赤道儀

2025年11月13日 (木)

魔改造赤道儀の紹介-5_MS-3赤道儀ポータブル化

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前回のP-2赤道儀に引き続き,小型赤道儀のポータブル化改造の紹介です。今回はペンタックスのMS-3をベースにし,200~300mm程度での星野撮影では必要ない両軸の微動部を取り外し携行性を高めています。

P-2やMS-3を改造していますが,極軸体のみのポータブル赤道儀に赤緯体や極軸高度・方位調整装置,極軸望遠鏡を後付けするより実用的でしょう。やや思いたいですが,その分剛性が高ので少々の風は影響しません。

駆動回路は極軸北部の空間に内蔵しており,外部電源(4~6V/50~70mA,単三電池3本又はUSB5V)で駆動できます。極軸望遠鏡の視野照明やオートガイドも可能です。

昨夜写真のULTRA CAT56(FL270mm)を搭載して5分の追尾テストを行いましたが,7~8割は完全な点増でした。P-2や90Sと同等かやや劣る程度の追尾精度でしょう。

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2025年10月31日 (金)

GE1414HD赤道儀の転倒防止ウエイト

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GE1414HD赤道儀の推奨搭載荷重は5kg程度なので,カメラレンズだけでなく写真のような5~7cmクラスの望遠鏡直焦点撮影にもご使用いただけます。写真はULTRA CAT56とEOS Raボディなので約4kgですが,VSD70SSも同程度です。

電源が遮断されても8kg*ほどまで保持できるので,このクラスならウエイト無しでも運用できますが,より安定した追尾と転倒防止の目的でバランスウエイトの併用をお勧めします。(*MTS-3仕様場合,SYN SCAN仕様は5kg程度)

 

GE1414HDは赤体体底面パネルにM8-PCD35のタップ加工を施しているので,そこにDS38(販売終了品,後継機はDS38-50)+市販のプレート経由で20φのバランスウエイトを装着した状態です。アルカスイスクランプなので使っていないカメラボディをウエイト代わりにすることもできます。

GE1414HDユーザーの方へはバランスシャフトを販売いたします。軸径は18又は20φ,長さ200mm,片端M8メス,片端M6抜け止めローレットナット) 価格は2,200円,送料は420円です。(受注期間は11月15日まで)M8皿ネジが付属するので市販のアルカスイスプレートのUNC3/8部に固定してください。

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SynScan仕様GE1414HD赤道儀 完売御礼

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昨日紹介した,SynScan仕様GE1414HD赤道儀(2台)は早速のご注文ありがとうございました。本日午前中で完売となりました。

今回製作したSynScan仕様GE1414HDはカメラレンズでの星野写真を想定しています。写真は標準で付属する極軸延長筒を併用した状態ですが,極付近でもメリディアンフリップを必要とせず連続撮影可能です。また,200mm程度までのカメラレンズなら,万が一暴走してもカメラやレンズが三脚に衝突する事もありません。(写真は135mmレンズ+ASI 2600MC Air)

北側に大きくオフセットしますが,この程度の荷重なら三脚を最大に開けば転倒の不安はないでしょう。極軸方位・高度調整はXY70-55なのでこの程度の偏荷重でも支障なく調整できます。

説明の延長筒や,極軸望遠鏡の他,今回で生産終了となるのでこれまで製作した以下の赤緯プレート類も付属します。

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GE1414HD赤道儀は皆既日食の海外遠征用を主な用途として2018年12月に発売いたしました。今回SynScan仕様として販売しました2台をもって生産を終了しました。累積17台販売しています。

開発当時,この赤道儀で採用しているハーモニックドライブ社製CSF14(高精度研磨,軽量タイプ)は1台で75,000円以上でした。ハーモニックドライブシステム社の特許が切れた現在では安価な海外製が出回っていますので競争力を無くしてしまいました。今回は2台のハーモニックドライブ,EQM-3Pro用SynScan,新たに特注したステッピングモーター,3点分の合計原価を販売価格としました。

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2025年10月 7日 (火)

魔改造赤道儀の紹介-4_P-2赤道儀ポータブル化

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4件目に紹介する「魔改造赤道儀」は,タカハシP-2赤道儀ポータブル赤道儀化です。

このブログで何回も紹介していますが,写真は今年2月,ワディファームでC/2024G3アトラス彗星を狙っているところです。この日は500mm望遠レンズで狙いましたが,まだ明るい空でも両軸クランプフリーで動かしながらファインダーで捕らえました。(写真は明るい内に撮ったものです)

