)

ツイン鏡筒用光軸調整機構付きアリガタ ADP75-150について-1

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5~7cmクラス屈折望遠鏡のツイン用アリガタ「ADP75-150」を開発しています。75サイズのアリガタ両端に搭載したDS45N*を,パン方向(写真左)とチルト方向(同右)に調整する機構を持たせました。いずれも工具レスで調整できます。

ADPの「A」はAdjust,DP75はこのアリガタのサイズ,150は両鏡筒の光軸中心距離(mm)を表しています。

ADP75-150はRedCat51~UltraCat76(この夏発売予定)クラスの搭載を考慮したサイズです。(EAF装着状態によりこのクラスでも対応しない場合もあります)今後より大きな鏡筒用としてDS75-20仕様を追加します。

*ADP75-150は搭載するアリミゾの中心タップや脱落防止ボルト穴を利用する構造のため、適合するのはDS45Nのみです。

 

ADP75-150は7月末発売で価格は19,800円です。一体型構造のため、従来のAP100-340とDP75-222の組み合わせより7,000円ほどお安くなっています。

なお、ADP75-150はアリミゾの長手方向と鏡筒の光軸は90度になります。平行でないと不具合が生じるAM-5Nなどには適合しません。*

*アリミゾ固定ノブとDS45を乗せるプレート部の隙間が小さくなりノブの操作に支障を来す恐れがあります。これを回避する構造を検討していますが、現時点では製品化は未定です。

下の写真はパン調整機構です。2個のローレットボルトで±10度ほど調整できます。チルト調整機構は次回以降に紹介いたします。


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2025年6月25日 (水)

EAF仕様変更に伴う クラッチ付きEAFアダプター等の対応について-2

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ZWO社製「新仕様EAF」の実機が入荷したので詳細を調査しました。メーカー公表データーから,モーター軸径が5mmから4mmに変わっただけと推測していましたが,モーター軸位置も微妙に変更されています。左の小さいモーター側が新仕様です。

モーター仕様(サイズ)変更はバッテリー内蔵のためと思われますが,モーターギヤタイプが変わった事で軸位置も変更せざるを得なかったのでしょう。ちなみに新仕様のモーターは25mm,従来は35mmで,いずれもPM型です。

一般的には外径25mmモーター単体の発生トルクは35mmに対して半分以下です。ギヤ比も殆ど変わりないのにトルク不足を感じないのは,モーター電流でカバーしているのかも知れません。

 

前置きが長くなりましたが,軸位置も変わったために「クラッチ付きEAFアダプター」他の対応は以下の予定です。

  • タカハシ汎用:新EAF用として設計変更 7月末発売開始予定
  • FSQ-85/106ED用:在庫限りで販売終了*
  • WIFD EAF-AD:タイミングプーリー仕様変更 7月末発売開始予定

FSQ-85/106ED用でEAF側に使っているギヤは軸径4mmが作れないので販売を終了します。ただ在庫分は5mmの軸に真鍮スリーブを挿入し新型対応品として販売します。(FSQ-85/106用合わせて20台弱)

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2025年6月22日 (日)

EAF仕様変更に伴う クラッチ付きEAFアダプター等の対応について

B20250622載写真は協栄産業様の商品ページの物を使用しています

今月出荷分からZWO社のEAFの仕様変が変更されましたが,そのうちモーター仕様変更*に伴い出力軸径5mmから4mmに変わっています。

  • 従来仕様:平ギヤ付きPM型ステッピングモーター(57Ω),ギヤ比1:120,軸径5mm
  • 新仕様:遊星ギヤ付きPM型ステッピングモーター(  ?  ),ギヤ比1:128,軸径4mm

この変更に伴い,現在発売中の「クラッチ付きEAFアダプター」及び「WIFD EAF-AD」は新仕様のEAFには適合しません。

公開された情報によるとモーターに装着するギヤ(タイミングプーリー)の軸径を変更するだけで対処できそうですが,新EAF入手後に実機確認を要す事や,受注生産品のギヤ納期の都合などで,新仕様対応は8月以降になる予定です。

