赤道儀

2019年6月17日 (月)

高精度ハーモニックドライブを評価する-その2

B1906171

ハーモニックドライブは写真の3つのパーツから構成され,左からサーキュラスプライン,フレクススプライン,ウエーブジェネレーターで,今回評価する高精度ハーモニックドライブは写真左のサーキュラスプラインの歯面を研磨しています。

ハーモニックドライブの追尾テストはこれまでに20~30個体ほど行っていますがそれから得た感想は個体差が大きいことです。(個体差はメーカー公称値の90秒角の範囲内に収まっています)

個体差は角度伝達精度(Pモーション相当,以下振れと表現)の大きさに加え滑らかさも大きく異なります。振れは大きいが滑らかな個体やその逆など様々です。中には周期性があまりない個体もあるようです。

これらのデーターについては後日改めて紹介する予定ですが,まずは一番気になる高精度仕様品と標準品の比較です。高精度側のデーター数が少ないのであくまでも参考程度です。いずれも後半はガイドしています。

以下が両者の代表的な例で,上が高精度仕様,下が標準仕様です。Y軸1目盛りが約10秒角なのでPモーションは高精度側が±15秒角,標準側が25秒角程度でしょう。納入仕様書記載の値(目標値)90秒角→60秒角への改善に見合う結果が得られたようです。(いずれもステッピングモーターのステップムラの影響が無視できるほど小さい,1:50のギヤヘッド付きのPM型モーターで駆動しています)

なおハーモニックドライブの場合,振れの周期はウエーブジェネレーター1回転で2周期となります。紹介のCSF-14-100の場合,減速比は1:100で周期は約7.2分です。(1:100のウォームホイールの場合の周期は14.4分です)

B1907174

B1906175   

B1906176

 

|

2019年6月 9日 (日)

日食遠征用GE1414HDツイン鏡筒用オプションについて

B1906101

南米日食までひと一月をきりましたがツイン撮影用オプションが完成しました。当初の構想から変更し通常の赤緯端に2本搭載する方法と裏面(一般の赤道儀ではバランスウエイト側)に分ける方法のいずれにも対応します。赤緯端側に2本,裏面に1本などの搭載も可能です。

一枚目と下の2枚の写真は赤緯端に2本搭載した場合です。アルカスイスクランプの固定を調整することで,それぞれの鏡筒をX,Y方向に振れます。両者の光軸合わせが簡単なので通常はこの搭載方法を推奨します。(細部が確認できるよう全ての写真は大きなサイズで掲載しています)

B1906103

以下は赤緯端部のアップです。GE1414HD標準付属のプレートより少し長いため2本の鏡筒間隔が大きく取れます。また方側のアルカスイスクランプは裏面からの固定(調整)も行える設計です。

B1906102

 

以下は赤緯端と裏面に鏡筒を搭載する場合です。裏面側は赤緯端側との連接プレートで回転します。中心軸を固定しているので強度的な不安はありません。バランスの観点ではこの搭載方法が有利です。連接プレートにはUNC1/4のタッフ゜があるので風景撮影用カメラなどの搭載も可能です。

価格は赤緯端プレート,底面回転プレート(上の写真に連接しない状態で写っています),連接プレートの3点セットで13,500円(税込)です。

最後の写真は来月の南米日食撮影状態のイメージです。日没1時間ほど前の西の空で見られます。なお搭載する鏡筒はタカハシのFOA-60で接眼部は他社製で軽量化しています。

B1906105

B1906104  

|

2019年6月 6日 (木)

高精度ハーモニックドライブを評価する-その1

B1906062

ハーモニックドライブの赤道儀への応用は5年ほど前に開始し,昨年は日食遠征用として特化したGE1414HDを商品化しました。当初は写真左側にあるハーモニック減速機付きのステッピングモーター*から始め,その後は目的に合ったハーモニックドライブを採用しています。(*このタイプはフォーク式構成の赤緯用として便利ですが2020.3で生産終了されます)

ハーモニックドライブは大きなトルクを出せる上にバックラッシュはほぼ0なので赤道儀駆動用として魅力的ですが,赤道儀用(極軸側)として満足できないのは追尾精度です。写真のCSF-14型の場合,メーカー公称値の角度伝達精度は1.5分角(90秒角)で,実測値はその2/3(±30秒角)ほどです。たびたび紹介するP-2や90Sなどと比較すると1/5ほどの精度しかありません。

対策としてHOBYM Observatory社のCRUXは強力なPEC機能を内蔵しPEC学習後は1/10ほどに抑えらます。またMTS-3でも1/5ほどまで改善できるのでハーモニックドライブ赤道儀ではPEC機能は必須でしょう。