改造コンセプトは昨日紹介したPENTAX65/75赤道儀と同じで,駆動用電池や極望照明装置なども内蔵しています。PENTAX65/75赤道儀は寝かせた状態でウォーム軸が邪魔にならないよう位置を変えていますが,こちらはウォーム軸を短くカットしました。

また,PENTAX65/75赤道儀同様に南天で使い易いよう極望の対物レンズやアイピースも換装しています。さらに片持ちフォーク式でも運用可能で,携行製にもこだわりました。

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以前も紹介していますが,この赤道儀に搭載したEF200mmF2(2.5に絞る)で撮影したηカリーナ星雲付近です。(ノートリミング)

極軸望遠鏡でセッティング後放置撮影しています。代わり映えしない画像処理ですが,お伝えしたいのは「連続した2分露出×16カット」が良好な追尾であることです。(紹介の写真は8カットのコンポジット)ナローバンドフィルターを装着してるので星像は小さくなっていますが流れは感じません。

最も気に入っているポータブル赤道儀で特にぶっつけ本番の彗星の撮影で重宝します。なお,この改造は受注していましたが用品が無くなったので受注は終了しています。

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2025年10月 6日 (月)

魔改造赤道儀の紹介-3_PENTAX65/75赤道儀ポータブル化

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3件目に紹介する「魔改造赤道儀」は,PENTAX65/75赤道儀ポータブル赤道儀化です。以前この赤道儀にハマった時期があり,2軸ドライブ化なども行いましたが,その中で「魔改造」と呼べる1台でしょう。

一般的な赤道儀は赤緯軸を垂直にした状態でウォーム軸は水平になります(下の写真で3時ー9時方向)。そのため赤道儀を横に寝かせた時はウォーム軸が垂直に立つので収納の厚みが増します。またモーターとウォーム軸を直結することも難しくなります。

そこでウォーム軸と赤緯軸が平行になるプレート状の赤緯体を作り,駆動用モーターをバランスウエイト側に配置しました。モーターはウォーム軸に直結していますが,モーターハウジングは回転方向のみ固定しているので伝達に伴うエラーが最小になります。同社製のMS-4と同じレイアウトです。

 

極軸望遠鏡は南天でも使えるよう特注の対物レンズに加え,覗き易いように5×25ファインダーのアイピースに換装しています。手作り感満載ですが,駆動回路や電池も内蔵しています。

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改造とは関係ありませんが,レボルビング装置再販のご要望をいただいております。年内の案内を目処に進めていますが,手元にあるカメラがEOS RaとGFX-50SⅡ(外形は100Sと同じ)のみなので,それらをベースに開発する予定です。(現時点では受注生産の予定)

以下は以前商品化したRR-92ですが,新型はEFマウントアダプター(72mm)を通せる程度になる予定です。

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2025年9月25日 (木)

魔改造赤道儀の紹介-2_EM-200赤道儀ハーモニックドライブ化

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2件目に紹介する「魔改造赤道儀」は,EM-200赤道儀の赤緯駆動をハーモニックドライブ(以下HDと略,後期はフレックスドライブを採用)改造です。

この改造は商品化しており,2020.6月から5年間で累積35台の実績があります(改造用品の都合で今後受注できるのは2台のみになっています)

 

以下写真(試作機)のように赤緯軸を抜き取り,HDをアリミゾに内蔵た赤緯ユニットと交換しています。赤緯のバックラッシュ排除が主な目的ですが,改造前に比べ約4.5kg軽くなる事不動点が60mmほど短縮されるためバランスウエイトが軽減できます。

これらにより,改造前に比べると10kg程搭載重量が増えると考えて良いでしょう。上の写真は19kgのCDK-12.5/F8(30cm鏡筒,カメラは非装着)を搭載していますが5kgのウエイト3個で余裕です。

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EM-200のPモーションは±5~7秒角程度です。これは国産の高精度(研磨)仕様HDに比べても1/3~1/5ほど小さい値です。(これまでに複数台を恒星追尾で実測した値)また,ウォームホイール式は短周期の小刻みな振れも小さく極めて滑らかな追尾が得られます。

高精度且つ滑らかな追尾に加え,改造で赤緯のバックラッシュフリー化,軽量化,搭載能力アップが図られますが,ご使用のお客様からは赤緯軸の回転位置によらず常時使える極軸望遠鏡や,キャリングハンドル(写真の試作機は非設置)にもご好評をいただいています。

アリミゾ部に組み込んだSHG-20-160型ハーモニックドライブです。許容モーメント荷重は20kgfmほどなので,鏡筒搭載面から30cmの位置に60kg搭載できる強度です。

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2025年9月24日 (水)

魔改造赤道儀の紹介-1_90S赤道儀の自動導入化

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本日から何回かに分けてこれまで行った魔?改造赤道を紹介します。