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2025年6月20日 (金)

DS75-40JNの販売終了について

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タカハシJシリーズ(J,JP,NJP)赤道儀用のアリミゾDS75-40JNは販売を終了しました。今後再販の予定はありません。

このDS75-40JNも他のDSシリーズと同じ機構で,雌ネジ(左)を立てたアリガタ押さえピースを同じく左ネジで動かす構造を採用しています。

これにより,一般的なバネでピースを押し出す構造と比べ,ノブの回転が極めて軽い,締め付け効率が高い,操作ノブが出入りしない,ピースのネジ山の掛かりが大きいためネジの破損がないなど,幾つかの優れた特徴を有していました。

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2025年6月19日 (木)

ULTRA CAT108/4.8について-5

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先日に続きULTRA CAT108/4.8の試写を行いました。前回はEOSマウントでのケラレが発生していますが、今回は手持ちパーツを改造した「M68.8F→M68F接続リング」と「BORG製GFX用カメラマウント」を使っています。このためGFXの44mm×33mmフォーマットでもマウントのケラレによる周辺減光はなくなりました。

 

掲載する写真のリサイズ率や切り出しは先日とおなじですが,露出時間とISO感度を変えています。またスピカをGFX写野の端に配置しました。(ISO61600,露出20S)

GFX50SⅡの写野8256×6192Pixelを,1/4(2064×1548)にリサイズした画像と,写野左下1/4を2064×1548で切り出した等倍画像です。
44mm×33mmフォーマット端でも口径食による星割れは起きていないようです。

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2025年6月18日 (水)

ULTRA CAT108/4.8について-4

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ULTRA CAT108/4.8を購入いただいた方から,CAAと鏡筒の干渉に関するお問い合わせをいただきました。

写真は市販パーツを使った一例ですが,M54カメラアダプターとCAA間に「M54メスーメス」「M54オスーオス」の接続リング挟み干渉を回避しています。この場合のM54接続面からのバックフォーカスは,10+2+16.5+20+17.5=66mmです。

ULTRA CAT108/4.8の最大バックフォーカスのメーカー公称値は65.7mm(ここでは66mmでもピントでました)なので,光路長を5mm短縮するM54FD-5ADを併用を推奨します。(紹介する写真はM54FD-5ADは使っていません)

フィタードロワーをCAAの前段に配置すれば,これで干渉を防げるので敢えて延長する必要はありません。

なお、ULTRA CATシリーズ用のテーパーリングやカメラマウント接続用パーツの設計に取りかかりました。順次ご紹介しますが,一例としてタカハシのEOS用カメラマウントをM54オスの望遠鏡で使うための変換アダプターを製作しています。

タカハシのカメラマウントをお持ちの方は多いと思いますが、これをULTRA CATシリーズなど,M54オス接続の望遠鏡で使えるアダプターです。(光路長は6mm長い62mmになります)

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2025年6月17日 (火)

ULTRA CAT108/4.8について-3

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昨日は夕方から急に晴れてきたので, ULTRA CAT108/4.8のファーストライトを行いました。

写真は急ごしらえでGFXを接続した状態で,鏡筒側のM54カメラアダプター→M54メス-メス接続リング→タカハシワイドリングEOS→EOS-GFXマウントアダプターです。

EOS Raは写野周辺の輝星にハロが出るのでGFX-50SⅡを使っていますが,EOS→GFXマウントアダプターを使っているので写野周辺に僅かなケラレが発生しています。

光路長10mmのM54メス-メス接続リングを使っているため,M54接続面からのバックフォーカスが66mmになっていますが,何とかピントでました。(メーカー公称最大BF=65.7mm)

 