ただ個人的にはPECに頼らず,機械精度だけで市販のウォームギヤ式赤道儀並みの赤道儀を作れないかと思っていました。敢えてGE1414HDを日食遠征用と謳ったのは星野撮影用としては不満があったためです。

 

前置きが長くなりましたが,以前からこれらの状況をハーモニックドライブ社に相談していました。その結果,角度伝達精度の改善と追尾の滑らかさを実現するにはサーキュラスプラインの研磨が有効とのことでその対策品が完成しました。入荷した型番の末尾についたSPはその証です。写真は第二ロット(予約分で新規の受注はありません)のGE1414HD用として入荷した高精度仕様(RA用)と,標準仕様(DEC用)のハーモニックドライブです。

以下は高精度仕様のサーキュラスプライン,フレクススプラインとウエーブジェネレーターです。見た目は標準仕様と変わりありませんが記念に掲載しました。その-2に続きます。

B1906061

|

2019年5月11日 (土)

2019年のP-2赤道儀 自動導入改造状況について

B190511

ここで紹介した,2019年のP-2赤道儀自動導入改造は15台のご予約をいただいていますが,その内の4台が完成しました。来週の発送予定です。

ハーモニックドライブの供給状況が昨年までとは一変し,今では2か月ほどで入荷するようになりました。そのため昨年のご案内より3~4か月ほど前倒しで進めています。本年の2回目と3回目でご予約の方へは個別にご案内しましたが,いずれも前倒しでの施工が可能です。また5台ほどは追加の受注もお請けできます。 追加受注の受付は終了しました。2020年以降の改造計画は未定です。2019.5.15追記

今年受注分からコントローラーはMTS-3に加えTITAN TCSもお選びできます。そのために赤道儀側のサブパネルは無くし,両軸のモーター配線のみとなりました。ワンタッチ接続の高級コネクターを採用していますが,サブパネルがなくなった分改造費用を見直しています。

改造費用は以下の通りです。いずれも税込みで,赤道儀のオーバーホール費用も含みます。極望のレチクル交換費用は19,200円です。

【MTS-3仕様】199,800円

【TITAN仕様】237,600円

以下は両軸のモーターコネクターを接続した状態です。赤緯側はモーター信号を利用した極望の照明も内蔵しました。

B1905111

|

2019年3月 4日 (月)

フォーク式のポータブル赤道儀-2

B1903041_2

ここで紹介した回転ステージを流用したフォーク式のポータブル赤道儀に
引き続き,五藤のスカイグラフを流用したものを作ってみました。
これも赤緯側にハーモニックギヤ付モーターを使った自動導入仕様です。

PENTAX75ポラリエもジンバル雲台でフォーク式に仕立てていますが
カメラレンズ+RR92や写真のREDCAT51程度ならフォークが便利でしょう。


前回の記事は極軸にかかるモーメント荷重に対する考察でしたが
フォーク式の場合,腕の長さと極軸のオフセット量の設計も難しいです。

紹介するのはフォーク部にMongoose 3.6と言うジンバル雲台を改造して
使っています。腕の長さは十分ですが極軸オフセット量が大き過ぎるため
赤緯回転部と鏡筒の間に50mmほどのスペーサーを挟んでいます。
また,写真のREDCAT51ではアームの剛性がやや不足しているようです。
高価なジンバル雲台ですが天体写真用としては無理があったようです。

市販品である程度の目途を立ててから製品を作りますが今回は市販品が
高すぎたので試作した方が良かったようです。
先日紹介した回転ステージ流用タイプのアーム部(2個構成)は5台分
作りましたが,それでも単価は今回のジンバルの1/10以下でした。


もう一つ問題となるのは重心が北側に寄り過ぎることです。
今回のスカイグラフは以下のような高度方位調整装置で重心を南に
シフトしていますがまるで「崖っぷち」に乗っかっているみたいです。


B1903042_2


|

2019年2月16日 (土)

GE1414HD赤道儀用 極軸望遠鏡の補足説明

B190216


この記事で紹介したGE1414HD用極軸望遠鏡(ポールマスターアダプター
装着タイプ)の補足です。

この極軸望遠鏡は,写真のようにコントローラーなどを接続するパネル面を
真下に向けた状態で極軸望遠鏡の接眼部が真上を向くように装着してください。
そうするとアングルタイプなので大変覗きやすくなります。
赤道儀本体と組み合わせて出荷しておりますがこの位置を基準として調整
しています。


この状態で南側から極軸望遠鏡を覗くとスケールパターンは以下の状態で
風景は正立に見えます。(以下の例は倒立像)

