AG88

2012年8月10日 (金)

AG88の基本構造

B12_08_10
7月18日ご紹介したAG88の極軸部の構造やその保持方法はまだスケッチでしたが
構造的に最終形態となる試作機ができましたのでご紹介いたします。
写真は極軸部構造がわかるように微動を受け持つ回転ステージをつけない状態です。

極軸はフロントプレートと一体構造の軸受けハウジングで保持しており
ハウジングの両端にはボールベアリングが内蔵されています。
極軸北端にかかる荷重の全てはハウジングで受け,回転ステージはかかりません。
これは据付用の大型赤道儀とよく似た構造です。


箱型のポータブル赤道儀は極軸の南端を保持していますが
AG88は据付用赤道儀と同じように荷重のかかるフロントプレート部で保持するので
極軸やハウジングへのモーメント荷重に対して有利です。

また,充分な肉厚のフロントプレートを4カ所で固定するので
肉厚の薄いボックス状のハウジングより強固になります。


現在AG88はお客様のニーズを調査する目的で受注生産を行っております。
その中で,自動導入までは要らないが2軸ガイドは是非欲しいとの
ご要望を受け1タイプ追加す方向で検討中です。

・AG88:恒星時追尾のみの基本仕様(1軸ガイドは可)
・AG88G:2軸オートガイド仕様 ←新たに追加
・AG88GT:自動導入仕様

AG88Gの価格はPTP-Flat仕様で20万円弱の予定です。
AG88,AG88GTは以前のご案内と変わりありません。


 

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2012年7月18日 (水)

AG88受注生産のご案内

先日ご紹介しました,シグマ光器製の回転ステージを流用した超小型赤道儀は
(コンセプトがカメラレンズを使った天体写真撮影専用なのでアストログラフと
呼ぶ事にし,ウォームホイールの直径から開発名をAG88としています)
記事をご覧になったお客様から商品化の問い合わせをいただいておりますが
その決定は追尾精度が一桁なら開発したいとお答えしておりました。

120718
このところ九州地方はほとんど晴れる事がなかったのですが
昨夜になって何とか撮影できました。その結果が上の写真です。
これまでも雲間からは眼視で追尾状況を確認していましたが
今回,写真の結果も眼視と同じように
アルビレオの離角の1/4~1/5ほどの振幅でしたので間違いないでしょう。
両者のテスト結果,P-Pで7~9秒角(±3.5~4.5秒角)なので
10秒以下は問題なくクリアーできそうです。

写真はバリエクステンダーを付けたFC60(FL約800mm)+EOS40D,16分間露出
天の赤道付近を撮影,比較星はアルビレオ,ピクセル等倍表示


今回,Pモーションがクリアーできたので既にお問い合わせいただいている
お客様には受注生産でお請けすることとしました。
まだ完成品の形もない状態ですが
ご興味のある方はお問い合わせいただけると幸いです。
AG88のイメージや特徴は以下のとおりです。

B12_07_18
上の写真はドーナツ型の回転ステージ中央で極軸を支えるハウジングです。
極軸はハウジングに2個のベアリングで保持されており
スラスト,ラジアル,モーメント力はステージに伝わらない構造にしてみました。
回転ステージに加わる力は回転力のみです。
極軸自体の耐荷重は10kg以上はありそうです。

Ag881_2
上図は極軸体の断面で上の写真との関連がお分かりになられるかと思います。
極軸と回転ステージは,極軸望遠鏡側のクランプリングで挟まれる
薄いステンレス板で回転力だけ伝える構造です。(緑のディスク部)

赤緯軸側はパノラマ雲台等を使うことを考慮した汎用性の高いコの字型金具仕様です。
 

 
ただ幾らPモーションが小さくとも安心して撮影できるのは100mm程度まででしょう。
移動の場合,三脚が地面に沈み込むことなどで
それ以上の焦点距離や長時間露出の場合どうしても星は丸く写りません。
完璧な星像を求められる方のために2軸ガイドを可能とする赤緯体も準備いたします。
リモート撮影ができるよう自動導入対応です。

Ag88gt_2

今回の受注生産は今年中を目処にお請けする予定です。
ただ製作能力が限られている事や,既に手配している三脚の数量面
また,納期面でご希望に添えられない場合もあります。
特に8月に入荷する専用のカーボン三脚は残数が10本ほどになっています。