試写結果ですが,GFX50SⅡの写野8256×6192Pixelを,1/4(2064×1548)にリサイズした画像と,写野左下1/4を2064×1548で切り出した等倍画像です。
明るい恒星はスピカでフルサイズでは概ね写野の端になります。露出時間が短いので参考程度ですが口径食による星割れは起きていないようです。(ISO6400,露出10S)

条件が異なるので単純比較できませんが参考用にVSD90SSの写野中央と四隅の写真です。

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2025年6月15日 (日)

ULTRA CAT108/4.8について-2

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ULTRA CAT108/4.8も他のWIFD仕様と同じ鏡筒内で全ての光学系が摺動する構造です。

小口径ならまだしも,前玉が108mmもある5枚玉光学系が筒内を摺動するため,天頂を向けた際に光学系がズレ落ちたりしないか不安がありましたが実機では確認されませんでした。外気温や個体差で動くような事があってもテンション調整を効かせば何ら支障ないでしょう。

ピント合わせでは、光学系の重さで光学系を持ち上げる側(負荷がかかる側)ではピントノブ(減速側でない側)の回転は重く,逆は軽くなりますが,減速微動側は剛性が高い(フニャフニャしない)ためピント合わせは快適でしょう。

なお、負荷がかかる側(減速でない側)でも手元のVSD-70SSと比較した感触では重いとは感じられないようです。

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2025年6月13日 (金)

ULTRA CAT108/4.8について-1

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ULTRA CAT108/4.8が入荷しました。これから何回かに分けて紹介予定です。

早速WIFD-EAF取付アダプターでZWO社のEAFを付けてみましたがソフトケースを加工することなく収納できます。

なお,天文ハウストミタでは544,445円のセール特価(6/15日まで)です。写真のWIFD-EAFアダプターが付属します。

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2025年6月10日 (火)

2025年(最終)ロットの90S用AMD-1NC 在庫2台になりました

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2025年(最終)ロットは2月に,P-2やH-40用などと併せて115台程(当初95台に90SとMark-X用追加)の材料を準備しましたが,90S用は予想を上回る売れ行きのため3月末に11台追加しています。これも残り2台になりました。4ヶ月間で20台近くお買い求めいただきました。写真は昨日組み立てた4台で内2台は近日出荷分です。

なお,P-2やH-40用の材料は潤沢にありますが,H-40の一部をスペースボーイ用への振替を検討しています。
スペースボーイ用AMD-1Nは2020.5月に10台ほど受注生産していますが,その後も時折のご要望いただいておりますので再生産を検討中です。追ってご案内いたします。
ご検討いただいた方には申し訳ありませんがスペースボーイ用のAMD-1Nにつきましては諸事情で再生産を取りやめました。2025.6.14追記

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2025年6月 9日 (月)

VSD70/90SS用EAF取付アダプターの開発について

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VSD70/90SS用のEAF取付アダプターはクラッチ月のギヤ結合で計画しましたが,EAFモーターのラジアル軸方向の遊びを懸念し開発を断念しています。

ところが最近入手した新ロゴ仕様のEAFはその遊びが激減*しており,軸にラジアル方向の力をかけてもほぼ感じられないレベルになっていたのでVSD70/90SS用アダプターの開発を再開する事にしました。

比較したのは2個体(写真左:最近購入の新ロゴ品,右:2年ほど前に購入した旧ロゴ品)だけで,たまたまかも知れないため遊びの影響を受けにくいベルト駆動で計画する予定です。クラッチ機能はありません。

*簡単に測定できる「軸の直径側」を測定したところ、以前購入した個体の5.980mmに対して、最近入手した個体は5.990mm(h7相当)です。モーターのシリアルNo.からモーター単体は2022.07月製と2025.02月製でしょう。軸受け側も含め仕様変更があったのかも知れません。

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2025年6月 8日 (日)