初回は自動導入仕様に改造した90S赤道儀です。コントローラーはSYN SCAN,TiTaN TCS,MTS-3などに対応ます。

赤緯部分微動の90Sを,EM-100のホイールを使って全周微動化するのが目的です。一見90Sの赤緯体をEM-100のと入れ替えたように見えますが,実際は殆どがEM-100の部品で90S用は極軸ハウジングと架台部の2点のみです。極軸や極軸のウォームホイールなどはEM-100のものです。

世界に1台?しかない赤道儀を作ってみたかっただけで,敢えて魔?改造するメリットはないでしょう。EM-100に2軸モーターを付けた方が遙かに合理的です。

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2022年2月22日 (火)

新型ゴニオステージ赤道儀について-6

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新型ゴニオステージ赤道儀最後の記事となりますが,ご予約のお客様から注文いただきました。ありがとうございました。 

この赤道儀は直径250φウォームホイールの約1/32を切り出し,クロスローラーベアリングで固定したゴニオステージを利用したものです。

構造上追尾時間が制限(約45分)されますが,連続追尾を必要としないのであれば極めて優れた赤道儀が作れます。終端に達すれば自動停止し,ボタン操作で10秒ほどでスタート点に戻るのでストレスはあまり感じません。

 

赤道儀部の重さは1kgほどですが,紹介の写真のように星景写真から皆既日食撮影用のツイン鏡筒用など利用範囲は広いでしょう。剛性が高いので動画と静止画のツインでも実用になります。

なお,1件のキャンセルがでましたので余剰が出ています。

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2022年2月17日 (木)

新型ゴニオステージ赤道儀について-5

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昨年の5月に案内していた新型ゴニオステージ赤道儀ですが,一部の設計見直しや接続コネクター調達に半年ほど要した事で完成が遅れてしまいました。やっと出荷の目処が立ちましたので最終のご案内です。

(この赤道儀は手配できた10台の中古ゴニオステージをベースに赤道儀化したもので,昨年5月時点で予定数量のご予約をいただいております。余剰が出た場合は別途ご案内いたします)

 

写真は北半球仕様時の形態です。ステージには,北,南,上面の3カ所にUNC3/8ボルトを設けており,目的によりジンバル雲台や,自由雲台を搭載できます。南半球での使用時は,赤道儀の南北方向を入れ替えます。(右下の3/8ボルトを南の極に向ける)

これまでの記事は以下の通りです。

 

価格は以下の通りです。申し訳ありませんが,先のご案内で極軸望遠鏡の価格に間違いがございました。また紹介したジンバル雲台の手配につきましても諸事情で取り止めております。附属するアルカスイスクランプは脱落防止の観点からDS38-50に変更しました。

  • 赤道儀本体:99,000円(33,35,36度いずれかの極軸台座とDS38-50含む)
  • 外付け極軸望遠鏡(暗視野照明付):25,300円
  • 極軸固定台座をXY60に変更:17,900円
  • PTP-C22専用台座:4,400円

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2021年5月29日 (土)

新型ゴニオステージ赤道儀について-4

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今回は新型ゴニオステージ赤道儀の極軸合わせについて紹介します。

これまではジンバル雲台を使った撮影(観望)スタイルで紹介してきましたが,この赤道儀の開発の主な目的は星景写真撮影用です。ゴニオ赤道儀は三脚の一部の様な形状なので自由雲台との相性は大変良いです。

 

星景写真では,概ね極軸があっていればいいので大掛かりが極望は不用ですが,さすがに素通しのパイプでは辛いので,最初の記事で紹介したアングルファインダーやマグニファイヤー(何れもCANON製)を装着できるようにしています。

特に写真のマグニファイヤーは大変コンパクトですが2倍ほどの倍率があるので北極星を探すのは楽です。前方に開けた穴の中心に北極星を導入すれば充分でしょう。

 

ただ望遠レンズでの撮影では不安なので,写真のように外付けの暗視野照明付の極軸望遠鏡もオプションとして準備しました。ジンバルとの干渉もなく撮影の邪魔にはなりません。

また,日食撮影時はiPhoneでセッティングできるようにトップ面を突起のない形状にしています。

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以下は先日触れた追尾精度の撮影スタイルと実写結果です。満月に近い月夜のうえ,雲が多かったのでF5.6,ISO200で撮影しています。極軸は極望を使ってセッティングしました。

300mmF4のレンズで各3分露出の連続した4枚ですがどれも満足な追尾が得られています。ゴニオステージのウォーム軸は約4分で1回転なので3周期分の撮影です。

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より以前の記事一覧