B15_07_172_2

Polar Scope Alignで求めた北極星の位置は倒立の場合なので6時間加えた
位置に導入します。以下の例の場合,6時50分の位置になります。

B15_07_175

GE1414HDは2軸ガイド撮影が基本なので,この極軸望遠鏡で合わせる
程度で十分ですが,ポールマスターで合わせる機会があればその際に
一度校正される事をお勧めします。
ポールマスターと入れ替え,その時点の北極星の位置とずれていれば
極軸望遠鏡のレチクルを調整すれば完璧でしょう。

GE1414HDは全台この極望で据え付けて追尾テストを行っていますが
赤緯方向のズレは以下の程度です。

1410098184651


|

2019年2月 2日 (土)

GE1414HD赤道儀 出荷前のご確認事項-2

B1902021_2

先日に引き続き日食遠征用GE1414HD赤道儀の出荷前連絡事項です。

日食撮影時は複数の鏡筒を同架しますが一般的には写真のようなツイン
鏡筒に加え,ウエイト側に動画撮影用カメラを搭載されると思います。
極めて剛性の高いGE1414HDならスチルカメラとビデオカメラの混載も
可能です。


2本の鏡筒は光軸を合わせる必要があるのでここで紹介したAP60-19060
同様の光軸調整プレート(AP50-11050?)をオプションとして準備しています。
 

ただ機材重量が増すために,写真の例のように6~7.5cm鏡筒と
300mm程度のカメラレンズなら標準仕様で搭載できるよう変更しました。
裏面からの固定できないだけで基本的な構造はAP60-19060と同じです。

今回は全てこの仕様で出荷させていただきますのでご自身の機材に
マッチしない場合はオプションをご注文ください。
この部分の仕様が決まらずお待たせしてしまいましたので両側のDS38も
お付けします。写真のPENTAX75SDHF程度ならDS38で十分です。

なおPENTAX75SDHF側のDS38は赤緯軸中心にも固定できます。
側面のDS38を利用したガイド撮影用としても便利です。

ご連絡だけなので,この件に対する返信は必要ありません。

B1902022


仕様が変わったので窮屈になりましたがソフトケースで出荷いたします。

B1902023


|

2019年1月31日 (木)

GE1414HD赤道儀 出荷前のご確認事項

B1901315

日食遠征用GE1414HD赤道儀をご注文いただいておりますお客様への
ご確認事項です。

GE1414は日食遠征を主目的に開発した赤道儀なのでコンパクトさと
安定性を重視した設計ですが,星野撮影用としても使って頂きたいので
星野撮影に便利な極軸保持部の延長パーツをオプション設定しました。

写真はこのオプションに切り替えた状態で,フードの先端からボディ
背面まで約300mmのカメラを搭載していますが,この程度なら
どこを向けても干渉せず遠隔撮影に便利です。
(緯度35°では,赤緯軸中心から三脚までの距離は約190mmです。
SP50-15を併用すれば,さらに伸ばせますが重心が北に偏りすぎます)

この延長部はコストも都合もあり,標準仕様の高度・方位調整装置の
一部を入れ替える方式としました。
価格は16,200円で,今月初めにご案内した価格の半額ほどです。
 

ここからが確認事項になりますが,この延長台座は極軸望遠鏡を
組み込めません。
現在、極望組み込みの標準仕様に加え,極軸延長オプションも
ご注文の場合,いずれでも使えるポールマスターアダプター部に
装着する極望(正立像)をお勧めいたします。
追加費用は発生しませんのでご希望の場合はご一報ください。

B1901316

もう一件は専用コントローラーと赤道儀本体間のケーブル長です。
今回GE1414HD専用で製作したMTS-3は軽量でシンプルな接続と
するためにコントローラー側のコネクターを排除しました。
使用目的からケーブル長の標準は120cmとしていますが変更可能です。

B1901317

GE1414HDの販売は終了しております。また今回紹介する極望の単体
販売予定はありません。


|

2018年12月26日 (水)

日食遠征用GE1414HD赤道儀の紹介-2

B1812261

前回の記事ではサブ鏡筒を下面に付ける構成ですが今回紹介するのは
ここで紹介した方法の改良タイプで,2本の光軸を容易に調整できるのが
大きなメリットです。

直行して配置したSDS38を回転させて互いの光軸を合わせますが
両方とも裏面からの調整なので鏡筒を搭載したままで行えます。
サブ側との連結もないので赤緯軸回転に伴う本体との干渉もおきません。