VSD70SS用アクセサリー開発について

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VSD70/90SS用のEAF取付アダプターにつきましては,技術的な要因で開発を見送っていましたが,新たなアイデアが浮かんだため再開することにしました。現時点ではEAF取付金具に併せ70SS用の補助バンドの開発も計画しています。

これに伴いこちらの記事で触れていた,VSD70SS(開発用に購入した個体に軽微な不具合があったため新品交換となった未開封品)の販売は取りやめています。

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ULTRA CAT108/4.8のテーパーリング開発について

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間もなく発売される「ULTRA CAT108/4.8」のテーパーリング開発に着手しました。

基本的にM54接続を計画していますが,M54接続アダプター部の直径が84mmあるのでTR74-M54Fの光路長は6mm以上必要となり,システム全体のバックフォーカスは最短で57mmになります。

ULTRA CAT108の最大バックフォーカスは65.7mmもあるので10mm程余裕あり、敢えてフィルタードロワー部で光路長を5mm短縮するM54FD-5ADは使わない設計ができそうです。

なお,ULTRA CAT108/4.8は先に発表された価格,573,100 円から544,445円に値下げされました。(6/15日までのセール特価)
セール期間中は当方のWIFD-EAFアダプターが付属します。

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2025年6月 3日 (火)

ULTRA CAT 56の試写結果

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手元に届いてから時間が経ちましたが6月1日にULTRA CAT56の試写を行いました。薄雲が広がっていましたが星像の評価には問題ないでしょう。ULTRA CAT56の過去記事は以下を参照ください。

「ULTRA CAT 56/F4.8について-3」で説明した「Sensor Tilt Xterminator 略してSTX」は構造を理解するために一度分解していますが,物理的な平行状態(隙間ゲージで4カ所全ての間隙を合わせる)で再組み立てしただけで,実写での調整は行っていません。使用したカメラはEOS Ra(フルサイズ),ISO3200,露出60秒です。ライブビュー(30倍)でピント合わせ。強調処理などは行っていません。

 

以下は中央と四隅をPixel等倍で切り出した画像です。星像割れを見るために左下隅に比較的明るい恒星(うしかい座η星:2.7等)を入れています。(恒星のハロはこのカメラに起因する現象です)

星像は極めてシャープで中心から隅まで均一です。過去に複数のRED CAT51の試写を行いましたが一線を画す星像です。周辺減光が殆ど感じられないのも魅力的です。ULTRA CAT 56/F4.8はカメラマウント部から対物レンズを覗くと口径食は確認できませんがその効果を感じられます。

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以下の画像は,写野の1/4を切り出したものです。左下が隅で右上が写野中心です。中心からコーナーまで星像が整っていることを確認できます。左下が「うしかい座」η星:2.7等,中央上が4.5等,右のオレンジ色の星が4等です。

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左下隅に「アークトゥルス 」を入れて見ました。カメラに起因する盛大なハロが発生していますが,星割れらしきものは殆ど見受けられません。

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2025年6月 2日 (月)

再掲:ZWO ASI 585MC Pro+カメラマウント 半額での販売

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こちらの記事で販売した,「ZWO ASI 585MC Pro」と「フィルタードロワー付きカメラマウント」ですが、お買い求めいただいたお客様手持ちの「ASI294MC PROよりファンの音がうるさい」と感じられるとの理由でキャンセルになりました。

手持ちのASI6200MC PROや2600MC Airなどとの比較や,過去に当方で販売した同社製カメラの動作音(記憶)から、何ら異常はないと判断します。ファンの機械的特性上この個体のみ騒音が大きいとは考え難いのですが、このような経緯であることをご理解の上ご購入いただけると幸いです。

実質未使用に近い状態でしたが、一度お客様の手に渡った中古商品になるので、市販価格の半額に値下げしています。

価格はそれぞれの市販価格合計119,000円(102,100円+16,900円)の半額の59,500円です。送料は無料です。

なお、フィルタードロワー付きカメラマウント」はNikon用(未使用品)に変更可能です。売り切れました6/3追記

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