受注生産品の価格は以下のとおりです。

・AG88-F(上段スケッチの赤道儀本体+PTP-Flat三脚仕様):158,000円
・AG88GT-F(下段スケッチの赤道儀本体+PTP-Flat三脚仕様):233,000円

・AG88-C上段スケッチの赤道儀本体+PTP-Carbon三脚仕様):188,000円
・AG88GT-C下段スケッチの赤道儀本体+PTP-Carbon三脚仕様):263,000円

全機種に極軸望遠鏡(ケンコー製)と極軸高度・方位調整装置が付きます。
GT仕様にはバランスウエイトも付属しますが鏡筒取り付け部はオプション)
AG88は恒星時駆動のみ(4.5V駆動)でAG88GTは自動導入仕様(12V駆動)です。

詳細な仕様はご連絡いただければ個別にご案内いたしますが
海外遠征を強く意識し,200mm程度までのカメラレンズでの撮影を目的とした
アストログラフで,専用の三脚も含めた重量が4.5kgほどのものです。
(自動導入仕様の場合,バランスウエイトは含まず)


AG88は今年中は個別に受注生産を行い
その経験を元にお客様のニーズを反映した商品として発売を目指します。

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2012年7月 1日 (日)

EM-10のMTS-3SDI改造ほか

B12_07_011
既にHPでご案内しておりますが
赤道儀の自動導入改造は今月~11月まで受注を休止させていただく事となりました。
この間,既にご注文いただいておりますバックオーダーの解消と
再開時に納期面でご迷惑をおかけしないよう
改造用品の準備に勤めますのでよろしくお願いいたします。

写真はMTS-3SDI仕様に改造したEM-10赤道儀です。
MTS-3SDI改造については用品を手配できない状態が続きましたが
先月から正常化しています。
納期遅延でご迷惑をおかけしましたが,改造後順次出荷いたします。

なお以前のスケジュールでは,EM-10とSX-Dの改造については
7月から受注とご案内していましたので
そのスケジュールでご発注を予定されていた方は
できるだけご希望に添えるよう調整しますのでHPからご連絡いただけると幸いです。

改造受注の休止理由は他にもありまして次の海外遠征アイテムを模索しています。
100~200mm程度のカメラレンズ+冷却CCDカメラ用赤道儀でもちろん自動導入対応。
専用カーボン三脚とのフルセットで5kg以下です。
(ウエイトは含まず。下の写真の状態では三脚も含め3.5kgです)


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この写真は強度や追尾精度を確認するために仮に組んだだけで
極軸にパノラマヘッドを加えたポータブル赤道儀タイプになっています。
(写真は試作前の構想段階で,方位微調整部など意味をなしていません。
また,ギヤやモーターも露出しています。)

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極軸体の目盛環でお気づきかと思いますが
ウォーム部はシグマ光器のご協力を得て工業用回転ステージを流用しました。
工業用回転ステージは極めて高精度ですが,モーメント荷重に弱いので
ドーナツ型の回転ステージの内側に荷重を支える軸受け(ベアリング保持)を設け
回転ステージには荷重がかからない構造です。

ウォームホイールは176T,M0.5(外径約88φ)で極望外周の銀色のリングは
極軸クランプで,自動導入時の干渉を考慮しハーフクランプが可能です。

以前ここや,ここで回転ステージを使ったアイデアをご紹介しておりますが
高価な工業製品なのでこれを赤道儀に流用するのは無理と判断していました。
ただ,高価ですが完全に組み立て・調整されたユニットをビルトインするので
手間のかかる作業が省け,結果として競争力のある商品に仕立てられるかも知れません。

MTS-3SDIを使った自動導入仕様で35万円(専用の超軽量カーボン三脚付き)
写真のようなポータブル赤道儀構成なら,20万円と言ったところでしょうか?
(自動導入なし,専用超軽量カーボン三脚,パノラマヘッド,バランスウエイト付き)

EM-10との大きさ比較です。
ウォームホイールの大きさはEM-200とほぼ同じ88φもありますが
外形はこんなに小さいのでカメラレンズ専用ですね。

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