B1812262
 
バランスの観点からはサブ鏡筒を下面側に装着した方が安定しますが
サブ鏡筒が三脚などと干渉するので通常はこの方法が便利でしょう。
下面側には短焦点カメラレンズの搭載をお勧めします。
 

この光軸調整機構も10,800円のオプションです。
先日紹介したものがAタイプ,本日のものをBタイプでご指定ください。
片側のSDS38とプレートのセットです。
(PENTAX75側のSDS38は必須ではないのでセットは1台にしました。
また製品は少し仕様を変えます)

 

日食遠征用と謳っているのは圧倒的な軽さでありながら複数の鏡筒を
搭載できるからです。

トップヘビーになりますが,重心が三脚中心線の真上に来る設計で
接続面には殆どモーメントがかかりません。
安定感が高く,万が一の赤道儀脱落事故を防げます。
(片側に2本の鏡筒を搭載する場合はややバランスが崩れます)

緊張が高まる日食撮影では通常は考えられないようなミスを犯して
しまう事があります。
電源が落ちてもその状態を保持する事も含め極めて重要な事でしょう。

|

2018年12月24日 (月)

日食遠征用GE1414HD赤道儀の紹介-1

B1812241


日食遠征用GE1414HD赤道儀が完成したので紹介いたします。
基本的に既にご注文いただいた方への案内で逐次情報を追記します。

最初の写真は標準使用状態です。
両側面にアルカスイスクランプが付くので小型ガイド鏡などを固定できます。
下面にはBENROのパノラマヘッド(PC-1)を付けています。
側面のコネクターはMTS-3,ガイドカメラ,RS-232C,電源(5V)接続用です。
各ケーブルは標準で附属します。


以下の写真は光軸調整専用のSDS38を装着した状態です。
下面側のパノラマヘッドとの光軸調整はSDS38で行います。
(写真はUNC1/4ボルトで固定していますが専用のSDS38は3/8仕様)

B1812242


側面に付けたアルカスイスクランプを利用してパノラマヘッドと連接した状態です。
ツイン鏡筒での日食撮影時メイン鏡筒とサブ鏡筒が連動します。
(PC-1のノブを挟み込む構造なので,遊びはほぼゼロになりますが長時間露出
を行う星の撮影にはお勧めしません。
また構造上赤緯軸は180度しか回転できないので日食撮影専用と考えてください)

B1812243


【GE1414HDの仕様】
・使用ハーモニックドライブ:両軸ともCSF-14-100-2UH-LW
・駆動モーター:PM型ステッピングモーター
・バックラッシュ:最大100秒角(計算値)
・導入速度:恒星時の720倍速
・追尾精度:対恒星時±25秒角程度(PEC併用時±5,ガイド時±2秒角程度)
 ガイド無し:50mm,PEC併用:200mm,ガイド:500mmまでが点増の目安
  ガイドなしでの追尾状況
  ガイド,有り無し時の追尾状況
  PEC併用時のガイド状況

・電源電圧:3~12VDC,5V駆動時の消費電流は600mA(DE.CutOff時300mA)
・許容荷重:最大約10kg,推奨5kg程度(ツインの場合6~8cmクラス×2set)
・許容偏荷重(電源が遮断されても保持できる片側の荷重):約8kg
・機器取付部:UNC3/8及びM8PCD35。両側面にオプション取付可
・適応三脚:PTP-C,C2,C22のみ,専用アタッチメント標準付属
・使用コントローラー:MTS-3キーコード付,単体自動導入可
・赤道儀質量:約2.4kg(PTP-C22台座込み,オプションは含まない状態)
・高度調整範囲:約10~70度(極軸使用時は55度)
・極軸合わせ:オプションの極軸望遠鏡またはPoleMaster(併用可)
・価格:318,600円(税込,初期ロットのみの価格で今後受注分は改訂します) 
・オプション
 内蔵型極軸望遠鏡(暗視野照明付):21,600円
 ツイン鏡筒用連接ユニット(専用のSDS38含む):10,800円


GE1414HDは希望者を募って制作しましたがハウジングは余剰があります。
またハーモニックドライブの納期が短縮された事から追加受注も可能です。
ご希望の方は12/31日までにご一報ください。
ただ,使用するコントローラーは標準仕様のMTS-3になります。
また三脚が専用となることからPTP-C22とのセット販売を予定しています。
GE1414HDとPTP-C22セット価格は税込399,600円です。
納期は2019.4月末の予定です。

追加の受注は締め切らせていただきました。2018.12.31日追記


赤道儀本体の重さは約2,400gで,PTP-C22を含め4,200g程度です。
(北端の平面部はポールマスター取付部でUNC1/4仕様)

B1812244

|

より以前の記事一覧